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プロフィール
コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  網走番外地 荒野の対決 《ネタバレ》 刑務所内のシーンで映画は幕を開けますが、刑務所から外に出て射撃大会の場面になると、背景にやたら雄大な山々が見渡されて、露骨に西部劇チック。 その後の展開も、西部劇を意識してるんでしょうけど、どういうわけだか、これが不思議なくらい、西部劇っぽくないんだなあ。 これはやっぱり、北海道。そしてやっぱり、網走番外地。素晴らしきはムショ仲間たち。 悪徳牧場の様々なイヤガラセが、これでも繰り返された挙げ句、最後は殴り込み、などという展開、西部劇どころか完全に任侠映画。 と思ったら、意外な復讐譚に結びつく、というのが、意表をついた展開。意外に現代的なオハナシだったのでした。いや、意外。 大原麗子の熱演が、見どころ。[インターネット(邦画)] 7点(2022-06-13 22:19:46)《改行有》

22.  アルフィー(1966) 《ネタバレ》 若き日のマイケル・ケインが色男の女たらしを演じていて、大丈夫なのかな彼につとまるのかな、と少し心配になりますが、他の男性出演者の容姿レベルを落とすことで何とかサマになってるような(?)。 恋愛観だか何だかをカメラの向こうの我々にしきりと語って聴かせ、とりあえず彼なりのコダワリはあるようなのですが、見ている限り、節操なく片っ端から女性に手を出してるようにも見えて、まるでその後の彼の俳優人生における役選びそのもの、と言ったところ。 好き勝手やってるようでも、実はシガラミに縛られてる訳で、何せ男女のこと故、「妊娠」ってのがそこに絡んでくる。子供が生まれてみりゃ、これもイイもんだ、と思ったり、はたまた堕胎の現実を目の当たりにしてショックを受けたり(その前触れのような、窓の外の雨)。 最後はドン・ジョヴァンニに地獄に堕ちちまえ、ってなもんですが、この程度では人間、なかなか地獄には墜ちないみたいですな。しかし歳とともに、上手くいかないことも増えてきて、何となく寂しい気持ちにもなって、反省する気はさらさらないけど、徐々に生活も変わっていく。さて、こんなヒトもいずれは、いいお爺ちゃんに、なるんですかねえ。[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-05 13:07:56)《改行有》

23.  アラスカ魂 ジョン・ウェインと言えば、西部劇におけるヒーローの中のヒーロー、というイメージがあるのですが、しかし実際に映画に登場する彼から受けるのは、剽軽でお茶目なオヤジ、という印象。ある作品を「おおらかな西部劇」と言った時、そのおおらかさの半分は、彼に起因するものではないか、とすら思えてきます。 その彼が、ここでは文句なくコミカルなドタバタをやってます。何かといえば大騒ぎ、乱闘、殴り合い。何かといえばおごってくれる気前の良さ。 男女が意地を張り合う凸凹恋愛劇、という基本ストーリーは、これは50歳を過ぎたオヤジには似合わぬキツイものが、若干無いでは無いけれど、こういうアホらしいオハナシをえらく手間をかけて大々的に撮影し、乱闘ドタバタのみならず、こんな作品には誰も期待しない銃撃戦まで織り込んでみせたりして。相棒ジョージ(スチュワート・グレンジャー)の人懐っこい表情も忘れ難い。実に「おおらかな」作品です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-31 09:21:39)《改行有》

