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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. インドへの道 《ネタバレ》 イギリス植民地時代のインドを舞台に異文化間(支配者と被支配者)の交流とそこに横たわる摩擦と葛藤を描いた巨匠デビッド・リーン監督の遺作らしい。これって主人公の英国娘アデラがインド人医師アジズや民衆の独立心に火を点けるためにわざと狂言をでっち上げたって話だと思ったんだけど違うのかな?一連の出来事をすべて見透かしてそれらを導いたかのような英国人ババア(モア夫人)とインド人ジジイ(ゴドボリ教授)の存在感がとても印象的だった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-01-12 03:41:26) 2. アナザー・カントリー 《ネタバレ》 1984年公開のイギリス映画。まったくの予備知識なしに見始めたら亡命者っぽいジジイの回想から突如として繰り広げられる薔薇展開に唖然。基本的には1930年代のパブリックスクールの寮生活におけるエリート学生達の人間模様を描いた内容なのだが、公開当時には英国男子萌えの腐女子の皆様方がキャーキャー騒ぎ立てたという伝説的なBL作品でもあるらしい。更に主人公のモデルはのちに「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれる旧ソ連に仕えた実在のスパイの一人であり、2011年のサスペンス映画『裏切りのサーカス』の前日譚的な話でもあるという事をあとで知ってびっくりした(その両作ともにコリン・ファースが結構重要な役回りでキャスティングされているのは偶然ではないのかも)。主人公達は同性愛や共産主義といった「異端者」である事を理由に寮内におけるポスト争いからパージされ、それを契機に更に革新思想にのめり込むようになった彼等はやがて祖国を裏切るスパイへと身をやつしていく。そこには上流階級出身でかつ性的マイノリティであるというコンプレックスが根底にあったという事なのかな。全英を震撼させたスパイ疑獄事件にこんなホモホモしい背景があったとは…いやーとても勉強になりました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2014-09-07 17:50:01) 3. ノー・マンズ・ランド(2001) 2001年公開のヨーロッパ合作映画。ボスニア紛争の前線地帯にある無人の塹壕(=No Man's Land)で起こったとある事件を巡るブラックコメディ。ボスニア・セルジア・国連・マスコミ…様々な人間が寄ってたかってもこの小さな事件すら誰も解決できない。地域紛争・民族紛争の“どうしようもなさ”を本当にどうしようもない出来事を通して切り取った佳作だと思う。そして、事件の当事者の一人である兵士が終盤に叫んだ台詞こそがこの映画の核心なんじゃないかな。 「ハゲタカが群がって…俺らの悲劇はそんなに儲かるか!」[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-07 22:13:54)《改行有》 4. The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 《ネタバレ》 ミャンマー(ビルマ)の民主活動家・アウンサンスーチー女史の半生を描いた映画。今までは何となく“軍事政権と戦う女傑”みたいな漠然とした印象しか持ってなかったんだが、父親の暗殺やハンガーストライキ・自宅軟禁・ノーベル平和賞受賞・夫との死別などなど、キャッチーなエピソードがテンポよく描かれるため観やすくて分かりやすい良作ではあった。…が、本作で描かれた背景などをネットで調べていると彼女に対しての懐疑的な見解も少からずあり、中には「米英が西側寄りの政権樹立を画策するために送り込んだ工作員」との見方もあるようだ。なるほどそう考えるとかつての植民地時代の宗主国であるイギリスの教育を受けイギリス人の夫を持つ彼女は、「民主主義=絶対善/独裁政権=絶対悪」という図式を喧伝するのに格好の広告塔であったのかもしれない。まぁ大なり小なりそうした怪しげな陰謀論はあるにせよ、彼女が人生を賭して祖国の民主化のために尽力してきたという立派な功績は否定できないし、その歩んでこられた苦難の道程にできる限りの敬意を表したいと思うのは私とて吝かではない。ただ、“西側諸国のゴリ押しプロデュースによって聖女のように祭り上げられた虚構のアイドルと、その茶番を嬉々として映画化したミーハー根性丸出しのバカマッチョ・リュックベッソン”。そんな薄ら寒いマッチポンプ的構図を妄想の中で思い描いてみた折に、私の背筋を一抹の悪寒が走り抜けた事も末筆ながら付け加えておきたい。[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-02 01:09:48) 5. ザ・ビーチ(2000) 《ネタバレ》 CSでダニー・ボイル特集をやってたので久しぶりに観賞。前に観たのは確か10年くらい前の地上波の深夜放送だったと思う。その時には「やりたい放題やっといて旅の恥は掻き捨てって事かよ?ふざけんなよ!」と思ったもんだが、冷静に見返してみると「楽園」に幻想を抱く若者へ冷や水を浴びせる様な結構底意地の悪い映画である事に気付く。端的に言うと「選民ぶった勘違い糞ヒッピー共は鮫に食われて(現地民にAKで撃たれて)死ね!」という内容の作品なのね。確かに自分自身の退屈な日常を受け入れる覚悟すら無い奴らがそこから逸脱しようとする事自体がおこがましいんだよな。ただ、ラストシーンで何事もなかったかの様に日常生活に舞い戻っている主人公(ディカプリオ)の笑顔には今回も若干イラッとさせられた。あと個人的な意見としては中盤で正気を失った主人公がパンジステークを仕掛けるシーンこそ本作の最大のハイライトだと思う。