みんなのシネマレビュー |
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1. キサラギ 《ネタバレ》 売れないアイドルの応援サイトを通じて知り合った5人が、とある事情のオフ会を開くことに。初めて合うもの同士の知られざる素顔が明らかになるにつれ、とある事件の真相も明らかになっていく・・・ネタバレを極力避けたあらすじはこんな感じです。シーンのほとんどすべてが、オフ会会場の、とあるビルの、物置と化した、狭苦しいペントハウス内。脚本が良ければ、低予算でもこんなに面白い映画ができるんですね。最終的に真相らしきものに辿り着いた瞬間の、悲しみと、ちょっとした嬉しさと、切なさが混じったあの感情は、今まで感じたことがないもので、この感情を狙って創り出した脚本および演出を評価しないわけにはいきません。[DVD(字幕)] 9点(2024-04-22 18:46:48)(良:3票) 2. トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 前作と比較して、映像技術の進歩の甲斐あって、空中戦の迫力も随分改善しているようですし(実はもう少し期待していた)、ポップソングに頼った、雰囲気重視の雑な展開も改善してると思いますが、同時に、良くも悪くも、普通のエンタメ作品になってしまったなとも思いました。結局あんたが主役かいっ!っていうのは、それはそれで、目をつむるとしても、トム・クルーズが昔に比べて、枯れて渋めになっているのだから、若き日のトム・クルーズに代わる華のある若手役を押し出してもいいし、個性溢れるキャラクターのぶつかりあいがあっても良かったかなと。全体的に登場人物の魅力が弱すぎると思いました。そんな感じの作品ですので、結局一番気になってしまったのは、ジェニファー・コネリーです。ジェニファーと言えば、まだ幼さが残り、輪郭が少しぼやけた感じの、透き通って潤いのある白い肌が、強く印象に残っているのですが・・・年月を経て、輪郭がシャープになって、肌が乾いて、役柄なのか少し浅黒くなって、特に鼻の下から口にかけて、そして顎のラインが、ルナシーのスギゾーさんみたいになってました。ルナシーのスギゾーに対して、何の悪意も持っていませんし、ミュージシャンとしては、むしろ尊敬もしてますし、イケメンと言えばイケメンなのですが、殊、ヒロインとしてはどうなのかな?と思ってしまった・・・というのが、率直な感想です。P.S.スギゾーさんに対する批判みたいになってしまって、本当に申し訳ない気持ちで一杯ですので、映画には関係ないものの、ギターが巧いし、バイオリンも巧い、とほめておきたいと思います。[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-14 18:50:50)(笑:2票) (良:1票) 3. カメラを止めるな! 《ネタバレ》 廃墟になった浄水場を舞台としたゾンビ劇です。とても楽しめました。丁寧に、わかりやすく織り込まれた伏線とその回収が素晴らしいです。わかりやすく、でもあまりわざとらしくなく、でも時にはわざとらしくのバランスが絶妙だと思いました。念入りに仕込んだ伏線がスピード感をもって次々と本来の姿を現していく中、主演の女の子が監督に恫喝されて本物の涙を流すシーンが、個人的にはクライマックス。仕込みの細かさ、巧みさに感動してこちらもいつのまにか涙が流れていました。しばらく面白いのですが、その後ちょっと1本調子になってしまい、もう一ひねり欲しかった気がします。あと、廃浄水場のロケーションが素晴らしかったです。地下に掘り込んだ吹き抜けの大空間とか、光の加減とか、上層に行くと大きなポンプが立ち並んでいたりとか、そこから両開きの鉄扉を開けると地上に繋がっていて、陽光で一瞬目がくらんだ後、草いきれと青空が飛び込んできて、地上の建物は、地下に大空間があるとは思わせない、ぱっとしない古びた低層建築物で、さらには屋外階段を上ると屋上に出られたり、その屋上も、真っ平らではなく、適度に複雑な形状になってたり。