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プロフィール
コメント数 1647
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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【製作国 : カナダ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
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1.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 個人的には、冒頭からワリとシンプルに(=メタファーでシニカルな部分とか・現実と虚構が入り混じるコトとか、をあまり気にせずに単なる)コメディとして観ていってしまったのですが、まずはその意味にしてもワリと結構面白かった・笑えたと思うのですよね。その「虚構=非現実が混ざり込む」という観点からは、少なくとも近年の欧米の主流な方のコメディと比較してもだいぶエキセントリックな方のヤツだったとは思うのですが、ソッチの方がむしろ日本の現在の大衆的なお笑いの質感には近いかな~とも思いましたし、そもそもその欧米のコメディの「現実と地続きでシニカルでなければならない」みたいなのって本当に必須?とだって(個人的には)常々考えているトコロなのでしてね。でもまあ、中盤までは確かにそーいう「如何にも実在してそーな=真実味を帯びた方の」クセの強い業界人⇒主人公リーガンはモチのロン、親友だァ何だって結局カネのコトしか頭に無いパートナーにせよ、コレもやっぱ観る前からナニ書くか決めてる(何千回地獄に落としても事足りない様な)クソ評論家だとか、後は何より(誰とは言わず全員)劇中劇の肝心の芝居の中では総じてカスみたいな演技をしてるのに・翻って舞台裏でトチ狂って感情迸らせる様子自体は(逆に)実に見事な演技になってたり、とか、そーいう在りそーなトコロが(前述どおり)コメディとしてかなり面白かったなって感覚でしたケドね。 しかし、最後まで観終わるとある種、その隅々まで行き渡って「多面的な見方」が出来るコトとゆーのがそもそも、中々に含蓄深くってかつ真に(コメディとして)面白いポイントだったな…とも思うのですよね。件の撮り方にしても、コレが結構意味的に多面的で面白くって、それはつまりコメディってやっぱ比較的舞台劇的・固定視点的に「つくりもの」の映像として観るコトが多いんじゃねーか…と思ってるトコに、このハンディカムのドキュメンタリチック・POV的な撮り方ってのは(どーしたって必然的に真実性を帯びるコトになるって意味では)コメディとして異質・風変わりだったとも思うのです、が一方で、今作ではそれを妙なワンカット風に全部繋げてるってのはまた(前者に大いに反して)実に虚構的だ…とも思ったのですよね。他にもあとは結論の部分にしたって(結局は)そーいうコトにも見えていて、例えばとどのつまり今作でリーガンが成し遂げたコトって実は彼が目指した「芸術」でもナンでもなくって⇒所謂単なる(ネットを利用しての)「バズり=彼が理解すらしてないコト」でしかなかった様にも見えますし、それに依ってエマ・ストーンとの関係性が(最後には確かに)変わったのだとしても⇒それがあるべき姿のモノに為ったとは到底思えなかったりもしちゃったり、とかですかね。 前述どおり重ねて、そーいった多面的な視点で観れるコト自体をポイントに据えた&実際に内容的に実に多面的で含蓄深い作品、だったとは思うのですが、個人的には結局、その中で「コメディとゆーのが如何に虚構であるか」というトコロこそが、今作から最大に存分に思い知らされたモノだったって感覚がありますね。あくまで個人的には、人生の本質=人生で唯一つ確実に自分にとって真実だと言えるモノは、自身の認識するトコロの苦悩・苦痛以外のナニモノでもない、と思ってますからね。何故なら、人間の感じるコトのできるトコロの微笑ましさ(或いは幸福)とゆーのは、本質的には全て自分ではない他者におけるその感情(或いは他者のその感情を共有するという意味での自分のその感情)でしかない、と思ってるからですね。だからして、それこそそーいったモノが(事も有ろうに)映画に描かれている…なんてのは、本来のその必然的構成要素たる自分&他者の間に、もっともっとナニモノかを媒介に媒介しまくってやっと伝わって来てるモノ、でしかなくって、だから当然「虚構」でしかないんだ、と思ってるってコトでありますかね。[インターネット(字幕)] 9点(2023-12-24 17:28:23)《改行有》

