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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  ターミネーター2/特別編 《ネタバレ》 多少は気になる点があるが、満点を付けざるを得ない素晴らしい傑作だと思う。 気になった点としては、前作では「なぜ複数体ではなくT-800型とカイルの二体のみが過去に送られたのか」がきちんと説明されていたが、本作ではそういった説明がないのが残念。そして「スカイネットはなぜ過去にT-800型を送ったのか」が前作できちんと説明されていたが、本作ではそういった説明がなかった気がした。そもそもT-1000型という無敵のマシーンが未来で開発できたのならば、スカイネットが未来において人類に窮地に追い込まれるはずはないわけであり、T-1000型が量産された暁には、人類と機械との果てしない戦争は幕を閉じるだろう。ここでは逆転の発想をして、本作では「人類が未来で窮地に追い込まれたために、スカイネットが開発されることを防ぐためにT-800型を過去に送った。それを阻止するためにスカイネットがT-1000型を過去に送った」というシナリオにすれば良かったのではないか。 このような気になった点があったにしても、それらが無視されるほど素晴らしい作品であることは間違いない。 前作のテーマが「運命を受け入れろ」であるならば、本作は「運命は変えられる」だろう。テーマがしっかりと描ききれている。 また、アクションとして優秀だけでなく、「人命の尊さ」「心の痛み」「友情」といったことをジョンコナーがT-800型に学ばせようとしている点が素晴らしいストーリーだ。彼のリーダーとしての資質を垣間見せるとともに、機械でさえ学べるのだから、人類が学べないはずがないという結論を導いているのが面白い。 そして、緊張感あるテンパったサラコナーと、母親の愛情や友情を欲する「孤独感を内に秘めた」陽気なジョンコナーと、無表情・無感情のT-800型の全く異なるタイプ三人のロードムービー的な要素が盛り込まれているのも見逃せず、この三人の変化も実に面白い。特にT-800型の変化をユーモラスに描いている点は映画に明るさをもたしている。 さらに、個人的に一番気に入ったシーンは、サラコナーがマイルズを殺そうとするシークエンス。これは前作の全くの裏返しだろう。未来において起きる出来事のために、現代では何も悪いことをしていないのに命を狙われるというマイルズは、まさに前作の彼女と同じ立場にある。あの不条理感を知っているサラコナーがこのカラクリに気づいたときの表情が実に見事だ。[DVD(字幕)] 10点(2006-08-30 23:39:54)(良:3票) 《改行有》

42.  ユナイテッド93 本作は、美談満載、お涙頂戴の感動モノではない。また、テロリストを「悪」と位置付けて、乗客が「英雄」として戦う映画でもない。 ただ、あのとき何があったのかを丁寧に徹底的に描き出したにすぎない。ここにはエンターテイメント性や複雑な人間ドラマなどもない。だから、「涙」や「面白さ」を期待してはいけないだろう。 自分は、この映画は「問いかけ」なのではないかと感じた。 このような状況下におかれたら、あなたはどう行動しますか?という問いかけ。 ユナイテッド93の乗客もたまたまあの飛行機に乗り合わせたにすぎない。自分もよく飛行機には乗るし、誰でも彼らと同じような状況に陥る可能性はあるだろう。 軍は機能しない、管制塔も混乱している、そのような時に自分ならばどういう行動ができるだろうか。自分ならば誰に最後の愛の言葉を掛けるだろうか。自分ならばどんな感謝の言葉を伝えるだろうかというようなことを考えずにいられない。 そして、この映画をみて、「映画」とは何かを考えずにもいられない。 「映画の持つ意味」、「映画の果たすべき役割」とは何であろうか。 嫌な記憶を思い出したくないとアメリカ人の中には本作の公開を拒否する運動もあったかもしれない。しかし、あったことをただ風化させるだけでは何の解決にもならない。イギリスでもまたもテロが起きようとしていたばかりである。 映画は、人々に事件から目をそらすのではなく、事件に対して直視させ、何かを感じとってもらい、何かを考えさせるチカラがあるのではないか。 映画によって、何があったのかを伝え、自分たちに何ができるのか、なぜこのようなことが起きるのか、どうすればこのようなことを防ぐことができるのかを人々に考えさせるきっかけになると信じている。[映画館(字幕)] 8点(2006-08-13 02:52:23)《改行有》