[映画館(字幕)] 8点(2023-02-18 20:19:27)(良:2票) 4. 菊次郎の夏 《ネタバレ》 おばあちゃんに預けられたまま育った少年(小三くらい?)が、近所の無職のおじさん(北野武)とともに、母親に会いに行くロードムービー。いい景色を集めてます。特に田舎の寂れたバス停がいいですね。母親の生活する家に到着したところまでは良かったのですが、その後は好みが分かれそうです。グレート義太夫と井手らっきょが出てきて、少年を喜ばせるためにアホなことをやるのが延々と続くのですが、たけしが命令して下っ端にやらせるという、たけし軍団の構図がそのまま持ち込まれていて、身内ノリに汚されたような気分になってしまいました。久石譲の音楽はすばらしいのですが、テーマ曲はあまりに聞き慣れすぎていて、本作のための書き下ろされた音楽という気がしませんでした。岸本加世子は、姉御タイプの役もできるのかと感心。[ビデオ(字幕)] 4点(2023-05-24 19:30:05)(良:2票) 5. コンテイジョン 《ネタバレ》 公開当時はまったくノーマークでしたが、コロナ関連で先見の明があったと話題になっているようなので、視聴してみることにしました。感染発生の2日目から始まり、日を経過するごとに、感染が広まる様子、それに応じた社会のリアクションを追っていく、パニック映画。未来の夢の科学技術ではなく、現時点での科学技術によるリアルなサイエンス・フィクションでもあります。10分くらい見たところで、再生の不具合で1日目を見損ねたかなと思い、最初に戻って見直しましたが、不具合ではなく仕様だったようです。まあ、その違和感は見続けているうちには忘れてしまいましたが。確かにコロナ禍を経験した後に見ると、部分的にはまさに予言的中というような箇所もあり、かなりまじめに考察を重ねた上で、つくられていることが分かるので、興味深く見ることができました。しかし、コロナ禍の前に見て、興味を持って見れたかどうかはかなり疑問ですね。わかりやすい主役がいない群像劇で、リアリティを重視しているので、濃密なドラマは描かれず、淡々と事が進んでいく感じで、ドラマとしてみると物足りなさは残ります。結構な豪華キャスト布陣で、主役級で活躍しそうな主要なキャラがあっけなく死んでしまうのはそれなりに効果的だし、リアルを感じさせるという意味では巧い使い方だとは思いました。発生源を香港のコウモリとしているのも、予言としてはかなり当たっていると言ってよく、今だから、大したものだとは思うのですが、当時何もない段階で、他国を感染源とするパンデミックの作品をつくるのは、チャレンジャーと言うか、結構問題だよなあとも思ったりします。[インターネット(字幕)] 6点(2023-02-12 16:20:10)(良:2票) 6. CUBE 《ネタバレ》 削ぎ落とされていること。研ぎ澄まされていること。この二点において、質の高さを感じさせる作品です。90分程度と比較的短い作品ですが、濃密な緊張を保ったまま、最後まで息を着かせません。冷徹な法則に従って作動する硬質な箱(CUBE)の連続体と、その中に閉じこめられた、あまりにも脆弱な人間の肉体と精神とが、見事な対比を生み、芸術的です。余計な説明がないことから、この作品世界を現実世界と捉えることも、精神世界と捉えることも、現実世界の暗喩として捉えることも可能です。私は、この箱(CUBE)を、再現性のない芸術を生むための装置として捉え、そのデモンストレーションとして本作品を堪能した・・・ような気がします。[DVD(字幕)] 9点(2024-09-09 19:37:45)(良:2票) 7. トレマーズ 《ネタバレ》 NETFLIXでおすすめされていたので視聴することに。特に新規性のないモンスターパニック映画ですが、大枠においてはお約束通りという新規性のなさが、変な背伸びなどをすることなく、等身大でつくり手がつくりたいものをつくる姿勢につながり、逆に功を奏しているなと思いました。何かしらの小難しい新規的な設定などがあると、それをスポンサーや視聴者に理解させるために、説明過多になって、作品としてのバランスを崩すというのは、結構ありがちな失敗だと思いますが、そいういったものとは全く無縁の、B級映画の模範作と言えますね。