2.  ルーム 《ネタバレ》 何しろ良く出来ていると思うのはやはり、部屋から脱出してもその後万端良い方向に運ぶ訳では無いという展開。冷徹なリアリティを生み出すと共に、「世の中というのは誰に対してもそんなに優しいばかりではない」という示唆的なメタファーだとも感じられる。 このリアリティも相まって、全編この上なくシビアで深刻な苦しさに満ちた作品でもあり、観ていて楽しいという作品でないのは間違いないし、珍しく何度も辛くて泣きそうになったが(後半、部屋から出た後の方がむしろ辛かった)、その苦しさによって、もう一方でこの映画の中に描き込まれるポジティブな人間性は、より真実性を増して心に強く感じられるように思う。親子の愛、子供の純粋さ、再生に向かう人間の逞しさ、そして弱さ(弱さというより、人間の慈しむべき優しさであるように思う。他者を憎まないために、人間は弱さを持つのだろうから)。個人的にはジャックを受け入れられない父親のシーンが、一番感情を揺さぶられた(演技も良かった)。重ね重ね、決して娯楽や暇潰しになるような映画ではないが、覚悟を決めて是非観ていただきたい。[インターネット(字幕)] 9点(2019-12-29 19:23:35)(良:1票) 《改行有》

3.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 『ブレードランナー』の続編として純然たるSFというコンセプトはそのままに、極めて上質な映画が完成されている。作品の空気を完璧に引き継ぎ、前作の設定も生かし切りながら(前主人公のハリソン・フォードも巧く使った上で)主役を次世代にバトンタッチし、物語の内容は前作より遥かにグレードアップしている。 (ヒトのように振る舞うヒトでないものの”生き様”を通して、ヒトとは、人間性とは何かを問うたり、「記憶と魂」といったようなSFとしても興味の湧く内容を映画に上手く落し込んでいる印象) 難は前作同様、非常にゆったりしたテンポで人を選ぶだろうという点だが、個人的には深い世界観や(SFな)哲学を語る映画にはこれくらいの尺とテンポが必要なように思うし、史上最高のSF映画の1本として十分なクオリティを備えた作品であると思っている。オススメ。[DVD(字幕)] 9点(2019-11-16 00:00:38)《改行有》

4.  クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 《ネタバレ》 まずとにかくは何よりも、この監督一流の「奇天烈な発想」とゆーのは今作でも健在すぎるホドに健在だったのですよ。ただ、ソコでその発想⇒それは今作では一種の「世界観」として結実してるモノかとは思いますが、それを映画に描くのに(今回は)細かい整合性の方は選択的に捨ててしまって⇒映像的にも展開的にもワリとやりたいコトをやりたいママにやってる・詰め込んでる…ってのが結局、前述の発想の奇天烈さ+描写自体のユニークさ(=懐かしさ)、かつそれが非常に強烈にビンビンに伝わって来るコトの理由になってたのではねーかなって思いますかね。最初はなんかSFかな?と思ったのですが、観終わるとむしろ全然そーいうのじゃなくって意外に高度なアート系?みたいなヤツだった…のですケド、逆に、それに依って作品として「研ぎ澄まされて居た・削ぎ落されて居た」みたいなごくテクニカルな方の感覚も覚えられましたよね。 また、かなり高度に整合性が取れてない(そもそも放棄してる)⇒何をやってるのかが詳細にはならない、というコトがまた結局、描かれる諸々の「異形な」事象が一体ナニを意味しているのか…て部分に非常なる「奥行き」を産んでいたとゆーか、この映画がメタファーとしてナニを描いているかってトコロに関してゆーなら、個人的にはモ~「文明批判」だとか「芸術批判」だとか後はそれこそ人間の本能的な「エロ(グロ)」に関するごく美的なテーマ(=批判ではない方のシンプルな芸術・美的感覚)を語りたかったのではねーか、とか幾らでも心地好く深く思索に落込んでゆけるとゆーか、なんか今作、アート系だとしても(ジャンル内での比較としても)フツーにメッチャ面白く観れちゃったと思ったのですね。やっぱ、根っこのトコロでごく芸術家だって言うべき監督だったんだな~と思ってしまいましたよね。[DVD(字幕)] 8点(2024-06-08 12:02:11)《改行有》

