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プロフィール |
コメント数 |
418 |
性別 |
男性 |
ホームページ |
http://onomichi.exblog.jp/ |
年齢 |
55歳 |
自己紹介 |
作品を観ることは個人的な体験ですが、それをレビューし、文章にすることには普遍さを求めようと思っています。但し、作品を悪し様にすることはしません。作品に対しては、その恣意性の中から多様性を汲み取るようにし、常に中立であり、素直でありたいと思っています。 |
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1. ラスト、コーション
《ネタバレ》 恋愛映画であり、その本質がエロティシズムであることを示した作品である。
その決定的なシーンとは、女スパイのワン(タン・ウェイ)が標的であるイー(トニー・レオン)からダイヤモンドの指輪をプレゼントされた際に、恍惚として思わず「逃げて・・・」と呟いてしまった瞬間である。
この映画の全てのシーンはこの一言のプロローグであり、エピローグとしてあったとも思える。それ程に深く、にも関わらず、なんという衝動的な一言だったろうか。
エロティシズムとは、非連続な存在であり、関係性である人間にとっての連続性への郷愁であり、衝動である。オルガスムこそが(小さな)死という連続性への瞬間的な接近であり、生という可能性の実感であった。それは刹那であるが故に深く、そして衝動的なのだ。
互いの孤独を紡ぐようなセックスシーンと共に、最後の指輪のシーンこそは、存在の孤独を癒す連続性の光、この映画のクライマックスであり、オルガスムの瞬間だったのではないか。
ワンの一言によって、脱兎のごとく店を飛び出したイー。
青酸カリを、そして指輪を見つめながら、最後の可能性を握り締めるワン。
彼女はその瞬間を反芻し、生の充実を得る。
彼女はエロティシズムという自我を超えた外部の力に捉えられ、引き裂かれた。それは結局のところ侵犯の報いとして生の終焉に行き着かざるを得ないのか。恋愛という最上級の幻想を、その美しい瞬間を見事に捉えた傑作。[DVD(字幕)] 10点(2008-11-23 01:01:07)(良:1票) 《改行有》
2. 悲情城市
侯孝賢監督映画。80年代終わり頃に流行りました。「冬冬の夏休み」とか「恋恋風塵」とかね。で、この2作を太刀持ちとして、どーんと構えるのはやっぱり歴史大作「悲情城市」でしょう。あの頃、ようやく中国映画なんかが国際的に評価されてきて、陳凱歌とか張芸謀の映画が次々と公開されていました。彼らの初期の作品というのは、中国の広大な大地に根ざした裸の人間たちを描くかなり骨太で大味な印象を与えるものでしたが、台湾出身の侯孝賢というのはどちらかといえば繊細で暖かな味わいを作風とする為、彼の作品の方が、僕らには受け入れやすかったように思います。小品を得意としてきた彼が初めて祖国の歴史大作として世に問うたのがこの「悲情城市」です。<それまではこういった歴史を公然と語ることができなかったそうな> 大戦後の日本軍の台湾撤退から、蒋介石による台北制圧までの4年間の内乱を、ある家族の悲劇を通して描いていきます。戦後の台湾の歴史を知らないとなかなか理解できないところもあるかもしれませんが、実際、そこに僕たち日本人が深く暗い影を落としていることが事実としてある以上、それを知らないのは本当は失礼なことなのかもしれません。それはともかく、トニーレオン扮する聾唖の写真屋と少女の静謐な愛情のやりとりが秀逸です。歴史のうねりに翻弄されながらも家族の愛を拠り所とする生き様<そう最後の家族写真のシーンです>には、静かな感動と言い知れぬ哀しさを感じずにはいられませんでした。中国人監督達がその後、商業ベースにしっかりと乗っかったのに対し、一体、侯孝賢はどうしてしまったのでしょうか?ここのレビューで全く人気がないのも忘れ去られた監督故なのでしょうか?ちょっと心配なところです。 10点(2003-10-16 00:03:35)(良:1票)
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