43.  ランド・オブ・ザ・デッド ゾンビ映画には深い思い入れはなく、この監督さんのオリジナルも観ていないけど、それでも本家はその辺の類似品とはレベルが全然違うなと感じられた。 映像からゾンビに対する深い思いと愛情が伝わる良作。[DVD(字幕)] 7点(2006-06-14 00:54:03)《改行有》

44.  アンジェラ(2005) 《ネタバレ》 母国フランスでは大コケ・駄作扱いされていた本作だけど、まったく駄作というわけではなく悪くはなかった。しかし良くも悪くもない中途半端な映画という印象を受けた。 映画自体は、説教くさいテーマであったが「嘘をいわずに真実をいえ」「人に愛されるような人間になり、なおかつ自分自身も愛せ」「自分に自信をもて」などそれなりのテーマを描きつつ、ラブストーリー的な要素や「別れの辛さ」なんてものも描かれている。しかし、これらのテーマなどが上手く演出されてはいないという気がする。特に、アンジェラの過去がなく苦悩するところや、アンジェラがアンドレのことを本当に好きになり始めて困惑してはやく空に帰りたがるという、肝心の「終盤」をかっ飛ばすほどに雑に演出しすぎている。ここは繊細に演出すべきだろう。 また、アンジェラが天使であることがあまり活かされているとは思えない。途中で正体も明かしてしまっているため更に面白さがなくなっている。天使とはっきりと描くのではなく、ラストは「果たして、アンジェラとは、夢だったのか、幻だったのか、天使だったのか、それとも生身の人間だったのか…」というような余韻を感じたかった。「グランブルー」「ニキータ」「レオン」で感じた「二人の別れ」の「前向きな切なさ」のようなものを演出できる人ではなかったか、リュックベッソンという監督は。お決まりのハリウッドエンディングを良しとする人だっただろうか。 むしろアンジェラは生身の人間の方が面白いのではないか。傷ついた男女が同じ時間、同じ橋で自殺未遂を図るという奇妙な出会いから、お互いがお互いの心の傷を癒していくというストーリーの方がよりベターな気がする。 また、この映画は「最後の戦い」でみせた白黒映画であり、「グランブルー」のような美しい風景をみせており、レオンでの名ゼリフ「「OK」は言うな。(個人的には使って欲しくなかった)」やフィフスエレメントで描いた「愛してる」と言い出せないシーンなど、リュックベッソンの集大成のような映画になっている。しかし逆の見方をすると、前作から6年経ったベッソンの成長のなさ、才能の限界や、監督能力の減退を見せつけられたような気もする。 この内容なら思いきって「最後の戦い」のように全くセリフをつけず、演出と俳優の演技だけでみせつけ、終盤の「ジュテーム」のみをセリフにするとか思いきった演出がみたかったところだ。[映画館(字幕)] 5点(2006-05-15 22:58:58)(良:2票) 《改行有》

45.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 自分の世界でしか生きれない「男」の不器用さとそんな男を愛してしまった「女」の哀しさが見事に描かれた作品。 確かに、男という生き物は同時に二つのモノを手に入れることはできない不器用な生き物なのではないかと改めて思う。 そして、この映画ではきちんと一方のかけがえのない存在である「愛」を捨ててまでも得たいと思う世界が美しすぎるぐらいに描かれていた。なぜ海に潜るのか、特に説明もないし、そんな理屈などいらない。「そこに山があれば登るように」男たちは海に潜り続ける。そんな理屈では言い表せられない姿が非常に美しかった。また、同じ世界に生き、そして同じ世界を見ることが許された二人のライバルの「友情」も美しかった。 マイヨールがエンゾを海へ葬るシーンとマイヨールがイルカと共に海へ消えていくラストも脳裏から離れることができないほど美しすぎた。 さらに個人的に大好きなシーンは、女の一大事である妊娠をマイヨールに告げようとする際に、ちゃんと聞いてもらおうと思いあえてマイヨールのフィールドである海をその舞台に選んだにもかかわらず、しゃべる前にマイヨールがどこかに泳いでいってしまう姿が非常に興味深かった。二人の生き様の違いが見事に表現されていたシーンであり、あの場面でこの映画は傑作だと思った。 また、最後の深夜の海で発射するロープのようなものをジョアンナに渡し、ジョアンナが「私の愛をみてきて」と言うやり取りをみると、マイヨールも不器用ながらジョアンナを愛していたし、海へと送り出したジョアンナの愛の強さもうかがいしれた。[DVD(字幕)] 8点(2006-05-06 03:33:19)(良:2票) 《改行有》

