|
プロフィール |
コメント数 |
211 |
性別 |
男性 |
年齢 |
35歳 |
自己紹介 |
日本は公開日が世界的に遅い傾向があるので、最近の大作系は海外で鑑賞しています。 福岡在住ですが、終業後に出国して海外(主に韓国)で映画を観て、翌日の朝イチで帰国して出社したりしています。ちょっとキツイけど。
Filmarksというアプリでも感想を投稿していますので、内容が被ることがあるかもしれません。ご了承ください。
これからも素晴らしい映画に沢山出会えたらいいなと思います。よろしくお願いします。 |
|
1. アサシン クリード
《ネタバレ》 ミラ・ジョボビッチの「バイオハザード」シリーズと同様、こちらもビデオゲームを原作とした作品である。ゲーム第一作を購入した時は、エルサレムを舞台にしたアクション・ゲームと思っていたが、いざ電源ONにするとアニムスやらアブスターゴやら近未来的な世界観にびっくりした覚えがある。
以降の続編を経て、もはや宇宙規模なんじゃないかというほど大げさになったストーリーは、まさにハリウッドで映画化するに相応しい。スモークマシマシでハッタリを効かせまくった中世スペインや、やたら進化した豪華版アニムスのデザインなどから、このゲームとハリウッド映画との相性の良さが見て取れる。
個人的に原作の好きな所と言えば、笑っちまうほど荒唐無稽なSF設定を、歴史上の人物だとか難しい科学用語とかで真面目かつ強引に押し通してくる世界観だ。
嬉しいことにここら辺は映画版でもしっかりと再現されていた。なにしろジェレミー・アイアンズ、マリオン・コティヤールが気難しい表情で意味の分からん絵空事を懇切丁寧に語ってくれるのだから、こういったトンデモ空気感の再現は上手く出来ている。
また映画化にあたり、アサシンVSテンプル騎士団の構図も、ハリウッドらしいアプローチで描かれている。自由意思と支配の確執、つまりは社会を形成するうえでどちらの主義をかかげるか。
無論、本作でテンプル騎士団は完全にイカれた集団なので、100%アサシン側に肩入れして観られる。しかし行きすぎた個々の自由は暴力や堕落を招くことも世の常。今回は導入編なのでシンプルな構成だが、これは同時に次作以降で深みを増すポテンシャルも秘めている設定である。(ゲームで言えば「ローグ」の部分か)
残念な点は、物語のほとんどが現代パートに集約されてしまっているため、過去パートがエピソードの羅列になってしまってることか。上映時間に限りがある映画故の決断か、過去パートをアクション中心で組み立てた潔さは買うが、強烈なキャラが過去編にいても良かったのではとも思う。
しかしアクションだけ見れば、パルクールの類が導入されて久しいハリウッドにおいても、なかなか良い出来だ。逃走からの剣戟など、ゲームのキモである部分も良く再現している。
原作ありきと言えど、映画シリーズ(になることを願う)1作目なので敷居は高くなく、それでいて原作の雰囲気も損ねていない。複雑さや深みは無いので批評家受けは悪そうだが、娯楽映画として2時間楽しませてくれたのは事実である。興行成績は振るわなかったようだが、続編は是非観てみたい。今後このシリーズがトンデモ方向に展開していくことを実は期待している。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2017-02-21 16:22:42)《改行有》
2. レヴェナント 蘇えりし者
《ネタバレ》 何と言ってもレオが悲願の受賞を達成したことが一番に耳に入るが、同時に監督・撮影賞受賞のお墨付きどおり、熱のこもった力作に仕上がっている。
その出来栄えたるや、どの場面を切り取っても圧巻。長回しと視覚効果の融合が激しい臨場感を醸成する一方で、自然光の生む映像美が野蛮さと過酷さの中によく映える。雪原でバイソンを喰う先住民と遭遇するシーンなど、あまりの美しさにおしっこ漏らすかと思ったほどである。
かなりチャレンジングな制作内容だが、制作努力だけでなくしっかりモノにできているからこそ評価したい。
レオの演技もやはり大きな見どころで、ヒューの復讐劇を体現する様は壮絶。受賞を逃し続けたレオだが、逆に言えばいつもオスカーを狙うパフォーマンスを見せる名優だ。ベジタリアンなのに生肉を貪ったり、骨折するまで殴り合ったりの演技はもちろんすごい。しかし本作の言葉で表現すると「神」に出会う瞬間だろうか。そういったシーンでは、心情を表す表情の演技が印象に残った。
過酷な撮影を耐え抜き、素晴らしい演技でオスカーを受賞したレオには素直に拍手である。
惜しい点としては、やはり賞取り映画に寄りすぎていて如何せん一般の客層には向かないところか。
監督の個性ではあるが、バードマンの時のようなユーモアが封印されたため、結果的に更に間口が狭くなり、長尺の暗い感触に仕上がっている。
かといってダラダラと長尺を消化していくわけでもない。美しい映像と過酷なサバイバルの途中にはなかなか興味深い描写もある。
この映画では色々な人物が「神」に遭遇する。これはヒューが一度死んで蘇ったという伝説にキリストをイメージして、映画的なメタファーを込めたものだろう。
ヒューはバイソンの群れと遭遇し、フィッツジェラルドは親父がリスを食べて生き延びたと話す。開拓民に破壊された集落で先住民はブリジャーから食料を得た。ポワカは突如現れたレヴェナントにより部隊に合流し、ヒューは自らを神と思えと怒鳴った男と対峙、ポワカ達はフィッツジェラルドを裁き、レヴェナントを生かした。
映画ではヒューの生死があいまいに描かれたことによって、ブリジャーの顛末もあえて宙ぶらりんになっている。フィッツジェラルドの言葉では、神は与えそして奪う(ヒューに施しを与えた先住民は開拓民に奪われてしまった)。ブリジャーに対して神がどのような運命を与えるのか。予想してみると面白い。
(ちなみにブリジャーは史実では生き延びていて、開拓時代ではわりと有名な人物です。よかったね。)[映画館(字幕)] 9点(2016-04-26 18:00:16)(良:1票) 《改行有》
|