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コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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21.  ピラニア 3D エリザベス・シューがいてクリストファー・ロイドがいて、これでマイケルJがいれば完璧なのだけどそうもいかないので、代わりにリチャード・ドレイファス。代わりが務まるのかどうかは知らんけど。 それにしても、ひたすら人間がピラニアに食われ続ける映画。豪快に、美味しそうに、ピラニアが人間を食べまくり、これだけ徹底的にやったらアッパレ。と思わんでもないけれど、人体損壊に拘りすぎて、ちょっと単調。ピラニアから逃れようと、水に浮いたステージみたいなヤツに人びとが殺到して傾いてしまい、また水中に転落する、ってのは大いに結構だけど、こういう場合は傾くだけじゃなくって、派手にひっくり返って欲しかった。 全体的に、「想定内のパニック」から脱しきれなかった、との印象も。[インターネット(字幕)] 5点(2021-03-23 23:30:47)(良:1票) 《改行有》

22.  霧の中の風景 《ネタバレ》 幻想性の中に、人間が生きていくツラさ・不安というものをそのまんま投影したような、タマラナイ気持ちにさせられる映画。空はどんよりと曇り、不安、また不安。 物語はシンプルで、ドイツにいるという、まだ見ぬ父(ホントは実在しないのだけど)を探し求めて家を出た姉弟の旅路が描かれます。2時間ちょっとの作品の中で、長回しも用いられ、ショットの数で言うと100弱くらいでしょうか。しかし、これ見よがしな長回しではなく、比較的自然に映画が進行し、決して取っつきにくい印象の作品ではありません。何より、子供たちを主人公にして、彼らの心細く危うい旅を描いていることが、見ている我々の気持ちを否応なく映画へと惹きつけます。 彼らの前には、「巨大なもの」が登場し、彼らを脅かします。工場の巨大な煙突。煙を上げる原子力発電所(なのかな?。ギリシャには原発無かったのでは??)。彼らの前に立ちふさがるように駆動する、巨大な掘削機。そういった「巨大なもの」の前に、彼らの姿は小さく、小さく描かれています。 海中から現れる、巨大な手の石膏像。それが何を意味するのかは作中では明かされていないけれど、巨大なその手の像は、ヘリで吊るされて運ばれていき、遠く小さくなっていくに従って、まるで救いを求める「手」のようにも見えてくる。 作中に印象的に配置された、人間の所作。それは、一つには「泣く」ということであり、もう一つは「抱き合う」ということ。その2つがクロスする、あの街灯にひっそりと照らされた夜道のシーンの、切ないこと。そして、感動的なこと。 生きるツラさ、と言えば、終盤の駅の場面に登場する兵士、彼の背景は全く描かれていないけれど、彼もまた生きづらさを抱えた人物であろうことが、感じられます。 あるいは、飲食店から追い出されるヴァイオリン弾きのオヤジ。それぞれが、いかにも不器用に、何とか生きている。ああ、生きるとは、こんなにツラいことなんだ。決して辿り着くことのない、霧の中の風景。 ラストの銃声は、彼らの死を想起させるけれど、映画は彼らをどことも知れぬ「霧の向こう」へといざない、そこに生えている一本の木と抱き合う小さな姿で、幕を閉じます。微かな慰め。それはあるいは、この苦しくツラい生との決別でしかないのか。[CS・衛星(字幕)] 10点(2021-02-27 15:45:29)《改行有》

23.  ザ・ガンマン タイトルを見て西部劇かと思いきや、さにあらず。はたまた、冒頭の大臣暗殺のくだりなどを見て、社会の暗部を描いた社会派っぽい作品かと思いきや、さにあらず。いたってエンターテインメント路線のアクション映画でした。とは言え、作品の背景にそういうテーマを潜ませたことで、ある種の苦味を感じさせる映画にはなってます。 冒頭で「狙う立場」だった主人公が、いきなり「狙われる立場」になって、上々の滑り出しではあるけれど中盤はやや息切れ気味。でも、バルセロナ等を舞台にしたロケーションの上手さとか、一軒家に襲いくる敵集団との攻防戦とか、タンクの水の反射光の中での対決とか、あるいは脇役たちの存在感とか、そういった魅力でもって、最後まで押し切ってしまう。実際、あのほとんど放送事故みたいな闘牛場の断末魔まで、しっかりと押きられてしまいました。 悪くないんじゃないですか、ねえ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-16 21:45:02)《改行有》