5.  チェンジリング(1980) 《ネタバレ》 さっき観たバーヴァの『呪いの館』で、似た様なシーンが在ったから(また)ちょっと思い出して再見しちゃったのですが、この映画ってやっぱシンプルにかなり「怖い」のですよね。ごく終盤のクライマックスまでは非常にサイレントなホラーで、ソレこそ製作年である1980年以降はめっきり減っていった系統のヤツ…だとも思うのですが、今今に観直しても(逆に)何故こーいうコトになっていってしまったのだろう…と思わざるを得ない、ソコにこそ、今作の(ホラーとしての)技術の高さ・真似の出来なさが凝縮されて居る…とも思うのですよね。何とゆーか、ウギャア!と驚く・慄く・慌てふためく、なんてコトとは真逆の方向性、正にあのジョージ・C・スコットをもが(例のボールの跳ねて来るのを見て)壁まで後ずさったかの如くに一瞬「身動き出来なくなる」という様な重くて冷たい恐怖の一撃が其処彼処に…て感じなのですね。うーん…ホラーを志す者ならば絶対に最初に観ておくべき、と言って好いレベルの傑作だと思います。未見の方は是非。[インターネット(字幕)] 8点(2024-02-07 21:31:52)

6.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 西部劇ってのは、やり方次第であらゆるジャンルになり得る…とは思いますが、今作は最初はどーいう話なのかな~♪と思って観てたら最終的にはかなり純然たるサスペンスだった…というコトで、最初のうちは確かに少しもったりしてるな~とも感じたのですが最後までチャンと観てみると、その寂寥たる雰囲気や重いテンポも含めてこのジャンルの作品として非常に好く纏まった良作だったな…と率直に感じました。いや~西部劇+サスペンスって、中々どーして隅に置けないですね~どーしたって閉鎖コミュニティですから、登場人物たちのサスペンスな緊迫感ある関係性もより危険度高めに感じられますし、その面では特にまずカンバーバッチ、そして終盤にかけてのコディ・スミット=マクフィーのその「危険人物」感も中々に絶妙なモノだったと思います。私は最初(=水辺の件の後)カンバーバッチの方がマクフィーを狙う動機が出来たのかな…と思って観てましたが、よく考えるとマクフィーにだって「逆に」動機がアリアリだ…と気付いて以降は、特にメチャクチャ面白く観れてましたですね。オーラスのそこはかとない不穏さもとても好みです。 各種レビューサイト(当サイト含む)ではソコまでの高評価ではなかった様に見えてましたが、アカデミー賞の結果を受けて劇場に足を運んだ甲斐がありました(実はヴェネチアでも賞を受けてるのですから、然もありなん…なコトかも知れませんケド)。オススメですね。[映画館(字幕)] 8点(2022-03-29 19:55:05)(良:1票) 《改行有》

7.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 とにかく、主人公の女のコにかかる「負荷」とゆーのがのっけから非常に高いのですよね。邦画で言えば3,40年以上前くらいの作品だと、こーいう全方位から頼られまくって辛そうな女のコ(女性)とゆーのは実はワリとよく見た様な気もするのですが、近年の作品において仮にこーいう状況があり得るとしたら、それはもう親(家族)の側に大きな「問題」があるに違いない…だからソレはその時点で非常に「暗い」社会派作品になってきちゃうとも思うのですね。ただ、今作の彼女の親には「問題」がある…と言ってしまうとソレはおそらく表現として適切でないと思いますし、ただ一方でその「ままならなさ」が確実にかなり深刻であるのもまた事実で、だからお話自体はそこまで超暗い雰囲気には決してなってないのですが、一方で尚更この主人公に対する(ごく暖かい)共感・感情移入とゆーのは更に更に深くなってゆく…という様にも感じましたね。まずは誰もがハートフルに心動かされるだろう優れた映画だと思いますし、またこの部分はそれこそ「CODA」と言われる方々の現実をまま的確に映し出している…という意味でも(この時点でも)非常に価値の高い映画だと言えるのではないでしょーか。 ごく大まかなお話の流れのソレ自体は、ゆーてワリとオーソドックス・よくあるモノだと言ってしまっても好いかと思うのです。ただ、ソレを彩る細かい演出は総じてかなり優れたものであったかと感じます。特に、主人公とそのろう者の家族3人(父・母・兄)との中盤以降の対話は、家族でありながらその関係性の中に存在する一種の(互いの互いに対する)疎外感と、それを各々がどう乗り越えていったのか、が丁寧に描かれていてどれもとても見応えのあるものでした。また、主演のエミリア・ジョーンズちゃんの歌唱力を最大限に活かした歌唱シーンも、選曲の良さ&的確さも相まってどれも非常に効果的だったと思います。 もう一点、前述の家族3名はいずれも実際に聴覚障害のある俳優の方が演じておられる(と後から知った)のですが、その「利点」とゆーか、作中の家族の手話での会話シーンがコレまたどれも非常に優れた演技として出来上がっていたと感じました(実に感情の込もったパワフルなボディランゲージで、コレは一朝一夕に出来るよーなモンじゃなさそう…とは思ったのですケドも)。そしてその意味では、エミリアちゃんに関してはこの部分はソレこそ死ぬホド訓練して撮影に臨んだのだろうとも思われまして、そしてそういった部分もまた彼女の役柄における健気さ・逞しさ(そしてソレが醸し出す爽やかな魅力)という側面に確実に滲み出ていたのではないか…とも思われるのですね。[映画館(字幕)] 8点(2022-02-03 22:48:14)《改行有》

