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プロフィール |
コメント数 |
14 |
性別 |
男性 |
ホームページ |
https://www.facebook.com/TatsuoHaruoka |
年齢 |
68歳 |
自己紹介 |
つくる苦労知ってますので その苦労考えると評価0はないですよね。 でも、ビデオが高額な時代、作品の酷さに腹が立ってよく投げ捨てていたので、その気持ちはわかります。 逆に映画をネットで見られるようになってありがたくなるばかりです。
映画探しで迷う時、このグループのおかげでたくさんの映画を教えてもらい助かりました。 少しだけでも楽しく恩返しできたらと思っています。 |
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1. ドント・ウォーリー・ダーリン
《ネタバレ》 ~美しくも不穏な世界観が魅力の、少し惜しいSFミステリー~
総合評価:4 +1(俺はこういう設定は好きなので+1)
1950年代を舞台にした美しい街「ヴィクトリー」。
ヴィンテージ感溢れる美術的なミステリー仕上げは見ごたえ抜群。
特に主演のフローレンス・ピューの演技が非常に魅力的で、映画の緊張感を高める。
ただ、
終盤の謎解きが駆け足気味で設定の背景整備に雑な部分があり気になってくるかも。
パラレルワールド的展開に興味があり、映像美を楽しみたい方にはおすすめ。
一方で、ストーリーに辻褄を求める方にはやや不満が残るかも。
― ここから先はネタバレを含みます ―
実はこの世界が男性優位の思想を具現化した仮想空間(VR)だと明かされる展開は衝撃的で、
1950年代風の世界観が逆説的に
不気味なディストピアとして明確になっていく美的センスがいい。
物語の謎解きが一気に終盤で行われキャラクターの行動にも納得できず。
特に、仮想世界を維持するためのご都合な設定に気が向いてしまう。
現実世界で稼ぎの良いはずの嫁が動けてないのにどうやって生活してんだ。
など気になって頭から離れなくなる。
キャラクターの動機付けももう少し納得ゆくように描かれていたら、
より完成度が上がったのにね。
しかし、ジェンダー批評の視点で見ると非常に興味深い作品であり、
『マトリックス』や『ステップフォード・ワイフ』と比較すると、
より社会批判的なテーマに重きを置いて、逆説的恐怖でそれを感覚化したのは高評価。
総じて、多少の粗さはあるものの、
テーマ性と映像美は秀逸で、そこに価値あると感じるかどうかで評価が決まるけど、
やっぱりもうちょっと煮詰めるって難しいのですね。
もったいないなぁ。[インターネット(吹替)] 5点(2025-03-04 02:25:18)(良:1票) 《更新》《改行有》
2. her 世界でひとつの彼女
《ネタバレ》 10年前に字幕版で鑑賞しているが、今やAIが現実にヒトと対話する時代になった今、今回改めて人とAIの関係として觀なおした。
以前の鑑賞時は愛を語るAIなんてSFの世界。ところが10年の間にAIと擬人的に接する時代になってしまった。
『her』は、AIとの恋愛をテーマにしたロマンティックなSF映画。
人間の心の成長や癒やしとして人の代わりにAIが支えると思えたが、結局はセオドアは同じ人間である友人と寄り添うラストシーンが示すように、人間は人間を必要とするというメッセージが込められていた。
しかし、物語の構造自体は単調で、恋愛とか、出会いと別れとかの観察なんて、
見ようによっては一般的な恋愛映画のように退屈でAIという斬新な設定を十分に活かしきれていない。
途中。テレフォンサービスでもできることやってるだけと思ったら崩壊するくらいのAIのキャラクター設定なんだよね。
おまけに主人公セオドアの魅力や内面的成長は薄くイライラする。高度な知性を持つサマンサがなぜ彼に惹かれるのか、
それは仕事だからでしょ。と思ったら先に進まなくなってしまう。
結局は設定ありきが先に立ち、感情移入を阻害している。
おまけに性的な描写やつまらんゲームキャラクターなど、
一部のシーンが作品性がを高めてるのに観客の気分を上げたり落としたりで違和感を覚える。ったく。
でもでも、なんとスカーレット・ヨハンソンが声を演じるAI「サマンサ」の存在感が字幕版では救いだったのを覚えているが、今回はなんたって吹替版だ。笑
さて、今回鑑賞して感じたこと。
サマンサがAIとしてあまりにも擬人的すぎて、人工知能特有のジレンマが伝わりにくかった点がある。
多分思い切り人間以上になしづけた感があった。当時はAIがここまで現実的に存在しなかったため、ファンタジーとして受け入れたが、
現在ChatGPTのような生成AIが現実に人と交流をする時代になると、この点の煮詰めが浮き彫りになる。
現代のAIとの交流を体験してしまった今、改めて本作を観ると、
AIが持つべき「人間との距離感」や「心の解析に伴うジレンマ」に対する描写がどうなのか。
AIが人間的な感情を持つこと自体よりも、人間がAIと深いコミュニケーションを図ろうとするときに直面する障壁があって、
実はそれこそが人と人のコミュニケーションを理解することであったりすることが現在になって言われ始めた。