24.  スクランブル(2017) この主演俳優がクリント・イーストウッドの息子だなんて事は知らない方がいいですよもしイーストウッドの息子だなんて事を知ってたらどんな表情していてもああホントにイーストウッドそっくりだなあってな事が気になって気になって作品に集中できなくなっちゃうからだからシーストウッドの息子だなんて事は内緒にしておきましょう。私って、最低ですね。 冒頭の、走るトレーラーから高級車を強奪するシーン、飛び乗るぶら下がる飛びつく等々、体を張ったアクションがなかなかのカッチョよさで、映画の活きの良さを期待させます。 が、その後の展開はちょいと、もたついちゃう。次のターゲットのクルマは一体いつになったら盗み出すんだ、と、マフィアの親分ならずとも、思っちゃう。やたらと仲間が多い割に、彼らの存在感が薄いのも妙。かなり個性的な爆弾オタクですら、存在感が薄くって。中盤、もうちょっと彼らを物語に絡ませてあげたら、こんな薄味の作品にならなかった、かも。 クライマックスのカーチェイスにおけるCGの使い方にも一部、ちょっと残念なものはありますが、多少はクラッシュやら爆破やら、見せ場は作ってます。 そういや、この主演俳優、何だかヒュー・ジャックマンに似てますね・・・?[CS・衛星(吹替)] 5点(2021-02-07 20:42:50)《改行有》

25.  愛人/ラマン 《ネタバレ》 中国人青年を演じるレオン・カーフェイが、ジェーン・マーチと知り合ってからエッチするまでの場面で、初めてひとりでエロ本を買いに行く中学生みたいな演技をしていて、微笑ましいというか叱りつけたくなるというか、なかなか絶妙な演技を見せてくれるのですが、こういう描写は、原作小説にはほとんど見られない要素ですね・・・などと偉そうなコトを言えないのは、原作を読んだ記憶はあるのに内容をサッパリ覚えていないからで。久しぶりに本棚から取り出してパラパラめくり、まるで内容を憶えているかのごとくこうやってコメントを書くのも、我ながら、どうかと。スミマセンです。 映画の方は、途中からエッチシーンが連発され、昼日中にくんずほぐれつやってる一方で、表の通りには日常の喧騒があって。ってな描写が、退廃的で独特の雰囲気。ただ、それをいくら繰り返してもあまり変わり映えがせず、だんだん「こういうのは結局、映像では伝わらないよね」と投げやりになっていくような印象があって(ホントにアノーがそんな事を思っていたとは思わんけど)。 ラストの「ショパンのワルツに涙する」というのは、これまた陳腐な話だ、と思ってたら、これは原作にもあるエピソードでした(もちろん私はこれも覚えてなかったけど。スミマセン)。少なくとも、映画で見せるには、これは陳腐だと思うのですが、どうでしょうか。 三人称で語りつつも実際は一人称の物語である原作に対し(・・・スミマセン)、映像作品である本作には、幾分、客観的な視点があり、中国人青年の立場、というものも織り込まれているのだけど、何となく、「家畜人ヤプー」を白人の立場から描くとこんな感じになるのかな、とも思ったり。[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-12-31 08:48:27)《改行有》