8.  しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 《ネタバレ》 ともすれば、非常に「前時代的」とも見えかねない夫婦・男女の在り方だとも思われるのですよ。いわゆる自由選択的な恋愛というモノではなくて、二人ともそうしなければ生きられなかった、という中で辿り着いたカタチなのは確かでしょうし。ただ、生きていくために二人連れ添う、というその関係が次第に真実味を帯びてゆくのも好く分かりましたし、ソレは(あくまで今作においては添え物として描かれる)モードの画家としての立居振舞いも同様に見えて、ただ「一緒に生きていきたいから一緒に居る」或いはただ「描きたいから描く」というどちらも非常に本質的なモノに感じられ、まただからこそ非常に尊いモノにも思われました。静かですが、実に芯を食った話だと思いましたね。良作以上かと。[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-27 22:12:42)(良:1票)

9.  フリー・ガイ 《ネタバレ》 ド初っ端はハイテンションにコミカルなアクションでオッ始まるので、単純なアクション・コメディなのかと思いきや、観てゆくと特にアクションはそこまで凝っててクオリティ高まってる、というモノでもないし、量もそれホドでもないのです。他方、コメディシーンもチョコチョコ豊富に入ってゆきますが、如何にもアメリカンな(矢鱈喋りまくる)ヤツで個人的にはさほどこちらもハマりませんでした。そもそも、ゲーム内世界・仮想空間とゆーのを舞台にした作品とゆーのは昨今もはや相当にありふれていますケド、今作の「フリー・シティ」とゆーのはごく現実世界に近い方のヤツであって、映像表現・設定部分も含めて独創性・斬新さといった面でごく優れているというコトでも全くないのですよね。そんなこんなで、中盤には(これも在りがちに見える)恋愛沙汰とかも放り込まれてきたりするので、結果的にはワリと「平凡さ」の方を強く感じる作品だなあ、と観ていました(正直モロトフ・ガールのピッチピチの尻しか印象に残ってなかったっす)。 しかし、結論からゆーと今作が真に描きたいのは人間ドラマ、それも充てがわれた運命から「自由になる」という非常に胸アツで優れたテーマの方だったのですね。あ~そー言えば、そもそも冒頭で我が物顔に振る舞う「サングラス族」と、それ以上にその現状を完全に「諦めている」モブキャラたちとゆーのが、今どきかなりの違和感とゆーかちょっと頭にカチンと来たのが思い起こされます。そこら辺も含めて最初から最後まで観ると、現実世界とゲーム世界をクロスオーバーさせるストーリー展開は(それらを結びつける自己進化AIという少しSF的なアイデアも含めて)かなり上質で巧みなものだったかと思います(ソコをやり過ぎないアクションとコメディで楽しく彩ろう、という作品だったのですね)。結論、最近の娯楽映画では一番明るく爽快に観終わることが出来ました。かなりオススメです。[映画館(字幕)] 8点(2021-08-14 16:33:05)(良:1票) 《改行有》