多少チープながら手作り感の残るモンスターの造形は、むしろ生物的な生々しさ、生臭さ、存在感を感じさせるもので、CG全盛の今となっては新鮮さすら感じさせます。カラッカラに乾いた砂漠、スカッと晴れた空、軽妙な会話のやり取りが、悲愴感を緩和していて、他の同類作品にはあまりない味が出ています。あまり戦力にならないちょっとうるさい感じの爺さんが食われた後、まあ、もちろん食われないに越したことはないけど、むしろ都合よかったんじゃね?他の誰かよりは。盛り上がりも必要だし・・・くらいに感じている自分に気付かされました。よくない映画ですね(笑)とてもイイと思います。[インターネット(字幕)] 5点(2023-10-11 18:58:56)(良:1票) 8. トップガン 《ネタバレ》 大衆向け商業娯楽作品なので、細かい難癖をつけるつもりは毛頭ないのですが、全体的に作品のクウォリティが低いような感じがして、80年代とは言え、よく成功したものだなと思ってしまいました。まあ、でも、そういう時代だったよなと思い直したり。アメリカ空軍のエリートパイロットの話で、激しい空中戦あり、教官との恋愛あり、僚友の事故死あり、落ち込みからの立ち直りあり、ということなのですが、それら主要なイベントを切り貼りしただけという感じで、物語の展開、つなげ方が雑だなぁと思ってしまいました。説得力のあるつながりを放棄して、いかにもかっこよさげなシーンと音楽とでごまかしているような、うやむやにしているような。そういうスタイルこそが受けたという事なんでしょうけどね。本質的にあまり楽しめなかったのは、トム・クルーズが演じる主人公にあまり魅力を感じなかったところですかね。むしろライバル役の少しスカした感じの役柄の人の方が、初っ端から終始クールで、問題を起こすこともなければ、教官とイチャつくこともなく、好感度が高いと思ってしまいました。あと、恋愛要素の部分は、今の感覚で見ると、とても、こっ恥ずかしいです。これは時代の感覚なので致し方ない。ヒロインの教官も、立場的にせめてカッコよくあって欲しいところ。なんかガード低いし、低くて然るべきな気がするし・・・[インターネット(字幕)] 3点(2023-02-12 16:10:22)(良:1票) 9. 復讐するは我にあり 福岡県苅田町から殺人事件が始まるのですが、個人的に一時期仕事の都合で苅田町に頻繁に出張していたので、とても懐かしい気分になりました。苅田町から北九州市にかけてはセメントの一大産地で、入江の対岸に石灰石が露出した山が見える特徴的な風景を思い出しました。その後、主人公は、指名手配を受けての逃亡中に、浜松、雑司ヶ谷と転々としつつ殺人を重ねるのですが、いちいち景色が「昭和」で、個人的には非常に楽しめました。ただ、作品の中身は、タイトル負けしてると思いました。主人公の殺人へのハードルが低過ぎて、逆に、犯人の心の闇がほとんど感じられず、なかなか共感するフックが見当たらないのですよね。詐欺師がターゲットを見定めて、関係を深めていく経過は、別につまらないこともないのですが、そうこうしているうちに、序盤は突発的に殺人行為に走り、後半は、いつの間にか相手が死体になっちゃってて、犯人の心の内面が変化するような過程が全く描かれないのですよね。そもそも被害者は復讐されるようなことは何もしてないので、あえて解釈するなら、クリスチャンの父親に対する復讐となりますが、赤の他人を殺すことには結びつかず、なんだか中途半端で、よくわからないまま終わってしまったなという印象です。[インターネット(字幕)] 6点(2023-02-07 19:33:13)(良:1票) 10. 激動の昭和史 沖縄決戦 沖縄現地で米軍の上陸を阻止するために作戦を練る上級軍人、作戦を実行する下っ端軍人、大本営、現地の政治家、疎開する児童、学徒動員された学生、野戦病院に動員された婦女子、様々な人を巻き込んだ沖縄決戦を、日本側視点のみにフォーカスしつつ、俯瞰的にとらえる大群像劇として、今見ても、日本映画にしてはあまりチープさを感じさせない臨場感、切迫感で、描いています。