24.  あゝひめゆりの塔 映画開始早々の運動会シーンで、登場人物たちの顔立ちも話し言葉も、その他何もかもが「こりゃ沖縄じゃないよなあ」という感じなのですが、製作は1968年、まだ沖縄が返還される前ですから、仕方ないっちゃあ、仕方ない。というよりも、女子学生の運動会に何とか忍び込みたい男子学生たち、それをたしなめる吉永小百合、なんていう日活青春テイストが、映画を観る人々と登場人物たちとの距離感を縮めるのには確かに必要なのかも知れませぬ。だから、冒頭の渡哲也にわざわざ釘を刺されるまでも無いだろう、とは思うのですが。 という、まず馴染み深い日常があって、戦火が近づきつつあることをナレーションが解説しつつもその実感はなかなか湧かないのですが、次第に不穏な空気が流れるようになり、やがて日常は、過酷な戦場へと変化していくことに。米軍による攻撃の描写が、いろいろ違和感を感じさせる部分も多いのですが、少なくとも、「日活青春路線の映画がここまでやるか」と思わせるだけのものはある、激しい描写になっています。一方で、吉永小百合は清純派でなければならず、清純派は演技がクサくなくてはならぬ、みたいなこの感じは、ちょっとどうなんでしょうね。むしろ「表に出さずに堪える」ことが感情表現につながる場合もあると思うのですが。 最初の方で、男子学生の列と女子学生の列が、それぞれ別の歌を歌いながらすれ違う場面、異なる歌が重なりつつ、さらにそこにセリフまで重なって、映画的なポリフォニーになっているのですが、その後も、卒業式の場面で「仰げば尊し」の歌声と砲声が重なったりとか、切断された手足が砲撃で飛び散った中に花が咲いているとかいった対比が織り込まれており、「平和vs戦争」という対立軸を強調しています。そういう意味では、戦争映画と青春映画とが本作の中で必ずしもうまく混ざっていないこと自体が、作品の欠点もありながら、一方では本作の独自性にもなっているように思われます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-03-08 12:42:23)《改行有》

25.  赤ひげ どちらかというと私は以前からこの作品、やや苦手・・・。 3時間、やっぱり長いのです。そりゃあ気合いの入った、入りまくった作品ですけれども、ちょっと入り過ぎかと。ワンカットで撮影されたであろうシーンの、役者さんの異常なテンションの高さ。ついていくのがちょいと大変ですが、それで我々を引っ張るには、この(原作がそうだからとは言え)「連作短編集」のような構成は、不釣り合いでやや弱いような気が。同じく黒澤作品の『夢』ではワンカット10分を超えてしまいましたが(演技をいったん止めてフィルム交換したらしい。ってこれでワンカットの意味あるんだろうか?)、一方でハイビジョン使ったりと、作品自体に実験色があって、構成も完全にオムニバス形式で割り切ってましたよね。この『赤ひげ』の方は、もっと普遍的なヒューマニズムに裏打ちされた(されるべきであろう)作品にしては、ちょっと形式じみててギクシャクしてしまってる感じがします。山崎努のエピソードなど、延々と回想が語られるだけでなく、一部「回想の回想」まで入ってきて、この末期の緊張感の中、そんな演出までしなくても、と。 で、3時間、長い。長いのですが、一方でこれは意味のある長さでもあるのでしょう。反発していた若大将がいとも簡単に赤ひげになびいても嘘くさいし、なびかせんがために赤ひげが無駄にしゃべったり「いい人ぶり」を見せまくってもつまらない。エピソードを連ねるうちに徐々に心変わりしていく、それを自然に描くためには、この長さも一役を買ってるだろうし、そこを違和感なく見せたからこそ、終盤が近づくにつれての盛り上がりにもつながってます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-04-02 22:31:29)《改行有》

