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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  シリアスマン 面白いけれども、何が面白いのかよく分からない映画。 捉えどころが難しい映画であるが、不思議な魅力のある映画といえるかもしれない。 理不尽な出来事の全てがシリアスなものではあるが、癖のあるユニークなキャラクター、シニカルな内容のためかシリアスになれないようになっている。 映画自体は実は相当に深いのかもしれないが、「シリアスマン」はシリアスに見る映画ではないだろう。[映画館(字幕)] 7点(2011-04-02 21:42:33)《改行有》

22.  白いリボン 《ネタバレ》 ミヒャエル・ハネケ作品は鑑賞した事があるが、自分には向かない監督だと思った。したがって、今までは避けていたが、カンヌのパルムドール受賞作ということもあり、再チャレンジしてみた。合わないところはあるが、確かにこれは凡人が作れるレベルの映画ではないと思う。モノクロ画面の構図など芸術的な作品でもあり、テーマも深遠だ。面白い作品ではないが、つまらなさは感じられない。意味が不明瞭な作品ではあるが、飽きさせることもない。 結末もオチも明らかにはしていないことも凡人とは異なるところだ。もちろん意図があって明らかにしていないのであり、もし明らかにしていれば、逆に失敗だったのではないか。明らかにしないことによって、観客に多くのことを考えさせることとなっている。そもそも犯人が誰かといったことなど、本作にはあまり意味はないことだろう。 個人的な解釈では、第一次世界大戦がキーワードなのかなという気がした。抑圧されていたセルビア人の一人がオーストリアの皇太子を暗殺したことによって、世界全体が狂った戦争へと驀進していく。そのような狂気の伝播、抑圧されたはけ口をあの村の出来事を通して描いたように個人的に感じられた。 ①村人の妻の転落死→キャベツ畑の荒らし→村での孤立→村人の主人が自殺する。 ②牧師が自分の娘が教室で騒いでいると決め付けて娘を叱り付ける→その報復として自分が飼っている鳥を殺される。 ③自分の子どもを疑う→抑制する→ジギや赤ん坊への暴力へと繋がる。 ④男爵が村民を押さえつける→村民が子どもを押さえつける→子どもがジギに報復する→男爵夫妻の関係が破たんする。 カーリへの暴力、夢の話、医師の家族の行方など、解釈が難しいものもあるが、医師の罵倒を聞く限りでは、だいたいの結末についての察しもつく。基本的には、ボタンの掛け違いのよる苛立ちが、次第に強大に膨れ上がり、悲劇的な末路へと導かれている。 過去のドイツの話ではあるが、現在にも通じるような負の連鎖が常人では描けない手法で描かれており、興味深いものに仕上がっている。 パルムドールに値するかどうかは専門家の判断に委ねるしかないが、受け手側の自分のレベルが低いためか、正直言って面白いと思えるほどのものではなかった。 鑑賞中は全体像が把握できなかったので、ひょっとすると再見すれば、評価はかなり高いものとなるかもしれないが、初見ではやや難しい。[映画館(字幕)] 7点(2011-01-24 21:33:10)《改行有》

23.  望郷(1937) 《ネタバレ》 今回が初見であり、特に思い入れがある作品ではない。 ジャン・ギャバンという俳優についてもよく知らずに鑑賞。 ストーリー自体は大したことがないが、古臭い作り、設定、雰囲気が逆に新鮮に感じられた。 それぞれの愛憎や嫉妬が渦巻き、それらによって悲劇を引き起こすという流れもそれほど悪くはない。 現在のアルジェリアの首都アルジェのカスバでは王様かもしれないが、カスバから街へ出ることができないという、力を持った無力の男という物悲しさも伝わってくる。 街へも自由に行けないのだから、フランスへ戻るということは夢のまた夢なのだろう。 彼の苛立ちから、うっくつした重々しい想いが感じられる。 ストーリーの鍵となる女性との関係や、邦題のタイトルである望郷への想いがじっくりと描かれていない点が本作の難しさだろうか。 じっくり描けば良い場合もあるが、逆に描かないことによって観客に何かを感じさせるという場合もある。 本作がそういう効果を狙っているのかどうかはよく分からないが、描かなくても様々な想いというものは本作から伝わってくるようになっている。 故郷やパリを想起させてくれる女性である「ギャビー」の名前を叫ぶセリフ一つだけで愛する女性に対する想い、故郷に対する想いが痛いほど心に刻まれるのではないか。 おばさんの歌からも同様のものを感じられる。 夢に描いた想いは叶わずに消えていく、“現実”ともいえる哀しさがどこか切ない。[DVD(字幕)] 7点(2010-05-30 00:48:28)《改行有》