感傷的な演出などはほとんどないまま、淡々と描写されるので、ややもするとドライな印象を持つのですが、その中にも、ところどころにユーモアがちりばめられ、作り手による人間に対する慈しみに包まれた作品だと思いました。押しつけがましさを感じさせない懐の深い作品です。視聴にあたっては、前述のとおり、淡々と事が進んでいくので、史実を知らないと、なかなか心に残らないと思われます。途中良くわからないことがあったら、躊躇なく再生を止めて、史実を調べながら見るのもありかと思いました。というか、私はそういう見方をすることで、より興味を持って作品を堪能することができました。川津祐介がイケメン。[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-10 17:59:59)(良:1票) 11. 太陽を盗んだ男 《ネタバレ》 人間、衣食足りると刺激を求めるのでしょうか。沢田研二が演じる高校の物理学教師は、傍目には何の鬱屈も不満もなく、好き勝手に生きてるいように見えますが・・・たいした理由もなく、狂気の行動をとるところ、作品として行動の理由を説明しようなどとしないところ、今なお古臭さを感じさせず、色褪せません。東京の街並みは、70年代臭が強く漂うのですが、これはこれで、味があります。いい撮り方をしています。原爆を組み上げるシーンは、なかなかマニアックな力作で、ワクワクしますね。作り手は、手を抜いちゃいけないところをよくわかっています。ただの爆弾ではなく、原子爆弾にした脚本の慧眼。役者の魅力を最大限引出し、ディテールの描写も疎かにしない。アクションも迫力があり、最後まで予想の付かない展開。日本でも、低予算であることに逃げない娯楽作品がつくれるのだなあと感じ入ることができる傑出した作品です。[DVD(字幕)] 10点(2023-05-09 17:37:17)(良:1票) 12. アルゴ 《ネタバレ》 1979年のイラン革命時の在イランアメリカ大使館人質事件を題材にした作品です。アメリカ大使館からカナダ大使公邸に逃げ込んだ6人の大使館スタッフを、CIAが「アルゴ」という仮想の映画をでっち上げ、映画撮影クルーに偽装して救出するという、映画みたいな本当の話を実際に映画化しましたという作品です。何度も言いますが、映画みたいな、驚くべき実話なのですが、いざ映画にしてみたら、思いのほか驚きが得られなかったなぁというのが率直な感想です。あくまでも主役はCIAの彼と大使館員で、メインはシンプルな救出劇なので。この歴史的背景ならではの、深みがあまり感じられません。相手がイスラムだと深みに嵌まれないのも分かりますが。大使館員達が占拠される前にシュレッダーにかけた書類を、イラン側が子供達を使った人海戦術でサルベージするなど、ちょっと面白い描写があったりはするのですが。まあまあ、そこそこスリルを楽しめる作品にはなっているかと思います。[DVD(字幕)] 5点(2023-05-09 17:35:19)(良:1票) 13. シチズン・ドッグ 《ネタバレ》 大都市バンコクに上京した主人公青年が味わう都市生活の悲喜こもごもを、独特の極彩色とコメディタッチで描いています。雰囲気が中島哲也作品に通じるところがあるかも。万人向け娯楽として、ベッタベタなギャグを折り込みながらも、あり得ない非日常を日常に融和させていく、マジックリアリズム?的手法は面白く感じました。複数のストーリーをつないでいくセンスはなかなかのもの。テーマとしては、ごくありがちなもので、普段見過ごしがちなことに光を当てたり、静かに深く考えさせたりということはまったくなく、ただひたすらわかりやすい象徴的で表層的なものの寄せ集めになっていて、特別心に残るものがないような気がします。タイ映画を見るのは初めてで、そういう意味で十分興味深くはあったのですが。[DVD(字幕)] 4点(2023-12-12 19:10:44)(良:1票) 14. エイリアン2/完全版 《ネタバレ》 昔テレビで劇場版を見たことあります。原題はAliens。複数形になったことが、前作との違いを端的に示しています。敵はエイリアンの群れ。そしてラスボスはそれを統べる女王。