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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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61.  人生は、時々晴れ どんよりとした曇りがちな表情があふれる中で、いったい、いつになったらこの人たちの人生や表情は晴れるんだと我慢しながら観ていたら、やっぱりさすがにマイクリー、ラストは非常に上手く締めてくれますね。このラストのまとめ方は素晴らしいの一言。 自分にはファミリーがないので、それほどジャストフィットしなかったけど、中年夫婦ややや家庭危機があるファミリーが観れば、もの凄く感動するんじゃないかなと思われる映画であった。 とにかく、家族がいるにもかかわらず「孤独を感じた」という言葉は胸を刺す。 家族の在り方、夫婦の愛、人と人との向き合い方など、観て良かったなと思える映画であった。 確かに、役立たずかもしれないけど、自分への愛も尊敬も何もなければ、家族である意味はないな。[DVD(字幕)] 6点(2005-07-18 02:32:06)《改行有》

62.  秘密と嘘 10点を付けようか迷うほどの傑作だと思った。 久々に人間を描いた映画らしい映画を観た充実感を味わえるような気がする。 演出、脚本、演技のまさに三拍子揃った素晴らしい作品としか言いようがない。 個人的には、本作の役者(特にシンシア)の表情の変化がいいと思う。 冒頭は皆、どことなく表情が曇り気味でどんよりとした不幸せな感に満ちている。それもそのはず、それぞれがそれぞれに人には言えない秘密を心に抱えて生きている。 シンシアやモーリス家族だけでなく、モーリスが写す被写体の人々にも一瞬見せる笑顔の下には、人には言えない秘密を抱えているようにも思われた。 しかし、シンシアとホーテンスとの出会いをきっかけにシンシアが大きく変わる(特に表情)のがとても印象的だ。シンシアが変わり、またホーテンスの表情も豊かになっていく。 そしてあの誕生日会へとストーリーが繋がっていく…。 生きている以上、誰しも心に傷を負ってしまうのはやむを得ないのではないか。かくいう自分も色々と傷を負っている気がする。しかし、その痛みを分かち合える人がいるから人々は立ち直れるのだなあと気づかされた。確かに自分も傷を負ったときには、家族や友人に傷を癒してもらった気がする。本作は「家族」や「親子」をテーマにはしているが、広い意味で「人と人との関係」としても描かれているのかもしれない。 そう考えると、あの写真家の先輩みたいな人には、傷を分かち合える誰かがいなかったのかもしれないから、あんな風になってしまったのではないだろうかとも感じた。 それにしても、「人生は不公平」だとか、「人生ままならぬ」といったセリフが聞えてくる中で、ラストでは「人生っていいね」いうセリフを聞けるとは思えなかった。ラストの三人の会話や表情も心に響く。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-07-17 03:54:11)(良:1票) 《改行有》

63.  ザ・インタープリター 《ネタバレ》 バスの爆発くらいしか派手なシーンもなく、あっと驚くようなラストや仕掛けもない。もちろんショーンペンとニコールキッドマンが恋に落ちるような話でもない。 そのような一見地味な映画であるが、脚本が練りに練りこまれており後半以降は素晴らしい作品に仕上がっている。 その理由としては、大統領暗殺計画を舞台としたサスペンスではあるが、それに留まらず、様々な視点が織り込まれていると感じる。 まずはその大統領と社会的背景。 その国に関する複雑な関係と大統領自身の過去や二人の政敵がストーリーをより一層面白くさせている。 そしてショーンペンとニコールキッドマンの二人の関係。 妻を失ったショーンペンと暗い過去を持つニコールキッドマンの哀しみを知る二人の関係は絶妙だった。当初はペンはキッドマンに対して疑いの眼をもっていたため対岸にいるような遠く離れた平行的な二人の関係であったが、徐々に近づいていき、結びついていく様は見事である。 そして憎しみに対する「復讐」と「許し」をテーマに掲げていると思う。 復讐(映画で言う「溺死」)をすることによって、哀しみを一生背負うのか。許す(「溺れさせずに助ける」)ことによって、人生の新たな一歩を歩むのか。このテーマはこの映画にとって必要不可欠なテーマである。 そして「暴力と言論」。 暴力によって物事を解決しようとした過去と言論を信じて通訳の道を進んだ現在。ラストのあれが彼女の信念になったのかは分からないが、言論の重要性が語られたラストは見事な展開だった。 表面的にしか映画を見ない人には多少退屈な映画に感じるかもしれないが、よくよく見るとこれだけ色々なものが詰まっている。映画が好きな人には面白いと感じる映画ではないだろうか。 結構色々な映画に出ているが、シドニーポラック自身も、ショーンペンの上司役にて登場。それだけでもちょっと嬉しい感じがする。[映画館(字幕)] 8点(2005-05-21 23:27:59)《改行有》