46.  海を飛ぶ夢 《ネタバレ》 「尊厳死」という難しいテーマをじっくりと真正面から描きこんだ素晴らしい作品。 「生きるとは何か」「死とは何か」「人は誰のために生きるのか」「不治の病に対する向き合い方」「病人と家族の関係」など様々なテーマに向き合っている。 以下ネタバレ。議論があるとは思うが、個人的にはラスト付近は不満がある。 やや表面的というか、あっさりと描きすぎている感じがする。これは「尊厳死」といってもやはり「自殺」であることには変わりがない。その自殺を美化するのは避けようという監督の考えがあったからではないかとは思う。 本作を見るのは、健常者だけではない。同じ境遇を抱える人も見るだろう、そんな人達に対して「死」を美化させないようにしている気がする。 ラモン自身も、死んだ後に来世のようなものを期待はしていない。はっきりと「死んだ後は何もない」とロサに語っているのが印象的だった。 個人的に一番考えさせられたのが、ラモンとフリアが選択した手段の違いだ。 フリアも尊厳死を望んだが、直前になり死への恐れが彼女を襲ったのと、夫の献身的な愛がそうさせなかったのだろうか、彼女は「死」という選択を選ばなかった。あれほど分かり合えたラモンのことですら忘れてしまうことが彼女にとって幸せなのか、生きているといえるのかどうか。 確かに夫は彼女の死は望んでいないだろう、自分のことですら何もかも忘れてしまっても生きてさえいればそれだけで満足だと思っているかもしれない。 フリアは自分自身よりむしろ夫のために生きる決意をしたと思う。 一方、ラモンも素晴らしい家族に囲まれている。兄のホセ、ホセの妻マヌエラ、二人の息子ハビ、そして父ホアキン。ラモンは残される彼らのことを考えなくてはいいのかと思う。 あれほどユーモアに溢れ、素晴らしい詩を書くラモンが死ぬことなんて誰も望んでいないはずだ。特に兄のホセは「死」を現実問題としてきちんと受けとめている点が胸を打つ。 しかし、人は誰かのために生きるのではない。人は自分自身のために生きるのだと改めて感じた。自由を失い、夢を失い、好きな人に触れることもできないそんな人生に果たして意義を見出すことができるのか。 自分をプラスに導くための死という考えは、映画の中だけでなく確かに社会として向き合わなくてはならない問題なのかもしれない。 [映画館(字幕)] 8点(2006-05-06 03:04:08)(良:1票) 《改行有》

47.  グッドナイト&グッドラック 《ネタバレ》 この映画の主題である「赤狩り」は、エリアカザン監督のアカデミー賞名誉賞受賞の際にも問題(「赤狩り時代」に仲間を売ったとされ、表彰時にブーイングが浴びせられた)になったが、今なおハリウッドに影を落とす問題である。この映画を通して、その歴史の一端を学ぶことができる点では評価できるかもしれない。 しかし、確かに歴史的に非常に価値ある映像はみせてもらったとは思うが、どうにも物足りなさも覚えた。 この映画では「赤狩り」の首謀者であるマッカーシー上院議員を糾弾するという趣旨は全くないため、比較的客観的・中立的な立場から描かれていると思われる。 そのためか、いまいちエド・マローの内面やその葛藤、苦悩をうかがいしることができなかった。 また、この映画を通して、「表現の自由」とは、「報道の自由」とは、「思想の自由」とは、「国家による思想の弾圧に対するメディアの在り方や我々自身の対応」とは、など色々と考えられるテーマが散りばめられていると思うが、あまりそれらを考える手がかりにはならなかったと思う。 一言でいいあらわせば、映画をみたというより、歴史の勉強をしたというのが正直な感想であった。[映画館(字幕)] 5点(2006-05-04 23:36:22)《改行有》

48.  アトランティス(1991) 恐らくコンセプトは海洋の神秘を探るというものではないから、「ディープブルー」と比較して特段目新しい映像は見当たらなかった気がする。 また、本作では色々なテーマ毎に分かれており、この手法は眠くなりがちな映像をそれなりに引きたててはいたが、もっとテーマに合う画像は海にあるのではないかとも思った。 イマイチ趣味の世界から抜けきれていない感がしており、やや不満が残った。 強いていえば、マナティが良かったかな。ちなみに、DVDにはどこかの教授らしき人が静止画像に特徴やコメントを載せている特典がついているので、それはなかなか面白い。[DVD(字幕)] 3点(2006-05-04 22:15:21)《改行有》

