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1. 望郷(1937)
《ネタバレ》 今回が初見であり、特に思い入れがある作品ではない。
ジャン・ギャバンという俳優についてもよく知らずに鑑賞。
ストーリー自体は大したことがないが、古臭い作り、設定、雰囲気が逆に新鮮に感じられた。
それぞれの愛憎や嫉妬が渦巻き、それらによって悲劇を引き起こすという流れもそれほど悪くはない。
現在のアルジェリアの首都アルジェのカスバでは王様かもしれないが、カスバから街へ出ることができないという、力を持った無力の男という物悲しさも伝わってくる。
街へも自由に行けないのだから、フランスへ戻るということは夢のまた夢なのだろう。
彼の苛立ちから、うっくつした重々しい想いが感じられる。
ストーリーの鍵となる女性との関係や、邦題のタイトルである望郷への想いがじっくりと描かれていない点が本作の難しさだろうか。
じっくり描けば良い場合もあるが、逆に描かないことによって観客に何かを感じさせるという場合もある。
本作がそういう効果を狙っているのかどうかはよく分からないが、描かなくても様々な想いというものは本作から伝わってくるようになっている。
故郷やパリを想起させてくれる女性である「ギャビー」の名前を叫ぶセリフ一つだけで愛する女性に対する想い、故郷に対する想いが痛いほど心に刻まれるのではないか。
おばさんの歌からも同様のものを感じられる。
夢に描いた想いは叶わずに消えていく、“現実”ともいえる哀しさがどこか切ない。[DVD(字幕)] 7点(2010-05-30 00:48:28)《改行有》
2. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 「ショーン・オブ・ザ・デッド」が全く合わなかったので、これも絶対に合わないだろうと半信半疑で鑑賞したにも関わらず、十分すぎるほど楽しむことができた。
上空に向かって銃を撃つところは最高だ。
声を出して笑った。
イギリス人のユーモアはマジメすぎるのが欠点と思っていたが、このマジメさがいい効果を発揮したように思われる。
きちんと伏線を打って、ほとんど回収した律儀さは立派。
白鳥、金色のオジさん、ファシストなどの使い方が非常に上手い。
見ている最中は、ひょっとしたら終盤で作風を変えてくるかと思ったが、まさかここまでヤルとは想像以上だった。
ただ、狙ったのかも知れないが、序盤・中盤の演出などがやや単調か。
終盤の作風がガラッと変わるので、逆算して考えたら、序盤・中盤にはまだまだ工夫の余地はありそうだ。
また、中盤までの住民や他の警官と主人公との温度差の演出がやや物足りないか。
温度差の違いをもっと笑いにできたはずだ。
明らかに殺人事件が起きているのに、誰も気付かないという展開を押し出してもよかったか。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」はそれほど好きではないが、「ショーン・オブ・ザ・デッド」を見ていると、二人のコンビにさらに味わいを感じて、本作を倍以上楽しむことができるだろう。
ラストの墓場のシーンも「ショーン・オブ・ザ・デッド」を見ていると、感じ方が違うはずだ。[映画館(字幕)] 8点(2008-09-02 20:23:34)《改行有》
3. 僕のニューヨークライフ
自分の点数は若干低めだけど、アレン好きの人には結構楽しめる作品だと思う。自分も会話自体は充分に楽しめたと感じた。
ストーリーは基本的にないと言っても過言ではなく、主人公ジェイソンビッグスを中心に、彼と恋人、先輩、マネージャー、精神科医との会話を楽しむ映画だった気がする。
しかし、会話が楽しい映画に留まってしまい、深みがある映画でも、魂がえぐられるような映画でもない。
テーマが「人生はそんなもん」なら、もうちょっと主人公ジェイソンビッグスの苦悩なり、人生に対する苛立ちのようなものを感じさせて欲しかった。もっとも、ジェイソンビッグスは彼なりになかなかいい演技をしていたようには感じたが。
本当は彼には色々と苦悩はあったはずだ。
彼女には拒まれて上手くいっていない上に彼女の母親に家に居候されて仕事を邪魔される。
役に立たないマネージャーと手を切りたいけど恩義もあり、マネージャーの生活もあり、手を切れない。
コメディ作家のアレンと新たな仕事の申し出があるけど、全てを捨てて、カルフォルニアで新しい出発をすべきかどうかと、悩んでいたはずだ。
これらの悩みを抱えて、至った結論が「人生はそんなもん」と感じさせなくてはいけないのではないだろうか。
コメディ色を強めた結果、どうにも軽く、印象に残らない映画になってしまったような気がする。[映画館(字幕)] 6点(2006-01-22 22:54:00)《改行有》
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