64.  キングダム・オブ・ヘブン 《ネタバレ》 第一印象としては非常に勿体無い作品だなと思う。本来ならば、グラディエーター並に素晴らしい傑作になり得たのではないか。映像はリドリースコットだけあって文句の付けようがない素晴らしさ。そして描かれた舞台やその背景にも興味が引かれ、また深いテーマも描けそうである。さらに登場人物も各々それなりの思想を持ち、クセのある人達である。 それがあまり心に響かない凡作となってしまったのには、あまりにも時間が短すぎるのではないかと思う。2時間30分程度ならば、確かにグラディエーターと同様ではあるが、個人的には2部もしくは3部に分けて描いても納まるかどうか分からないほど描くべきことが多かったように思われる。 それがあまりにも、かっ飛ばして描かれていくので少しおかしな話になる。バリアンに惹かれないのも、主人公の心情を描くだけの時間を割いていないからだと思われる。 とは言っても、個人的にはバリアンはただの「ラッキーマン」としか思えなかった。 いきなり父の前に現れたと思ったら、皆を戦いに巻き込み、一人だけ無傷にいる。 いきなり船が転覆したと思ったら、何故か一人(他に馬)だけ無傷で助かる。 いきなり因縁つけられたと思ったら、父に数分教えられただけの技で、腕の立つ剣使いを倒してしまう。 何を考えてよく分からないが、いきなり数十人で百倍以上の敵に立ち向かっていき「さすがにこいつのラッキーもここまでだろう」と観ていたら、切り刻まれたのに、あの結果…。 最後には何故か一人木陰でたたずむところを数名の刺客に襲われても素手(石)で倒してしまうというストーリーには、はしょっているためかメチャクチャな展開が目立ってしまった。 また、父に託された「キングダムヘブン」の使命を全く理解していないところがバリアンに惹かれない部分であろう。 「(ギーを殺して、シビラと結婚するのは)私の良心が傷みます。私の魂は私のもの。」と言って、シビラとやっちまった揚句に拒否して、戦禍を拡大させる要因を作ったのには、誰も共感しないところだろう。 シビラとの結婚こそ、「キングダムオブヘブン」への道だと何故気付かん。 エルサレムに魂を引かれた人々を救ってやれよと思う。 最後に、エンドクレジット後に、ハンセン氏病に対する理解が示されていたのは好感的だ。観ている間に、この訳を使っていいのか、ちょっと引っかかっていたがやむを得ないところだろう。[映画館(字幕)] 6点(2005-05-15 02:11:45)《改行有》