26.  赤穂浪士 東映10周年記念、あまりにもオールスター過ぎる豪華時代劇。オープンセットでの群衆シーンに、壮麗なスタジオセット、そこに次から次に出てくるスターたち。いやまあ冒頭で配役がクレジットされてはいるのですが、誰が何の役か到底覚えきれない人数なので、いつ誰がどんな形で出てくるか、という楽しみがあります。ただ、人数集めすぎて、もはや役の方が足りないような・・・(って、そんな訳はないのですが)。 というくらい、色々と人物が登場して、大友柳太朗が重要な役かと思いきや中途半端な脇役に回ってしまったり、十四郎サマがその好敵手かと思いきやさらに影が薄くなってしまったり、錦之助の役なんていっそ登場しなくてもよかったんじゃないかと思うくらいなんですが。でもこういう必要なのか不必要なのかわからん登場人物がウヨウヨ出てきてストーリーの節々に絡んでくるのが、オールスター映画の楽しいところ。それにしても錦之助&賀津雄兄弟、似すぎ。 最初の1時間ほどは、そういうよくわからんキャラクターを登場させつつも、橋蔵演じる「出木なさ杉クン」こと浅野内匠頭の刃傷沙汰から切腹までが描かれます。そこからは、右太衛門や千恵蔵が気合いの演技をみせまくる、おっさんタイム。気合いが入れば入るほど、セリフが聞き取りにくくなっていき、何言ってるのかよくわからん千恵蔵を囲んで藩士たちが号泣しているのを見てると、ちょっと取り残された気分にもなりますが、いいんです、あくまで雰囲気、雰囲気。 さて、「赤穂浪士」という割には、大石親子以外の人たちの出番が妙に少なく、せいぜい目立つのは片岡源五右衛門くらい、というのがちょっと珍しいですかね。堀部安兵衛ももっともらしく出てきた割に活躍しない。東千代之介より山形勲、というわけです。 ということで、個々の浪士のこれというエピソードもないまま、浪士以外の登場人物が入れ代わり立ち代わり物語に絡みながら、気がついたら討ち入り、となりますが、若手(あくまで当時)とベテランのスターが散りばめられる楽しみに、豪華なセット、松の廊下などでカメラが横方向に動くとちょっと舞台の雰囲気なんかもあったりして。討ち入りの日の雪の描写なんかもいいですね。 ただ、全編を通じ、「泣く」場面が多すぎるかな、という気も。あまり涙を乱発すると、ここぞ、という盛り上がりが弱くなってしまいます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-01-15 09:05:20)(良:1票) 《改行有》

27.  アルバレス・ケリー 《ネタバレ》 南北戦争下、北軍へ牛の群れを届ける男が、アルバレス・ケリー。冒頭の「あ~るばれ~すけ~り~」という陽気な主題歌が耳から離れず困ってしまいます。で、北軍相手の商売がうまくいってるのかと言えば、人の足元をみたように無茶な注文をつけられて、何だか面白くない。そうこう言ってるうちに、ケリーは今度は南軍にとっつかまって、コチラに協力しろと脅される。 南軍側の大佐がR・ウィドマーク。コワモテの顔に眼帯をつけて凄みを利かせ、ケリーの指を撃ち落とすなどの非道をはたらくのですが、映画自体は別に南軍が悪で北軍が善というスタンスでも何でもなく、それは、中盤に登場する、北軍に協力的でない黒人の冷ややかな態度にも表れています。それはケリーとて同じこと、彼はあくまでカウボーイとしての自分に忠実であり、その仕事に意地を持っている。 しかしその主人公を演じてるのがW・ホールデン。どうも特徴が無いといいますか、優等生的であまり頑固者の感じがしない。もうちょっとアクの強い俳優さんの方が良かったかも??? 途中、南軍から逃げようとするエピソードが、中途半端な感じもする一方で、ある意味この優等生顔に似合っているような気もします。 で、クライマックスは、「食い物の恨みは恐ろしい」ならぬ「食い物が暴れたら恐ろしい」という、牛の群れを暴走させて北軍を蹴散らすダイナミックなアクション。ここで主人公の意地もピークに達し、南軍、北軍にも肩を並べる第3の勢力とも言うべき立ち位置に。そして主人公と南軍大佐との関係もピークへと達して、何かと盛り上がるのでありました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-21 08:27:46)《改行有》