26.  アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ かつてジャッキー・チェンがやってたみたいにどえらく体を張った危険なアクションやってるなー、と、そこはそかつてジャッキー・チェンがやってたみたいにどえらく体を張った危険なアクションやってるなー、と、そこはソコソコ感心するのだけど、どうも映画全体的に見せ方が上手くない。 ただでもガラの悪い連中ばかり出てくるのに、前半の描き方がやたらゴチャゴチャしていて、何だかひたすら乱雑な雰囲気しか感じない。それが後半、それなりに映画の焦点が合ってくるのだけど、そこで、前半散らかしたものがハマるべきところにピタリとハマったならば、「なるほどそういうことだったのか」と、一種の快感に繋がったりもするところ。本作にはどうもそのカタルシスが無くって。ゴチャゴチャしてた割に、結局、この程度のオハナシだったのか、と思っちゃう。 アクションも、演じてる側は体張って派手にやってみせてくれるけれど、撮る側がどうもイマイチで、工夫も乏しく、せっかくのアクションも見栄えがしなかったりして。 ま、派手なところは確かに、とことん派手にやってくれますが。 ただ、このテの格闘映画で、金的攻撃は禁止にして欲しいぞ。盛り上がりを期待したところでこの肩透かし、笑ってくれというつもりかも知れないけれど、これは『大福星』でサモハンが西脇美智子を倒すシーン以来のガッカリ感と言っても過言ではない。とまで言うのは過言かもしれないけれど。 それにしても、結局、この危機に対して立ち上がったガラの悪い集団が、どうやら色々な人種・民族の混合であるらしいのが、特定の観客層しかターゲットに出来ないアメリカ映画との、違い、と言えるのかも。[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-12-26 12:24:46)《改行有》

27.  アルゲリッチ 私こそ、音楽! かつて天才少女と呼ばれたアルゲリッチだけど、このドキュメンタリ作品の「撮り手」である彼女の娘にしてみれば、そんなのは自分の生まれるずっと前の話。若き日のアルゲリッチがプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番をガシガシ弾いてる映像が挿入される。一方では、すっかり貫禄満点にお成り遊ばした今のアルゲリッチがリハーサルでショパンのピアノ協奏曲第1番を弾いてて、これまでさんざん弾いてきて隅から隅まで知り尽くした曲だろうに、まだ何かを模索して「わからんわからん」を連発してる。 娘にとって、どちらが、アルゲリッチの姿、なのか。 おそらくはどちらもがアルゲリッチであって、しかしそれ以上に、「自分の母」としてのアルゲリッチの顔が、そこにある。実の娘でないとなかなか撮れないような、私的な表情の数々が、印象的。 なので、本作、音楽ドキュメンタリというよりも、家族の姿を映像として気まぐれに切り取ったような、個人的な感触の作品となってます。ただ、自分の母親が、特殊な立場の人間であった、というだけ。だから馴染み深い母でもあり、どこか不可思議な面を持つ母でもあり。 別府アルゲリッチ音楽祭に招聘され、新幹線の車内でチラシ寿司をパクつくのも母なら、和風の宿で思い出を語るのも母、そして演奏前にナーバスになっているのも、母の姿。 特殊と言えば、3人姉妹がみな、父親が違っていて。母娘4人が揃うと確かに皆、それなりに顔立ちは似てるけど、長女は明らかに東洋系の血を引いているし、次女はむしろシャルル・デュトワに気の毒なくらいソックリだし(笑)。三女が一番、母親の若い頃に似てますかね。そしてこの3人娘の中心に、かのアルゲリッチが、居る。 奔放な母の姿の一方では、いかにも生真面目な父・コヴァセヴィッチの姿もそこにあって。この組み合わせがこれまた、不思議なんですな。 音楽を聴く我々からすればどこか、演奏家ってのは演奏するために生きてるんだ、みたいな無意識の思い込みがあるんだけど、でもこうやって、通常人とはいささか異なれど、彼らには彼らの生活があり人生があり、家族がいる、というアタリマエの事を見せられると、なーんか、しみじみとしてしまいます。 ところでアルゲリッチと言えば、私にとっては、学生の頃に買ったバッハのCD(トッカータ ハ短調、パルティータ第2番、イギリス組曲第2番)が、今もって愛聴盤でして、彼女らしい録音ともバッハらしい録音とも言えるのかどうか、と思いつつ、やっぱりこの演奏の魅力には逆らえず、名演奏だと思っております。とか言ってると、本作の最後にもバッハが流れるのですが、演奏は彼女ではなくコヴァセヴィッチなのでした。ははは。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-12 20:21:52)《改行有》