49.  ニキータ 《ネタバレ》 ニキータは強そうにみえても実は弱い一人の孤独な女なんだと思う。 家族もいない、友もいない、そんなニキータの心を支えていたのは、マルコの存在なんだろう。微笑み方も知らなかったニキータの微笑みをマルコが誉めたとき、ニキータは「あなたが教えてくれたのよ」といったセリフが非常に印象的だった。マルコも愛してるがゆえに多くを聞かず、たとえ知っていたとしても何も語らなかったのだろう。ラストにニキータ一人に行かせたのも、お互いの愛の絆が強いからなんだろうと思った。 また、ボブの歪な愛も奥ゆかしい。はじめてのレストランでの食事のプレゼントに始まり(ニキータの表情も見事)、男のトイレの奥の窓が壁であるということを知っていたことから、ニキータとマルコに薦めたベニス行きのチケットの裏にあったものが実は暗殺の指令であったこと、などこの映画の美しさの裏には全てマルコの歪な愛情にあるのではないか。「私なりの愛し方」という表現は実に見事だった。[DVD(字幕)] 7点(2006-05-04 22:11:56)(良:1票) 《改行有》

50.  最後の戦い 何スカ?…このサイレント映画って感じで見てたら、徐々に引き込まれまくりました。 色々と単純なメッセージも込められており、序盤を乗りきればかなりの良作と感じられるのではないでしょうか。 映画のジャンルは全く異なるけど、マーティンスコセッシの「ドアをノックするのは誰?」同様、巨匠(ベッソンが巨匠かどうかは人によって分かれるかもしれんが)といわれる人のデビュー作はかなりスタイリッシュで人とは異なる世界観を演出できるのだなと改めて感じられた。 ちなみに、空から魚が降ってくる怪現象は結構実際にも世界で報告されていると聞いている。竜巻とかの影響というのが通説らしい。[DVD(字幕)] 7点(2006-05-04 22:09:04)《改行有》

51.  ジャンヌ・ダルク(1999) 《ネタバレ》 ジャンヌの描き方がなかなか奇抜ではないだろうか。制作者サイドが込めたものとは違う見方かもしれないけど、この映画のジャンヌは「神の贈り物」でも「神の声を聞く使者」でもなくただの「狂信者」として描かれている点が特筆すべき点だろう。信心深い一人の少女が、姉の死を目の当たりにしたために、潜在的にイギリス軍を目の敵にしていったことから、自分の「声」を「神の声」と勘違いしていったのではないか(ダスティンホフマンがミラに対し「見たかった事を見た」に過ぎないといっている)。その役どころを知ってか、知らずか、その狂信ぷりを見事にミラジョボビッチが演じきっている。 また、捕虜になった後のダスティンホフマンとのやり取りも見事だ(ダスティンホフマンが「ジャンヌダルクの良心」という設定はよく分からないので、彼の役どころをそれこそ「神」という設定に置き換えてみている)。 ホフマンとのやり取りの中でジャンヌのことを「利己的」で「無慈悲」と言いきっている点が面白い。「利己的」とは、まさに「神の声」を聞いたと勘違いし、なにもかも自分のよい方向に解釈している点にある(まさに大地にある剣を神から貰ったと解釈している点など)。「無慈悲」とは、その「神の声」を良いように解釈し、無意識のうちに自分の姉の復讐をするために、多くの人たちの血を流させている点にある。オルレアンを奪回し、特段もう戦う理由もないのに、パリへ戦禍を拡大している点も挙げられる。 さらに、自分のために他の兵士は剣を振るって戦っているのに、自分は殺したくないと旗をもち、捕虜を指輪で買収するに至っては、「利己的」かつ「無慈悲」といわずなんと言おうか。 しかし、このような「利己的」で「無慈悲」であるジャンヌに対し、「神(ホフマン)」は、本当の信仰心を試し、罪を認めさせることによって、ジャンヌの罪を赦し、魂を救うというラストを与えている。このシナリオには驚いた。かなり斬新かつ素晴らしいといえるのではないか。 逆に勿体無いのが戦闘シーンである。当時の戦闘が稚拙であったことをわざと描いているのかもしれないけど、あの程度の城攻めなどは手ぬるすぎる。戦闘シーンなどがより迫力あるものとして描ければ、本作がレオン等と並び傑作の仲間入りできた可能性もある。ただたんに首や手や足をふっとばして残虐シーンを描けばよいというものではないのは言うまでもない。[DVD(字幕)] 8点(2006-05-02 21:08:51)(良:1票) 《改行有》

