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プロフィール |
コメント数 |
1307 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。 【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。 【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。 5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。 また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。 |
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1. シークレット・マツシタ/怨霊屋敷
《ネタバレ》 「戦慄の日系ペルー・ホラー」などと書かれると見ないわけにはいかなくなる。「おぞましき日本の呪い」(笑)にもそそられる。配給は一部で有名なオカルトメディアTOCANAとのことで、松下さんは鑑賞無料にしたという適当なノリも悪くない。内容としてはペルーの著名な心霊スポットを扱っていて、ホラー映画というより怪談話や都市伝説の愛好者に受けそうな映画になっている。
所在地は、首都リマの歴史地区から少し外れているが都心部の目立つ場所にあり、Googleマップでみると「Casa Matusita/お化け屋敷/24時間営業」と表示されてクチコミが書き込まれている。当時の外観は映像に出ていた通りとして、内部の撮影はどこでしたのかわからないが、2階の窓から旧アメリカ大使館を映した場面は、実際に現地からならこう見えるだろうという映像になっていた。
外部情報によれば、この場所にあった日系人の会社は1950年代から2005年まで1階を借りていただけらしく、2016年には老朽化のため2階を取り壊した上で全体の改修工事をしたとのことである。現地報道によれば、本当の所有者としてはこの映画などの公開のせいで、根拠のない噂話がますます勢いづくことに嫌気がさしていたようだった。
ちなみに序盤で出ていた精神病院は都心部から南西5kmくらいの海際にある国立病院で、松下邸とは直接関係ない。ここに関わる有名な都市伝説というのはラルコ・エレーラの幽霊の女性(La mujer fantasma del Larco Herrera)というものと思われる。
物語に関して、予告編では「これは実話です。」とされているが、劇中の具体的な出来事に関してはウソに決まっている。ただし導入部のインタビューでは実際の都市伝説を結構まともに解説していて、細部はともかくこういう都市伝説が存在することは事実である。ここに出ていた人々のうち、Percy Taira(ジャーナリスト・ライター・詩人、YouTubeチャンネルあり)とFernando Vivas(ジャーナリスト・政治アナリスト)は実在のペルー人だというのが現実感を出している。
劇中人物が撮っていたのは卒業制作とのことだが、性質としては日本にもあった心霊番組の特集で、霊能者とともに現地取材して適当に騒いで帰るようなものを想定したと思われる。ホラーとして見れば取ってつけたような和風要素はあるにしても、基本は洋モノ風の物理的なドタバタが多く独創性もあまり感じない。しかし全体的な企画としての面白味は感じられたので、結果的にそれほど悪くは思わなかった。正直嫌いでない。
[参考]エンディングの曲が気になったので本気になって調べると、和楽器の音楽ユニット「びかむ(ビカム)」が2004年に出した「今は昔、~竹取物語~」というアルバムの曲であり、「果てしなき我が問いは…」は「月白み」、「屋根に千人、築地に千人…」は「その日、月輝き」から採っている。かぐや姫と帝の恋を中心に描いた作品とのことで、こんな迷惑系突撃ホラーにはもったいないまともな音楽なので紹介しておく。[インターネット(字幕)] 5点(2023-06-24 11:22:59)《改行有》
2. 悲しみのミルク
《ネタバレ》 原題の「La teta asustada」は直訳すると「脅える乳房(乳首)」になるらしい。しかしあからさまにオッパイでもなく授乳のことだろうから、英題でmilkとしたのはわかる。スペイン語の解説を見ると、この言葉は劇中で語られる病気の名前そのもののようで、確かに台詞でも病気に関してこの言葉を使っていたようだった。日本向けの翻訳では、同じ言葉について題名と病気で違う表現をしていたことになる。
劇中年代については明示されないが、「テロの時代」に生まれた主演女優(女性俳優)が実年齢そのままの役を演じているということは、制作当時のペルーの現在を扱っていたことになる。この映画より前の2003年には、政府の調査機関が「テロの時代」の暴力や虐殺に関する報告書を出したとのことで、その内容をもとにしてこの問題に目を向けようとした映画だったのかも知れない。
自分としては主人公個人の問題に直接共感はできないが、少し離れた視点からみれば娘が母親の束縛から逃れ、新しい世界へ踏み出していく物語になっている。主人公の周辺では、貧しそうだが普通の幸せのある(=笑いがある、慶事もある)庶民が暮らしていて、「テロの時代」は一応過去のものになったように見える。しかしほんの少し前の社会に深く刻まれた傷はまだ残っていて、その傷が徐々に癒えていく過程の一場面だったのかも知れない。ほかに人種と階層差など社会に対立の根はまだあるかも知れないが、そこまで視野を広げようとしても何ともいえない。
なお最後に主人公が海へ行ったのは、棺桶屋で見た「平和を望む人用」が気に入っていたのだと思われる。重荷を下ろした解放感が出ていた。
その他雑記として、撮影場所は基本的に首都リマだろうが、最初の方で草木のない丘陵に家々が散らばる風景が見えたのは強烈な印象だった。こういう場所はリマ周縁部では珍しくないようだが、わざわざ高い場所に登って家を建てようとするのはインカ帝国時代の名残なのか。
また主人公がもといた村で塀沿いに歩いていたというのは銃撃を避けるためかと思ったが、そこで字幕に出ていた「浮遊霊」とは何のことだったのか。例えばアンデス地方で伝説的に語られてきた怪人で、人間の脂肪を抜いて死なせる「ピシュタコ」というのがいて、監督の伯父(ノーベル賞作家)の小説にも出るらしいので、そのことを言っていたのであれば兄がやせ細って死んだという話には合う。しかし原語の台詞の中からそれらしい言葉は聞き取れず(pishtaco、nakaqなど)、結局わからないまま終わった。外国映画は難しい。[DVD(字幕)] 5点(2023-06-24 11:22:57)《改行有》
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