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【製作国 : カナダ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 300 <スリーハンドレッド> 《ネタバレ》 前を向いてマッチョ、右を向いてマッチョ、左を向いてマッチョ。2時間たっぷり暴れ回るマッチョな男達。ザラついたセピア色の油彩のような画面に、独特の濃淡で描いたこの映像は、なんという手法なのだろうか。裸の漢(おとこ)たちの闘争を描く舞台としては、誠に最適な手法だと思う。統率の取れた動き、舞踏の様な殺陣、騎士道や武士道とも異なる、東洋の繊細な美しさとは対照的な、無骨な肉体至上主義。‥‥‥もともと私は残虐シーンで飾り立てた映画は受け付けないタチだが、この映画は別だった。残虐の映像度をモノクロームの映像で軽減する手法は「シン・シティ」も同じだが、この映画は、全ての場面を映像と構図で美しく見せようとする作り手の熱意と意図が感じられる。これを実写そのままに見せていたら、それこそ観られたものではなかっただろう。この映像手法は、物語の多くを占める残虐な画面をすら芸術として魅せようとする、作り手の明確な意思表示、覚悟だったのかもしれない。ラストシーン、矢の中に横たわる男たちを俯瞰から撮影した場面は、まるで教会のステンドグラスのように見えた。‥‥‥ペルシャの王を中性的に描いたことで、この映画もまた随分バッシングを受けたようだが、そんな物語や歴史観など、作り手にとっては何と批評されようが関係なかったに違いない。描きたかったものは、躍動する肉体美と、全ての画面の魅力を倍増させる、この映画にはこの上なく適した映像美。そして、余計なモノを一切挟まないシンプルな物語。ただ作り手のこだわりだけに徹底された、良い映画だった。[映画館(字幕)] 8点(2007-06-04 00:49:05)(良:3票) 2. ホテル・ルワンダ 《ネタバレ》 民族同士の争いには無縁の生活を送っている島国に育った私たちには、下のレビューにもあるように「『怖いね』と言ってディナーを続けるだけ」の人間でしかない。単なる集団ヒステリーでは片付けられない、凄まじい憎しみがあるのだろう。理想を説いて聞かせるだけの薄っぺらで能天気な平和論など、厳しい現実の前ではかき消されてしまう。……イラクに派遣されている米軍の目的が世界平和でなく石油の利権にあるように、大国が軍を駐在させているのは決して「守ってあげるため」ではなく、所詮利益目的でしかないのが現実だろう。……平和を語る理想より、手段はどうあれ救われるだけの現実にすがりつきたいのに、賄賂も、人脈も無い、助けも来ない。そんな極限状況の中で家族や人々をよく守りきったものだと思う。臆病者の私には決して真似できそうにないその勇気に敬意を表したい。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-01 16:52:40) 3. ファンタスティック・フォー [超能力ユニット] アメコミ映画の常道で、底は限りなく浅いのだが、邦題からして予測できた安直な筋書きも笑って許せる娯楽作品。ただ、2作目が出ても多分観ようとは思わないな。目立ちたがり屋のライター男がユーモラスで好き。[映画館(字幕)] 4点(2005-09-24 12:14:31) 4. エイリアンVS. プレデター 《ネタバレ》 2大スター(?)の夢の共演と言うことで、なんにも考えずに観れた。冷酷無比のプレデターが、人減相手のジェスチャーなどやたら人間臭い。終わり間際のプレデターとのボブスレーは結構笑えた。プレデターはもっと人数増やして、大軍団同士の激突かと思っていたら、結構戦いは地味だった。人間は早く死に過ぎ。あっという間にみんないなくなっちまって恐怖も半減だ。なぜかみんなエイリアンが「宇宙の」トカゲだと知っているし。[ビデオ(字幕)] 4点(2005-05-27 11:50:46)(良:1票) 5. トリコロールに燃えて 《ネタバレ》 最初はヒロインがわがままな両刀使いの尻軽女、主人公が思い切りがないだけのヒモにしか見えず、さっぱり共感できなかった。人間の道徳的な視点からは、本当の孤独を感じるまでの彼女の生き方はお世辞にも褒められたものではなかっただろう。しかし最後の手紙に記してあったように、「今という現実のみをシビアに見つめ自分だけの損得を考え、自分にとって最良の道を選んで生きる」という考え方から見ると、当初の彼女の生き方も理解出来なくもない。しかし自分と今の為だけに生きるというのは、余りにも刹那的で悲しい生き方だ。二人が自分の元を去った時ヒロインが孤独を感じたのは、単に二人を愛していたからだけではなく、二人が彼女と相反する「公的な理想の為に目的を持って生きる」という道を選択したことに理由がある。それに気付き自らの生き方を変えても、あの尻切れとんぼな終わり方が彼女の余りに哀しい運命を象徴している。「失○園」や「イングリッシュ・○イシェント」のような三角関係や浮気系は本能的に受け付けないのだが、奔放な美女からみすぼらしい姿まで、ヒロインの生き方を納得させるシャーリーズ・セロンの演技が光っていた。7点(2004-10-31 03:13:04) 6. バイオハザードII アポカリプス 《ネタバレ》 私はゲームをやったこともない人間だが、第1作目よりは断然良い。見る側を怖がらる手法や、前作よりも凝ったシナリオもレベルアップしている。単純に頭カラッポにして楽しむ映画、この分だと3作目も観てみようかと思った。カスリ傷でも確実に死に至るウイルスなのに、やたら肌の露出が多い服装で、平気でゾンビと肉弾戦を繰り広げるヒロイン達のアクションには脱帽。一番最後には超能力まで身に付けて、主人公はどこまで強くなるのだろうか。4点(2004-09-20 00:45:56) 7. アドルフの画集 若き頃のヒトラーが画家志望だったことは知っていたのでリアルに感じられ、作中の彼に大変感情移入できる映画だった。政治に興味を持ち民族主義者、出征して勲章をもらうなどある面で非常な現実主義者。しかし一方では画家としての素質を持っていても、芸術の前に華開かない自分をリアルに認めきれない孤独なロマンチスト。直情的であれだけのエネルギーを持っていた後の独裁者には、そうなる前に画家としての挫折や苦悩、開眼があったであろうことも容易に想像できる。人類史上あまりに悪名高いこの男の人生の分岐点、画家としての素質が独裁者として開花するまでの過程が本当に分かりやすく、美しく描かれていた。8点(2004-05-06 00:13:00)
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