10.  マーターズ(2007) 《ネタバレ》 かなりハイレベルにグログロな映画で、拷問でズタボロになった少女らの「見た目」の悍ましさも然ることながら、特に話の内容の方が欧米映画にしては珍しく際立って悍ましい、という作品である(正直、頭がどうかしちゃってる、というレベル)。ただ、最大のポイントである「死後の世界を見るために『殉教者』をつくり出す」というアイディアは、あくまで個人的には説得力というか映画のコンセプトとしての質の高さを大いに感じるし、話の内容の方にここまで嫌悪感を感じられるというホラー、としても、だいぶん希少価値が高いとも感じられる。 その他の点にしても総じて色々と良く出来ているというか、巧みだと思う。特に、序盤からの訳の分からなさを意図的に残しつつ、パワフルにテンポ良く展開して段々と話が見えてゆく前半の展開運びなんかはホラー的に実に秀逸だと思うし、後半も単純にお話として相当に面白い。恐怖描写も、前半のキレの有る力技も、後半の陰湿な拷問の場面も、どちらも迫力や痛さ・エゲツ無さの点で出色である。全くの救いの無さも含めてネガティブ全開な作品ではあるが、ホラーとしては純粋に一流かと。もし今作が無かったら、2000年代のフレンチ・ホラー・ムーブメントの歴史的評価は、全く異なったものになっていたであろう。[DVD(字幕)] 8点(2020-09-05 23:43:18)《改行有》

11.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 家庭的な雰囲気の中に突如割り込んで来る暴力シーンの切れ味が、本作の最大の見どころであろう。その出来は率直にどれも素晴らしく、監督は流石の手腕だと思う。 より優れていると思うのは、この暴力の持つ二面性の表現というか。基本的には正義な(とまでは言わなくとも、正当防衛な)主人公の暴力は、本来人間が備える攻撃性(男なら分かる筈)を満たすという意味での痛快さと同時に、主人公の暗い過去を具現化するところの重苦しさを湛えている(更に同時に、本来人間が持つべき「暴力を嫌悪する感情」と複合しての悲痛さを含めて)。 その意味で良く出来ていたのは、息子がフォガティを射殺するシーン。ある意味「適切な」暴力を果断に行える息子には、人間としての成長・成熟を感じることと同時に、父親が最も忌むべき自身の残虐性が受け継がれているという悲劇もが描き込まれている。そんな息子から銃を取り上げ、暫く思案げにじっと見つめた末、そっと抱きしめる主人公。 本作は、家族の愛の物語なのだなあ、と。暴力と、過去からただ逃げる主人公への嫌悪を越えて、それを強く感じられたラストの余韻も素晴らしい。ヴァイオレンス映画の佳作。[DVD(字幕)] 8点(2020-04-25 11:39:43)(良:1票) 《改行有》

12.  エスター 《ネタバレ》 単純なホラーとしては、2000年代以降では屈指と言える出来かと思っている。 一見は可憐な少女だが、その実は凶悪な怪物を家に招き込んでしまうという部分はままよくある展開ではあるが、複雑な過去を持つ夫婦の設定、子供を手玉に取る描写の巧みさ等、展開面での細かい工夫はどれも秀逸で飽きずに観てゆける。エスターの目的が父親の誘惑で、要は性的に歪んだ異常者(実を言えば普通なんじゃねーのという気もするが)だという点も、ある種良く出来たキャラ設定に思う(この手の異常殺人というのは、大抵満たされない性的欲求が動機の根底にあることが多いように思う)。 しかし、あんな絵を部屋中に描いてその中で夜を過ごしていたというのは、それだけで正に狂気を体現するこれも優れた演出に思う。中盤以降は比較的スピーディにその狂気が加速・過激化してゆき、終盤は相当に派手な展開になるのも個人的にはかなり好み。子役&ファーミガの熱演も素晴らしい。時代最高のホラー。[DVD(字幕)] 8点(2020-03-01 12:40:35)(良:1票) 《改行有》