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-26 15:22:48) 6. ルワンダの涙 《ネタバレ》 ご機嫌いかがですか?オルタナ野郎です。さぁ今夜のみんシネロードショーは皆さんお待ちかね『ルワンダの涙』の登場ですよ。これは1994年にアフリカのルワンダで実際に起きた虐殺事件を題材にした映画なんですねー。この映画の舞台はルワンダの首都にあるキリスト教系の技術学校なんですが、大統領の暗殺事件をきっかけに対立する部族間での虐殺が始まって、少数派部族の避難民がグワーッとここに押し寄せてくる訳です。この学校には国連派遣部隊のベルギー軍が駐留していますから、虐殺を首謀した部族の過激派もなかなか手出しができない訳なんですが、国連軍の方も命令がない限りは自衛目的でしか武力行使ができないものですから、学校の外で虐殺が行われていてもそれを傍観する事しかできない訳なんですねー。いやぁ実にもどかしい。ちなみにこの映画の原題は『Shooting Dogs』というんですが、これは「死体を漁りにくる犬を衛生のために射殺していいか?」という国連軍の提案に対しての、「それなら犬の方が先に君達に発砲してきたんだね?」というイヤミからきてるんですね。いやぁこれ実に奥の深いタイトルだと思うんですが、原題から米題の『Beyond the Gates』、そして邦題の『ルワンダの涙』といくにつれて、その皮肉がどんどん薄まっている点も更に味わい深いですねー。それから何と言ってもクライマックス。国連軍の撤退に合わせて過激派の群衆がナタや小銃を持って避難民に襲いかかるんですが、見てくださいこの嬉々とした表情。これは完全にキ○ガイの顔なんですね。彼らのナタで女性や赤ん坊がズバーッとやられるのを間近で見ても、国連軍はやはり手をこまねいて見殺しにする事しかできない訳なんです。そもそもこうなった原因は彼らの植民地政策のせいなんですが、いやぁ国際社会ってのは本っ当に薄情なものなんですねー。このような過酷な現実の前ではタテマエの理想なんてまったくもって無力なんだという事を思い知らされてしまいますよねー。さて、この映画で描かれた悲劇からそろそろ20年近くが経つ訳なんですが、今でもどっかの国が毒ガスを使って自国民を殺しまくろうが、それを口実にどっかの国が喜び勇んで軍事介入を決定しようが、事務総長様は祖国アピールのためのロビー活動にご執心なのでそれどころではないという訳なんですねー。いやぁ平和維持活動って本当に面白いものですね。それじゃあまたご一緒に楽しみましょう![CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-03 00:29:02) 7. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙 ♪わったっしは求めない~、あっなったのコンセンサス![CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-01 16:19:27) 8. プレステージ(2006) 《ネタバレ》 ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリンの中の人)とクリスチャン・ベール(バットマンの中の人)、ライバル関係にある2人のマジシャンが過去の遺恨から角逐をエスカレートさせていく姿を描いた映画。相手のステージに上がってまでの妨害行為をお互いにやり合う所とか、双方の手記を通して過去と現在を交互に描いていく所とか、途中まですごく良く出来てると思いながら観てたのに、タネの探り合いの果てにガチの複製装置が出てくる所で全部が台無しに。あんなのでクローン人間が出来てしまうとか明らかに飛躍しすぎだろ。キテレツ大百科じゃねえんだから。それで結局、「タネが無いマジックなんて無粋だよね」的な結論?俺のワクワクを返せ!一方の双子のトリックとか悪くなかったのにすべてが後の祭り。まあ、原作に沿った内容らしいので仕方ない部分もあるのだろうが、あくまでマジック対マジックで最後まで勝負して欲しかった。でもノーラン映画のこういうお利口さんに見えて馬鹿っぽい所とか実は嫌いじゃなかったりする。ノーランかわいいよノーラン。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-12-29 02:59:59) 9. 銀河ヒッチハイク・ガイド(2005) かなりぶっ飛んだ内容の変態スペース・オペラ。モンティ・パイソンぽいギャグが多いので調べてみたら、原作者がモンティ・パイソンと関わりのある人みたいで納得。とにかくシュールかつ馬鹿馬鹿しい話が、無駄に高度なクオリティで展開される。中でもマルコヴィッチ先生の登場シーンは白眉。神々しいまでのシュールさで、宇宙の真理に触れた気分になれる。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-19 19:03:54) 10. ローズ・イン・タイドランド 《ネタバレ》 『ブラザーズ・グリム』と同時期に制作されたそうだが、あちらとは対照的に、それにしてもこのギリアム、ノリノリである。皆さんも指摘されている主演ジョデル・フェルランドの圧倒的な存在感、それに負けじと呼応するジェフ・ブリッジスをはじめとする脇役陣の異様な熱演、そして画面の隅々まで行き届いたディティール、この狂った世界観を余すことなく表現してやるという気合いを感じる。世評では奇を衒った様な世界観や役者達の怪演に好き嫌いが分かれているみたいだが、単純にストーリーだけを抜き出してみると結構救いようのない話なので、観ている内になんだかしんみりしてきてしまった。「狂気にでも逃げ込まなければ、この世は悲しくてやり切れないじゃないか!」、鬼才ギリアムのそんな孤独な叫びが聞こえてくる気がする。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-08 12:02:32)
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