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1. アワーミュージック
この作品は3つのパートに別れていて最初の[王国1 地獄]では戦争映像のモンタージュが流れる。「人間たちはお互いを夢中で殺し合う」。第二部の[王国2 煉獄]ではゴダールが本人として登場、サラエボに出向き学生相手に講義を行う。このパートの冒頭で実は眠気に襲われたんだけど、ゴーダルによる「切り返しショット」についての講義で不意に頭の中の霞が晴れて、それ以降の展開は凄くスリリングだった。世界と個人、国家と思想、他者と自分、そんなひとつの事柄が抱える二つのヴィジョンが映像と音によって照らし出され行く(時々行われる「音」のスウィッチも面白い。対象の入れ替えを現している?)。あらゆるモノが同時に存在するという思想は日本人にとってはわりと受け入れ易いんじゃないかな。けど、西洋人はその宗教からも感じるように唯一無二である事を求めがちなのかも。その呪いを解く事によってゴダールは世界を救おうとしているのか?最後のパートは[王国3 天国]。そこにあるがままの美しい音と光の中で第二部に自爆テロと間違われて殺されたオルガは自由になる。ゴダールは言う「想像の確実さ、現実的な不確実さ。映画の原理とは、光に向かい、その光で私たちの闇を照らす事だ」と。[映画館(字幕)] 9点(2005-11-06 23:31:15)(良:1票)
2. 愛の世紀
全編言葉の洪水で詩の朗読を聞いているかのような映画。映像もともても美しく、ゴダールの光の使い方に陶酔し、見終わって心の底にしまい込んでいた感情をかき回されたような、泣きはらした後のような気持ちになった。しかし誰が見ても楽しめる映画ではないだろう。前に座っていた人も居眠りしていた。今のゴダールはこういうところに来ているのか、と思って考えてみれば初期作品は今も良く見るが、私が見た一番新しいゴダールは「カルメンという名の女」でこれでもなんと20年前。そう言えばヌーベルヴァーグの監督たちもみんな死んでしまったしなぁと思うと感慨深かった。8点(2002-06-27 15:20:28)
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