24.  96時間 《ネタバレ》 アクション映画としては、満足できる仕上がりとなっている。比較的リアリティを感じさせるアクション・設定となっている点が好感をもてる。悪い意味での“突っ込みどころ”が少なく、鑑賞中には嫌悪感や疑問符などは感じさせなかった(「頼むから、クルマごとクルーザーまでダイブしないでくれ」と祈っていたら、きちんとクルマから降りて、橋から飛び降りてくれて一安心した)。 また、純粋なハリウッド作品ではなく、フランス製ということもあり、いい意味で洗練されていない“粗さのある切れ”が逆に引き付けられる。 リーアム・ニーソンの存在感によって、クールかつ重厚な作品にもなっている。 腕っぷしの強さだけではなくて、名刺一枚で乗り込んでいく度胸や知的さ、冷静な状況判断などは、あまり見られないタイプの主人公だ。 そういう意味においても、評価できる作品になっている。 さらに、前半に父親としての愛情及び、愛情を上手く注げない寂しさや苦悩を存分に描くことによって、それがストーリーにいいスパイスとなっており、効果的に機能している。 いい父親にはなれなかったからこその想いも感じられる。 フザケタ作品にはなっていないので、最後のオチだけがやや悔やまれるところ。 ハッピーエンドにすること自体は反対しない、むしろ無事に父と娘が再会できたときはちょっと感動することもできた。 しかし、能天気にアーティストに会いに行って、「俺は義父よりも凄いんだぜ!」という子どもじみたオチを見せられると、ちょっと疑問符も生じてくる。 犯罪組織とはいえ、あれほどの大量虐殺を行ったのだから、なんらかの代償を払ってもよかったのではないかという気もする。 犯罪組織やフランス警察にあれほどの喧嘩を売ったのだから、“もう日常生活には戻れない”“もう娘とは会うことが出来ない”といった“苦しさ”や“やりきれなさ”を最後まで維持して欲しいところでもある。 自業自得ともいえる主人公の娘と、無関係な者にまで暴走し続ける父親なのだから、もう少し自己中心的になり過ぎない程度に抑えないといけない。 “悪いヤツは全員ぶっ殺して、俺たちだけは幸せになりました”ではいつものリュック・ベッソン映画になってしまう。 観客に最後まで“スカっとした気分”になってもらうためには、仕方のないオチを製作陣は選択したのかもしれないので、不正解というわけではないが、正解ともいえないところ。[映画館(字幕)] 7点(2009-09-05 21:42:02)《改行有》

25.  イグジステンズ 《ネタバレ》 クローネンバーグ監督の「ビデオドローム」を見ている人ならば、この世界観をより理解できるだろう。 「ビデオドローム」の世界を別の角度から、分かりやすく描いたような仕上がりとなっており、クローネンバーグ監督の入門編ともいえる作品かもしれない。 本作を見てもダメならば、「ビデオドローム」は見ない方がいい。 クローネンバーグ監督作品を自分はあまり多くは見ていないが、この独特の世界観には上手くハマることはできた。 「ビデオドローム」同様に、現実の世界と虚構の世界との区別がつかなくなることに対するクローネンバーグ流の警鐘ともいえる作品となっている。 虚構の世界において、主人公がゲーム感覚の人殺しをヒロインに諌めておきながら、現実の世界において、主人公が躊躇なく人殺しをしてしまうところに、クローネンバーグ流の強烈な皮肉を感じる。 虚構の世界において、ゲーム感覚の人殺しの問題点に気づくということ自体もひとつの虚構ということなのだろう。 虚構の世界で感じた善の意識など、しょせんはまがい物であり偽善でしかない、現実の世界において何一つ影響を与えないということかもしれない。 ただ、一方で虚構の世界におけるゲーム感覚の人殺しは、現実の世界において影響を与えたり、問題となっている。 善の感覚は現実に影響しないが、悪の感覚は現実に影響するというのは、矛盾しているようで矛盾していないのかもしれない。 思った以上に、本作は哲学的にはなかなか深いのかもしれない。[DVD(字幕)] 7点(2008-07-04 23:13:05)《改行有》