28.  網走番外地 吹雪の斗争 これは人権蹂躙だ~ などと、こういう作品を観て怒る人もさすがにいないでしょうけれど、劣悪この上ない刑務所の中に放り込まれた、42号こと健さん。やがて脱獄するも、道中、妙な連中に出くわし、彼らのダイヤ強奪計画に巻き込まれていく。とは言っても、健さんには健さんなりの、ある目的があり、前半の刑務所のエピソードがちゃんと後半に繋がっていくんですけれども、いやそれはよくわかるんですけれども、それでもなーんか、気持ちの上で前半と後半がつながらないんです、あの前半に対して後半どうしてこうなっちゃうの、と。それを言い出すと、さらに終盤の雪原における逃走劇、これこそどうしてこうなっちゃうのか。西部劇のごとく、疾走する馬、銃撃戦、果てはダイナマイトまで持ち出し、爆発でバラバラになっちゃうヤツまで出る始末(しかもこういう場面がフツーの出来事であるかのようにサラッと描かれるのが・・・)。突拍子もなくって、もーついていけません。この堂々たる暴走ぶりが、スバラシイんですね。いちいち真面目にとらえていては、それこそ「頭がもつれちゃう(by42号)」。オハナシとしての「つながり」は、映画を暴走させるための手段であり、我々はその暴走に身を任せていれば、ラストの『夕陽のガンマン』を彷彿とさせる対決へと、ちゃんと連れて行ってくれるのだから。 惜しむらくは、タイトルに「吹雪の」とあるのですが・・・撮影期間中にうまく吹雪かなかったんですかね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-13 08:07:35)《改行有》

29.  悪名一番勝負 田宮二郎がモメごと起こして出演できなくなりました~。というこの時点で、この『悪名』シリーズも終わってるのね。だから本作、すでに番外編っぽい印象、ついでに脚本・監督にマキノ雅弘が登場、これは我々への大きなプレゼント。田宮二郎の抜けた穴は、ちゃっかり甥の津川雅彦で補ってしまう。そんでもって、すでに殆ど寅さんと化していた本シリーズを、任侠モノ路線に引き戻し(ラストではドスを振り回す朝吉親分)、ついでに数多くの様々な途上人物の悲哀を盛り込んで、市井モノの一面も。しかし、前作までのまるでファミリー路線のようなホノボノした雰囲気を思うと、本作、急に密度の高いムツカシイお話になったわねえ、と(思えば寅さんシリーズってのは初期の一部を除き同一監督で撮り続けられ、あれはあれで実に幸せなシリーズだったよなあ、と)。本作、趣向が変わったのはいいけれど、朝吉親分の影がやや薄い(敵方の密談ばかりが描かれる印象アリ)のがちと残念。いや、それだけに、ひとり倒れふたり倒れた後についに朝吉親分が敵地へ乗り込むクライマックスが盛り上がるのです……ですが、その直前のおりんとの絡みが、ちょっとアッサリし過ぎかな。一番おいしい役は、どう考えても、田村高廣。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-08-05 23:18:14)

30.  悪名桜 こういうシリーズものを観ておりますと、作り手の側としてはマンネリ路線の中にも多少の変化を、と趣向を凝らしたりするところなのでしょうけれど、観る側にはそれが結構気になる変化だったりもします。このシリーズは、「悪名」と言いながら実際はまるで聖人のようなイイ人、しかも腕っ節は滅法強い、という朝吉親分が、悪を懲らしめるオハナシ。悪を懲らしめると言っても、単なる鉄拳制裁だったりする訳ですね。世の中がよくなったのやらならなかったのやらよく判らなくても、観てる我々はとりあえず溜飲を下げる。とにかく、“任侠界の出来杉クンこと朝吉親分の悪者退治”ですから、いわばここで描かれているのは一種のユートピア。ところが本作、ちょっと感じが違う。まずそもそも、朝吉親分はいきなりカタギの商売人になっている。「八尾の朝吉」という“悪名”も本作ではあまり通じない。親の死に目に逢えなかった悔恨より、とあるチンピラを更生させようとするも、殆ど空振りで救いも無く。ユートピアとしての本シリーズを感じさせないまま、やるせない怒りをぶちまけるように、ヤケクソのように、クライマックスの殴り込みへ突入しますが、それとて、敵役の藤岡豚也じゃなかった琢也に「自分たちを倒してもまた別の連中がのさばるだけ」と捨てゼリフを吐かれてしまう訳で。シリーズ中の異色作と呼ぶほど異色ではありませんが(正直、マンネリですが)、ちょっとひっかかる作品ではあります。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-04-30 13:31:33)

