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プロフィール |
コメント数 |
6 |
性別 |
男性 |
年齢 |
41歳 |
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1. 時計じかけのオレンジ
「暴力」を徹底的に追求した、「非常に面白くない」映画。それが私の率直な感想だ。しかし、同時にこれは、文句なしの傑作でもある。商業映画とは全く違った次元で、だが。……私たちはなぜ、アクション映画を《娯楽》として楽しめるのだろう。殴られるのが怖いのに、他人がぶたれ、蹴られ、凶弾に倒れるシーンを、わざわざ金を払って映画館へ見に行くのはなぜだろう? ……私は思う。私たちは、剥き出しの暴力でない、ほど良い室温になったワインのように供される暴力を、エンターテイメントとして消費し、日常の糧としているのではないか、と。キューブリックは、その虚飾を剥がしただけだ。現実に生きる我々の知る暴力は、ドラマチックでもなんでもないということを示しただけである。そう、アレックスを突き放したのはキューブリックではなく、心の底では暴力が大好きな、我々自身に他ならないのだ。 10点(2003-12-05 01:43:16)(笑:1票) (良:6票)
2. フォレスト・ガンプ/一期一会
《ネタバレ》 せっかくなので、これを見た後すぐに『ショーシャンクの空に』を鑑賞してみた。それでようやく得心がいった。『フォレスト・ガンプ』は“アメリカ映画史として”大変価値があるからオスカーを取れたのだ。フォレストが米現代史の大きな潮流の中でひたすら道化ている一方で、ポップカルチャーの中に埋没したジェニーは人生の下り坂を転げ落ちる。大きな歴史と小さな歴史。光と影、陰と陽。相反と和合を繰り返す二つの要素が、主役の二人に投影され、スクリーンに交互に浮かんでは消えていく。その巧みな物語の仕掛けが、結果的に私たちに大きな感動を呼び起こすのだろう。ジェニーに魅力を感じない人が多いのは、彼女が時代に翻弄される典型的なアメリカ人の姿の殆どを体現しているからだろう。幼少時に父からDVを受け、大好きなディランを全裸で唄うハメになり、ヒッピー文化に染まり、とうとう麻薬にも手を出し、最後にHIVにかかる。個人で背負うにはあまりにも悲惨な人生だ。多少無理をさせた感は否めない。私は、彼女の背後に沢山のアメリカ人の悲劇があると気づいた瞬間、少しだけ彼女が救われたように感じた。――そういうわけで、ガンプはやはり1994年アカデミー賞に相応しい作品だと思う。後はアメリカという国に対してどんなスタンスを取るか、それで各々の評価が自ずと決まってくるだろう。 10点(2003-12-03 02:47:06)(良:2票)
3. マルコムX
マルコムは言う。「アメリカがある前に我々は黒人だった」と。ブラックパワーが爆発した60年代の中で最も本質を突いた言葉を唱え続けた男、それがマルコムXだった。
今さら"過激だ"なんて言わせない。本当のアメリカを知りたい全ての人に薦める一作。10点(2003-12-03 02:03:01)(良:1票) 《改行有》
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