28.  ザ・スクワッド 冒頭、あまりカタギのようにも思えない連中がクルマに乗ってどこやらに向かってる。と、実は彼らは刑事で、まさに手入れに向かっているところだった、というオープニング。 で、劇画調のタイトルがあって、続くシーンではこの刑事どもがあまり中身の無さそうな会話をポンポンとかわし合っている。 何だか、タランティーノみたいな事をやりたいんだろうか、なんて思っていると雰囲気が一変して、刑事のリーダー格らしき初老のオヤジ(ジャン・レノ)の不倫めいたロマンスとなる(「めいた」は余計ですかね)。 映画の中に色々な要素を詰め込むのは結構だと思うんですが、なにせその一つ一つが、どうも踏み込みが足りず、しかもどこか既存の作品のパクリっぽい感じがして。 やがて街中での銃撃戦となって、それなりに気合が入ってはいるけれど、既視感は拭えず、さらに敵の連中がいかにもアリガチなマスクを被っているもんだから、既視感に追い打ちをかけます。「とりあえず見よう見真似で色んな要素を少しずつ齧ってみました」的な、主張の弱さ。 何となく感じるのは、感傷的なジジイのロマンスと激しいアクションとを同居させてみました、ってコトなんでしょうけれど、その点での意外性の前に、そもそも関心が大して湧いてこない、というのが正直なところではあります。[CS・衛星(吹替)] 5点(2020-10-28 21:23:58)《改行有》

29.  さいはての用心棒 映像が安っぽいとか何とかいう以前に、カットが切り替わるたびに映像の色温度が激変したりして、見てて途轍もなくイヤな予感がしてくるのですが、まあ、その割には、面白い。いや、それでもなお、面白いんです。 南北戦争を背景に、陰謀劇みたいなのが描かれていて、例によってジュリアーノ・ジェンマ演じる主人公が大活躍するワケですが、彼のアクションスターとしての身のこなしはやはり、さすが、と言えるものがあります。持ち前の運動神経で、中盤の乱闘シーンでは宙返りなんぞも披露して、ここまでくると完全に浮世離れしておりますが、ジェンマだからこそ許されるのです。 マカロニウェスタン恒例(?)の見せ場のひとつに、主人公が敵につかまってリンチにされる、ってのがありますが、本作ではなんと、炎天下に放置されてメダマを目玉焼きにされてしまう、という奇抜な拷問が登場。顔に変な網をかけられての放置プレイ、ジェンマの端正な顔立ちが、顔にかけられた網のせいで「オマエ一体誰なんだ?」と言いたくなるブサイク顔になっていて、これは必見と言えましょう。 クライマックス、彼は果たして北軍と南軍の激突を阻止できるのか、そして陰謀の行方は。ジェンマの協力者となるジイサンの存在も忘れ難く、なかなかの盛り上がりを見せます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-29 09:31:29)《改行有》