31.  悪名波止場 歌ありアクションありの人情活劇。一応は任侠シリーズで一応は死人も出ますが、コメディですね、これは。前作のラストシーンからそのまま物語は始まり、要するに、藤田まこと演じるニセ清次(その2)にまつまる騒動なのですが、ニセ清次は早々に退場。彼の妹のために一肌脱ぐ朝吉親分、このあたりはどっちかというと寅さん映画のノリですが、寅さんと違ってさすがは朝吉親分、金の工面のためマジメに肉体労働に励んでおります(任侠シリーズなのに?)。という、寅さんよりさらにカタギになっちゃってる朝吉親分ですが、やはり本分は悪への鉄槌、ラストでは悪党一味にトホホな制裁を加える“ハングマン”と化します(水攻めにあう吉田義夫さんの引きつった顔)。……やっぱりコメディですね、これは。おんな舟のアマゾネス軍団の凶暴さには朝吉&清次もタジタジ。という、時代のバイタリティが感じられる楽しい作品でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-27 08:29:24)

32.  あらくれ大名 どこからどこまでが史実なのか(というより、多少なりとも史実を含むのか)よくわかりませんが・・・時は大坂冬の陣。市川右太衛門演じる松平直次郎、家康の息子でありながら豊臣側につき、八面六臂の大活躍。とにかくやることなすこと豪快で、何かと無茶をしでかしては「がっはっは」と高笑い。最初から最後まで、右太衛門の高笑いがこれでもかと繰り返され、観終わった時には耳の奥底にこびりついて離れなくなること請け合い。それもヤケクソみたいな高笑いで、目は全然笑ってなかったりするのがちょっとコワかったりします。でまあ、とにかく、合戦あり、陰謀あり、ちょっとした恋愛あり、と、非常に楽しませてくれる作品になっているのですが・・・映画の大詰め、家康のいる伏見城へ乗り込んでいく右太衛門の勇姿にシビれ、敵味方の関係になったとはいえ、あくまで父である家康とのやりとりにちょっとホロリと来たところで・・・え~なんじゃそりゃ~といいたくなるような腰砕けのクライマックスが。罰ゲームかいな、これは(機会があればぜひ本作を観て、のけぞって下さい)。ま、しかし、大坂夏の陣を前に、颯爽と豊臣側に去っていく右太衛門、この後の波乱を感じさせつつも大団円、というラストが、これまたホロリときますね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-31 00:21:07)

