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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
21. ラストタンゴ・イン・パリ 《ネタバレ》 中年のゲスおやじ、ブサイクな田舎娘。その、リアリティにあふれる生々しいエロス。こんなにも暴力に満ちあふれた性の行為を、これほどまで美しい映像で魅せてしまっていいんでしょうか?この美しさはちょっと犯罪的じゃないのでしょうか・・? でも実際は、ここで繰り広げられる暴力的なエロスは、たんなる“性欲”なんてものではなかった。「名も知らぬ男にレイプされそうになったので撃った」という言葉によって消去されてしまう彼らのエロスというのは、ほとんど“存在そのもの”だったと言っていい。それは名前とか身分によって示される表向きの存在とは違う、もっと切実に自らの生を根拠づける何かだったし、それゆえにお互いにむさぼるように求め合ったものだった。ラストは、ある意味、わたし自身が撃ち抜かれてしまいました。おそろしく悲しい映画。きわめて格調の高い映像美に、救いがたい下品さが共存することで、悲しみがいっそう深まっているように思います。傑作。[DVD(字幕)] 9点(2007-08-31 02:32:55)(良:1票) 22. コックと泥棒、その妻と愛人 物すごい密度で話が展開して「あっ」という間に映画が終わってしまう。圧倒的。物語の構成も明快なので、グリーナウェイの中ではわかりやすいほうだと思います。映画がマイケルナイマンの音楽と一体になってグイグイ進んで、最後のオチも、グロテスクな衝撃と、懲悪的な満足を、両方いっぺんに満たしてくれる(笑)。グリーナウェイの最高傑作。10点、9点をつける人がたくさんいるのも当然だと思う。 どうでもいいことだけど、「レストラン&トイレ」の並びを見てると、キューブリックを思い出します。『シャイニング』のホテルのシーン、それから、ピカピカなトイレの映像は『2001年』の宇宙船の中のシーンを思い出させる(ピカピカなトイレの官能的なツルツル感って、宇宙船内の近未来的な雰囲気となんか似てるから)。ちなみに、このとき、ほとんどの人が初めてナイマンの音楽に遭遇したんじゃないでしょうか。こんな密度の濃い音楽があるんだとびっくりした。 それから、(これも関係ないけど、)わたしはグリーナウェイの映画って邦題がイカしてて好きです。この映画のタイトルは長すぎてあまり好みじゃないけど、あらゆる洋画の中でいちばん好きな邦題が、『建築家の腹』。ただ直訳しただけだけど日本語に直すと妙にイカすから。 7点(2004-04-03 15:02:26)《改行有》 23. 冬物語 《ネタバレ》 ロメールにしては、ハリウッド・ラブストーリーみたいなハッピーエンディング。でも大好き。すごく幸せな気持ちになれる。ロメール映画としてじゃなく普通のラブストーリーとして好き。おしゃまな娘役の女の子がチョーかわいい。よく見ると、この女の子が物語の鍵を全部にぎってる。母親の感情を完璧に写し取っていて、母親が誰のことを好きで、誰のことを嫌いなのか、ちゃんと分かってる。母親を教会に連れて行くのも彼女。最後は二人の再会も演出!ラストでは母親の「うれし泣き」まで物真似。すべての奇跡を呼んだキューピッドはじつは彼女だったわけですね。ところで、この映画の物語が、ロメールにしちゃ、なんとなく「アメリカ的」な感じがするのは、恋人役の男の人がいかにもフランス人っぽいヤサ男じゃなくて、逞しくて快活なカッコいいアメリカ人みたいな男の人だから、ってのもある。じっさいこの彼は、コックの勉強をしにアメリカにも行くわけだけど。こういう男性への憧れをとおして、この映画じたいが、「アメリカ的」な明朗さに対する微かな羨望をテーマにしてる?と見るのは考え過ぎでしょうか・・ 8点(2004-03-30 16:37:35)(良:2票) 《改行有》 24. エル・スール 心の中の「父」を想い、そして心の中にある「南」を描くことが、この映画の主題なんだろうなあ、と思っていました。『エル・スール(南へ)』という表題ですが、あえて南の風景を映像として出さないことで、南への想いを際出たせてるんだろうなあと思ってた。 でも、原作では、ちゃんと後半に「南」の話が出てくるんだそうですね。映画でも当初は「南」の部分まで撮るつもりだったそうな・・。 わたし的には、「南」を描かないことで、かえって映画の素晴らしさが増したと思う。静かな感情が持続する美しい映画。8点(2004-03-30 03:42:50)(良:1票) 25. メルシー・ラ・ヴィ なんにも考えないで見てると楽しい!なんだか自由になれる。このむちゃくちゃな理不尽さが女心を痛快なくらい解放するんです。(でも、こういうのはジェーンカンピオンみたいな女の監督じゃダメ。やっぱり男の監督じゃないと、突き抜けられない。)[映画館(字幕)] 7点(2004-03-30 02:37:01) 26. 春のソナタ ロメールの中でいちばん好き。だって可愛いから。春の町なみも、女の子の服装も、物語の結末も、みんなかわいくて愛おしい。9点(2004-03-18 01:51:45) 27. 欲望のあいまいな対象 面白い!大好き! 円熟したブニュエルの、だれもが楽しめるようなオールマイティな魅力がたっぷりです。あいかわらずナンセンスなエログロギャグもふんだんに散りばめられてて、ブニュエルの臭いは至るところに感じられるけど、筋立てはまともだし、普通の人でも、ちゃんと楽しめる映画だと思います。キャスティングにも展開にも、とても創意があふれてて、それにくわえて、どこかラテン的な情感や哀歓も感じられて、味わいぶかい。もちろん、革命思想的な過激なムードも、まだまだ各所でとぐろを巻いてます。(~~)10点(2004-03-17 23:47:33)
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