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プロフィール
コメント数 73
性別 男性
ホームページ http://6018.teacup.com/337/bbs
年齢 53歳
自己紹介 心の機微が感じられる作品が好きです。
絵に携わる仕事をしていますが、映画を映像面から語ることが苦手です。
映画の社会的道徳は常に考えますが、基本的にエンターテイメントを冒涜するようなツッコミはしないのが観客のモラルだと思っています。
全体のバランスよりも、ただのワンシーンにノックアウトされたい。

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1.  アモーレス・ペロス 《ネタバレ》 何の予備知識もなしに観たので、3本立ての映画だと知らずに面食らった。思うに1つ目のエピソードが長すぎた感じがする、そのまま展開していくものだと思っていた。しかし突然、事故の被害者である美人モデルの不倫生活の話に切り替わる。正直、この2つ目のエピソードには興味が沸かず、すぐに入っていけなかった。「被害者の話はいいから、少年のほうはどうなった?」が観覧中ずっと気かがりとなる。3つ目のエピソードは最初から登場していた老人が主人公なので「待ってました!」と観ることができた。3つとも「犬と愛とお金と家族」の話で、それが映画中央の交通事故で一瞬だけ交錯しているという構造。こういう仕組みは大好きなんだけど、主人公3人に何の関係性もないのは好き嫌いの分かれる所だろう。黒い犬が殺し屋に飼われるようになる点はシナリオの面白い積み重ねだった。美人モデルのエピソードも何らかの形を残して結末を迎えていれば、私も心置きなくこの映画を名作と呼んだだろう。8点(2005-02-19 19:04:37)

2.  あの頃ペニー・レインと 《ネタバレ》 バンドのツアーという「お祭り騒ぎ」集団の中で、少年はほぼ必然的に 少女に恋してしまう。男の子ならみんな経験あるんじゃなかろうか。 仲間を繋ぐ音楽があって、歌うだけで一つになれた世代。 そして恋と仕事のビッグチャンスに少年は目を輝かせて飛び込んでいく。 それは清々しい。この清々しさが最後まで続くのが、この映画のいいところ。 あくまで輝いていた青春をそのまま閉じ込めたかった監督の気持ちが伝わって くる。私はペニー・レインが公園を歩きながら、主人公に本名を打ち明ける 場面がすごく好きなのです。私事ですが、昔付き合った彼女が年齢を 教えてくれなくて、バースディケーキのキャンドルをいくつ買うべきか 悩んだりしたのを思い出しました。女の子に翻弄されるのは、苦しいけど どこか心地よい。そんな感じがよく出ている素敵な映画でした。8点(2004-05-19 12:25:13)(良:1票) 《改行有》

3.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 私がこの映画を通して見ていたのは人種差別問題ではなく、 弟が抱く兄への憧憬でした。 いつだって自分の前を歩く兄の背中を、弟は追いかける。 兄は自分の知らない世界を見ている。兄の視線の高さまで、少しでも近づきたい。 そこに善悪の判断はないかもしれない。 いや、むしろ反社会的であるほど、憧れは強くなる。 カメラはダニーの目となり、デレクの肉体を讃えるように映し出す。 憧れは時に盲目だ。疑いたくはないのに、心が追いついてこないという体験を したことがある人は多いだろう。だから私はデレクの改心を素直に受けとめる ことが出来た。 ダニーについても同様で、いくら追いかけても追いつけなかった兄が、 自分の視線まで降りてきて、刑務所での出来事を包み隠さず打ち明けて くれたことは、かけがえなく大切な出来事であっただろうと思う。 人種問題に疎い日本人の私には、こういう見方しかすることができなかったが、 それでも十分に胸に迫ってきた作品でした。 この映画を観たあと、辻仁成の「旅人の木」という小説を思い出した。8点(2004-05-19 11:21:05)(笑:1票) (良:2票) 《改行有》