26.   《ネタバレ》 鬼も逃げ出すという「羅生門」で“人間の愚かさ”を描いたように、本作もシェイクスピアの悲劇「リア王」をベースに神や仏も泣き出すという“人間の愚かさ”を描き切っている。 しかし、ここには「羅生門」のような“希望”はない。あるのは残酷なまでの“醜さ”だけだ。 舞台は架空の戦国時代であるが、現代にも通じる“乱”れた世界に対する“嘆き”が込められた作品であり、製作者の黒澤のメッセージや深い想いが感じられる作品だ。 また、「影武者」でも描かれていたが“破滅”に対する美意識も高い。 長く暗く陰惨な映画ゆえに一般的に好まれない映画ではあるが、個人的には、評価の高い「羅生門」よりも、評価がそれほど芳しくない本作の方を好む。 仏の絵が地面に置き去りにされて、悲しげにこちらを見つめており、盲目の青年が崖の上に取り残されているというラストのカットも秀逸だ。 ここで終われば完璧だと思った瞬間に、きちんと幕を閉じたのはさすがだ。 「果たして仏は我々を見守っているのだろうか」「この“乱”れた世で生きるということは、盲目状態で崖の上を歩くようなものなのではないか」と黒澤は言いたかったのかもしれない。 素晴らしい作品であると感じるが、何点かは不満な点もある。 ①「三の城襲撃について」 襲撃に至るまでの展開がやや早すぎるように思われる。 次郎が秀虎を体よく追い返すまでは理解できたが、肝心の襲撃に至るまでをもう少し分かりやすく構築した方がよかった気がする。 あれでは、単なる「謀反」のようにしか感じられなかった。 ただ、演出は素晴らしい。 呆然とする秀虎の背後をびゅんびゅんと火矢が飛び交うような現実離れしたリアリティのない演出ではあるが、あそこまで思い切った演出をするのは難しいものだ。 ②「ピーター演じる狂阿彌について」 彼なりに健闘していたように思えるが、本作の裏の主役でもある大切な存在こそが「狂阿彌」である。本作の成否が彼に掛かっているといっても過言ではない。 この世の“表裏”を見聞した彼の言動こそが、本作のキーとなるはずだ。 道化である彼が一見狂っているようにみえるが、“乱”れた世で一番まともだったのが、彼だったというオチに持っていきたかったところだ。 少々感情を表に出しすぎているところがある。ストレートではない悲哀を感じさせるキャラクターに仕上げることができれば、より傑作に近づいた気がする。[DVD(字幕)] 7点(2008-01-05 17:15:21)(良:2票) 《改行有》

27.  ランド・オブ・ザ・デッド ゾンビ映画には深い思い入れはなく、この監督さんのオリジナルも観ていないけど、それでも本家はその辺の類似品とはレベルが全然違うなと感じられた。 映像からゾンビに対する深い思いと愛情が伝わる良作。[DVD(字幕)] 7点(2006-06-14 00:54:03)《改行有》

28.  ニキータ 《ネタバレ》 ニキータは強そうにみえても実は弱い一人の孤独な女なんだと思う。 家族もいない、友もいない、そんなニキータの心を支えていたのは、マルコの存在なんだろう。微笑み方も知らなかったニキータの微笑みをマルコが誉めたとき、ニキータは「あなたが教えてくれたのよ」といったセリフが非常に印象的だった。マルコも愛してるがゆえに多くを聞かず、たとえ知っていたとしても何も語らなかったのだろう。ラストにニキータ一人に行かせたのも、お互いの愛の絆が強いからなんだろうと思った。 また、ボブの歪な愛も奥ゆかしい。はじめてのレストランでの食事のプレゼントに始まり(ニキータの表情も見事)、男のトイレの奥の窓が壁であるということを知っていたことから、ニキータとマルコに薦めたベニス行きのチケットの裏にあったものが実は暗殺の指令であったこと、などこの映画の美しさの裏には全てマルコの歪な愛情にあるのではないか。「私なりの愛し方」という表現は実に見事だった。[DVD(字幕)] 7点(2006-05-04 22:11:56)(良:1票) 《改行有》