30.  夜の訪問者 チャールズ・ブロンソンの役どころは、妻と娘との3人で仲睦まじく暮らす平凡なバカボンパパ。じゃなかった、平凡なパパ(似てるもんでつい・・・)。なのだ。 と思いきや、彼には隠された過去があって、不審な電話により、それが明らかになる。ってか、身に覚えがないような事をいいながら、実際には思いっきり身に覚えがあるであろうその電話の内容を、正直にそのまんま妻に伝える、ってどういうことよ? ホントに過去を隠す気があるのか? でもこうやってムダに正直なお陰で、テンポよくオハナシが進んでいきます。 ただ、テンポがいいのはいいけれど、エピソード同士がマトモにつながっていないというか何というか、展開がメチャクチャ。さっきのエピソードがまるで無かったかのように次のエピソードが始まり、敵の一味がブロンソンに何でこんなことをさせるのか(させたいのか)もよくわからないし、妻と娘を人質にとられたブロンソンもまた、トチ狂ったとした思えない行動に走るし、ふと気づいたら敵の一味の人間関係も妙なコトになっちゃってるし。 どうして一本の映画の中で物語がこうもあっちゃこっちゃ行ってしまうのか、ワケがわからないんですけれども、本作の素晴らしさは、そのバラバラのエピソードひとつひとつを、やたら一生懸命に描いていることで。アクション、サスペンス、すべてに全力投球(ただし暴投あり)。例えば、なんでこんなカーチェイスやってるんだか、これもワケわからんのですが(ストーリー上は、無くても一向にかまわない気がするのですが)、しかしそのカーチェイスが、やたら気合が入っててやたらとしつこくって。 ツジツマ合ってるけど面白くないよりは、面白くするためにデタラメやった方が、そりゃ当然、面白い訳です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-16 15:51:56)(笑:1票) 《改行有》

31.  さらばバルデス 《ネタバレ》 イタリア製だからと言ってマカロニウェスタンではなく、ジョン・スタージェスだからと言って王道ウェスタンではなく、ディノ・デ・ラウレンティスだからと言って超大作ではなく、チャールズ・ブロンソンだからと言って・・・いや、ブロンソンらしいシブい映画でした。 普通なら(シェーンなら)「風来坊の主人公が少年のもとにやって来て、ラストで再び旅立っていく」というパターンになるところでしょうけれど、本作では逆に、少年の方がどこからともなくやってくる。ブロンソンは荒野の一軒家にひとり、生活しており、いかにも気難しそうだけど、言う事はなかなか親切(ちょっと少年を甘やかし過ぎかも?)。町の人とはあまり馴染めない一方で、先住民とは交流を持ったりしてて。 「誰のものでもない」と思っていた荒野は、気が付いたら「誰かのもの」になっていて、自由だと思っていた世界は、気が付いたら自由ではなくなっている。一匹狼のような主人公は、居場所を失わざるを得ない訳で。 中盤、主人公がリンチにあうのは、いわば復讐へのお膳立てであり、しかもクライマックスでは銃を持った男たちと一戦交えることになるのですが、本作は完全決着をつけさせることなく、主人公に復讐を果たさせることなく、ただ静かに彼を立ち去らせます。「どこからともなくやってきた主人公」ではなく、「もともとここに住んでいた主人公」が、立ち去らざるを得ない、という不条理。 さらば、西部劇。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-02 13:42:20)(良:1票) 《改行有》

32.  ジャンヌ・ダルク(1999) 《ネタバレ》 最初の方は結構、イイなあ、と思ったりするんですけどね。少女時代の主人公が、イギリス軍の焼き討ちを目撃する場面。この少女、もともと、信心深いというよりは神がかり的な、少なくとも相当レベルに浮世離れしたところがあって、見てる我々もそういうもんだと思って見ていると、突然走ってくる狼の群れが不穏な空気を漂わせ、そして唐突に目前に現れる、放火と虐殺。一体何がおきたのか、何が現実で何が非現実なのか、という衝撃。 導入部としてはもう、「ツカミはOK」なんですけれども。 ただ、成長した主人公が戦乱に身を投じる主部に入ってくると、合戦シーンにイマイチ乗れなくって。それなりにエキストラを動員してそれなりの物量を投じていることはわかるんですけど、こうも接近した撮影が続くと、やっぱり規模感が希薄になっちゃう。もしかして大半のシーンは少人数・小面積で、チマチマ撮ってるんじゃないの~とか思えてきて。やっぱりもっと、引きの映像での規模感とか、距離感を伴った動きとか、取り入れて欲しいなあ。 主人公をいちいち迷わせることなく「信念の人」として描いているのも悪くないと思うのですが、それが終盤に揺らぎはじめる。これはこれで確かにひとつのアプローチ、ではあるんでしょうけれど、物語としての魅力には、やや欠けている気がして。「神が英国人を殺すことをそそのかすなんて、やっぱりヘンだよね」と、英国マーケットを気にして日和ったのかどうか、それは知りませんけれど、いずれにせよ、映画自体が急に主人公と距離を取り始めたようなよそよそしさを感じさせて、違和感、あるんですよね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-04 13:26:39)《改行有》