52.  マンダレイ 《ネタバレ》 個人的にはドッグヴィルの方が良かったかな。マンダレイはかなり真面目でかつ政治的色彩を帯びた映画になっている(途中まで「社会」「政治」「倫理」「保健体育」の授業を受けているような錯覚に陥る)。 差別的でありながらも何とか最悪な事態を避けるために独自の慣習で上手く共存してきたある地域を、正義と法の元に武力で制圧し、暮らしてきた者の意向を問わずに強引に民主化を進めていくことへの警鐘や批判を込めた作品。 民主化を推し進めた結果、事態は混沌としながらも、いい結果に向かうようにも思えたのだが…。やはりトリアーの描く「人間の本質」は残酷だ。民主主義はいいように捻じ曲げられ、人間の醜さや恐ろしさ、弱さが露呈されていく。 ドッグヴィルで経験した抑圧された想いを知るグレースは、今回マンダレイにおいて同様に抑圧されていると感じた黒人たちを解放しようとする動機は充分理解できる。今回の経験が三部作最後の「ワシントン」でどのように活かされるのか、活かされないのかもまた注目である。 グレース役はニコールキッドマンからブライスダラスハワードに変更になっている。体当たりで頑張っているが、やはりニコールの方が一枚も二枚も上かな。役柄と年齢のせいもあるかもしれないが、ニコールとは違い、なんというか「疲労感」「虚無感」が感じられない。そうはいってもセリフとかはなかなか上手い女優だとは思う。むしろ人間的にも肉体的にも「若さ」が感じられる今回のグレースはニコールよりも若いブライスの方がよかったのかもしれない。[映画館(字幕)] 6点(2006-03-20 02:13:14)《改行有》

53.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 深そうなテーマ(暴力や人種差別など)をちりばめつつも、なかなか本質が捉えにくい映画になっていると思う。 それにしても、宣伝文句の感動のラストというのはいかがなものかと思うが、なかなかシュールなラストになっているのには驚いた。 その辺にごろごろしている普通の観慣れた作品に飽きた人には勧められる一風変わった映画なのかもしれないけど、あまり一般の人には勧められない映画かな。 <以下ネタバレ>①バリーペッパーの役をもうちょい小悪役にした方が話がすんなり入るのではないかなと思う。メルキアデス殺した行為には殺意はなく単なる事故であり、嫁とショッピングを楽しむ余裕もないほど、追い詰められひどく罪悪感を感じている者に対して余りありすぎる報復ではないか。むしろ嫁との浮気を妬んで殺したとかの方が良かったのではないか。 ②ジョーンズとメルキアデスとの関係がフラッシュバックのように挿入されているが、二人の関係の強固さがイマイチ伺いしれないのではないか。なぜジョーンズが法を犯してまで、メルキアデスとの約束にこだわるのか、自分にはよく伝わってこなかった。ジョーンズの動機がわからないために感情移入ができるはずもない。もっとメルキアデスがどういう人間であるかを観客に知らせた方がよかったのではないか。 ③メルキアデスがなぜジョーンズにあのようなことを真面目に言ったのだろうか。自分が死んだら自分の身を故郷に戻してほしいという想いがあったのかもしれないが、生前の彼の真面目な行動とあの言葉がどうにも結びついてこない。 ④3度の埋葬というタイトルだが、それぞれに確かに意味があるのかもしれないが、タイトルになるほどのインパクトが1、2度にあったのだろうか。[映画館(字幕)] 5点(2006-03-19 00:52:56)(良:2票) 《改行有》

