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1. ゼロの未来
《ネタバレ》 真面目に生きて真面目に仕事を頑張り、
ひとつのものを追い求めるあまり心を病んで扉を閉ざした人(主人公コーエン)、
その脳内世界を表現したものだと理解した。
ラスト近くの我々君のパジャマ姿は「患者」ということだろう。
だから観ている私たちにとって筋が掴めず難解なことも計算なのだ、多分。
外に出ろ!とかあなたが好き!などの言葉を拒絶して自我の中だけで暮らし、
おそらくさまざまな経験で傷ついた後に沈んだ「虚無」の渦を見つめ、
それを追い求めることを止められないその姿。
我々君は虚無を選び飛び込んで行ったのだ。
現実との決別だ。
私の心には少し悲しい物語として映った。
ブラジル以後いくつもの作品で見てきたアイテムがちりばめられ心地良く、
彼の世界はやはり現実を超越した人のなかに息づくものの投影なのだと思った。
現実と折り合いをつけずにまたこんな作品を作った監督に拍手。[映画館(字幕)] 8点(2015-06-24 21:19:52)《改行有》
2. 4ヶ月、3週と2日
思い出したくもないような日、それは誰にでもある。やたらに汗をかき心をぶるぶると震わせて、ものを食べる気にもならずに気がつくと足が棒になっているような、大変な一日。長回しで作りだした主人公オティリアの悔しくて怒りに満ちた空間を、疲弊した人々や町と一緒に切り取ってみせた映画。暗いけれど、そこを生き抜く人たちの強さも感じる。しかし、彼女の映画のなかの時間は全て友人や恋人のためにあった。なんでそうまでするのかと首をかしげたくなるほど。ロシアがソ連だった頃にそこで暮らしていた人が「何もないから、みんながピュアだった。」と言っていたのを思い出す。[DVD(字幕)] 7点(2013-01-12 20:38:40)
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