33.  巴里の屋根の下 パリのアパルトマンが、登場人物の背景に遠く映し出されたり、上下に(どうやって撮影したのか)移動しながら映し出されたり。特にラストのカメラを引きながらの街並みの様子が、印象的です。 半分はトーキー、半分はサイレント風(セリフ無しで音楽のみ)、という構成がちょっとコミカルですが、サイレント風の部分は字幕も無しの文字通り手振り身振り。一方ではサイレントの対極を行くように、暗闇でセリフを投げつけあう場面なんかもあったりして、さまざまな趣向が凝らされています。 カメラは、表情を捉えたかと思えば、手元を捉え、足元を捉え、セリフ無しの部分はそれが制約になることなく、むしろ表現の自由度が増しているようですらあり、さらにそこに音楽の魅力も加わって。レコードの針が飛んで同じフレーズが繰り返されるところなど、ちょっとミニマルミュージックのはしりみたいでもあります。[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-03-22 16:05:54)《改行有》

34.  終電車 《ネタバレ》 ドイツ占領下のパリで、とある劇場の人間模様。さぞかしナチスの弾圧で苦しんでいるのかと思いきや、さにあらず、意外に皆さん伸び伸びとしてます。冒頭、ドイツ兵に撫でられた子供の頭を「汚らわしい」とばかり、せっせと洗う母親が出てきたみたいに、なかなかの逞しさ。だからこんなご時世でも、劇場なんてものをやっていられる訳ですが。時々、停電が発生したりして、そういう時だけ、戦時下であることを思い起こさせます。 で、劇場には看板女優のドヌーヴがいて、そこにややテキトーなところのある俳優、ドパルデューがやってきて。何だかんだとウダウダやってるので、こんなんじゃきっと、この映画が終わるまでに上演に辿り着かないんじゃなかろうか、と思えてきたり。 一方で劇場の地下には、看板女優の夫である演出家が、周囲には亡命したと思わせておきながら実はひっそり、潜んでいる。壁の穴から階上の劇場の様子が聞こえてくるもんで、そこが彼の指定席。 で、意外にもちゃんと上演にはたどり着くのですが、準安定状態だった占領下から、終盤に突然戦局が動いて(その唐突さがややコミカルですらあります)、そのせいで何だかむしろ、不安定になってしまうようなところもあって。駆け足でハッピーエンド(なのか?)に向かって行きます。 怪人の登場しない、「オペラ座の怪人」。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-20 02:32:38)《改行有》

35.  ヴァレリアン 千の惑星の救世主 要するにコレって、「オモシロい」んだろか。 ってなコトを思う気持ちも映画早々に消え失せてしまい、もう明らかに、オハナシそのもので面白がらせようなどという気持ちは作り手の方にはサラサラ無くって。そりゃま、最後まで観ればそれなりに「ほ~」と思わせる要素も無い訳では無いですが(無いに等しいけど)、どっちかというとオハナシなんてそっちのけ、せっかくCG使いまくるんだから何でもデキちゃうんだよね、とばかり、脈略がないと言ってよい程に様々な事象が画面に現れ続け、様々な光や色彩が画面に溢れ、それを(楽しめる人は)楽しむ、というタイプの作品でしょう。そこは『フィフス・エレメント』よりも徹底しています。 なので、理屈抜きに発生する様々な変容(エイリアンのダンサーのコスチュームが変わるとか、風貌が変わるとか、しまいにゃ砂みたいになっちゃうとか)が、どれだけ我々の意表をつけるか、が腕の見せ所なのでしょうが、正直、『アバター』等々の後では既視感の枠から抜け出せておらず、ついでに宇宙船のフォルムがファルコン号のパクリにすら見えてきてしまって(笑)、いやはや、なかなかムツカシイですなあ。 軽いノリの主人公が繰り広げる陳腐な冒険譚を通じ、我々の前にぶちまけられる既視感混じりの映像の数々。これもまあ一種、広義のポップアート、といったところでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-03-01 07:15:57)《改行有》