13.  灼熱の魂 《ネタバレ》 元々、小説でも『人間の証明』は大好きで、で映画でも『飢餓海峡』とか『砂の器』とかってやっぱ凄く面白く観れるのですよね。こーいうのってとにかく「動機」の部分に対する体重の乗り方が(娯楽サスペンスとは)比較にならないってゆーか、だからこそ最後まで=この謎は解かずば今日は眠れない!みたいに成れるのだと思うのですよ。その意味では今作も、まず起こった「事象」そのモノってのが既にド級に(歴史的・政治的に)衝撃的!てヤツだとは思うのです、が、前述のその部分の勘所もまた決して外していない、これ以上無い程にソコにも体重の乗ったヒューマン・サスペンスだったとは思うのですよね⇒即ち、母は何故、あの様な奇妙な遺言を残して、あの様に奇妙に死んでいったのか、という。正直、途中からは完全に観入ってしまってましたよね。 だから、私にとっては(まずは)今作はサスペンスである…のですケドも(⇒それをワザワザ明言したのは、一方で今作って十二分に優れた社会派もの・歴史ものだとも思えるからなのですケドね)そーするとどーしたって、結末も含めて全体的に余りにも「無理筋」ではないかな…と思われてしまったってのが、結論的には少~し、ワタシ的に(再び明確に)許容範囲外だったという痛恨事なのですね。。観る前から、戯曲の映画化だとは把握しては居たのですケド、なんつーか然も在りなん…としか言えない…ですし、すると更には、それに依って(今度は)サスペンスのみならず、前述の社会派的な映画の価値すら少なからず毀損されてしまってる気すらするのですよ。もう少し、もう少しダケ、ソコって何とかならんかったんか…と。。(⇒個人的には特に、ニハドが「洗脳された」ってナンやねん!と。。) 結論、個人的には、非常に評価の難しい作品…だとしか言い様が無いのですが、それでも最初に述べたとおり、この手のサスペンスとしての「ヒトの中にある謎」の部分の展開&結末の部分に関しては非常にしっかりと「筋が通っていた」と思えたコト、加えて、重ね重ね事象は衝撃的ながら、全編で非常に落ち着いた抑制的でハイソな演出+それが醸し出す雰囲気と、また映像のハイソぶりも実に見事だったと思えたコトを踏まえて、かなり迷いつつもこれ位の評価にしておこうかと思います。サスペンスとして、端的なラストの「衝撃度」みたいなモノに関しては、確かに最高レベルで高度だって映画だとは思いますね。[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-08 22:46:04)《改行有》

14.  グリーン・ナイト 《ネタバレ》 中世イングランドの物語詩『ガウェイン卿と緑の騎士』を映像化した作品です。そもそもソレ何?てハナシをするなら「アーサー王伝説」のスピンオフみたいな感じでしょうか、主人公の騎士ガウェインはアーサー王の甥、という設定ですかね。そのお話の内容自体は、かなり高度に寓話的な…とゆーか随所に教訓めいたモノが散りばめられた物語にはなってまして、全体の構造自体はそれでもシンプルですが⇒細かいトコロは(現代的な感覚からは)ちょっと辻褄が分り難い…みたいな感じでもありますね。でも正直、そのお話の内容そのものとゆーよりは、どっちかちゅーと映像や音楽の方にこだわり抜いてるごく本格的な方の雰囲気映画…てのが表現としてはよりしっくり来る感じです(たぶんもう、アート系に片足突っ込んでる…と言っても全然好い方のヤツかと)。それでも、テンポはまたワリとまったりしてるのですがソレも相まって描き出される荘厳で重厚な空気感(世界観)とゆーのは、率直に中々のモノだったと思いますね(ある種、非常にA24ぽい…とも)。なのでそーいうのがお好みな方になら是非、という感じです⇒私自身は、かなり好きな方のヤツでした。[DVD(字幕)] 7点(2023-12-24 17:34:41)

15.  ウィッチ 《ネタバレ》 再見なのですが、初見時はあまり好い印象ではなかった記憶があり…で実際今回の2回目も、ごくラス前までは疑問の方が大きかったのですよね。正直、前半はあまりホラー色が強い方の作品ではない様に見えてまして(少なくともソレが明確・明瞭ではない)どちらかとゆーとヒューマン・サスペンスの方…とゆーか隔離されたストレス状況における人間の狂気、みたいなモノがメインディッシュぽく感じられて、でもまずはソコの出来自体は中々かな~ともやっぱ思うのですよね(ソレ自体は初見でも再見でも変わらず)。しかし後半はまた、まず超常の存在の介在がほぼほぼ確実になってゆく一方で、でも翻ってホラー的な展開運び自体はやや不可解系の方に倒れてゆくとゆーか(特にその「敵」がナニをしたくてどーいう攻撃を仕掛けているのかが明確でないから)要するにごく生々しく・実際的に始めたお話が突然フワフワ終わってゆくな…という感じが強くて、結果どーにも(前半と後半が)ミスマッチに思えていたのですよね(⇒重ねて、ラスト10分まで)。 でも今回観直したら、ソコら辺ってオチで全部明快になってるジャン!とフツーに思い直しました(アレ?初見時は観誤ったかな?)。結論、個人的には文句無しに良作以上かと思いました。『ライトハウス』も楽しみです。[インターネット(字幕)] 7点(2023-01-21 23:12:00)《改行有》