29.  最後の戦い 何スカ?…このサイレント映画って感じで見てたら、徐々に引き込まれまくりました。 色々と単純なメッセージも込められており、序盤を乗りきればかなりの良作と感じられるのではないでしょうか。 映画のジャンルは全く異なるけど、マーティンスコセッシの「ドアをノックするのは誰?」同様、巨匠(ベッソンが巨匠かどうかは人によって分かれるかもしれんが)といわれる人のデビュー作はかなりスタイリッシュで人とは異なる世界観を演出できるのだなと改めて感じられた。 ちなみに、空から魚が降ってくる怪現象は結構実際にも世界で報告されていると聞いている。竜巻とかの影響というのが通説らしい。[DVD(字幕)] 7点(2006-05-03 00:45:52)《改行有》

30.  カジノ 凄い面白い映画でもあり、かつ凄いつまらない映画でもあった。 カジノを舞台とした様々な人間模様とカジノ・ギャング世界の「表」と「裏」を描いたこの映画は素晴らしい映画であり、各俳優陣も素晴らしい仕事をしていたと思うが、うんざりするほど長すぎると感じる。 同じ3時間でも長さを気にしない映画もあれば、この映画のようにもの凄い長く感じる映画もある。 それは何故かというと、演出というかストーリーが単調で一本調子のため、同じリズムで3時間ひっぱるのはよほどでないと無理というものではないか。 シャロンストーンは確かに熱演といってもよい演技をしていたが、彼女の部分は大幅にカットできるような気がする。 もっとも、デニーロとストーンの「愛」をメインテーマにしたいのなら別な話だが、この映画が描きたかったのはそれだけではないような気もする。 確かに、冒頭で「愛」とは信じることとか。互いに尊重しあい、思いやる心が愛とか。 命を預けあうのが夫婦とかなんとか言っているので、本当は、「愛」についてがポイントの映画なのかもしれないが、これまたジョーペシの熱演のおかげか、出来あがったものは違うものがメインテーマになっているのは明らかだろう。 7点(2005-03-14 01:54:03)《改行有》

31.  スパイ・ゲーム(2001) 「スパイゲーム」というタイトルの割にはゲーム性もなく、007のような映画とは違い、真面目で落ち着いた出来に仕上がっている。 出来自体は決して悪くはないのだが、盛りあがりに欠ける為、期待ハズレと感じる人も多いだろう。 部下であったトム救出のために動き回るネイサンの退職の日の「現実」を縦軸に、75年ベトナムでの出会いから、76年西ドイツでの二人の考えの対立、そして85年のベイルートでの二人の別れを「過去」の回想を横軸に二重構造にして描かれている。 ネイサンの信念には「情報提供者に命をかけるな」というスパイの役目や負けられない危険なゲームと割り切ることが大切という考え方があり、一方、トムは理想肌で「人を殺すことは苦しいこと」と語っていたように「人の命の重さ」を知っている。 二人の考え方はだいぶ違うと思ったが、やはり二人にはどことなく似ている部分を感じさせるし、人間的な根っこは同じような気がする。本作では師弟愛が感じられた。 しかしなあ、ネイサンはベイルートでは当然の策とはいえ、トムを待たずに、キプロス義勇軍を使ってしまったり、エリザベスをトムから引き離すために拉致って中国に引き渡したりしているわけでかなり実際はかなり非情なオトコなんだよな。 トムとエリザベスの二人の愛が本物だとは知らずに拉致ったりしているから今回のような事件が起きたわけで、28200ドルは自分のまいた種を刈り取ったようなものかもしれない。 エリザベスとトムの二人には、救出後2台の離れたヘリコプターで見つめ合う姿に愛を感じさせずにいられなかった。 ネイサンの奥さんネタも随所に登場させているから、ネイサンの奥さん、家族、愛についての考えも少しだけでも描いて欲しかった気がした。 奥さんネタはやや消化不良に終わっていると感じたな。 衛星写真のすり替えや「ディナー作戦決行」の周りの反応などニヤリと出来る場面も多く、「ディナー作戦」と聞いた時のトムの反応も特に良かった。7点(2004-12-18 16:35:49)(良:2票) 《改行有》