65.  オープン・ユア・アイズ リメイクされた「バニラスカイ」とはストーリーは全く同じだが、これは恐らくストーリーを変えようもないほど本作が完璧なストーリーだったからだと再認識した。 本作も素晴らしいが、個人的には豪華な俳優陣を擁して、完璧な作品をより完璧に、また多義的な解釈を可能にすることで深みを増し、さらにキャメロンクロウ監督の独特の「甘さ」を混ぜ合わせた「バニラスカイ」の方が好きだな。 内容としては、たんなる複雑なサスペンスではなく、「夢」と「現実」の境目が曖昧となり観客を混乱させる面白さ、本来ならば当人が願えば叶うはずの理想の「夢」が「悪夢」へと代わっていく人間の弱さ、失って初めて気づく「幸せ」とは何かなど、様々なものが詰まった作品。 セザールが事故で失ったものは「顔」だけでなく、「顔」を失ったことで「心」までも失っていることが分かる。同じ女と二度一緒に居るところを見られたら評判が落ちると思っていたほどプライドの塊だった男が、「プライド」を失ったときの哀しさが痛々しい。 セザールが「悪夢」を見ることになったのも、セザールがプライドを無くしたことにより、自分への「自信」を喪失していたからのような気がする。 「顔」を失えば、ソフィアが自分のことを好きになってくれるはずがない。ソフィアの愛を信じられなくなったセザールの弱さがソフィアの顔がヌリアの顔になるという悪夢をセザールに見させたのではないだろうか。 ラストのネタあかしもちょっとはっきりさせすぎているのが気になるところ。「バニラスカイ」はこの辺りを曖昧にして、ネタあかしも含めて延命さえも生きている時の夢の一部という解釈を可能にしているのが面白いと思う。[DVD(字幕)] 9点(2005-04-13 22:38:07)《改行有》

66.  アザーズ 「シックスセンス」はネタが分かった条件で見ても様々な発見や、想いが通じ合えた際の母子の関係には深く感動させられるが、この映画は一度でも見てネタが分かってしまえば、大したことのない映画でしかなかった。 これほど中身のない脚本をラストまで引っ張り続けられる演出は誉められると思うが、もう少し中身を充実させることはできたはずだろう。 まず、本来生きているもの(ニコールにとっての幽霊的なもの)の出番が少なすぎると思う。ビクターと子ども達の会話やピアノシーンとラスト以外に登場させなかったのには恐らく演出家のこだわりがあったとは思う。確かに「はっきりさせないことによる怖さ」を狙っているのだろうが、それにしても勿体付け過ぎている。この映画を二度みるとそれがより感じられる。中盤の山場に一つ大きな仕掛けを用意しても良かったのではないか。中盤の山場にアンに霊能者を憑依させるのではちょいと弱いだろう。 そして、父親の存在。父親はグレイスの子ども殺しとの関係から重要なキーパーソンと考えられる。しかし、どことなく中途半端なイメージを受ける。 グレイスは夫が「戦争を口実にして、自分たちを捨てた」と思っていて、夫が戦争に行ったきり戻らず、その結果、精神的に追い詰められて子ども達を殺すことになったのだから、もっと重要な使い方をすべきだろう。 グレイスの誤解を解いたり、子ども達に対してグレイスが悪くなかったことを証明する必要があったはずだ。言葉による説明は特になく、キスシーン等の雰囲気でだいたいは分かるが、帰り際に「すまなかった」の一言では、彼の存在は個人的には勿体無いと思う。 使用人の使い方も若干甘いのではないか。特に三人いる必要性が感じられない。あれならミルズ一人でも問題ないだろう。もっとタトル、リディアにもストーリーを振らせても良かっただろうと思う。 この映画で唯一良かったのがグレイスを演じたニコールキッドマン。母親としての愛情の深さや夫がいないにもかかわらず一人で頑張り続ける強さを感じる。子ども達に厳しく接するのにも彼女なりの愛情を感じさせる。事件を起こす原因であったと思われる神経質な性格も醸し出している。[DVD(字幕)] 5点(2005-04-10 19:10:41)《改行有》