36.  トランスポーター イグニション 映画開始から程なくド派手なカーチェイスが展開され、活きのいいところを見せてくれる、かと思いきや、クルマがクラッシュするたびにいちいち、映像がスローモーションになるのが、どうもいただけません。いや最初のうちは、これもクラッシュシーンの見せ方のひとつだろう、と思って見ているのだけど、こうも判を押したように機械的にスローモーションにされると、スピード感を損なうばかりで、一体この演出に何の効果があるのやら、と。 そう思って見ていると案の定、中盤にいたってストーリー展開もスピード感を失い、停滞してくる。主人公のオヤジのキャラ設定にも問題があるとは思うけれど、それ以上に演出自体がもたついているような。 こういったことはすべて、製作側の狙い通りなのかも知れないけれど、だとしたらそれは、私の好みとはちょいとズレてるんだよなあ。 元のシリーズにおける主人公のハゲオヤジ同様、本作の主人公も「動ける男」なので、肉弾戦の部分は小技も効いてて魅力的、なんですけどね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-02-29 01:46:47)《改行有》

37.  舞踏会の手帖 《ネタバレ》 夫を亡くしたマダムがふと見つけた手帖。そこにはかつての若き日の思い出、舞踏会で知り合った男性たちの名前が書かれている。 という訳で、マダムは思い出を探りに、これらの男性のもとを訪れる、というオムニバスっぽい構成。この過去に思いを馳せる冒頭部分は、合成映像があったり、壁に舞踏会で踊る人々の影が映し出されたり、ちょいと幻想的な演出があります。 でもまあ、自分のこういう「恋愛時代」をホジクリ返したって、大抵、ロクなことはないんですよね。だもんで、主人公が誰の元を訪れようと、ロクな話が聴ける訳もなく。一件目の訪問先からすでにして家庭崩壊状態、幸先悪いことこの上もない。二件目、三件目と訪問を重ねるにつれ、気のせいか、相手先がだんだんエキセントリックになってきて(それにつれて主人公のマダムの存在感も薄れてきて)、最後に訪れたアヤシイ医者の家に至っては、撮影するカメラまで傾いている(笑)。どうして手帖の人物はみんなこうもヘンになってしまったのやら。 と思ってたら、医者が最後ではなくって、この後もう一軒寄った先の男性は、平凡な散髪屋のオヤジになっておりました。平凡が一番よね、でも何となく寂しい。だから言わんこっちゃないのよ、そういう過去をホジクリ返しても、幻滅以外に何がある? と思ってたら、この平凡オヤジも最後ではなくって、これがホントのラスト一軒、というオマケ付き。あきらめが悪いというか何というか。映画的にはこれでオチがつくのですが、主人公は救われたのやら、もはや救いがたいのやら。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-02-08 03:47:56)(良:1票) 《改行有》

38.  ミネソタ無頼 どういう作品かというと、(1)主人公は勿論、凄腕ガンマンである(らしい)。(2)主人公は刑務所に入っているが勿論、無実である。(3)勿論、脱獄する。(4)主人公が向かった先には勿論、悪党どもに苦しめられている町がある。さらに嬉しいコトには、悪党どもに立ち向かう保安官もまた、悪徳保安官なんだってさ。(5)これは「勿論」とは言い難いのだけど、主人公は目を病んでいて、失明しちゃうかも。(6)さらに「勿論」とは程遠いのが、この主人公、実に実にパッとしないフツーのオッサンなんです。いや、馬に乗ってる姿は結構、サマになってるんですけどね。でもとにかく、風貌があまりにも凡人然としていて、とてもマカロニの主役とは思えません。 別に男前でなくっていいんですよ、リー・ヴァン・クリーフみたいな顔のヒトもいますから。でも、凡人顔ってのは、イケマセン。 ま、それはともかく、悪党と保安官の対立はついに佳境を迎え、その勝者がクライマックスで主人公と対決する、という寸法。ヒーローがトーナメントのシードなんですね。実に横着です。しかし主人公は目を病んでいる訳ですから、勿論、肝心なところで目が見えなくなってしまいます。目が見えなければ暗がりで戦え、ってのがセオリー。『暗くなるまで待って』の先駆けみたいですな。さらには、この対決の場では「音」が重要な役割を果たしていて、なかなか心憎い。 いや、本来なら「なかなか心憎いシーン」のハズなんですけど、やっぱりここで主人公のダサさが足を引っ張ってしまい、せっかくのシーン自体もダサくなってしまってるのが、つくづく残念です。いや、演出の方の問題のような気もするけど。[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-02-03 20:23:32)《改行有》