33.  暗殺(1964) 司馬遼太郎の連作小説『暗殺』の中の『奇妙なり八郎』が原作。原作は、短編らしくエピソードを緻密に折りたたんで構成されているけど、その味わいとは異なり、映画はどっちかというとハードボイルド調。なにしろ清河八郎役が、Gメン丹波ですからね~。幕末を代表するトリックスターともいうべき清河八郎のイメージに合っているかというと、多分合ってないと思いますが(笑)、ここでは、冒頭に繰り返し出てくる「奇妙なり八郎」というセリフと、映画における八郎像が、むしろ対照的であるところがミソ、なのかも。幕末に渦巻く意志と意志の衝突、みたいな青春映画調ではなく、むしろ運命論的な暗い雰囲気が漂う作品で、才気が溢れるような入魂の映像が見事。とか言いつつ、こういう映画って、観ている間ずっと「ホラすごいでしょ、すごいでしょ」とアイヅチを求められ続けているような気分になって疲れるんですけどね(笑)。音楽は武満徹、60年代に邦楽器への関心を示した彼は、ここでも尺八を取り上げており、絶妙の効果、いやまあ、狙い過ぎじゃないかと言われればそうかもしれんが、この後の代表作、エクリプス(66年)、ノヴェンバー・ステップス(67年)と繋がっていくことを思えば、興味深いところ。・・・ところで昨今の社会の閉塞状況や、それに対する不満の湧き上がり、何か幕末につながるものがあるようにも感じます。年功序列の廃止だの実力主義だのと表向きは言われながら、かえってそれが故に、保身への執着、既得権益への執着が蔓延している世の中。支えとなっていた帰属意識を失ったのみで、代わりとなるべき寄る辺を見出せない世の中。いずれ、野心と大望が、血で血を洗う争いを生んでいった、あの幕末期のような混乱が、現代にも巻き起こるのかも知れない。そんな時に、こういう、ある種“冷たい”映画を観て、視点を変えてみるのも、よいのかも知れません。[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-04-26 09:53:03)

34.  ある殺し屋 物語の時間進行がバラバラになっているトリッキィな構成。なぜ寿司の折り詰めを「3つ」買うのだろう・・・? 主人公のセリフが切り詰められていることもあって、最初は謎めいたストーリー。これが、映画の進行とともに徐々に明らかになっていくところに、ハードボイルド的シブさと、謎解きのスリルがあります。雷蔵の表の顔は、7・3分けカツラ風髪型の飲み屋のオヤジ、しかし裏の顔は切れ者の殺し屋。いや、切れ者と言うのとはちょっと違うのかもしれない。ヌカリ無く着々と準備を進める有能ぶりとは裏腹に、どこか生死を超越したような、雷蔵の虚無的な表情(←いつもどおり、という話もある)。その姿はまるで死神のようでもあります。ラストの後ろ姿が実に印象的。その後の成田三樹夫のセリフは、直前の雷蔵のセリフをそのまま頂いたもので、映画のオチとしてはピシッとキマったシーン、のハズだけど・・・「おいおい、シタリ顔でそのまんまヒトのセリフをパクりやがって。オマエは寅さんか!」と、つい突っ込んでしまいました。[CS・衛星(邦画)] 7点(2006-08-15 13:10:42)(笑:1票)

35.  アラベスク 《ネタバレ》 目薬で殺害するという冒頭のショックシーンから、もう釘付け。とにかくカメラがトリッキーで、観ててつい目を白黒させてしまいそうなほど。ミラーごし、ガラスごし、その他その他、思いつく限りの撮影を展開し、さすがにクドいのですが(笑)、まさにアラベスク状態。マンシーニの音楽も、ビックリ系の音楽で、映像に負けじとトリッキー。ええと、舞台はロンドンでしたよね、確か?全然そんな気がしませんでした。はっはっは。さてさて、ストーリーの方も、二転三転、転がりすぎて、結局ワケワカラン(笑)。えーと。暗号解読を頼まれたのにそれは暗号ではなくて?マイクロフィルム?でも首相は暗殺されちゃって?え?首相もニセモノ?何のための暗号だったの?そもそも誰が何を何のためにやってるのか、誰か、5W1Hを整理して教えてちょ~。ってない映画で、面白かったです。なんだそりゃ(↑一応ネタバレ表示したけど、バラせるほど私がネタを理解できていないのであった)。それはともかくこの映画、アクションはなかなか見ごたえあります(特にラスト)。でも中盤の、クレーン車との死闘、クレーン車が高圧につっこんだら乗ってるヒトは本当に感電するのだろうか?という素朴な疑問が。 答え:一般に映画の中では感電します(悪人に限る)。7点(2004-08-13 00:57:16)(笑:1票)

