みんなのシネマレビュー |
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41. アニー・リーボヴィッツ/レンズの向こうの人生 アニー・リーボヴィッツの名は知らなくとも(この国での知名度が低いのは作風があまりこの国向きではないのではないかと思う)オノ・ヨーコにしがみつく裸のジョン・レノン(80・彼の暗殺数時間前に撮られたことで価値が付加されている)や妊娠中のデミ・ムーア(93)のヌード写真は眼にしたことがあると思う。ローリングストーンやヴァニティ・フェアなどの米国有名誌を飾った写真は彼女自身の人生と同じく自由奔放で枠にとらわれない(50才で子供を持とうと思い立ち、実践してしまうところがユニーク)感性をほとばしらせる一方で、どこか落ち着かない気分にさせる。これはもう好みの問題になるのだけれど、原初的なパワーや剥き出しになった内面に圧倒されることはあっても、かならずしも惹かれるわけではないから。アメリカのセレブリティが口をそろえて絶賛するのも普段高い壁で守られている彼らが生(き)の状態の自分をさらけ出したい願望が感じられ、米国風土にあった表現者ではないかという気がする。カルチャー周辺にいても彼女ほどスキャンダラスでない作風の女性フォトグラファーが好きだ。彼女らの人生が映画になることはけっしてない。[映画館(字幕)] 6点(2010-01-09 06:59:37) 42. I am Sam アイ・アム・サム 《ネタバレ》 「愛こそすべて♪」な映画は苦手だし、ビートルズをダシにしているのも感心しない。一番印象に残るのは、可愛いがゆえにルーシーをサムに返しにきたランディ(ローラ・ダーン)の泣き笑いの顔。ペンもダコタもファイファーもブッとぶ。悪い映画ではないけれど、女性監督らしいおセンチでプリミティブな作品であることも否定できない。[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-25 15:35:44) 43. アルマゲドン(1998) これもかなりオメデタイ部類の映画だけど、恥ずかしげもなくその姿勢を貫いているのは殊勝といえるかも。リブ・タイラーは母親べべ・ブエルより父親スティーブン似。エアロスミス(貴重なブリティッシュ系アメリカン・バンド)の最大のヒット曲が他人(ヒットメーカーのダイアン・ウォーレン)が書いた曲なのは残念だし、この歌も例によってベタベタなのであまり好きじゃない。[地上波(吹替)] 5点(2009-12-22 07:18:01) 44. アンネの日記(2007)<TVM> 《ネタバレ》 新しい「アンネ」。ケレン味のない演出と研ぎ澄まされた演技の簡素な群像劇。撮影や美術がそれを際立たせる。ひたすら身を潜める日々に漂う不安と苛立ち、焦燥感。一触即発な空気の中で小さな火花が散り、予期せぬ友愛が生まれる。隠れ家の住人と支援者ミープ・ヒースを含めた9人の存在感はいずれ劣らぬものだが、とりわけペーターとデュッセル医師は印象深い。アンネは利発な少女だが、何でも批判したがる不寛容で狭量な面も見逃していない。映画ではシェリー・ウィンタースが、米国TV版ではブレンダ・ブレッシンが演じたファン・ダーン夫人役レスリー・シャープの愚劣な卑俗ぶりも見所である。アンネがキティと名づけた日記とともにミープの後年の手記も資料にされているだろう。自由な日まであと少しだったのに。だが彼らが無事生き延びていたら、プライバシーの面から日記は公開されることはなかったであろうことを考えると、運命の皮肉さを感じずにはおれない。(一部地域を除いて19日再放送予定)[地上波(吹替)] 8点(2009-09-18 01:46:34) 45. アンネの日記(1959) 映画としては成立しているが、ヴィジュアルもふくめてオリジンからは距離があるといわねばならない。[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-17 00:29:49) 46. ある日どこかで ロマンティックで切ないタイムスリップ・ラブストーリー。クリストファー・リーブの「スーパーマン」以外でのもっともいい作品だろう。ジェーン・シーモアも一番美しいかもしれない。どこか物足りない気がするのは、メビウスの輪のように物語の始まりが謎につつまれたままなのと雰囲気が上品でおっとりしているからだと思う。冒頭に現れる老婦人の、パンフレットにしるされたリチャードの名前にふれる手があとから重みをもつ。[映画館(字幕)] 7点(2009-08-11 03:15:16)(良:1票) 47. 足ながおじさん これは私にはかなりキビシイです……これと「ピッピ」は少女向け児童書の中でもユーモアとユニークさで上位にあると思うからです。