みんなのシネマレビュー |
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21. ゴースト・ドッグ 《ネタバレ》 下の方のレビューの方々の間でも問題視されていたけれど、主人公が正確に武士道を理解していたかどうか、って問題。いや、これは、ズレてますよ。誤解してます。でも狙ってるズレだと思う。いちいち挿入される「葉隠」の引用、これが、どうも物語ともずれてるし。で、このズレが、違和感となってしまったらこの映画は楽しめないんだろうな。私にはツボにハマってしまった。ばかばかしくて面白かった。ディテールのこだわりもたまらんです。イヌの表情、アニメばかり見ている敵役たち、いいところで飛んでくる鳥。思い出すとくくっと笑ってしまう。主人公と少女が語る、『羅生門』というアンソロジーの中では「藪の中」が一番よかったわ、という会話。さりげなく黒澤へのオマージュ、入ってません? 武士道ときたら黒澤ってことかしら。それもまた誤解のような気もするんだけど。そこまで狙ってる?[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-04-13 23:18:02)(笑:1票) 22. コレクター(1965) うーん。評価に苦しむ作品だなあ。ドラマとしては息の詰まるような圧迫感がうまく出ていて、緊張感のあるいい作品だ。しかも犯人の孤独と苦悩がしっかり描けている。でも、実際にこの手のことが事件になっている今の時代に見ると、どうにも手放しでこの作品を褒めたくなくなる。実際この作品を愛好していた男が似たような犯罪をしたというドキュメントもあるし。評価がすごい難しい。しかし、ドラマとしては…やはり傑作だ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-01-17 12:49:09)(良:1票) 23. 婦系図(1962) 冒頭の数分のこの様式美。三隅研次の美学が凝縮されている。タイトルバックの裏ですらストーリーが展開する、ある意味省略の美学。だから、一瞬たりとも見過ごせない。この監督の映画はいつもそう。プログラム・ピクチャーの作家の鏡だ。 別れの湯島の白梅の場面の美しさは、もう、筆舌に尽くせない。 この作品に関しては、三隅は師匠の衣笠貞之助版を超えていると思う。(でも衣笠版もいいよ。)[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-12-24 23:44:24)(良:1票) 《改行有》 24. お遊さま 《ネタバレ》 すっごい面白い! おもだった代表作で溝口健二は知ってるつもりでいたのに、まだまだこんな溝口がまだあったなんて! まず何より、なんとも美しい映像。京都の自然、敷居からふすまから、完璧なまでの調和のある屋内。田中絹代と音羽信子の自然な演技。同じような設定なのに『武蔵野夫人』とはまったく違う田中絹代。こちらの田中絹代はとにかく凛として美しい。それを追う宮川一夫のカメラ。姉妹と男の不思議な三角関係。いや、姉と男が想い合っているのだから、厳密には三角関係は成立しないはずなのだ。だけれども、思いあうふたりが添い遂げられない不条理。愛憎のどろどろ渦巻く世界に決してはまりこむことなく、ひたすら距離を置いて冷静に描き出す監督溝口の演出。感服しました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-02-20 22:32:37)(良:1票) 25. 女系家族 原作山崎豊子だし、善人が誰も出てこないどろどろした世界は、予想通り。それだけだと二時間ドラマで終わってしまいかねない筋だけど、そこはもう、私の尊敬する三隅研次監督の職人技です。この手の話にここまで? と突っ込みたくなるくらい細かなところまで行き届いた仕事をしています。もちろん、これはその周りを支えた大映の超一流スタッフの職人技によるものでもあります。調べてみて意外だったのは、京マチ子と若尾文子の競演って少ないのですね。もっとありそうな気がしたのだけど。その意味でも貴重な一本。文字通り火花散る競演です。[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-02-09 14:45:22)(良:1票) |
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