前作が多くは語らず滲み出てくるものを味わうような作品なのに対して、本作は、エンターテインメントとして饒舌で、ホラーあり、アクションあり、人間ドラマありと盛りだくさんです。巧みな組み合わせと展開で飽きる暇がありません。特にキャラクターのキャラ立ち具合がすばらしいです。バンダナ巻いたヒスパニック系の濃いーい女海兵隊員、アンドロイドのおっさんの超越した雰囲気、コロニー開発会社のクソ社員のカスっぷり(殴りてー)などなど。前作から世界観を引き継ぎながら、エンターテインメントとしてスケールアップできているところを賞賛したいと思います。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2023-06-11 16:59:32)(良:1票) 15. ヌーヒン バンコクへ行く 《ネタバレ》 ヌーヒンという名の田舎出身の女の子主人公が、バンコクに上京して巻き起こす珍騒動ギャグ映画。全面的にギャグテイストで、お涙を絡めるとかの逃げや保険がなく、潔いといえば潔いのですが、効果音を有効に使い、笑うべきポイントもよくわかるのですが、かえって内容のひねりのなさに拍車をかけてしまっていると思いました。唯一クスッときてしまったのは、女の子を拉致して強制労働させる組織の下っ端実行部隊が全員イケメンで、なぜかソフトな語り口という設定のところですかね。前知識なく観たのですが、タイの国民的ギャグマンガの実写化だったようです。そう言われると、納得できるところがあります。そもそもかなり無理があったのでしょうね。[DVD(字幕)] 2点(2023-11-22 17:53:54)(良:1票) 16. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 映像の面白さに飽きることがないです。出動した飛行機と上空からの大パノラマ、コクピット内計器類のこだわり、首脳会議の大円卓の無駄な壮大さなどなど。内容は、アメリカがソ連向けの核爆弾攻撃を誤って発動してしまい、アメリカ首脳部が大円卓会議を開いて、てんわやんわするというもので、大統領は、ソ連の首脳にホットラインで事態を伝え相談するも・・・というようなシンプルな筋書きです。役者達の演技が、必要以上にパニックに陥ってなくて、熱演なのだけれど、どこか事の重大さが実感できてないような感じがいいです。一言で言えばシニカルなブラックコメディとなるのですが、現実もこんなものかもと思えてしまうところに怖さがあります。終盤では、初代ガンダムのカイ・シデンのお気に入りで、幼い弟妹持ちの女スパイことミハルを思い出しました。案外ありがちな事故なのかも知れません。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2023-11-22 17:47:09)(良:1票) 17. それでもボクはやってない 《ネタバレ》 痴漢冤罪の現状に基づくフィクション作品。日本の刑事裁判システムの歪みが痛いくらいに示され、2時間半という長さを全く感じないくらい、引っ張り込まれました。非常に興味深いけれど、見ていてあまり楽しくない映画です。でも、かなり衝撃的です。作品の真実性については、素人には判断しづらいですが、ネットなどで調べた範囲では、真実性に対する反論はあまりなさそうですね。脚色・演出はあれど、議論のきっかけになれば成功でしょう。さて、冤罪の最良かつ唯一の回避方法が、現場から離れる(逃げる)しかないという現実。それは結局、実際の痴漢が普通に取る行動なわけで、ということは、実際の痴漢は逃げるので逮捕される確率が低く、痴漢をしていないと自信を持って、その場に残った人は、反論は一切聞き入れられずに、逮捕・拘留されるため、有罪になる確率が高いという、結果的に、犯罪抑制型ではなく、犯罪推奨型・犯罪放置型のシステムが出来上がっています。警察、検察、裁判所のスクラムで、そうなっているようですが、わざとやっているというよりは、社会を良くすることに対して、ほぼ無関心で、目先の点数稼ぎが最大の関心事であるところが原因だと思われます。