36.  アッシャー家の惨劇 《ネタバレ》 AIPのポー・シリーズ第1弾ですね。作品のテーマは「欠陥住宅」です(笑)。『マネー・ピット』みたいなもんですわ。老朽化した家が崩れてくる。これはコワイ。ははは。そういう訳で、モンスターの類で怖がらせようってんではなく、あくまで雰囲気重視。モンスターが出てこない代り、ガイコツくらいなら出て来ますが、保健室で借りてきたかのような、プラスチック感あふれるシロモノ。ま、そのあたりを気にしない事にすれば、アッシャー家の内装の重厚感など、なかなかのもの。ほぼ全編がアッシャー邸内のシーンなだけに、美術担当ダニエル・ハラーの腕の見せ所です。家の外も霧が立ちこめ、不気味な雰囲気が・・・って、こりゃさすがに豪快にスモークを焚き過ぎかな(クロサワ映画でもかなうまい)。アッシャー一族の肖像画といい、一種の因縁話めいたストーリーを、(低予算の割に)美術セットがよく支えています。そして音楽はかのレス・バクスター(笑)。ここでは、重厚なサウンドを(重厚すぎるサウンドを)存分に聴かせてくれます。脚本はさらに大物、リチャード・マシスン! ロジャー・コーマンの意向がどのくらい脚本に反映されているのかは知りませんが、クライマックスなどでは、原作の幻想性を犠牲にしてまでも、あくまで妹をゾンビっぽく描き(結局はモンスター映画でした。笑)、アッシャー邸を派手に炎につつませる(焚き火のごときセコい炎の合成映像が何とも言えん)、このサービスぶり。ある種の(あくまで「ある種の」)恐怖映画のツボをよく押さえた構成となっております。しかも最後は、あわてて原作どおり、強引に屋敷を沼に沈めちゃう。う~ん、ナイス。私の希望としては、ヴァディム、マル、フェリーニの『世にも怪奇な物語』には、コーマンにも参加してもらって4本立てにして欲しかったところです(続けて見比べるときっと色々勉強になった事でしょう)。7点(2004-08-12 20:16:21)

37.  悪魔のようなあなた ストーリーは、限りなくヌルい。流行作家が書き飛ばした通俗小説のラストにありそうな半端なヒネリのオチが、何ともいえぬヌルさを醸し出しており、まさに春のポカポカ陽気のよう(笑)。しかし。無理にでも褒めるとすると、本作、登場するいくつかのモチーフ(例えば「犬」など)が循環するように組み合わされ、ちょっと音楽的とでもいえる流れがあって飽きさせない。それがまた迷宮っぽさを醸し出し、まただからこそ、オチはもうチト気の利いた意外なものが期待され、それにもかかわらず・・・。7点(2004-05-15 00:01:26)

38.  網走番外地 悪への挑戦 《ネタバレ》 高倉健が主演で、アラカンの鬼寅さんも出てくるもんで、確かに一応はコレ、「網走番外地」には違いないんでしょうけれど、それにしてもまた随分極端な路線変更。今回はほとんど、スクールウォーズです。熱血健さんと、尖ったナイフのごとき、若き谷隊長(@たけし城)との、心の交流。 さすがにストーリー上、さいぶ無理があるなあ、と思いながら見るのもまたオツなものですが、それにしてもちょっと無理が。変に義兄弟になったりするもんだから、あーたぶん谷隊長、この後どっかで殺されるんだろうなーと誰しも思うのですが、こんなあっけなく殺されるとは。映画途中からやや影が薄くなってしまってたので、死んでもあまりインパクトが。 スクールウォーズ路線から、ハードボイルド風味を漂わせつつ、ラストはしっかり任侠路線になって、かなりノリノリにドスを振り回す健さん。無理はあるけれど、イロイロ楽しめたから、まあ、いいかな、と。[インターネット(邦画)] 6点(2023-04-16 17:04:41)《改行有》

