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1. JUNO/ジュノ
《ネタバレ》 作り物のような別世界のストーリーではなく、ナチュラルで身近に感じられる点が本作の良さではないか。
賞を狙って背伸びしてカッコつけるのではなく、ジュノたちのようにありのままの姿を自然体で描こうとしている点に好感がもてる。
本作には、映画やドラマにありがちな劇的な事件や劇的な変化があるわけでもない。
ただただ、それぞれの登場人物がゆっくりと前に向かって歩んでいこうとしているだけだ。
したがって、感じ方はなかなか難しいものとなっている。
つまらないと感じさせる部分は皆無だったが、「メチャクチャ感動した」「メチャクチャ面白い」「非常に共感した」というようなことはなかったのが正直の感想。
アカデミー賞で評価されるほどの作品かどうかはやや疑問だ。
ただ、男性と女性、又は年代(特にティーンかどうか)によって感じ方が異なる作品かもしれない。
個人的に強く感じたことは、人生においては失敗するということは何度もあるけれども、深く悲観する必要はないということではないか。
人生が完璧ということやパーフェクトということはあり得ない。
あの夫婦や、ジュノの父親も一度は失敗している。
失敗や何かを恐れて行動しないよりも、自分を偽らずにありのままの姿を晒して、自分らしく生きろということだろう。
あの夫婦のうち、夫の方はあきらかに自分を偽っていた。
そして、妻は夫に偽りの姿を演じさせることを強要していた。
自分らしく生きることができないと夫婦関係や恋人関係には歪みは生じるということなのだろう。
そんな欠点のある妻に、ジュノは自分の息子を託したのは、子どもを持ちたい・子どもを愛したいという彼女の気持ちには偽りがないとジュノは感じたからではないか。
彼女は子どもが欲しいという気持ちをありのままさらけ出していた。
分かりやすいコメディタッチの女子高生妊娠モノ映画と思われがちだが、演技・演出・脚本など、細かい部分を繊細に描かれているような気もする。
一般向けというよりも、やや玄人向けの映画と思われるので、自分には少々向かないところもあった。[映画館(字幕)] 7点(2008-07-02 23:39:33)(良:2票) 《改行有》
2. サイドウェイ
《ネタバレ》 熟成されたワイン同様に、単純ではない深みのある味わいのある映画なのかもしれない。
この映画はワインを飲むのと同じようにその深みのある微妙な味の変化が分かる人には
素晴らしい気持ちにさせてくれるかもしれないが、ジャックのように何を飲んでも同じという人には向いていないのかもしれない。
何を言いたいかというと、ジャックは自分だということ。
自分はこの深い味わいを心から楽しむことはできなかった。
アカデミー賞ノミネートや各賞で受賞しているため、モノ凄い傑作を期待していたのだが、充分面白かったし、笑い転げたりもしたが、なんともハマリにくかった気がする。
ワイナリーを巡る旅を通して、中年の男が自分の人生のピークを過ぎたあと、もう一度自分の人生を見つめなおすという話かと思っていたが、個人的には正反対の性格を有する二人の男のユーモア溢れる友情ものがたりにも映った。
小説家を目指すも、別れた妻への想いを引きずる陰湿なワイン好きのマイルスと、落ち目の俳優でありながら、結婚を控えた陽気な女好きのジャック。
二人はお互いの陰湿さや女好きに辟易としながらも、どこかお互いを助け合ったり、心配している。
ジャックはジャックなりにマイルスのことを心配していたし、朝帰りのマイルスを彼なりに喜んでいた。
マイルスもムチャクチャなジャックの頼みを親友だからこそ、命がけで果たしたように見えた。
そんな二人の友情は微笑ましかった。
この映画は人生を見つめなおしていなかったというとそうではない。
別れた妻への想いを捨て去るために起こした61年物のシュヴァル・ブランに関連する彼の行動は
素晴らしい。
まさにあれこそ、前の人生の区切りをつけて、人生の再スタートを切るための祝杯にふさわしいだろう。
役者の演技は、マドセンやチャーチよりもジアマッティはずば抜けて素晴らしい。
顔だけで哀愁漂うし、雰囲気で演技できるというのは特筆すべき点だと思う。6点(2005-03-05 21:58:32)《改行有》
3. アドルフの画集
画家としての道と政治家としての道の岐路に立たされたオトコの人生をもっとドラマティックに描いたほうがいいのではという気がした。
どうせマックスなんていう人間は架空な人物だし、あのバーでもし会っていたらこのオトコの人生がどう変わっていたか?
あの画集にはどういう未来が描かれていたか?
というような想像を掻き立てるドラマティックなラストに繋がる演出が望ましかった。
どうも自分の演説により自分の画家としての道がふさがってしまった悲劇がこちらに伝わってこない。
マックスも架空な人物なので思い切って、戦争により片腕を失い画家としての道が閉ざされてしまった挫折感を満たすために、ヒトラーに自分の未来を重ねていき、自分の内面を見つめさせることにより眠っていた悪魔を起こすような結果になったという世界を描いた方が自分的には良かった気がする。
ヒトラーを美化することが出来ないという風潮がやや中途半端なものにしてしまったのかもしれない。6点(2004-03-04 00:05:23)《改行有》
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