54.  僕のニューヨークライフ 自分の点数は若干低めだけど、アレン好きの人には結構楽しめる作品だと思う。自分も会話自体は充分に楽しめたと感じた。 ストーリーは基本的にないと言っても過言ではなく、主人公ジェイソンビッグスを中心に、彼と恋人、先輩、マネージャー、精神科医との会話を楽しむ映画だった気がする。 しかし、会話が楽しい映画に留まってしまい、深みがある映画でも、魂がえぐられるような映画でもない。 テーマが「人生はそんなもん」なら、もうちょっと主人公ジェイソンビッグスの苦悩なり、人生に対する苛立ちのようなものを感じさせて欲しかった。もっとも、ジェイソンビッグスは彼なりになかなかいい演技をしていたようには感じたが。 本当は彼には色々と苦悩はあったはずだ。 彼女には拒まれて上手くいっていない上に彼女の母親に家に居候されて仕事を邪魔される。 役に立たないマネージャーと手を切りたいけど恩義もあり、マネージャーの生活もあり、手を切れない。 コメディ作家のアレンと新たな仕事の申し出があるけど、全てを捨てて、カルフォルニアで新しい出発をすべきかどうかと、悩んでいたはずだ。 これらの悩みを抱えて、至った結論が「人生はそんなもん」と感じさせなくてはいけないのではないだろうか。 コメディ色を強めた結果、どうにも軽く、印象に残らない映画になってしまったような気がする。[映画館(字幕)] 6点(2006-01-22 22:54:00)《改行有》

55.  コレリ大尉のマンドリン テーマは深そうだけど、映画自体は正直言って全くつまらないものに仕上っている。 全体としてみると散漫かつ説明不足ではないだろうか。このテーマならば、もっとペネロペとニコラスの関係は深めに描かないといけないと思う。この内容では親父さんの言う「恋と愛」の違いを具現化したものにはなっていないのではないか。もっと「音楽」を絡めて二人の関係が「愛」に高まるまでを描くべきだろう。 この映画を観る限り最終的には、むしろニコラスの関係が「恋」で、クリスチャンベールの関係を「愛」として描いてもよかったのかもしれない。それだけペネロペとニコラスの二人の関係は希薄なものと感じたし、ベールには真実の愛に気づいたという流れと感じた。 また、ベール自身や、ドイツ人大尉とニコラス、かばって死んだ軍人とニコラスとの関係があまり見えてこないので、やはり物足りないと感じた。 しかしながら、戦争の中で「音楽」や「愛」を描いており、あの陽気な世界には「争い」とは真逆の想いが感じられる。充分「反戦」に対する気持ちが伝わってくるが、やはりこれでは何もかも描き方が不充分すぎると思う。 映画自体は全く異なるが、「パールハーバー」と似たり寄ったりといっても言いすぎではないだろう。むしろ、あちらはアクションが優れているので、まだ見れる気もする。[DVD(字幕)] 4点(2006-01-10 00:02:20)《改行有》

56.  戦場のピアニスト 映画を超越している作品を観た気がする。ほとんどドキュメントに近い完成度の高さだと感じた。こんな映画は今までに見たことないという衝撃を受けた。 「悲惨さ」や「酷さ」が伝わると同時に、やはり一人のピアニストの生き様が激しく描かれていたと思う。何もないときでも常に指を動かしている様子、弾けるはずもないのに隠れ家のピアノを前にしたときの喜び、そして久しぶりにピアノを弾く際のなんとも言いようもない激しさ。 あの時のピアノの音に何を思うのかは観た人によって異なるだろう。 殺されるかもしれないという恐怖(もはやそんなことも感じられなくなっていたかもしれないが)を感じつつも、まず何かを噛み締めるように音を確かめていき、自分がピアニストだったことを徐々に思い出していく。そして、苦しみ、悲しみを音に乗せていき、内に秘めた怒りを徐々にあらわしていき、それがどんどんと大きくなっていく。また、怒りを爆発させると同時に、ピアノを存分に弾ける喜び、かつ、これが最後になるかもしれないから悔いの残らないようにという思いや名残惜しさも感じられる。そんな演奏だったように思われた。 ある意味、監督自身もシュピルマン同様に逃亡者であり、シュピルマンが満足にピアノを弾けないのと同じく、ポランスキー監督も満足に映画作成はできなかったのではないか。しかし、この映画で存分に満足のいくまでの映画作りができたポランスキー監督の姿とぼろぼろになりながらも満足のいく演奏をしたシュピルマン(ブロディ)の姿がだぶって見える気がした。[DVD(字幕)] 9点(2006-01-03 06:54:31)《改行有》