もはや痴漢被害者ですら、彼らにとっては、点数稼ぎの道具の一部と推測されます。まったくもって、わかりやすいのが、彼らの唯一の取り柄と推定されます。その唯一の利点を活用して、社会利益に還元すべく、彼らの最大関心事である点数稼ぎのベクトルと、社会が良くなるベクトル、この2つのベクトルの向きを、逆向きから同じ向きに変えてあげれば、社会が劇的に変わるのではないでしょうかっ?![DVD(字幕)] 8点(2024-12-04 20:11:03)(良:1票) 18. 日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 太平洋戦争終戦日の前日から玉音放送まで、ポツダム宣言を受諾すべきか否かで煮詰まる閣僚会議、その後の御前会議、ポツダム宣言受諾に反対する若い陸軍将校達による玉音放送阻止のクーデター未遂事件(宮城事件)などを描く歴史ドラマ。玉音放送に至るまでの裏側に、こんな濃密なドラマが渦巻いていようとは、想像もしていなかったです。まさに映画のようにドラマチックな史実。上層から下層まで、様々な人間が、各々の思惑で、同時並行的に動き、それが絡まる歴史のダイナミズムが感じられました。天本英世がハイテンションなわりに、何をやっていたのか、イマイチわからなかったですが。ゴタゴタ感があって良かったです。役者も熱演。特に、軍部の大物達のクセのある面構えと腰の据わりようが凄いです。若き日の黒沢年雄は、常時四白眼で、ちょっと力入り過ぎと思いました。(米国amazonのreviewを見たところ、唯一の弱点は、young army officersがover-playedなところだと指摘されてました)[DVD(字幕)] 9点(2023-03-03 19:57:23)(良:1票) 19. ペイ・フォワード/可能の王国 《ネタバレ》 この作品に対して「世界は贈与でできている」の著者が、当該著作の中で”主人公少年が人に与えてもらってないのにもかかわらず、人に与えてしまったから死なざるを得なかった”という謎の解釈をしており、気になったので見てみることに。当該著者の解釈には真っ向から同意できないことを確認できてよかったです。あえて彼がなぜ死んだのかを考えてみるとしたら、志は尊くても、実現可能性がほとんどない手法では簡単に世の中が変わるわけもなく、作品が非現実的なお花畑作品と評されないために、かつ、健気な志が視聴者の印象に残るように、作者によって殺されたと解釈できるでしょうか。迷解釈に至る糸口すら見出すことができませんでした。終盤の展開には賛否があり、否の方には「感動の押し売り」というような意見もあるようですが、唐突過ぎて感動の匂いを一切感じることができず、そこまで思い至ることすらできませんでした。[インターネット(字幕)] 4点(2023-02-09 21:42:11)(良:1票) 20. メメント 《ネタバレ》 ドラマチックなストーリーづくりのための便利アイテムとして、「記憶喪失」は、実に多くの作品で使い古されてきた感があります。本作は、前向性健忘症(ある時点から新しく記憶をすることができない)という、これまであまり馴染みのなかった種類の記憶喪失を患う主人公の心理状態および行動を話の中心に据えて、時間軸を逆転させて描写することにより、受け手に対して、主人公と同様の混乱状態を体感させることに成功しています。他のご都合主義的な記憶喪失ものとは完全に一線を画していると言えます。受け手は、主人公に同化し、感情移入するも、作品が終わった時点で、記憶を辿り、事実をつなぎ合わせて、このストーリーを終わらせることができます。一方、主人公は、記憶障害により、それができないため、ストーリーの中の無限ループを彷徨うことになります。人間の記憶とはあやふやなもので、しばしば都合良く書き換えられるもののようです。では、書き換えたい記憶がそもそもない場合どうなのか?その一つの答えとして、たいへん興味深いです。[DVD(字幕)] 8点(2024-04-14 17:38:12)(良:1票) |
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