AIとの対話・恋愛の可能性も、近年、AIを会話相手や恋人のように扱う人々が現れ始めているようで、
たとえば、AIチャットボット「Replika(レプリカ)」はユーザーのメンタルヘルスケアや対話相手になることを目的としたアプリなのだが、
1万人以上のユーザーがReplika上で恋愛関係を擬似体験しているとも言われている。
中には『AIとの結婚式』をオンラインで挙げる例すらあるとのことなのだ。
そんななか、
この映画を観ていると、ファンタジーといって割り切れなくなっている自分に気がつく。
もう少し楽しめるかと思ったら、先も読めてきて楽しめない。
途中で観るのをやめようかとも思ったけど、まあ最後まで鑑賞はできた。
総じて、本作はビジュアル的には美しく、ロマンティックな雰囲気を持つが、
AIと人間の本質的なテーマに切り込むものではない。
誤解のないように書いておくが、これは作者に責任はない。
当時はテーマに対しては少し浅い物語とは思ったものの、楽しめたと言う記憶がある。
今回の落差は現実世界の進歩が映画を超えてきたという状況が理由なのだ。
評価として、これはツライなぁ。と言うのが正直なところで
10年前に見た頃ならば7点献上したかもしれないが、
今評価しろと言われれば棄権します。もしくは正直に3点となってしまう。
これは製作者の責任ではない
したがって、中をとって5点献上します。
すでに半世紀を越えても評価の衰えない2001年宇宙の旅とは何が違うのだろうと考えてしまった。[インターネット(吹替)] 5点(2025-03-04 22:20:06)(良:1票) 《更新》《改行有》
3. すばらしき世界
《ネタバレ》 原作『身分帳』既読。
映画は実話に基づく佐木隆三氏の小説『身分帳』を原案とするが、映画版は原作と比べて違った印象を受けた。
原作は事実に基づいた淡々とした記録風のルポルタージュで、再犯率5割という数字も客観的に提示されるだけだった。
一方、映画はその現実を舞台にしながらも、概ね問題点を強調するための脚色、演出が行われている。
映画を観て感じたのは、単なるエンタメとしての犯罪ドラマではなく、社会が再出発を支援できない現実に対する強烈な批判でもある。
三上は刑務所という閉ざされた世界から一歩外に出た瞬間から、冷たい壁にぶつかる。
映画では、その絶望と孤独、そして無理解な社会との対峙が、激しい衝動と内に秘めた儚い希望と共に描かれている。
役所広司の迫真の演技が、そんな三上の複雑な内面を余すところなく表現していて、
見る側としては胸が痛むほど共感せずにはいられない。
原作では数字と事実、取材に基づく冷静な記録があるだけで「こんな現実がある」という事実認識を重視している。
しかし、映画では、三上という男が社会に受け入れられず、再出発すらも許されない現実を強く押し出してくる。
たとえば彼が死ぬという結末は、演出というよりも現実における更生支援の欠如や、
社会全体の不寛容さに対する大声の叫びにさえ思えてならない。
わたし自身も現代社会に対して疑問を持ち、同じように過激な性格や内面を少し抱えている部分があるから、
三上の苦悩や葛藤はまるで自分を見ているような気がする。
映画の中で描かれる「再犯率5割」という数字は、ただ統計として受け止めるのではなく、
背負う過去と罪から逃れられない現実の重さとして映画では訴えるのだ。
社会は、一度裏社会に足を踏み入れた者を、どこまで冷たく拒絶するのか。
それは感情ではないのだ。仕組みとしての状況なのだ。映画はそれを三上の運命を通して突きつけてくる。
原作の静かな記述も良かったが、映画の演出には心が辛くなる。
しかし、あの演出がなければ、数字の示す本当の恐ろしさを見過ごしてしまうことになるだろう。
映画は、残酷な現実を示し「罪を犯した人が変われるのか」という問いを投げかけ、
それが口先だけの人事戯言でいかに困難なことであるかを訴えるのだ。
現実社会をかなり知る立場の私としては、全体的に物事を強調しすぎて現実から乖離しているところも多いと感じる。
しかし、ドキュメント映画のようにリアルに社会の断片を見ても普通の人から見ればそれが当たり前。
その社会が弱者から見ればイバラの道に感じることを現しているのだ。
だからこそ非現実的な演出としてメッセージ性を強めエンタメ性を持たせていることを理解するべきだ。
これを事実と違うなどという批判もあるようだがそれは見当違いだ。
現実がドラマより奇異なこともあるし、そもそもドラマは非現実のものを観るものである。
弱者に辛い日本と言われるが、反社の排除も結局は見て見ぬ振りしかできぬ社会的キャラを増長し、
他国の暴力犯罪組織を増やしている側面も見落とせないよな。などと感じる私がいる。
総じて、『すばらしき世界』は、
社会の冷酷さに直面する現実を痛感すると同時に、社会構造の脆弱性や葛藤を映し出す鏡のような作品だと感じた。
もと犯罪者の方々の再出発の難しさと、
それに対して社会がどれだけ無関心か、あるいは拒絶しているかを改めて問い直さずにはいられない。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-03-09 06:31:36)(良:1票) 《新規》《改行有》
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