57.  フランティック 《ネタバレ》 自分がポランスキー監督のことをよく分かっていないのかもしれないけど、ポランスキー監督らしくない普通の真っ当なサスペンス作品であることにまず少々驚いた。こんな映画も撮れる人なんだなというのが正直な感想。 そしてハリソンフォード。この人は嫌いでもないし、特別好きでもない、正直いってあまり印象もない人だけれども、この映画の中の彼の演技は素晴らしいと言わざるを得ない。 異国の地で事件に巻き込まれた「孤独感」「困惑」「いらだち」「必死さ」を見事に表現していた。 特に子ども達への電話が見事。普段なら親のいないところでパーティーなんてやっていたり、深夜に出歩いていたら、どなりつけるものなのに「楽しみなさい」なんて絶対言わないようなセリフの一つに「不安感」とともに「安堵感」という表裏した感情を織り交ぜている。 また、屋上での窓から窓への移動における彼の演技も素晴らしくないだろうか。唯一の手がかりであるカバンをぶちまけたのに「もうどうなっても知らんがな」という投げやりな表情を浮かべている。 そして、劇中における彼の性格や生活感も随所ににじみ出ていた。裕福な医者でありなんでも金で解決しようとする姿勢や、重要な交換条件である自由の女神よりも目の前の女性の命を優先する姿勢、敵であるはずなのに心臓マッサージを施す姿や、こんなところでは会いたくもないはずなのに能天気な医者仲間に会った時の彼の態度、全てに彼の性格があらわれている。 この映画は細かい部分に亘って、演技、脚本、演出が揃ったなかなかのものと言わざるを得ない。 謎の女性もなかなかの好演。最後に金を要求したのも、彼女なりの意地と、親友を(敵対している相手から)殺されたせめてもの報いを込めているのだろう。 それにしても、この映画、冒頭のクレジットから「ナインスゲート」に酷似している気がする。テーマこそ全く違うが、アメリカから来た男性が異国の地で否応なく事件に巻き込まれていく、そしてその登場人物を助ける謎の女がいるという構図はそっくりだ。しかし、あちらの評価は相当低くした。自分にとって、映画における重要な点の一つに、登場人物の感情の動きが読めるのかどうか、感情移入できるかどうかという点があるのではないかと二つの映画をみて思い知った。 [DVD(字幕)] 8点(2006-01-01 18:01:36)(良:2票) 《改行有》

58.  ナインスゲート 《ネタバレ》 ストーリーの筋自体は全く難解ではなく比較的分かりやすいが、なんとなく釈然ともしないし、面白みを感じさせる映画ではない。 まずジョニーデップについては、相変わらず演技自体はしっかりしているが、一体何が目的で動いているのかがピンと来ない。金というわけでもなく、本に隠された謎解きをしたいわけでもなく、自分に嫌疑が掛かっているから真犯人を探すというわけでもない。 ただただ、色々な人の掌の上で駒になって動いているにすぎない。だから、デップを主体としたこのストーリーに入りこめていけない。 その上、バルカンは殺人等の嫌疑を掛けたいがためにデップを雇っていると思われるが、なにもかも全部一人でやっているうえに途中で暴走するため、結局デップ雇って何がしたかったのか、本ストーリーにおけるデップの必要性がますます分からなくなっている。 せっかく「悪魔」「ナインスゲート」というやや面白い素材があるのだから上手く活かすべきではなかったか。実際の事件と9枚の絵を見立てる位のアイディアがあれば、絵にも興味が湧くし、よりストーリーに入りこめるのではないかという気がして勿体ない印象を受けた。 また、どのキャラクターも感情があまりないという気がする。バルカンこそラストにだけ自分の感情を露呈したが、他のキャラクターには「欲望」もなければ「憎悪」もない。たたただ、ストーリーが淡々と進んでいるだけであり、やはりこのストーリーでは関心を引く要素は薄い気がする。[DVD(字幕)] 3点(2005-12-31 03:26:34)《改行有》

