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【製作国 : ソ連 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ピロスマニ 死して評価された芸術家の代表格としてゴッホの名がまず挙げられるが、本作のニコ・ピロスマニもその一人。「彼の画を鑑賞すれば、グルジアを理解できる」とまで言われたほどで、ピロスマニは民衆の中から生まれ、独学でグルジア民族の魂を豊かに描きあげた偉大な画家である。とは言え、彼の画は日々の糧を得る為に描かれた作品ばかりで、所詮、看板の絵描きに過ぎなかった。この映画は、そんな飢えと孤独のうちに報われぬ生涯を閉じた不遇の天才画家の半生を、詩情豊かに描いた秀作である。本作の最大の見所といえば、ピロスマニがこよなく愛したグルジアの美しい風土と、そこに暮らしている人々の生活を、彼が描いた画そのままを映像化している点にある。画の構図やタッチなどは彼の画そのもので、この映像表現はまさに画期的であり、同時に極めて芸術性が高いものだと言える。その事によって我々観客は、彼の作品世界そのものを存分に味わえるという恩恵に与かるのである。世界映画史にややもすると埋没しかねないほどの隠れた名作とも言え、それだけに出来るだけ多くの人に鑑賞していただきたいと、切に願うのであります。9点(2003-11-13 14:30:25)(良:2票) 2. SOS北極.../赤いテント 実話の映画化で、テーマは、傷ついた隊員を残してリーダーがまっ先に救い出されて良いのかといった、探検隊の指導者の人間性を追及するというもの。北極での飛行船の遭難で、40年もの歳月を経てもなお事件を振り返って苦悩するノビレ将軍。その前に犠牲者たちなどの亡霊が次々と現れ、彼を非難し始める。その中には生涯を極地の探検にかけ、救出に向かったまま消息を絶ったアムンゼンの姿もある。本作では、この偉大な人物を失った深い悲しみとその損失の大きさ。さらに彼が将軍の良き理解者だったことにも焦点があてられていく。この過去と現在を交差させながら、生者と死者がひとつのテーブルを囲み、真実の究明に対峙するという劇的構成がユニークで、テーマを浮かび上がらせるには実に効果的だが、本当の主役は、このちっぽけな人間たちをそっと見守っているかのような北極の大氷原にほかならない。ひたすら真っ白で厳しい大自然の美しさ。まさに本物の迫力には圧倒される。そして氷山が海に崩れ落ちていく美しいラストシーンにかぶる、雄大で哀愁を帯びたA・ザツェービンの旋律が、この作品を格調高くより印象深いものにしている。必聴。9点(2002-08-18 17:16:16)(良:1票) 3. デルス・ウザーラ ひと目見ただけでも主人公デルス・ウザーラが本当に素朴な自然人であることがよく分かる。しかも彼は賢くモラルも高いし、素直で合理的な考え方の持ち主でもある。果てしないシベリア大密林の深々とした実感。その大自然をしっかりとした映像で捉えた上で、そこに根を生やしているような人物を人間的な豊かな温もりと愛情を持って、一大叙事詩として見事に描き切る。自分の力を発揮できる場がなく日本映画に失望を感じていた頃の、これは黒澤明監督としては異色の作品だと言える。8点(2001-11-25 17:43:45) 4. 惑星ソラリス “死”は絶対的なものでありそれは人間の終結をも意味する。そして“愛”もまた死する。しかし夫クリスの自殺した妻ハリーが“知性を持つ海”=ソラリスにより復元され、しかもすべての記憶と感情を備えているとしたら、愛は再び蘇生するか?という哲学的な命題を、タルコフスキーがこの作品で表現したかったことだと思う。彼女が甦るシーンや無重力のシーンなどはとりわけ息を飲むほど美しく、ハリウッド製SFとはひと味もふた味も違った印象をもたらしてくれる。この作品が「2001年宇宙の旅」の対極にある、もう一つのSF映画史における金字塔と言われるほど完成度が高く奥深い内容ものであることは、疑う余地のないところだ。10点(2001-10-06 14:30:31)
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