活気に満ちた書簡集を映像にすること自体無理な話ですし、プロットだけ使ったって単なるシンデレラ物にしか見えませんからね。フレッド・アステアもどんなにダンスがお上手でも、ジャービス・ペンデルトンには少しお年では。[CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-08 01:04:12) 48. アメリ ジュネの映画が大ヒットするなんて誰も予想しなかったこと。女の子に受けるキラキラ要素とマニア受けのコテコテ要素が混在するモンド・ビザール。自分で作りあげた夢の世界の住人アメリ(オドレイ・トトゥのなりきりぶりはすごいが少々苦手な子…)のちいさな冒険。停滞気味のシネマフレンチの壁を破ってスコーンと抜けた感じはよいが、「デリカテッセン」「エイリアン4」「ロング・エンゲージメント」も含めた5本の中で、自分にとってのメダイユ・ド・オーが「ロスト・チルドレン」であることに変わりない。[映画館(字幕)] 7点(2009-08-07 00:04:47) 49. アデルの恋の物語 アデルや「カミーユ・クローデル」のような女性を他の女優が演じていたら、目も当てられなかっただろう。人形のような小さな顔のアジャーニが演じているからまだしも見ていられるのだ。最後のモノローグが彼女のイメージをわずかに昇華している。[DVD(字幕)] 6点(2009-07-30 00:08:45) 50. アンネ・フランク<TVM> アンネの面影を持つハナ・テイラー・ゴードン。ベン・キングスレーもまたオットー・フランクを演ずるに相応しい。この2人を得て、物語は日記のページから鮮やかに現実味をまとって立ち上がる。普通の幸せな少女から籠の鳥へ、そして・・・。実際の日記は隠れ家を発見された時点で途切れるが、その後の彼らの足取りも生存者の証言や新たな資料を駆使して組み立てられ、アンネと姉マルゴのベルゲン・ベルゼンでの最期の日々までが再現される。TVムービーらしく極端な描写は抑えられているが、作品の質を損なうことはない。フランク一家らの保護に尽力し、日記を保存することともなったミープ・ヒースを演じたリリ・テイラーも印象的。[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-03 23:45:14) 51. 青い珊瑚礁(1980) 「プリティ・ベビー」で魅了されたブルッキーに2度目に会えた青い海に浮かぶ島。濃い化粧に彩られた幼い娼婦は消え、小麦色の肌をさらし日に焼けた髪をなびかせる、すらりとした少女がいた。対照的なこの2作、彼女の代表作としてどちらも好きだ。呪術的な暗い闇が眩しい陽光を引き立て、時おり挿入される自然の産物が南の島の情緒を生み、パディの口からこぼれる蟹が幼い二人に死を教える。夏になるとこの島に思いを馳せるひともいるだろう。エムとリチャードの島に。(エメラインのヌードはブルッキー本人のものではありませんので念のため) [映画館(字幕)] 8点(2009-06-26 02:32:11)(良:2票) 《改行有》 52. 愛の嵐 《ネタバレ》 この作品におけるイメージ作りの巧みさは、芸術の域に達してはいまいか。看板となっているシャーロット・ランプリングのいでたちは勿論のこと、親衛隊員である男が収容されたユダヤ人少女に纏わせる淡い薄物のドレス、軟禁状態の中で飢えたルチアが貪る赤いジャム…女の彫像に似た透徹した美貌も男をして「この女でなければ」と思い込ませるに足るものだ。登場人物も舞台となる場所も限定され、次第に強まっていく閉塞感も凝縮に繋がっていく。夜明け前、死装束を身に着けた二人が表に姿を表し橋の袂で撃ち倒されるシーンも、悲惨さよりも呪縛からの開放を感じさせ、鮮やか。(こんなお耽美で歪んだ愛にもついつい惹かれちゃうんだな~余談ですが、LZのJPは77年のシカゴ公演でシャーロットのあのカッコ真似してると思います。あちらも一公演の衣装にもかかわらずフィギュアになってるほど有名なものですけれど、これとの関連性について指摘したものを目にした事はありませんが、絶対マネしてると思う…)[映画館(字幕)] 8点(2009-06-22 03:12:08) 53. 愛人/ラマン ジェイン・マーチは少女マルグリットからは遠く思われるのだけれど、あからさまな濡場も感心はせぬのだけれど、ショロンとサデックのあの情景、連れ込み部屋の外の雑踏は眼と耳から20年代のインドシナへ心を運ぶ。出会いの日少女を威圧するように大きかった黒塗りのリムジン、男の権力と財の象徴であったそれは、別れの日のサイゴンの埠頭では潰れた甲虫のような打ち拉がれた姿を小さく日に晒して、彼女が海上で流した涙よりもさらに哀しく。