67.  ヒューマンネイチュア もの凄い洒落が効いているブラックユーモア。 「テーブルマナー」=現代文明の中における不要なもののメタファーとして描かれている点もユニークだ。 ネズミに不要な「テーブルマナー」を教え、安全な社会を作ろうとする博士ネイサン。 全てが外見で判断される容姿第一主義であるこの世界には生きれない毛むくじゃら女ライラ。 誰一人この世界では本能のまま生きることはできないし、本能を隠すことがこの世界に生きている証である中で一人本能のまま生きる野生児パフ、と素材は面白いし。 パフは銃でネイサンを殺し、ライラに罪をかぶせ、人々に嘘を付くというような「人間の身勝手さ」だけを学び取り、文明に毒されればもはやネズミですら元の姿には戻れないというラストも唸らされる。 しかし、ラストのネタに至るまでの話が正直上手くまとまっていないと感じられる。 ネイサンが「自分も類人猿になりたい」と本当の気持ちで叫ばせる必要があると思うし、そのためにはそれまでの過程をしっかりと描く必要がある。 ライラも上手く機能していない感じはする。 そしてパフによって「自然回帰」の大演説が打たれて、群集が本当にそのような気持ちにならないと、ラストが上手く活きてこないような気がする。 どこか論理が一つ飛んだか、少し結論を急ぎすぎたような気がするな。 もっとも「自然回帰」までも皮肉るつもりはなかったので、そこまでしっかりと描かなかったのかなという気もするが。 ともかく、お仕置きをしてまでオペラ鑑賞法やテーブルマナーを教育する姿には現代の本末転倒さを感じさせる。また、ストレートに「人間社会」と「文明」を皮肉った面白さは評価したい。8点(2005-03-21 02:14:40)《改行有》

68.  カジノ 凄い面白い映画でもあり、かつ凄いつまらない映画でもあった。 カジノを舞台とした様々な人間模様とカジノ・ギャング世界の「表」と「裏」を描いたこの映画は素晴らしい映画であり、各俳優陣も素晴らしい仕事をしていたと思うが、うんざりするほど長すぎると感じる。 同じ3時間でも長さを気にしない映画もあれば、この映画のようにもの凄い長く感じる映画もある。 それは何故かというと、演出というかストーリーが単調で一本調子のため、同じリズムで3時間ひっぱるのはよほどでないと無理というものではないか。 シャロンストーンは確かに熱演といってもよい演技をしていたが、彼女の部分は大幅にカットできるような気がする。 もっとも、デニーロとストーンの「愛」をメインテーマにしたいのなら別な話だが、この映画が描きたかったのはそれだけではないような気もする。 確かに、冒頭で「愛」とは信じることとか。互いに尊重しあい、思いやる心が愛とか。 命を預けあうのが夫婦とかなんとか言っているので、本当は、「愛」についてがポイントの映画なのかもしれないが、これまたジョーペシの熱演のおかげか、出来あがったものは違うものがメインテーマになっているのは明らかだろう。 7点(2005-03-14 01:54:03)《改行有》

69.  フォーリング・ダウン ロールプレイングゲームのように古い武器を使って、相手を倒して、更に良い武器を手に入れていくというのは面白いのだが、主人公のキャラクターがやや中途半端な印象を受ける。 主人公は離婚や無職のためにあんなに精神的に病んだ人間ではなく、どこにでもいる普通の男の方が良かった気がする。 ただ単に離婚した妻の所にいる娘にプレゼントを渡したいだけだったのに、周囲の誤解などの運命のいたずらにより、また社会に対しての様々な苛立ちのために切れてしまって、どんどんと転がり落ちる人生の方が面白い。タイトルもそうなっているだろうし。 融通の利かないバーガー屋や予算消化の道路工事、携帯が普及して今ではそんなこともなくなったが、何を考えて待っているか分からない公衆電話を待つ人間にはやや納得が出来ても、ゴルフ場での騒動や韓国人店主には少し理解に苦しむ。 まあコンビニで120円の缶コーラを買おうとしたら150円ですと言われたら、やっぱり切れるかな。3点(2005-01-16 18:27:27)(良:1票) 《改行有》

