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1. 恋人までの距離(ディスタンス)
《ネタバレ》 非常に上手いなと唸らされる映画。
出会いから別れまでを1日程度で無理なく描けている点が見事だ。
国籍も違う見知らぬ旅人同士が、二人にとって見知らぬ地ウィーンで、徐々に惹かれあう過程(視聴室での二人、観覧車の二人は見事)、本音をぶつけあう姿(ピンボールを交互にプレイする二人、親友への擬似電話を掛ける二人は見事)、そして別れをじっくりと堪能できる。彼らの約束と別れたあとの二人の表情が余韻を引きずる。花火のようにパッと燃え上がった恋が、一瞬で静まり返って、お互いが冷静に振り返るいくばくかの時間と二人が過ごした場所が静かに映し出される点がとても印象的だ。
恐らくジェシーはこのままアメリカに帰ってもこの出会いを引きずるだろうと思われる(一度スペインとの遠距離恋愛で失敗しているのに、再び失敗を繰り返すのが男の悪くもあり、良いところだ)。
一方、セリーヌも最初は渋い表情をしているが、徐々に笑顔を取り戻している。彼女の中で、別れの苦しみというよりも美しい思い出として記憶されたのではないか。やはり、女性の方が切り替えはかなり早いようだ。
また、この二人が再開するかどうかの余地が残されている点はたいへん面白い。鑑賞者の恋愛感によって、又は性別によって、二人が再開するかの考え方は異なるだろう。続編を無視して、自分の目線で判断すると、男はまた必死に旅費を貯めて、半年後ウィーンに戻ってくるだろうなと思われる。女はどうだろうか、一概に判断はつかない。恐らく直前まで悩むのではないか。戻ってくるかもしれないし、戻らないかもしれないという女性ならではの不可思議さが描かれていると思う。
さらに、男と女が対比的に描かれている点も面白い。男はやはり子どもっぽさがあるし、ヤリたがる。また、見栄を張ったり、つまらないことに腹を立てる一方で、とても現実的な点がある(ミルクセーキの「詩」は最初からできていたのではないかと夢のないことを言ったりもする)。
女は幸せな環境に育ったとしても、何かに怯え、どこか満たされない想いを抱え、その不安をなんとか埋めたい、人生を実りあるものにしたいとと願っている。やはり、現実的な考えよりも、ロマンティックな考えを優先している。
考え方や性格も異なる二人だけれども、惹かれあわずにいられない男と女の関係の不可思議さを感じられる素晴らしい作品だ。[DVD(字幕)] 8点(2005-02-21 01:23:10)(良:1票) 《改行有》
2. デアデビル
心にも肉体にも痛みを知る最弱のヒーロー。
うじうじした感が全くヒーローらしくないが、逆に気に入った。
オープニングクレジットを点字にしたり、随所に見せるセンスのいい映像が良かった。レーダー映像や雨のシーンだけでなくよく見ると中々全般的に良くこの監督はイイモノを持っている。
「父さんが見えない…」と言ったようにセリフにも中々良さを感じた。
またキャラクターに目を向けると、公園でのやつららしいいちゃつき方をしたベンとジェニファーのバカップルっぷりやブルズアイのいかれっぷりもユーモアや魅力があった。
ブルズアイとの死闘も結構見応えがあった。
戦いだけでなく、愛、友情、父親との関係など描くべきものはちゃんと描いていた。
正義とは何か?自分がやっていることは果たして正義なのか悩み苦しみながらも、復讐をしても悲しみは消えないとジェニファーに語ったセリフは自分が自分に出した答えだったんだろう。
だから最期のトドメは差さなかった。
街を救ってたつもりが、恐れも希望も無い自分が全く救われてなかった、でもジェニファーによって救われたと結んだラストはヒーローモノとしてはカッコイイ終わり方だろう。
これによって自分を信じ、正義を信じることが出来たんだから。
続編とかは見たいけど、スピンオフは見たくない、ジェニファーはどう考えてもブサイクだろう。[映画館(字幕)] 8点(2004-06-28 00:11:24)《改行有》
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