32.  モーターサイクル・ダイアリーズ 旅をするために旅に出発した二人、詳細なプランは特別にはない、目的地はハンセン病施設。 そんなあてどもない旅を通して、ゲバラが何を見つけ、何を学んだのかという視点が上手く描かれていた。 学んだものは、ぶつける事が出来ないどうしようもない怒り、やりきれない想い、人々の貧しさと、人のために役に立ちたいという漠然とした気持ちが強い想いに変わったこと。 旅を通して自分が何をなすべきかを探し得たのではないだろうか。 嘘をつくことが出来ない、わけ隔てなく人に対して向き合い、人に対しての愚直なまでの率直さが、ガエルガルシアの真っ直ぐな眼差しとあいまって、人々を惹きつける魅力となっている。 旅をしているうちに様々な人々と触れ合い、大きく変わっていく自分。 そしてもう戻ることが出来ない自分もいた。 旅もそうであろうが、自分に対しても郷愁と興奮があるように感じる。 もう戻ることが出来ないなつかしい思いのする自分と、どういう人生を歩んでいくか興奮を感じさせる自分。 そのような目的を見つけ、皆にスピーチするゲバラを見つめるアルベルトはどことなく羨ましそうだった。7点(2004-11-20 22:40:12)《改行有》

33.  ロスト・ハイウェイ この映画に答えなんてないし、どのような解釈もアリだと思います。 時間軸のズレなど観客だけでなく監督すら迷宮に入りこんだような作品、しかし好きなジャンルの映画です。 たぶん合ってないと思いますが、自分なりの解釈を試みたいと思います。 妻を殺したのは、フレッド自身、しかし彼にはその自覚はない。 何故彼女を殺したかというと、妻の不倫を疑い、あまりにも妻を愛しすぎていたため、猜疑心によって気が狂ってしまった。 それに耐えられなくなってもう一人の自分であるミステリーマンという人格を作りだし、もう一人の自分が妻を殺したため本人には自覚がない。 テープにより証拠が固い為、死刑になり独房に入れられる。 ピートの話は大部分が妄想の世界と考えられる。 根拠はアリスという女性が写真から消えることと、ミステリーマンが「あの女はレネエだぞ」というセリフから推測できる。 自分を正当化し、自分の願望を達成するために創り出したフレッド自身の世界であり、現実ではないと思われる。 ピートはフレッド自身であり、アリスはレネエを投影した妄想で問題はないはず。 ピート編を全て妄想と片付けることが一番手っ取り早い解釈だが、ちょっと味気ない気がする。 ディックロラントとアンディを殺したことはなんとなく現実化したいので、自分のなかでは現実にフレッドが殺したことにしました。 アリスが「あなたが殺したのよ」と語ったセリフからそんな気がした。 二人を殺すことであたかも妻が死んだのはオマエラのせいだとだから復讐をしたかのように自分を正当化してるのではないだろうか。 そして警察に追われ続ける。 しかし、この解釈ではロラントが死んだ夜はロラントがレネエと別れてすぐの晩のはずだし、その翌日に「ロラントは死んだ」と自分に語ってるんで解釈不能であり時間軸のズレが気になる。 しかもビデオに自分が映っているのはもはや説明の仕様がなく、アンディが死んだ部屋にピートの指紋がいっぱいあると警察が言っていたり、ピート編での謎である誰もが口をつぐんだ「あの晩」について答えがないのが困りモノ。 そもそもフレッド自身がどうやって刑務所から出れたのか説明が出来ない。 謎だらけ、自分も迷宮に陥ったようだ。 「記憶は常に自分なりにする、起きたとおりには記憶したくない」とフレッドが言っているのがタチが悪すぎる。7点(2004-11-07 04:30:00)(良:1票) 《改行有》

34.  エデンより彼方に 50年代の雰囲気を楽しむメロドラマ映画というのが事前の知識だったけど、人種差別などアメリカだけでなく、現代の日本にもまだまだ残る「偏見」を扱った映画。 楽しめるかどうかは別として、数多くの賞を得ているのも納得です。 外見にとらわれず本質を見極めることの難しさはいつの時代どの国でも一緒ですね。 「誇り高く生きて欲しい」という彼の言葉は胸に響きました。7点(2004-06-25 15:24:06)(良:1票) 《改行有》