70.  ドアーズ ドアーズというバンドを描いた作品とは知っていたが、ドアーズの存在も知らなきゃ、ジムモリソンも名前以外何も知らない上に、「ハートに火をつけても」も聴いたことがないという者がこの映画を観るということはかなりの苦痛でした。 酒やドラッグで身を滅ぼして、破滅への道をひたすら進むというような単純かつ陳腐な映画ではないので、なかなか捉えどころが難しい映画に仕上がっている。 モリソンの苦悩のようなものをはっきり言って常人には理解しがたく、初見では何も見えてこない、何も感じるものがなかった。 モリソンとストーンが見つめた人生の意味や真実がよく分からないというのが正直な感想。 インディアンの曹長はちょっと引っ張りすぎのような気がしないだろうか。 あの幼少期に目撃した事故が彼の人生にそれほど影響を与えるものだったのだろうか。 点数は付けづらいが、キルマーの演技とストーンのかすかに感じられる才能を評価したい。 2点(2005-01-10 19:59:50)《改行有》

71.  ロスト・チルドレン 一言でいえばまさにダークなおとぎ話。 この世界観がやっぱりジュネオリジナルの世界と言って良さそうだ。 夢をみれない老化速度のはやい運命を持つ男に小人の女性、眠り病の6人のクローンそして頭痛もちの脳といった面々にくっついた双子と従順なノミを持つ団長そして弟想いの純粋な心を持ったワンとその純粋な心に惹かれる盗人の少女ミエットという組合せは普通ならあり得ないストーリー。 その上に奇想天外なダークな世界にワンとミエットの切ない関係を取り入れるのもあり得ない組合せだ。 それゆえにこの世界はまさに独特かつ特殊といって良い。 映画なのに「ノミ」がここまでクローズアップされる映画というのも始めて見た。そして少女の涙が引き起こすあり得ない結果もまた面白すぎる。 しかし、世界観は誰もが認める素晴らしさを持つが、デリカテッセン並に一般人がついていけない飛んだストーリーと演出のため評価は難しいと感じる。6点(2005-01-02 00:16:51)《改行有》

72.  ロング・エンゲージメント 《ネタバレ》 悪くない映画だ。 しかしジュネ色が随所にかすかに感じられるものの本当にジュネの映画なのか疑うほどあの独特の世界は影を潜めているのが気になるところだ。 「アメリ」で大成功したジュネであり、その成功にはトトゥが必要だったが、今回のマチルダという役にトトゥがふさわしかったのかどうか少し違和感がある。 演技自体をどうのこうの言うつもりはないが、年齢と相手との調和が非常に微妙な感じがする。 しかし自分の眼で確信できるまで、決して希望を捨てないという強い想いはしっかりと描ききれているし、3Mに象徴される二人の強い結びつきも感じられた。 本当に悪くない映画なのだが、単調さと分かりづらさが難点と思われる。 しっかりと創られている映画なので複数回観れば恐らくこの映画の良さが分かるとは思うが初見では全く感動するような部分はなかった。 6点(2005-01-01 21:03:45)《改行有》

73.  アメリ この映画は本当に人生って良いなと思わせる良さがあると思う。 幸せは自分の身近にあるもので、それを得られるチャンスが来たら思いきって飛びこむチカラを与えてくれる映画だと思う。 たとえぶつかって心が粉々に砕け散ったとしてもまたいくらでも軌道修正は出来るのではないか。 ジュネが創り出した世界観は見事としか言いようがない。 その世界観に色付けした色彩感がまた独特であり、世界観にいい影響を与えている。 この調和の取れた世界観に生きるそれぞれのキャラクターの描き方も見事の一言。 それぞれのキャラも細かく設定してあり、キャラがそれぞれ活きているとはまさにこの事だろう。 そのキャラクターに肉付けしていったトトゥの演技も素晴らしい。 アメリという人物を完全に演じきっているというか、成り切っているといえるだろう。 アメリは他人の人生の軌道修正をしているだけでなく自己の軌道修正を迫られている。 メインストーリーは自分の人生を変えたいけどなかなか変えることの出来なかったアメリの成長を描いていると思う。 几帳面で自己の殻に閉じこもりがちな元軍医の父と情緒不安定で神経質の元教師の母に育てられ、心臓病の誤診のおかけで友達と接することなく過ごし他人とどう向き合って良いのか分からなくなった幼少期。 幼少期から空想の世界に逃避せざるを得なく、現実と向き合えなくなったまま大人になった女性の今の世界から飛び立ちたいけど飛び出せないもどかしさが描かれている。 ニノに対してああも回りくどい方法を取らざるを得なかったのは、どう向き合って良いか分からないためであり、カフェで声をかけたくてもかけられず水のように溶けてしまったCGも見事にアメリの内面を表現している。 ニノとアメリは本当に似たもの同士だと思うが、彼らのようにちょっと内向的で特殊な方法で自分の心を癒している人々は現在の世の中に多いのではないか。 そんな人達に人生はもっと楽しむことができるということを教えているような気がする。 ドワーフネタは確かに良いのだが、アメリが駅付近で拾った写真集に夢中になっていてちょっとほったらかしになっているドワーフもなかなかツボにはまりました。10点(2005-01-01 20:47:18)(良:1票) 《改行有》

74.  デリカテッセン 独特で斬新さがあり、恐らくジュネ以外は描けない世界だとは思うけど、全く自分には合わないとしか言いようがなかった。 登場人物もそれぞれ面白いキャラだけど上手く活きてこないと感じる。 ベッドのきしむ音に合わせて皆が動くシーン以外はあまり観るところはなかったというのが正直な感想。 地底人とかはどうでもいいのが狙いだと思うけど、本当にどうでも良かったし、本当に暗くて何やっているのか分からなかったのも致命的でしょう。3点(2004-12-31 01:45:34)《改行有》

75.  スパイ・ゲーム(2001) 「スパイゲーム」というタイトルの割にはゲーム性もなく、007のような映画とは違い、真面目で落ち着いた出来に仕上がっている。 出来自体は決して悪くはないのだが、盛りあがりに欠ける為、期待ハズレと感じる人も多いだろう。 部下であったトム救出のために動き回るネイサンの退職の日の「現実」を縦軸に、75年ベトナムでの出会いから、76年西ドイツでの二人の考えの対立、そして85年のベイルートでの二人の別れを「過去」の回想を横軸に二重構造にして描かれている。 ネイサンの信念には「情報提供者に命をかけるな」というスパイの役目や負けられない危険なゲームと割り切ることが大切という考え方があり、一方、トムは理想肌で「人を殺すことは苦しいこと」と語っていたように「人の命の重さ」を知っている。 二人の考え方はだいぶ違うと思ったが、やはり二人にはどことなく似ている部分を感じさせるし、人間的な根っこは同じような気がする。本作では師弟愛が感じられた。 しかしなあ、ネイサンはベイルートでは当然の策とはいえ、トムを待たずに、キプロス義勇軍を使ってしまったり、エリザベスをトムから引き離すために拉致って中国に引き渡したりしているわけでかなり実際はかなり非情なオトコなんだよな。 トムとエリザベスの二人の愛が本物だとは知らずに拉致ったりしているから今回のような事件が起きたわけで、28200ドルは自分のまいた種を刈り取ったようなものかもしれない。 エリザベスとトムの二人には、救出後2台の離れたヘリコプターで見つめ合う姿に愛を感じさせずにいられなかった。 ネイサンの奥さんネタも随所に登場させているから、ネイサンの奥さん、家族、愛についての考えも少しだけでも描いて欲しかった気がした。 奥さんネタはやや消化不良に終わっていると感じたな。 衛星写真のすり替えや「ディナー作戦決行」の周りの反応などニヤリと出来る場面も多く、「ディナー作戦」と聞いた時のトムの反応も特に良かった。7点(2004-12-18 16:35:49)(良:2票) 《改行有》

76.  モーターサイクル・ダイアリーズ 旅をするために旅に出発した二人、詳細なプランは特別にはない、目的地はハンセン病施設。 そんなあてどもない旅を通して、ゲバラが何を見つけ、何を学んだのかという視点が上手く描かれていた。 学んだものは、ぶつける事が出来ないどうしようもない怒り、やりきれない想い、人々の貧しさと、人のために役に立ちたいという漠然とした気持ちが強い想いに変わったこと。 旅を通して自分が何をなすべきかを探し得たのではないだろうか。 嘘をつくことが出来ない、わけ隔てなく人に対して向き合い、人に対しての愚直なまでの率直さが、ガエルガルシアの真っ直ぐな眼差しとあいまって、人々を惹きつける魅力となっている。 旅をしているうちに様々な人々と触れ合い、大きく変わっていく自分。 そしてもう戻ることが出来ない自分もいた。 旅もそうであろうが、自分に対しても郷愁と興奮があるように感じる。 もう戻ることが出来ないなつかしい思いのする自分と、どういう人生を歩んでいくか興奮を感じさせる自分。 そのような目的を見つけ、皆にスピーチするゲバラを見つめるアルベルトはどことなく羨ましそうだった。7点(2004-11-20 22:40:12)《改行有》

77.  ロスト・ハイウェイ この映画に答えなんてないし、どのような解釈もアリだと思います。 時間軸のズレなど観客だけでなく監督すら迷宮に入りこんだような作品、しかし好きなジャンルの映画です。 たぶん合ってないと思いますが、自分なりの解釈を試みたいと思います。 妻を殺したのは、フレッド自身、しかし彼にはその自覚はない。 何故彼女を殺したかというと、妻の不倫を疑い、あまりにも妻を愛しすぎていたため、猜疑心によって気が狂ってしまった。 それに耐えられなくなってもう一人の自分であるミステリーマンという人格を作りだし、もう一人の自分が妻を殺したため本人には自覚がない。 テープにより証拠が固い為、死刑になり独房に入れられる。 ピートの話は大部分が妄想の世界と考えられる。 根拠はアリスという女性が写真から消えることと、ミステリーマンが「あの女はレネエだぞ」というセリフから推測できる。 自分を正当化し、自分の願望を達成するために創り出したフレッド自身の世界であり、現実ではないと思われる。 ピートはフレッド自身であり、アリスはレネエを投影した妄想で問題はないはず。 ピート編を全て妄想と片付けることが一番手っ取り早い解釈だが、ちょっと味気ない気がする。 ディックロラントとアンディを殺したことはなんとなく現実化したいので、自分のなかでは現実にフレッドが殺したことにしました。 アリスが「あなたが殺したのよ」と語ったセリフからそんな気がした。 二人を殺すことであたかも妻が死んだのはオマエラのせいだとだから復讐をしたかのように自分を正当化してるのではないだろうか。 そして警察に追われ続ける。 しかし、この解釈ではロラントが死んだ夜はロラントがレネエと別れてすぐの晩のはずだし、その翌日に「ロラントは死んだ」と自分に語ってるんで解釈不能であり時間軸のズレが気になる。 しかもビデオに自分が映っているのはもはや説明の仕様がなく、アンディが死んだ部屋にピートの指紋がいっぱいあると警察が言っていたり、ピート編での謎である誰もが口をつぐんだ「あの晩」について答えがないのが困りモノ。 そもそもフレッド自身がどうやって刑務所から出れたのか説明が出来ない。 謎だらけ、自分も迷宮に陥ったようだ。 「記憶は常に自分なりにする、起きたとおりには記憶したくない」とフレッドが言っているのがタチが悪すぎる。7点(2004-11-07 04:33:36)(良:1票) 《改行有》

78.  マルホランド・ドライブ 一切の予備知識なしでチャレンジした若かりし頃、見終った後の愕然とした気持ちを覚えています。「何もかも分からねぇ~、こんなん映画じゃねえゃ!」と吐き捨てた。見終った後に画面に出たキーワードを元に公式HPで映画のカラクリを理解し再チャレンジ。そしてストーリーや仕組みを理解はしたものの「映画としてのアイディアは凄いけど、内容はそれほど大したことはないね。」というのが2回目の感想。そして今日何年かぶりに観ました、これで3回目の鑑賞。「何もかも素晴らしいとしか言いようがない。」人間変わるものですね。DVDにはリンチのインタヴューがあり「映画のなかで全てが語り尽くされている」というのが本当に身に感じた。 前半の妄想には、本当はカミーラを殺したくない、殺しが失敗して欲しいそして自分とやり直してほしい想いが強く込められている。ハリウッドで失敗した憎しみや皮肉、アダム監督への恨みも強く感じられる。観ていてとても辛かった。ダイアンの想いが様々なカタチとなって、一見すると訳が分からないところにも複雑な意味が込められているのを知ると。そして妄想と現実との分岐点シレンシオで聴いた歌と前説で語ったセリフは意義深い。「オーケストラはいない、すべてまやかし。」前半はこの一言に尽きる。オーケストラは前半の登場人物達だろう。「あなたを忘れられずに一人で泣いている。自分に何ができるだろう、あなたを慕って泣きつづける以外には。」という込められた想いが重すぎる。はっきり言って、この映画はミステリーでもなんでもない、一人の女の切ないラヴストーリーと言っていい。青いカギを見付け殺しが成功したことを知ると精神を保てなくなり妄想に乗っ取られたようなカタチで自殺する。妄想に襲われなくても彼女は生きていけなかっただろう、カミーラがいなくては。冒頭のジルバ大会の明るい雰囲気と異なり、夢や希望とともにロスへ来て、夢が破れ、最愛な人に捨てられた絶望と恨み…。最愛の人を殺して自殺するというラスト…。それにしてもナオミワッツの演技は凄すぎる。彼女なしで本作はこれほど素晴らしい作品にはなり得ない、カミーラを見つめる眼の奥に愛情、憎しみが交じり合った複雑な想いが込められていた。点数は9点に留めておくが、まだ自分が完全に理解していないような気がするため。もっともリンチは理解するのではなく、音楽のように感じて欲しいと言っていたけど。9点(2004-11-03 19:09:07)《改行有》

79.  セントラル・ステーション ブラジルの苦しい現実は随所に垣間見れたが、何かに感動するような部分はなかったというのが感想。 でも、好きな人には好きな映画なんでしょうね。 あのおばちゃんと少年の心の変化というか成長が上手く伝われば良かったんですが。 二人にとってお互いがかけがえのない存在になっていくようなシーンがもっとあれば良かったんだけど。 お金もなくなりどうしようもない時にジョズエが代書を提案して、儲けたお金で写真を取り、ホテルのベッドでたわいもない会話をするような所は二人の関係がぐっと近づいた気はした。 おばちゃんもかつては捨て去っていた手紙を道中ではちゃんと出していたような気持ちの変化は感じ取れた。 果たしておやっさんの手紙には本当にジョズエのことが書かれていたんだろうかとか、おやっさんはどこに行ったのか(いつからいなくなったのか忘れたけどジョズエ母の訃報を聞いていなくなったのかと思ったが)とか、そういうあやふやにしている部分は逆に良く思われた。5点(2004-10-17 02:05:29)《改行有》

80.  ドリーマーズ 《ネタバレ》 ベルトルッチはラストエンペラー以外見たことないのであまり上手く理解はできなかったけど、三人の絶妙なバランスがとても良かった。 テオの「自分たちは一卵性双子だから」と少しあきらめがちに語るセリフとイザベルの狂おしく扉を叩く仕草、「私達は永遠よね」とテオに語るセリフに、離れたくても離れられない双子の関係とそれに振りまわされるマシューの姿が印象的だった。 二人を現実に引き戻したくても上手く出来ないマシューが痛々しい。 そして徴兵が逃れてきた平和主義者のマシューと活動したくても何をやっていいのか分からないテオとこのまま夢を見たままで終わりたかったイザベルの三人のドリーマー達に襲い掛かる革命という別の現実が否応なく夢から現実に引き戻す。6点(2004-08-29 16:34:08)(良:1票) 《改行有》

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