59.  ドミノ(2005) 《ネタバレ》 アメリカでは完全に黙殺されてしまった本作だが、トニースコット監督は才能があり、もっと評価されてもよい監督の一人だと思っており、自分は密かに注目していた。公開前に亡くなってしまったが実在した女バウンティハンターの生涯を描くというのも面白そうな題材だ。また、キーラナイトレーも今後主演女優として一本立ちできるかどうか重要な作品となった。 本作での(無駄に)凝った映像、(無駄に切り刻んだ)ストーリーの組み立て方などは個人的には彼の演出は評価したい。 しかし、実在した人物を描いた映画としては、全く評価できる部分はない、ひどいものであった。 いったいどういうつもりなのかは分からないが、アフガンとか、病気の少女(あのボスは30万ドルもないの)とか、後半の展開は「ひょっとしてそれはギャグでやっているのか」というストーリー。タランティーノやトニーの過去の作品に類似するストーリーにはただただ唖然とするばかりであった。 なぜ実在の人間を題材としながら、このような捏造されたでっち上げたストーリーを描いてしまうのか理解に苦しむ。この内容ならば「based on true story(たぶん)」とするよりも「inspired」程度に留めて、登場人物も別名でやるべきだろう。ドミノという冠が付いているがために、あまり本人と離れした映画にもできずどっちつかずの訳の分からない映画になってしまっている。実在の人物を描くという足枷が本作をダメなものとしてしまっているのではないか。この内容ならば当然アメリカから黙殺されてもやむを得ないだろう。 さらに付け加えると、本作はドミノという人物が全く描けていない。彼女が何を思い、何に苦しんで、何を得たのかというものが全く見えない。マザーに向かって「Ilove you」と言ってもなんだか全くわからない。「そういう映画だったっけ?」と自問したくなる。実在の女性を描くのならば、シャーリズセロン主演の「モンスター」ような映画にするつもりはなかったのだろうか。ないとすれば、架空の女バウンティハンターの映画を作ればよいのであってアプローチを間違えているとしかいいようがない。 また、キーラのイメージビデオとして見ればどうかと思ったが、主役の割には焦点がぼやけまくってこれも上手くいっていない。キーラ自身は頑張っていたが、この役には合っていないようだ。無理をして貧乳をさらすよりも自分にあった役を選ぶべきではなかったか。[映画館(字幕)] 4点(2005-11-05 23:52:15)《改行有》

60.  ヴェラ・ドレイク 《ネタバレ》 本作は2004年のアカデミー賞監督賞、主演女優賞、脚本賞にノミネートされた映画である。 確かに冒頭の数分を観ただけでも分かるマイクリーの素晴らしい演出に、イメルダ・スタウントンも迫真の素晴らしい演技をしていた。脇の役者も皆よい演技をしていた。 劇場では感動して泣いていた人も見られ、決して悪い映画ではないと思うが、あえて点数についてはちょっと低めにしたい。 個人的にマイクリーに対して深い思い入れはないのだが、彼の監督作「秘密と嘘」「人生は、時々晴れ」は点数云々とは別にして、本当に素晴らしい映画だと思った。 「家族」「夫婦」などをテーマにし、そのテーマを深く見つめた結果のいわゆる「落としどころ」という感じの‘告白’が観るものの胸を打つというのが彼の映画の特徴ではないだろうか。 この映画にも確かに落としどころはあるようにも見えるが、あまり心には響かない。というよりも響く前に終わってしまったというのが正直な感想である。 映画のポイントがピンぼけになっているとしか思えなかった。 ヴェラの行為は確かに人助けではあるが、脱法行為である。その彼女の長年の秘密は家族である息子、娘、夫でさえも知ることはなかった。その秘密を知ったときに、家族がヴェラに対する気持ちがどのように変化していくのかについてポイントをもっと絞った方が良かったのではないか。 夫や息子が物分かりが良すぎるのが問題だ。怒りや不信などがあってこそ、はじめてヴェラを本当に許せるようになれるのではないか。本作でも、もちろん夫は内面では怒り、息子も「恥だ」と母を蔑んだが、心の動きを描くに際して、比重や扱いが軽すぎやしないだろうか。 なぜヴェラがそのような行為をするのかという彼女の気持ちに対して、家族は真摯に向き合っていないのも本作に入り込めない理由になっている。 また、堕胎行為に対する是非、例えば法廷にて彼女が救った女性などを証人にたてて情状酌量などを訴えるということ、をあえてぼかした創りになっているが、これについて描くべきか否かは正直悩むところであるが、家族の心の変化にポイントをきちんと置いていないのでやや疑問かなと感じる。 彼女の行為に対して、どのように心を整理すればよいのかを‘家族’と同様に考えるためにも、堕胎の是非も描いてもよかった気がする。 この映画のセリフにあったように「白か黒か」で映画を観る人には向いていないと思う。[映画館(字幕)] 4点(2005-08-06 23:26:06)《改行有》

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