16.  真夜中の処刑ゲーム 《ネタバレ》 アクション・スリラーと言うべき作品かと思うのですが、全編通してもごく非常にホラー的なつくりを擁しておるのですよ。ところが、その敵チームとゆーのがとにかく極め付きのド外道+そいつらから逃げてやっとこさアパートに駆け込んだと思ったらトンデモない重武装で再び攻め込んで来るので、ソレがシンプルにとてつもなく恐ろしく+おぞましくて率直に恐怖なのですよね(コレは確実に観てる方も冷や汗ダラダラものだ、と)。そして中盤の手に汗握る攻防とソコからの『ホーム・アローン』的な中オチまでは、ま~確かに極めて高度な「お値段以上」感を持って爽快・痛快に観てゆくコトが出来たと言えます(ちょっと驚きました)。 多少残念な点があるとしたら、その秀逸な中オチでいったん流れが切れて、そっからジワジワとまたごくホラー的に怖がらせる重い流れをリスタートしてるのです…がちょっとココが盛り上り切らずに最後まで行っちゃったかな…と。結局、その時点で敵は(実質)ボス一人になっちゃってて、でそのボスってのがイマイチ「超・強キャラ」という感じでもなかったモンで…というコトかな、と思います(結構隙とかもあって)。とは言え、その後の大オチ(+α)にもシンプルながらキレ味ありましたし、重ねて確実に「お値段以上」に面白い掘り出し物の佳作かと。お暇なら是非。[DVD(字幕)] 7点(2023-01-12 23:39:04)《改行有》

17.  ブラックアダム 《ネタバレ》 事前にアンチヒーローだと刷り込まれては居たモノの、結論的にはロック様はフツーにイイ方のヤツだったのでして、そーすると(途中から)たぶんこんな感じになんのかな~と思ってたとおりに(最終的には)成って終わってゆくのですね。ただ、結局そーいうごくシンプルでオーソドックスな筋のワリには途中の展開は結構ゴチャゴチャしてたな…という印象もありまして、ソコは個人的にはあまり効果的ではなかったかな…とも思いましたかね。カーンダックとやらがどーいう国・地域なのかも(説明が雑なので)最後までよー分かりませんでしたし、ソコの住民達が5000年も昔のお話を未だに引き摺って暮らしてる…とかだって正直イマイチ入って来ませんでしたし。 でも、本作もまた(今やモ~当たり前な)ヒーロー集結ものでその点のゴージャス感や彩りの好さはコレもフツーに楽しめるモノでしたし、その上で主役のロック様をはじめ個々の役者の仕事・キャラの魅力も十二分なクオリティだったかと思います。ロック様の力感とか「強さの説得力」とかはやっぱ現時点唯一無二だとも(改めて)思いましたし、ブロスナンの品格も好かったかと。あと、サイクロン役のクインテッサ・スウィンデルちゃんも可愛かったですよね(私は実は、ずっとテッサ・トンプソンかな?⇒にしちゃ若いな…と思って観てましたケド)。アクションも手堅く迫力がありましたし、このジャンルとしてもまた手堅い良品かなと(悪い作品ではないと思いますね)。[映画館(字幕)] 7点(2022-12-11 12:01:56)《改行有》

