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プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 42歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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【製作国 : オランダ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1
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1.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 現代版『東京物語』を目指したのだろうか。とてもよく練られた脚本だと感じた。かなり突飛な展開もあるが、それも込みですべてが明確に家族の破綻へと収束していく。映像は常に被写体と一定の距離をとり、情緒的なべたつきを許さない。一家団欒のシーンでは小津ばりにカメラを固定しているが、おそらくかなりこだわったのだろう、これほどまずそうな食事の場面も珍しい(あ、でも朝ごはんのところはちょっとおいしそうかも)。 しかし筋書きがしっかりし過ぎているせいで、香川照之や小泉今日子の演じる人物が平板であるようにも思えた。今どき珍しいほど家父長的に振る舞う夫と従順な妻、という家族モデルは90年代の社会学研究から引っ張り出してきたようで、正直ちょっと古いんじゃないかと思う。俳優の力で救われているものの、率直過ぎる台詞もいくつかある(そうした台詞は一歩間違えるとまるで自分の不幸に酔っているようにも聞こえる)。 とはいえさすがは黒沢清だなと思わされたのは、単純に家族の再生を暗示して終わるのではなく、家族の変容を受け入れるという答えを提示して見せたことだ。初めは単純に反発していただけの長男はやがて精神的にも自立していくし、次男がピアノの才能を開花させたことも将来の独立を予想させる。そして無闇に威張りくさっていただけの父親は、次男が弾くソナタに黙って耳を傾ける。 無理に古い家族の形式を守るのではなく、それぞれが精神的に独立した個人であることを認めて、かつ家族であり続けようと努力する。題名が『ソナタ(=独奏曲)』である理由はここだろう。これはソナタが合奏になるのではなく、ソナタがソナタとして完成されるまでの物語なのだ。核家族のその先、という新たな時代と家族の変遷を描くことで、明確に『東京物語』“以降”であろうとする意欲が見て取れる。 ただ単純に楽しめたかどうかというと、この点数になる。人物の平板さもあるが、強盗のエピソードの唐突さに引いてしまったというのが一番の理由かもしれない。なぜもっとリアリティに徹しなかったのか、理解できない。[DVD(邦画)] 6点(2009-07-14 08:17:37)(良:1票) 《改行有》

2.  ブラックブック 《ネタバレ》 戦争を題材にしつつもウェット過ぎず、悪い意味での文学気取りもなく、ミステリーとしてもオーソドックスな作り。余計な気負いなしに、語るべきことを堅実に語ったという感じで、素直に楽しめた。 もっとも印象深いのは、真犯人を棺に閉じ込めたあと、ラヘルら二人が呆けたように湖のほとりに佇む場面。悲鳴が止んだときの「永遠に続くかと思ったわ」という、復讐のカタルシスよりも徒労感の滲んだ台詞が忘れ難い。 初めはナチス相手の戦いだったのが、やがてナチ将校に恋をして、味方のはずの英米軍に虐待を受け、最後には同胞を敵として殺す。善悪の境界も混沌とした極限状況でここまで振り回されたら、そりゃ疲れ切るよなあ、と思う。大昔のアメリカ映画ならナチ=絶対悪の単純な形式でしかなかったのが、ヴァーホーヴェン監督には我慢ならなかったのだろう。事実あの時代を公平に見れば、白黒のつけにくい複雑な状況がいくらでもあるのだから。 ムンツェが告発される場面で、裏切ったドイツ軍人が「この男は保身のためなら平気で嘘をつくのです」という台詞がある。それに応じてカナダ人(だっけ?)将校が「誰でもそうだろう」と平然と応じる。ヴァーホーヴェンの冷めた人間観があの台詞に凝縮されているように思った。[DVD(字幕)] 7点(2007-09-20 01:42:19)《改行有》

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