35.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 某有名人気シリーズの設定に酷似していることは気になるが、個人的には意外と楽しめたという印象。どうしても比較してしまうが、このような設定においては基本的にはどれも似通ってしまうので、それほど気にしない方がよいだろう。 特許があるわけではないので、仕方がないと思うしかない(パクリでは不味いが)。 しかし、粗もかなり目立つ作品でもある。 あんなおっさんをターゲットにするくらいならば、あんな面倒くさいことをせずに「普通に道端で襲えよ!」と思う(殺人を事故にみせかけるのがプロの仕事だろう)が、そのようなことを言い出したら映画などは作れない。 製作者は一生懸命にどんでん返しをしようと考えた“努力”と取るしかない。 それにしては、プロの暗殺集団は意外と間抜けな集団と最後になってしまった。 自分の使命を忘れる者もいれば、捨てゼリフを吐きながらも爆弾を解除できない者もいて、おまけに一人の素人の女性にほぼ全滅させられるという有り様。 仲間のおっさんがビビるほどの凄みを感じさせなかったことは残念。 銃による死者がいなかったことは製作者の意図だろうか。 その辺りは一応工夫しているのかもしれない。 残念といえば、善と悪との葛藤のようなものがないことも挙げられる。 生まれ変わったら、悪と戦うヒーローに簡単になってしまうのは単純すぎる。 確かに、訳の分からない輩に襲われたら戦わざるを得ないが、自分の使命やアイデンティティーに対して苦悩させた方がよいのではないか。 悩める主人公をヒロインやターゲットの子どもなどが影響させて、完全に生まれ変わらせるということが醍醐味であろう。 もともとは仲間なのだから、殺そうとするのではなくて懐柔させるようなアメとムチを使い分けてもよかった。 あまり難しいドラマを構築するよりも、真相やアクションを楽しむ映画なので、単純でよいともいえる。 しかし、ラストにおいても妻との再会がなかったことも残念だ。 意外な方法による退場の仕方も面白いといえば面白いが、最後はちゃんと妻と思っていた女性と向かい合わせた方がより面白い。 自分が愛したと錯覚した女性を選ぶのか、それとも自分を救ってくれた女性を選ぶのかというチョイスが最も必要なことではないか。 きちんと過去と決別させるためにもこれは必要な儀式だと思う。 情に訴えかける妻と思っていた女性に策略に乗らないようなシーンは必要であろう。[映画館(字幕)] 6点(2011-05-09 22:20:22)(良:2票) 《改行有》

36.  アンチクライスト 《ネタバレ》 きちんと内容を理解できていないのかもしれないが、それほど衝撃的な作品とは思わなかったということが正直な感想。 本作に描かれている内容を言葉では上手く表しにくいが、人間(特に女性)の“本質”のようなものを感じ取れればよいのではないかと思う。 三匹の乞食、森に対する恐怖、靴を逆に履かせる行為、ドングリや手についていた変な虫などは理解しようと思えばできるかもしれないが、放って置いても構わないと思う。 そのようなことよりも自分が感じたことは、性と暴力が人間の“本質”ということだ。 自分の赤ちゃんが危ないことに気付いたのにセックスを優先したということか。 そうなると、激しく後悔する理由や自傷行為などの理由が分かり、本能と理性が絡み合ったカオス的な作品となっている。 ただ、人間の“本質”をきちんと描いてくれれば分かりやすい作品になったかと思うが、サタンや虐殺などに触れられるとやや分かりにくくなってしまう。 分かりやすい作品を作っているわけではないので仕方はないが、全体的にまとまり感がないという印象。 好きな作品というわけではなかったが、トリアー監督作品は悲劇的な内容にも関わらず、逆に変な心地よさも感じられる。 心地よさという表現が合っていないかもしれないが、不思議と居心地の悪さはそれほど感じられない。 映像美や音楽の効果ということもあるだろうが、それだけでもないだろう。[映画館(字幕)] 6点(2011-04-02 22:15:46)(良:1票) 《改行有》