18.  サイコ・ゴアマン 《ネタバレ》 サイコ「ゴア」マンを名乗るだけあって、序盤からかなりグロいゴア描写がふんだんに盛り込まれており、主役が子供なのにこれはイイの?(倫理的に)と思ったりもしましたですね(中盤にはゴアマンが裏切者を大量殺戮する様子をミミちゃんが大喜びで見つめてたりするシーンもありましてですね)。ただ、ゴア描写もよく見ると結構チープですし、その他描写も総じて安上がり、特にしこたま登場する着ぐるみ宇宙人共の質感は最近の日本の特撮番組レベル(かチョイ下くらい)で、本質的には(やりたいのは)単純にコメディ、という作品でしょーかね(それも率直にかなりシュール・変テコな方のヤツ)。 ただ、私はフィーリングがドンピシャだったので相当に笑いました(でも映画館で観ましたが、皆さん笑い転げてる箇所も多々ありましたよ)。傍若無人極まりないミミちゃんは(実際は)12歳らしいのですが、この歳ながら実に可愛げの無い小憎たらしい顔つきで(どこぞの環境運動家ぽい)非常に前途有望?かと思います。もう一人、極めて情けないオヤジのキャラがちょっと欧米の映画では観たこと無いよーなレベルにも感じられ、個人的にはとても面白かったです。総じて「人間」側が人格的に破綻気味のイカレ連中であるのに対し、肝心のゴアマンは(彼も悪人の範疇ではあるのでしょーが)むしろマトモにも見えて、どちらかとゆーとツッコミ役にさせられていたのも中々興味深かったすね。結論、そこそこユニークな作品でもありますし、笑えますし、観る価値は十二分にあるかと。[映画館(字幕)] 7点(2021-08-05 22:57:22)《改行有》

19.  ゴーストランドの惨劇 《ネタバレ》 叙述トリック、との触れ込みであった様に記憶しているが、その部分のクオリティは率直に中の下くらいか。これは要するに時間軸の入替え、1→2→3だったものを2→1’→3にしている、程度の簡単な工夫であり(要は、一連の襲撃シークエンスを序盤と終盤に分割したかった、というコトなだけに思える)、その点についてはやや肩透かし気味な出来かとも思う。 しかし、肝心のヴァイオレンス描写に関しては何の文句も無しに高水準。ロー・ティーンの女の子にここまでする?というレベルの暴虐非道ぶりは極めて高度な見応えを生んでおり、というかこれは一般人向けの水準を完全に凌駕している(まあ、監督には『マーターズ』という「前科」があるので、まかり間違ってなんとなく観に来てしまった方にはご愁傷様と言う他無い)。魔女とバケモノ、と称される恐るべき犯人コンビのホラーモンスター感も中々素晴らしい。ゴスロリ方面に手を伸ばした気味の悪い雰囲気も部分的にかなり上質。とにかく怖い(というか悍ましい、不快な)映像体験を所望しているなら、非常に手堅くオススメできる。[映画館(字幕)] 7点(2020-09-12 19:25:43)(良:1票) 《改行有》

20.  キラーカブトガニ 《ネタバレ》 諸々と、どー見てもB級コメディ・ホラーにしか見えませんし、実際にも確実にそーいう類いの作品だとは思うのです。ただ、更に細かいトコロまでよ~く見てゆくと、意外に結構丁寧につくられた映画だ、とも感じるのですね(⇒肝心なキラーカブトガニの造形とか、主要人物たちのキャラ設定&関係性のつくり込みとか、中でもオーラスの巨大怪獣バトル!とかなんか特に悪くない出来だったりで)。しかし、そんな風にだいぶん丁寧に(=手を抜かずにこだわって)つくっているにも関わらず、率直なその観た感じとゆーのは全編通しても実にまろやかとゆーかキレが無いとゆーか、ま~た不思議な位に盛り上がらんのですよね。そして、実はその敢えての「緊張感がイマイチ感じられない質感」こそが、今作において最も「B級」な要素だった…とも(私には)思われたのです。 個人的な結論、今作は「B級映画をB級映画として最も美味しく食べるには」という或る一つの試みだったのではないか…と。例えるなら、ペヤングをご自宅にフツーにある追加の調味料・器材のみで「ペヤングがペヤングであるコト自体は決して否定せずに」どーしたら最高に楽しめるのか…という(趣味人の高貴なる)遊び、とでも言いましょーか。私としては、その意味での本作の「完成度」は実はワリと高い方だったのではねーか、とも思います。やはりどこまでもオフビートではあるものの、ナンだカンだ肝心なマニアック映画としての「芯」を外していないこの感じは、正直ワタシまあまあ好きな方のヤツなのですよね(オマケでこの評価としておきます)。[映画館(字幕)] 6点(2023-01-29 23:01:20)《改行有》

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