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1. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
《ネタバレ》 もう二十年近く前からの原作ファンとしたら、遂に完結したこのシリーズに関わったスタッフキャスト全員にほんとにただただありがとうを言って廻りたいと思います。もうね、いちいち号泣。もちろん僕が思うのと違うシーンだってありますよ。特に、ファラミアとデネソール親子とかね。あれはどうかと思うんです。でもね、やっぱり全編にわたって原作に対するすごく真摯な愛情を感じました。いろんな映画的な脚色はすごくよかったな、って思うんです。結果的には。いろんな評価を見て思うのは、原作を読んだこと無い人たちが、すごく楽しんでくれてて、それがなんだかすごく嬉しいんですよね。原作ファンだけの自己満足で終わらずに、ちゃんと、(まあ、三作全部見ないと着地しないんだけど)映画としての完結を、これ以上無いぐらい果たせてるのが、嬉しいんです。大きな、とりわけものすごく大きな物語が語る、すごく小さな想い、”指輪”ってつまりそういう物語だと思うんです。そうやって終わってくれただけで、僕はピーター・ジャクソンにありがとうを言いたい。「おら、しなきゃなんねえことをするだ、わかってくださるだか?フロドの旦那?」フロドって結局なんにもして無いじゃん。弱いじゃん!ゴラムって最後もなんなの?っていうか最後意味わかんなーい!最後長くない?そんな感想が多いのはわかります。でも違うんです。あのラストは、ああじゃなきゃだめなんです!ああやって終わる指輪物語が、僕たちは大好きなんです!「今、帰っただよ。」ああ!もう!終わって欲しくない物語の終わる瞬間!きっと映画だけで楽しんだ人は、ひどく駆け足だったでしょう?だから僕は、映画としての評価はきっと出来ないんです。でもやっぱり、満点をつけちゃいたくなるんです。至福の時間が、束の間過ごせたから。
[映画館(字幕)] 10点(2004-03-13 01:45:48)(良:2票) 《改行有》
2. ラスト サムライ
《ネタバレ》 意外と面白くてびっくり。でも好きかと聞かれたら、好きじゃないです、ってはっきり言える。そんな映画でした。きっとすごくいっぱい日本のことも勉強して、脚本も練って、美術も凝って(美術は特に素晴らしかったと思います)、きちんと作り上げてるのはわかるんです。でも好きかって言われたら、好きにはなれない。なんでしょうね。うまく言えませんが、武士道って絶対にこういうことではないと思うんですよ、僕は。この映画で描かれる武士道って、どこかで滅びの美学、みたいなものにすり替わってる気がするんです。そしてすり替わってしまった武士道が、自己犠牲を美化してて、何かに殉じて死んでいくことを称揚している気がするんです。それって全然武士道ではないと思う訳です、僕は。武士道って、そんなことだと履き違えるからこそ、滅びてしまった概念だと思うんですよね。いかに生きるかをがむしゃらに突き詰めていったはずの考えを、滅びていくものへの哀惜みたいなものに巧みにすり替えてしまうことへの違和感が最後まで拭えませんでした。滅びる事への限りない哀惜はたとえば、「ワイルドバンチ」(最高に好きな映画です)みたいな形でしか現れないと思うんですよ。つまり何かに殉じて死ぬなんて何の意味も無いばからしいことだ、そんなのわかってる、それでもそれを全部わかった上であえてその醜さにに踏み込んでいく。滅びていくことってそういうことだと思うんです。この映画で肯定されて、美しく描かれているものって、大げさかもしれないけど、結局、アメリカが振りかざす正義とか、アルカイーダやオウムやパレスチナのテロリストが振りかざす正義につながってしまうものだと思うんですよ。美しさと正しさを、それと気づかずに混同してしまうことはやっぱり僕は違うと思う。まあ、そんなでかいこと言わなくたって、細かく言えば笑っちゃう突っ込みどころ満載なんですけど、この映画。いや、しかしトムクルーズ。彼がいなきゃこの企画自体成り立たなかったんでしょうけど、それにしたって、彼のポジションはあくまで狂言回しなんだから、それに徹して欲しかったです。チューすんなよ!小雪ちゃんと!最後も予感で終われよ!顔で終わんなよ!それじゃただのスター映画だろ!結局この映画のほんとのサムライは渡辺謙さんでも真田さんでもなく、日本一の切られ役、福本さん(ボブ!)だったなあ。そう思っちゃいます。5点(2004-03-12 23:48:26)(良:2票)
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