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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. バハールの涙 戦争の残酷さとそこから立ち上がる人間の強さを、女性の視点で描いた異色の戦闘ドラマです。 かつて弁護士として平穏な生活を送っていたバハール。 しかし、ある日突然クルド人自治区の故郷がISの襲撃を受け、家族や大切なものを失ってしまいます。 息子は連れ去られ、男性が皆殺しにされ女性たちは無慈悲な扱いを受けます。 バハールは息子を救い出し、自らの尊厳を取り戻すため、 女性だけで構成された武装部隊「太陽の女たち」のリーダーとして戦場に身を投じるのです。 本作の大きな魅力は、「女性が戦士として戦う」という新しい視点にあります。 被害者であったはずのバハールが、悲しみと怒りを胸に戦士となり、戦い続ける姿に強い衝撃と共感を覚えます。 また、戦場での出来事を記録する片眼を失った戦場記者マチルドの視線を通して戦闘が描かれることで、 まるでその場に自分がいるかのような臨場感を味わえます。 それにより緊張感や人々が抱える深い悲しみ、そしてどこか儚くも美しい瞬間が浮かび上がってくるのです。 監督のエヴァ・ユッソンは、現実に起こったISによるクルド人自治区での惨劇に触発され、自ら現地に足を運んで取材を行いました。 そのため、映画には実際の出来事に根ざした説得力があります。 映像美にもこだわりが感じられ、戦闘シーンでのまるで表情を抽出したようなクローズアップによるダイナミックなカメラワークと緻密に計算された構図。戦闘シーンの静と動を美しく融合させています。 そのためか、戦場の混沌とした情景と、バハールの緊張が混じりあい、印象深い映像となっています。 女性が闘うということで勇敢な女性たちの姿を期待してしまうのですが、そんなものではなかった。 戦争がもたらす悲劇や、無力感を現実の戦争に立ち向かうことで彼女たちがどう変わって、そこで得るものはいったいなんなのか。 重い気持ちで知ることになります。 それこそが監督が訴えたかったものではないかと思うのです。[インターネット(字幕)] 8点(2025-03-22 03:31:08)《改行有》 2. シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~ フランス料理界を舞台にしたドタバタコメディ。 主人公のジャッキー・ボノ(ミカエル・ユーン)は、天才的な味覚を持つが、 個性が強すぎて職を転々としているシェフ。 一方、ジャン・レノ演じるベテランシェフのアレクサンドルは、スランプに陥りながらも三ツ星レストランを守ろうと奮闘する。 両者ともキャラクターが際立ちすぎており、時に騒々しく感じるかもしれない。 そしてジャン・レノの演技はややベタだが、 これも新喜劇のように割り切って楽しんぢゃえるかどうかで好き嫌いが分かれそう。 喜劇なんですから割り切らなきゃね。 フランス料理レストランのまさに舞台裏も楽しめる良作。[インターネット(吹替)] 7点(2025-03-16 03:58:50)《改行有》 3. パリの調香師 しあわせの香りを探して パリの街並みを背景に、香りの持つ魔法のような力や、その奥深さを感じさせる映画だ。 香りは単なる嗅覚の刺激じゃなく、見る者の心をそっと撫でるような存在に昇華されてる。 映画全体に漂うパリのエレガンスは、どこか懐かしくも新鮮。 石畳の路地や歴史を感じさせる建物の間から、ふと香る花々やカフェのコーヒーの香りが、 まるで視覚と嗅覚がシンクロしてるかのよう。 映像の隅々にまでこだわりが感じられて、パリの情緒がじわじわと心にしみる。 調香師という職業の魅力は、単に美しい香水を生み出すだけじゃない。 街中に漂う様々な匂い―革製品の風合い、木々の温もり、さらには時には不快な地域一体の臭いまで―を、 一つのハーモニーに仕立て上げるその繊細な技術と情熱を浮き彫りにしてる。 匂いが持つ奥行きと、そこに込められた匠の魂を感じさせ、香りそのものが生きているみたいな印象を受ける。 そんな香りのマジックをモチーフに人間関係の香りのハーモニーが始まるのだ。 作品の魅力は、香りの世界で知り合った主人公たちの関係性。 調香師としての高い技術が道しるべとなり、 互いに影響し合いながら成長していく姿が、何気ない日常の中に潜む温かさを映し出してる。 香りが象徴するように、二人の個性や感性が混ざり合い、 新たな可能性を生み出すプロセスは、見る者に静かだけど力強い感動を与える。 映画を通して伝わるのは、忙しい現代人にも見落としがちなコミュニケーションを 香りの調合のように再認識させる力だ。 映画が終わった後、ふと立ち止まってみたくなるような、そんな不思議な余韻が残る。 香りに包まれたパリの物語、ぜひその世界に浸ってみてほしい。[インターネット(字幕)] 8点(2025-03-10 02:33:59)《改行有》 4. パリタクシー 人生の成功とか幸せって、豪華な旅や贅沢で垢抜けた生活、派手な成功じゃなく、 日常の中に隠れた本当の豊かさの中にこそ見つける物語だ。 豪華な体験ばかりが豊かな人生だなんて、俺は思わないね。 映画の中のタクシー運転手シャルルは、まさに「俺は負け組」だと感じてた奴だが、 終活に向かう92歳のマダムとの出会いで、ふとした寄り道から自分の内面に眠る価値に気づくんだ。 『ドライビング・ミス・デイジー』みたいに、運転手と高齢者の温かいやりとりはあるけど、 こっちはもっとグラウンドな現実味が強い。 ミス・デイジーは上品で優雅な旅路を描いてるが、シャルルの場合は、苦悩と挫折がリアルに映し出され、 その上で「寄り道」っていう小さな出会いが、人生の暗闇からほんの光をもたらす。 つまり、単なる慰め話じゃなく、自分の苦しみから解放されるための一歩なんだ。 タクシー運転手の視点というのは、社会の上層部から見た成功体験じゃなく、 どん底から這い上がるリアルな体験があってこその豊かさを感じさせる。 これって、ただの上から目線の成功ストーリーとは違うし、持たぬ者への単なる慰めでもない。 さらに、パリの街並みやシャンソン、ジャズの雰囲気が、ただの背景じゃなく、 登場人物の心情を反映する「記憶の舞台」として機能してるのが新鮮だ。 派手な演出よりも、日常の一瞬一瞬に込められたドラマが、俺たちに「本当の豊かさ」を問いかけてくる。 本当の人生の価値って常に身近なところにあるんだよ。 誰もが人生の成功者になれる資格を持っているよって俺たちにそっと教えてくれるのだ。[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-09 07:33:03)《改行有》 5. デリシュ! 食の革命が始まる瞬間を見逃すなって思わせる、1789年のフランス革命の年のおとぎばなし 宮廷の煌びやかな世界と、禁断の一皿に挑む料理人の熱い情熱がぶつかり合う。 画面に広がる鮮やかな映像と、時代を感じさせる厨房のドラマ。 ジャガイモ料理がただの料理じゃなく、旧体制に対する反抗の象徴なのか。 民衆の自由と正義を求める魂の声が料理となって映像美と共に堪能できる。そんな映画。 フランス料理が民衆に解放されたのがこの頃と言われるので そんな逸話のようなお話なのかもしれない。 軽く楽しむ感じでみてあげましょう。[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-09 02:37:40)《改行有》
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