4.  I am Sam アイ・アム・サム 例えば、この映画の中から「障害者」という言葉を抜き取ってしまおう。 そうすればただ、頭の悪い父親がそれを理由に子供を奪われようとしているお話になる。 「僕は頭が悪いけど子供を愛している、奪わないでくれ」という訴えになる。 人間社会で親の責務を果たすには、法的にもあれこれと条件が提示されますが、 やはりいの一番に満たされなければならない条件は、子供を愛すること、 子供のために頑張ろうとする気持ちだと思います。それは子供の根底にいつまでも残って 支えてくれるものだから。児童の虐待や放置は、親が子供を愛せないことを 発端にして起こる行為。 福祉は時に、個人の家庭に土足で踏み入る必要も多分にありますが、ケースによって 慎重にさじ加減を変えなければならない。膨大な数の案件を一つ一つ緊張感をもって 対処していくのは並大抵のことではありませんが、そうすることでしか人の気持ちを 汲んでいくことはできないのではないか、と思います。 7歳程度の知能という診断も、サムという人の全てを表しているわけではないのですから。 8点(2004-01-10 23:13:20)《改行有》

5.  アレックス 《ネタバレ》 表面的には暴力行為の不毛さを印象付ける作品ですが、別の意味もみえる。 映画中、最もショッキングなのは冒頭の復讐シーン。そこからエピソードを遡るメメント方式で見せていく。レイプシーンは生々しいが、狂気は感じない。モニカ・ベルッチの姿は男を欲情させるのに説得力がありすぎる。救急車で運ばれるアレックスの血に染まった顔は、レイプに対する怒りを煽るが、長回しで地下道へと歩いていくアレックスの背中には、レイプへの邪な好奇心を刺激される。 観客はレイプをたっぷり鑑賞した後、ようやくアレックスという女性の個に触れる。レイプされている彼女は匿名の女体だった。 物語の中で、アレックスの精神と肉体を剥離することこそが、メメント方式流用の理由なのでは、と推理してみた。 観客の多くはモニカ・ベルッチのレイプシーンに期待して本作を鑑賞するわけで、自分の中で野生と理性が葛藤するサディスティックな見方ができれば、楽しめる作品なのかもしれない。 もう少し遊びの要素が入っていれば、私ものれたかもしれない。4点(2003-11-29 05:37:25)(良:1票) 《改行有》

6.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 この映画が見せてくれるのは、世界はいつだって内側にあるものだということ。人々が共有している外側の世界には、いまや壊れた世界とそれを取り繕っている人々しかない。家庭崩壊や性倒錯やドラッグなどは、いまさら深刻に語ってみても驚きなんかない、もはや当たり前のことだ、と軽く笑いとばしてしまう。 娘の友達に恋をして、彼女の気を引くためにエクササイズを始めてしまうケビン・スペイシー。アホなオヤジと笑うのもいいけど、物事は全てこの通り。なにかの目的をモチベーションにして、夢中に励む。世界は結局そうやって回っているんだから。主人公の中の世界では、そのこと自体がすでに幸せなんだ。外の世界にある彼女という存在自体とは関係なく幸せになれる。だからいざ彼女と一線を越えようとしたとき「初めてなの」という告白で、内世界と外世界のギャップを再確認し、すっかり醒めてしまう。 その後の彼女との会話は素敵なシーン。彼女との関係はすっかり娘の友達に接する父親のそれになっている。さっきまでニャンニャンしようと目を血走らせていたケビンが、ここでは思い出したように娘の心配をしちゃったりする。それは外世界で父親でいるための処世術であり、その実、父親としての本音でもある。内外の世界が一瞬だけ重なるその瞬間が美しいです。ここで死んでしまうところがまた、彼にとってこれ以上ない幸せなのかもしれません。彼の内世界では、温かい家庭が彼を包み込んでいただろうから。 主人公と対比した影として描かれる隣人、元海兵大佐役のクリス・クーパーの人生もまた観客にとって身に覚えがあると思う。棺桶まで持っていく秘密を抱えて、保身のために嘘を塗り重ねて生きている。主人公のことも、大佐のことも、あまりに私(達)に似すぎていてコメディだけど、同時にとてもシニカルだ。 しかし、登場キャラクターに付随するファクターを、自分の手札に変換して考えられない人にとっては、まったく共感を得ることが出来ない映画なのかも。 10点(2003-11-28 19:52:35)(良:6票) 《改行有》

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