37.  ツーリスト 《ネタバレ》 オリジナルのフランス映画「アントニー・ジマー」は未見。デキの良くない駄作という事前情報を得ていたので、思いっきりハードルを下げて、「どんな駄作を見られるのか」という楽しみすら期待していた。ハードルを下げ切っており、恐ろしく古臭いセンス、間抜けな警察、間抜けな組織についても笑えるような状態だったためか、意外と普通の仕上りとなっており、逆の意味で期待を裏切られた。もっとトンでもない映画を見られるかと思ったが、よくあるような普通の古典的な作品だった。バレバレのネタを追認するだけの作業に過ぎず、アンジェリーナ・ジョリーが相変わらず美しいということ(痩せ過ぎでちょっと怖いようなところもあるが)以外には、ほとんど心に残らない作品となっており、もちろん素晴らしいと評価することはできない。 本作の決定的な問題はラストのオチだろう。全てを観客に明かすという愚行を犯している。ハリウッド大作映画を任されて、若いドイツ人監督は観客のレベルを低く設定したのだろうか。本当のプロならば、幾通りの解釈ができるような余地でも残しておいて欲しかったところだ。ハリウッド映画なので曖昧にするのが嫌だとしても、考えられ得るケースにおいて一番最悪なチョイスをしたという印象。フランクが実はただのツーリスト案、全てフランクとエリーズの共謀案よりも酷いチョイス。観客には正体を明かしてもよいが、エリーズには正体を明かす必要はないのではないか。個人的には、ある時に彼女の本当の素性を知り、恋愛と任務の板ばさみから彼女を開放するために、彼女には秘密に一芝居を打つこととして、迫り来る組織を自分の手を汚すことなく片付ける、彼女から共犯者という汚名を晴らす、警察の捜査を打ち切らせる、彼女から本当に愛される、犯罪とは無関係の彼女との新たな生活を手に入れる、という一挙両得の計略を用いたというような解釈ができればよかった。新たな顔、新たな人生を手に入れて、男性は完全に女性を騙したと確信しているが、女性はその嘘を知りながらも黙っているといった解釈がさらに出来るような男女の奥の深い関係や、愛する男がいるのに別の男に惹かれる、愛する男がいる女を惚れさせようとする男女の駆け引きのようなものを描ければよかっただろう。 「大金を掛けてその程度にしか整形できなかったのか」という皮肉的なセリフも面白味はあるが、ラブストーリーとしてはこれでは浅すぎた。[映画館(字幕)] 6点(2011-03-08 23:35:16)(良:1票) 《改行有》

38.  [リミット] 《ネタバレ》 「これは凄い」と唸らされるほど秀逸なアイディアに満ち溢れた作品ではないが、このシチュエーションだけで90分をもたせているのはやはり評価したいところ。 イラク、携帯電話、棺桶というキーワードだけで映画をきちんと製作している。 携帯での会話だけであり、映像こそないが、アメリカ政府、彼を雇っている企業、テロリスト、彼の家族や友人などの様子を色々と想像できるということも楽しいと感じさせる。 ただ、狭い空間のみの90分間だけでは、やや飽きてくるのも事実。 なんとか飽きさせないために、ヘビや指切りなどのアイディアを盛り込んでいるが、そのようなことよりも別のアイディアももうちょっと欲しかったところ。 個人的には、アメリカ政府及び利益優先主義の企業への強烈な皮肉が込められている点が非常に面白いと感じられた。 犯人に直接殺されるのではなくて、アメリカ政府の空爆の結果という点が非常に面白い。 犯人に対して身代金を払わずに見殺しにしたアメリカ政府に、間接的にも直接的にも殺されている。 電話でも散々たらい回しにされた挙句に、最終的には人違い、過去に救ったと語った者ですら救えていなかったということがアメリカ政府への皮肉以外の何物でもない。 空爆で殺したのではないかと思われた犯人ですら実は殺していない。 テロリストが彼の家族を脅迫することに違和感があったが、アメリカ人はイラクのことを全然分からないのに、テロリストはアメリカのことを知っているという解釈もできそうだ。 また、何らかの仕掛けが本作で語られていたかもしれないが、会社があの携帯に電話を掛けてくるところが良いアイディアだと思った。 個人的な解釈(思い込み)ではあるが、アメリカ政府、CIA、FBIがクローン電話などの理由により、電話番号を特定できなかったのに、企業が利益を優先するだけのためにあらゆる手段を使ってあの携帯電話番号を入手したとすれば、強烈な皮肉になっている。 彼を助けるために奔走するのではなくて、企業には一切の責任がないということを確認するだけのものであれば、皮肉以外の何物でもないだろう。 エンディングの明るい調子の音楽ももちろんバッドエンディングに対する皮肉ではないだろうか。[映画館(字幕)] 6点(2010-11-25 23:32:43)《改行有》

