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プロフィール |
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963 |
性別 |
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自己紹介 |
ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。 「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。 映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。 目指せ1000本! |
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1. シティ・オブ・ゴッド
《ネタバレ》 命が軽々しく奪われる悲惨な現実を描いているのに、ブラジル特有の陽気さと軽快でスピード感あふれる編集で、重さが後を引かない。実際の"神の街"はこんな感じなのだろう。児童が銃を玩具のように扱って、次々と殺害していく様に戦慄を覚える。その一方、教育の重要さが強調され、識字率の低さが犯罪と貧困の連鎖を生み出し、目を背け私腹を肥やす体制側の腐敗をも炙り出す。カメラマン志望の青年が真実か出世のどちらを選ぶかは言うまでもなかろう。救いなどない。だが、誰もが一日を乗り切るのに必死で絶望している暇はない。「日本に生まれて良かった」と言われればそれまでだが、つまらないマウントの取り合いで、どこか生気も幸せも感じないのは何故だろう。教訓としても反面教師としても本作から学べるものはたくさんある。[DVD(字幕)] 9点(2019-06-29 19:54:46)
2. ブラインドネス
《ネタバレ》 原作既読。
地の文と会話文を区別しない、改行のない独特の文体が、
目の見えない混沌の世界を的確に表現するにはうってつけだろう。
名前のない登場人物がどんな姿形をしているのか、如何に凄惨な描写なのか、
文字だけの小説ではただ想像するしかない。
問題は目の見えない世界を如何に映像にするか。
ノーベル賞作家の偉大さを恐れたのか、メイレレス監督がドSなのかは知らないが、
万人向けに大幅に脚色できず、
かと言って原作を中途半端にトレースすることしかできなかったのがその答え。
例えば、唯一ヒロインだけが見えているのだから、
極限状態とはいえ屈服するくらいなら王を殺すべきだったし、
全員が(一時的に)失明したのが資本主義に驕った人類への天罰だったら何でもありになってしまう。
寓話と言えばそれまでだが、ディテールの甘い観念ドラマにただただフラストレーションが溜まるだけだろう。
R18指定になるにしてもやるなら徹底的にやれ。
カフカや村上春樹といった非現実な小説と同じで、
文字でしか表現できないものがあることを逆説的に知らされる形になった。
つまらなくはないが、陰惨すぎて二度と見る気がしない。[映画館(字幕)] 5点(2016-11-26 01:05:26)《改行有》
3. FEAR X フィアー・エックス
《ネタバレ》 これは自己破産しても仕方ないのではないか。妻殺しの犯人を探す警備員を描いたサスペンスのように見えて、後半は訳分からないデヴィット・リンチ的世界なんだもん。レフン監督のトレードマークである露骨な暴力描写を避け、自分のスタイルを模索している姿が垣間見える。出張していた警官が主人公の妻を巻き込んでしまったのが真相なのかもしれないが、後半はその警官に視点が置かれるため、主人公の影が薄くなって、追いていかれた感じが否めない。そもそも警官は主人公が作り出した妄想の産物なのだろうか? それとも警察が事実を隠蔽したのだろうか? どこが現実でどこが妄想か曖昧で余計分からなくなる。今まで撮りためてきた容疑者候補の写真を捨てた主人公は、わだかまりを抱えながら生きていくのだろう。エンドロールの冷徹なシンセサイザーが異様な赤い世界と打って変わって際立つ。[DVD(字幕)] 5点(2015-06-09 19:48:29)
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