[映画館(字幕)] 7点(2009-06-16 02:58:07) 54. アメリカン・グラフィティ 長年シカゴ・トリビューンのコラムニストだったボブ・グリーンも著作「17歳」で追想した60年代前半のアメリカ。サンフランシスコとコロンバスという違いはあれ、当時の米国田舎町での高校生の夜はどこでもこのようなものだったのだろうと思わせる。時代の変革が押しよせる前の、アメリカが穏やかで幸福だった時間をそれとも知らず生きる若者たち。これで万事休すかと思われた時、キャロルが立ち去る前にとった行動はあたたかい気持ちにさせてくれた。[地上波(吹替)] 7点(2009-06-12 03:07:54) 55. アイランド(2005) M・ベイ作品らしく、このような題材でも繊細さはまるでない。恐るべき無神経さでひたすら押しまくれるということ自体感心すべき芸当かもしれない。映画自体が複数のインプラントからなる巨大なクローンのようで既視感に満ちている。作品に不似合いないい役者が多数出演しているのも不思議。ラストもあれでは逃げ出した家畜。かなり胸焼けしたけど早いテンポで、ま…退屈はしなかったかな? ユアンは後半スコティッシュ訛りを思いっきり喋れて気持ちよさそう。[映画館(字幕)] 5点(2007-01-08 13:30:55) 56. 赤毛のアン〈TVM〉(1985) プリンス・エドワード島の美しいポストカードを目にすることも多くなった。ANNE人気は健在。どのキャラクターもあまりイメージではないのだけど、誠実なつくりは好感がもてる。少女小説に必ずといっていいほど出てくる服の悩み。みんなみたいに素敵な服が着たい!って願いはいつの世も切実。女は虚栄心から逃れえぬ者かもしれないが、少女のそれは切ない。マシューがアンにプレゼントしてくれたドレスは見た目を考慮してかブラウンからブルーに変わっていたけれど、2人の一番好きなシーン。贈る方も贈られる方も幸せ。[映画館(字幕)] 6点(2006-10-22 17:34:28) 57. アルゴ探険隊の大冒険 XTCも好きだったイアソンとアルゴ号。どこかコミカルなスケルトン軍団はあまりにも有名だけれども、最大のスターはやはり青銅の魔人テイロス。造形や動きもさることながら軋るイヤな金属音が恐怖感を大きく増幅し、潜在的な巨大な存在に対する畏れの気持ちを呼び覚ますほどに怖く、この残響音に比べれば彼の断末魔の叫びなど牛の鳴き声程度にしか聞こえない。最早作られることのないダイナメーションのマスターピース。[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-07-28 06:07:52) 58. アマデウス 《ネタバレ》 サリエリは幸せではなかったか?自らの平凡な才能に埋没する人生よりも。俗人の心が嫉妬に焼かれても、聖なる音楽家としての魂は神の子の調べに誰より酔い痴れたのだから。死床の楽聖の口述筆記をつとめた彼の目は至福に輝き羽ペンを持つ手は震え頭には天使の鐘が鳴ったのだから。この時ふたつの魂は確かに寄り添うたのだ、一瞬。かの人は天の園へ去り残されし人に人生は酷に永く、常人の届かぬ悦びを知る者は常人の知らぬ苦しみもまた深い。[映画館(字幕)] 8点(2006-06-10 14:07:13) 59. アンドリューNDR114 《ネタバレ》 古来人造人間は人間になることを渇望する人形として描かれるが、アンドリューも例外ではない。人間はロボットに憧れられるのが大好きなのだ。冒頭「われはロボット」のロビーのようであった彼が徐々に人間化していく過程はとても興味深い。でも途中から歯車が狂いはじめ、凝り固まった価値観に支配され、宗教じみた倫理さえ植えつけられてしまいそうになり辟易する。(A.I.同様少々しつこい!)人間様に人間様と裁判で認めてもらうことがそんなにも大事だろうか?それよりも大切なものはすでに得ているのに。[映画館(字幕)] 5点(2006-04-29 14:42:25)(良:1票) 60. アイ,ロボット あらかじめ用意されたフォーマットにアシモフの要素をはめ込んだ擬似「われはロボット」。内容があまりに一般的すぎ、サニーのデザインも非常に凝ったものだが魅力的かどうかは知るところではない。それは2030年代の都市景観にもいえること。A・プロヤス作品としては「ダークシティ」を超えてはいない気がする。憧れのスーザン・キャルビン博士を演じるB・モイナハンが才媛ティフィック。[映画館(字幕)] 6点(2006-04-16 18:14:25)
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