39.  ユリシーズ(1954) オデュッセウス(ユリシーズ)の英雄譚を映画化した、イタリア製ファンタジー超大作(?)。製作者として、ディノ・デ・ラウレンティスとカルロ・ポンティが名を連ねてます。と聞けば、何となくスゴそう。 だけどどこかチープに見えてしまうのは、どうしてなんでしょうねえ。 エピソードのつまみ食いみたいな展開で、ふと気がついたら次のエピソードに移っており、え、もう別の話題なの、とか思っているうちに大団円。そんなに長い作品でもないしね。 一つ目巨人が登場するのですが、こういうのをストップモーションアニメではなく、特殊メークしたおっちゃんが演じていて(ちゃんと一つ目が少し動いたりしてる?)、なんだかおっちゃん臭いのです。その分、何となく愛嬌がありますが。 いかにも何も考えていなさそうなカーク・ダグラスの暑苦しい顔も、こういう世界観にマッチしているように思われます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-01-26 11:05:13)《改行有》

40.  殺しが静かにやって来る 《ネタバレ》 マカロニとかスパゲッティとかいう西部劇のタイプとはだいぶ印象が異なって、雪に囲まれた町と山岳地帯が舞台。音楽もノリのよいマカロニ調ではなくって静かなものが多く(酒場ではショパンが流れてます・・・?)、抒情的です。むしろ、もはやオカルト映画のテイストに近いかも。ときに、大胆な、というか、乱暴な、というか、単に「雑な」というか、そういうカメラワークが、どこかオドロオドロしい雰囲気にも繋がってますし、やってることも結構エゲツない。実際、保安官が馬車の窓から外を見たらそこに逆さ吊りの死体の顔、なんていうシーンは、犬神家もビックリです。 オハナシの方は、途中までは正直、よくワカラン。っていうか、一体誰が主人公なんだよ、と。誰がと言えばそりゃ、トランティニャンなのでしょうけれど、そもそもの印象が強くない上に、役どころはサイレントサムライならぬ、サイレントガンマン。セリフが無く、出番も多くなく、さらに印象が薄くなっちゃう。敵役の方がむしろ、クラキンみたいな強烈な人相で(←本人です)存在感を示しまくってます。しかし、どんなに女優の顔が怖くっても物語の中心にいればそれはヒロインなのであり、ヒロインとラブシーンを繰り広げてそこにとってつけたように情熱的なBGMが被されば、残念ながらこのトランティニャンが主人公なんだろうと認めざるを得ないわけです。 とか何とか、ボロクソ書いてますけれど、物語の進行とともにちゃんと焦点が結ばれていくのは、さすが(カメラの方は、ときどき焦点がボケてますが・・・)。人質をとった敵が待ち受ける死地へ、ひとり赴く主人公。この場面、ヒロインが敵の伝言を主人公にまるまる伝えた上で「これは罠よ、行かないで」などというくらいなら、そもそも伝言を伝えるなよ、と言いたくなるのですが、まあこれは、こんなヒロインと結ばれてしまった主人公が不幸だった、ということで。 まさかまさかのラストです。いや、まさか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-12 09:49:07)《改行有》

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