みんなのシネマレビュー |
|
【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 風立ちぬ(1954) 《ネタバレ》 結核を病むヒロインが療養先の軽井沢で出会った男性と将来を誓う仲になる。家族を含めた二人の関係とヒロインの心情が文学調に描かれます。母を病気で亡くしている彼女は、父の再婚に激しい嫌悪感を示す。父が母以外の女性を愛することが許せない。自身が結婚を申し込まれた直後ということもあり、男性の気持ちが変わることへ恐れが潜在的にあったことが察せられる。このあたりの描写がとてもデリケートで、ひとつの山場でした。山村聡が演じるヒロインの父が、あの時代(戦前の設定)にしては物分かりが良く、素晴らしい父親像でした。結婚を申し込みに来た男性に説く言葉の説得力と包容力に感心しました。本作のラストシーンで、回復したかに思えたヒロインが突発的な発作で命を落とします。おそらく原作に沿った流れなのでしょうが、唐突に感じました。 某CS局が放送してくれたので、宮崎版の前に鑑賞しました。おかげで、宮崎版のスタンス(本作との共通点と相違点)が良く分かりました。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-07-31 03:59:15)《改行有》 2. 眼下の敵 《ネタバレ》 初見は学生時代だったけど痺れましたね。「潜水艦映画に駄作無し」という格言はこの作品から始まっているのでしょう。プロフェッショナル同士のガチンコです。タイプは違えど、それぞれの能力や人格が丁寧に演出される。そのプロらしさに映画的な説得力を与えているところが本作の魅力です。クルト・ユルゲンスの、なにかをグッと堪える面構えが作品を引き締めています。対するロバート・ミッチャムの米国人らしい呆けた面構えも嵌ってます。でも、やっぱりこの作品の品格を高めているのはラストの命を大切にする遣り取りだった思います。戦争は無いに越したことはありません。でも、起こってしまったら「命の奪い合い」では無く「兵器の壊し合い」であって欲しいものです。[地上波(吹替)] 9点(2012-04-09 23:12:00)(良:1票) 3. 隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 キャラクターの個性がやたら際立っていることが本作の特長でしょう。随所に挟まるアクションは三船の独壇場。特に馬上で手綱を放し、刀を構えて逃げる敵を追うシーンの迫力は尋常じゃない。何気に薄着のお姫様は毅然とした猛々しさを持って描かれ、戦国という世に馴染んでいました。足を開いて屹立する姿には惚れぼれします。この二人に対照させるのが百姓の凸凹コンビ。こいつらは最後の最後まで凸凹だけどあけすけな人間性がこの作品にコミカルな味わいを与えてます。このお姫様を中心とした一行がレイア姫の一行の起源だとすると、三船は一人でルークとオビ・ワンとハン・ソロをやっていたってことですね。あっ、チューバッカも。まさに八面六臂の活躍でした。最後のオチともいえる「裏切り御免!」の便利な切れ味には痺れましたな。なにか不都合が起きたら「○○御免!」と叫んでトンズラしてみよう。ちなみにリメイクを先に観ましが、そのときは確かに「こりゃ、スター・ウォーズだ」と思ったんだけど、このオリジナルを観ている間は全くそんな感想が浮かんで来なかった。樋口版は本作のリメイクというより「スター・ウォーズ」のリメイクだったってことですね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-19 21:25:54) 4. 海底二万哩 《ネタバレ》 日本が黒船来航で騒いでいた直後あたりの設定なので、ノーチラス号の性能は突出していたことでしょう。あれは絶対に原子力潜水艦ですな。でも、ネモ船長の描写がよろしくない。自分の過去に起こった不幸の腹いせに、無差別に船を沈めているように見える。乗組員全員を道連れにする決断もいただけない。せっかくの特撮も、ノーチラス号のデザインも、グレーに霞んでしまった。子供の頃に読んだ原作はこんな殺伐とした話ではなく、もっと夢のある海洋冒険譚だった記憶がある。そのギャップのせいか、あまり楽しめなかった。ストーリーとは別に、カーク・ダグラスという役者が息子よりずっと演技の幅の広い人だったことは良く分かった。1954年は第一作「ゴジラ」が製作された年でもあって、テーマが微妙に被っているところが面白い。特撮比べという視点で観ても面白いが、どちらが優れているかは言いません。[地上波(吹替)] 4点(2010-03-31 22:57:46)
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS