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1. ベニスに死す
《ネタバレ》 真の芸術、美の創造に悩む老いた作曲家がベニスで美を追い求める物語。
作品のテーマは美と醜、若と老、純粋と不純、そして生と死である。作曲家と出会った美少年はまるで対照的で、手の届かない存在なのだ。それはまさに芸術家としての自らの人生に重なる。
作曲家は自身が創造できなかった理想の美を少年に見出し、一人の芸術家としての己の人生をかけて少年を追うのだ。そこに肉欲は存在しない。
そして美しきベニスに忍び寄るのは伝染病の影。ここにも美醜の精神が表現されている。
作曲家は自らを騙し、老いを隠すため若作りをする。しかし、自らの醜さを隠したところで美を得ることは出来ない。ラストシーンで化粧が剥がれ落ちていく作曲家は遠くに少年が太陽に照らされる姿を見ながら、死ぬ。自分の実践する/してきた美は偽物であり、本当の美を認識させられるのだ。
本作は芸術や美の存在について提起し、死を描きつつ作曲家の半生を壮観する見事な芸術作品。[地上波(字幕)] 9点(2020-04-07 16:47:34)(良:1票) 《改行有》
2. レスラー
めちゃ深い映画。
年老いてもプロレスで会場を沸かせる一方、娘との不和、貧窮、恋などリング外で待ち受けるのは厳しい現実。それは目を覆いたくなる程のリアリティで描かれるプロレスで負う傷や病気よりも痛々しい。そんな辛い現実と寿命を確実に縮めるが華やかなリングのどちらが自分のステージなのか葛藤する主人公。
プロレスにはどちらが善玉でどちらが悪玉かというシナリオが決まっているが、現実世界にはそんなものは存在しない。
”名前”が人生において選択した道を表現している点も深い。[DVD(字幕)] 9点(2020-03-25 13:32:27)(良:1票) 《改行有》
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