39.  ウディ・アレンの夢と犯罪 《ネタバレ》 「ウディ・アレンの重罪と軽罪」が好きなので、この手の作品は嫌いではない。 しかし、正面から“罪の意識”を捉え過ぎてしまった感が強く、ストレートに描き過ぎてしまったような気もする。 “悲劇”にも面白いものはあるが、遊びも捻りもなく、本作はあまりにも現実的に描き過ぎてしまったようであり、疲労感が残る映画ともいえる。 罪を犯す前から“罪の意識”に苦しむ弟が、犯罪後にも“罪の意識”に苦しむのは、かなり重過ぎる。 逆に、ラストはアレンらしいといえばアレンらしいが、あっさりとし過ぎている。 “兄弟”という設定が上手く噛み合っていかなかったようにも思える。 犯罪前には、一方は“罪の意識”に苦しみ、他方は“罪の意識”を感じないが、犯罪後には、それが逆転するような仕掛けもあってもよかったのではないか。 また、同じような道を歩いていた兄弟が一つの事件をきっかけに、光と影という全く異なる道を歩み始めるような展開や、光と影という全く異なる道を歩んでいた兄弟が一つの事件をきっかけに光と影が逆転するという展開の方が、映画らしい気がした。 しかし、本作は延々と弟が罪の意識にさいなまれて不眠症に陥り、兄がその弟に悩まされるだけだ。 ユニークさや不条理さもなく、現実的な苦悩を見せ付けられても、重々しさは堪能できるものの、面白みはさすがに感じにくい。 さらに、二人の“夢”であったような「カサンドラズ・ドリーム」号の取扱もやや微妙。 この小さな“夢”を得ようとした結果、どんどんと欲求がエスカレートしていくにしたがって、どんどんと落ちて破滅していく姿も見たかったところ。 小さな欲求によって小さな代償を払い、次第に戻ることの出来ない大きな代償へと上手く繋がっていくようなところはなかった。 また、調べてみるとカサンドラは、100%当たるのに誰も信じないという呪いが掛けられた予言者であるらしい。 トロイの木馬も予言したらしいが、誰も信じずにトロイの民は破滅したらしい。 そういう意味をタイトルに込めたのだから、兄の恋人の舞台の設定や彼らの父親にそういう予言者の役割を担わせるべきだろう。 父親は意味深なセリフを発していたが、あれでは弱いのではないか。[映画館(字幕)] 6点(2010-05-09 12:37:42)(良:1票) 《改行有》

40.  オーシャンズ 《ネタバレ》 興味を惹かれる映像や、迫力のある自然の驚異的な映像には確かに圧倒される。 我々が知っていると思っている“海”という存在の新たな一面を垣間見ることができる。 ただ、映画としては面白みに欠ける作品。ドキュメンタリーなので面白みに欠けるのは仕方ないとはいえるが、既存のドキュメンタリーの枠からは飛び出している訳ではなく全体的に単調な仕上がり。前半は新鮮さがあるため画面に集中できるが、後半に進むと慣れてきて飽きてくるところもある。 驚異的なシーンだけで構成して観客に驚きを与えるのではなくて、『食物連鎖』『自然と自然との共生』『自然の驚異』『人類の過ち』『南極と北極』といったテーマが見えるような仕組みで構成している。こういった作りには好感を持てたが、全体的に“サプライズ”感が乏しい。多くのシーンは脳裏には焼きついたが、「シャコが結構強い」ということがインパクトの残るデキでは物足りないのではないか。 また、「アース」ならば人類が登場してきてもおかしくはないが、「オーシャンズ」で人類が登場するのはやや違和感あり。 乱獲という問題はあったにせよ、広大な海洋において人類が影響を与えられるほど、人類の能力はそれほど高くないのではないか(衛星からの写真によって川による海洋への汚染の影響はあったが、どういった影響が実際にあるかは不明)。 多くの海洋生物は確かに滅んだかもしれないが、それは自然の摂理であって、果たして人類の責任といえるかは分からない。 人類の影響を描くにするのならば、もっともっとエゲツナイ映像も用いてもらわないと観客に訴えるチカラには欠ける。 網に掛かった魚たち、ヒレだけを切られて投げ捨てられるサメ(実際にはロボットサメ)、海に捨てられたショッピングカート程度では手ぬるいと言わざるを得ない。 本作を観た者に本気で“海”のことを考えてもらいたいという気迫がない。 そもそも何をして欲しいというメッセージがないので、観客は混乱しそうだ。 ストレートに『自然を大切にしましょう』ということを大きな声で発することは大事なことかもしれないが、“映画”ならではのスマートな伝え方というものがあるのではないか。 子ども達に対するメッセージなのでストレートに伝えたいのかもしれないが、やはりこの辺りはもう一工夫して欲しいところ。 もっとも海がダメになる前に、人類が先にダメになるだろう。[映画館(吹替)] 6点(2010-01-24 01:02:27)《改行有》

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