39.  暁の用心棒 映画最初の方で炸裂する機関銃の迫力の無さに、斃される兵士たちの倒れ方にもやる気が感じられず、ヤな予感がしてくるのですが、こんなこと書くと「オマエはそうやって、マカロニの冒頭シーン観るたびに、いつもヤな予感ばかりしてるんじゃないのか」と言われそうで、いや、決してそんなコトないんですけどね。でも殊更に否定もしませんけれど。 主人公のガンマンが、例のトニー・アンソニーという人で、悪者どもと戦うのかと思いきや、彼らに擦り寄り、一緒に金貨を奪う算段を取り付ける。で、首尾よく金貨を奪ったはいいけれど、分け前に与りそびれたもんで、金貨欲しさに、悪者ども一行にイヤらしくつきまとう始末。いや、コレ、金貨が欲しいなんてのは口実で、実は一味の仲間に入れて欲しくってイヤガラセまがいのちょっかいをかけているようにも見えてくる。そう見えちゃうのは、主演トニー・アンソニーの風貌がどうにも貧相だからでして。悪者どもに囲まれると、貫録負けすること夥しい・・・さてここで、邦題が「暁の用心棒」なのですが、この主人公のどこが用心棒なんだ、と思ってると、中盤でしっかりリンチにあってタコ殴りされる場面があり、ああこれは確かに『用心棒』の流れを微かに汲んだ作品ではあるわい、と。ま、所詮マカロニの邦題ですから気にする必要もありませんが。 で、頼りない主人公も、このリンチで多少は懲りただろ、と思ってる間に、いともたやすく危機を脱出してしまい、えーそんなんでいいのかよー。ってか、敵が妙にアッサリ絶命する場面が多い気がするんですけどねー。 ↓やましんさんがおっしゃってるように、この映画、セリフがかなり少なくって、冒頭シーンなども無言が続くし、主人公と彼が助ける女性との間にも殆ど会話が交わされない。それが、ちょっとシュールな趣きすら感じさせて、独特の雰囲気を出しているし、クライマックスで背景に虫の音が聞こえ続けるのも、ちょっと不思議な気分になってきます。 ただ、何かというと流れ始めてしまうBGMが、どえらく安っぽい単調な音楽で、このせいもあって、BGMがようやくやむと背景の音につい意識が向かうのかもしれませんけれども。 それにしても、なぜか道のド真ん中に敷かれたトロッコのレール。こんな短い距離で、何のために敷かれたのか。普請もやたらテキトーだし。 というあたりも、イヤでも強い印象を残してしまうのでした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-02-23 14:10:07)《改行有》

40.  赤い夕陽の渡り鳥 例によって素晴らしいロケーションの中を馬に乗って行く小林旭、例によって宍戸錠との遭遇があり、例によって地上げ屋みたいな連中に困らされている人々がおり。背景はとにかく絶景、やっぱり渡り鳥シリーズ最高。と言いたいところですが、小林旭演じるところの主人公・滝伸次、冒頭の子供を救出する場面での大ジャンプはカッコよかったものの、イマイチ見せ場が少ない。誰かが危機に陥るたびに都合よく馬に乗って助けに現れるのが、何だか判で押したような感じがして、もう少し変化をつけられないものかと。その分、宍戸錠が頑張る(オーバーアクションな演技は観てて若干疲れるけど)。無精ヒゲ生やしてると、気味が悪いほど宍戸開に似てますな。さらに盛り上げるのは、殺し屋のジミー。これ以上無いくらいに殺し屋っぽいイデタチをしておりますが、仕事に差し支えないのでしょうか。という訳で、やや盛り上がりに欠ける(笑)のですが、それでも何でも、とにかくロケが素晴らしいのです。これだけ風光明媚だと、崖を転落する自動車の姿も映えて、実に見事、「中に乗っていた主人公がなぜ無事だったか」なんてこともまるで気になりません(笑)。さあ、景色を楽しみましょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-11-26 22:56:52)

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