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61.  学校 やっぱり作品が生まれるにはタイミングってものが必要で、これはそれを逃しちゃったような気がする。一日の授業のストーリーにするより、順を追ったほうが良かったのでは。一日にするのなら、もっとディスカッションを中心に持ってきて、その中でそれぞれの背景を見せるという手もあったはず。前半あまり鮮度がないんだなあ。陳列しただけってとこがあって。いっそ、イノさんだけに絞ったら良かったんじゃないか。おずおずと尻込みしながら、学びたいという衝動が膨らんでくる。そのベクトルがこの作品のテーマでしょ。山形へ去っていくイノさんの目に映った東京、あそこがポイントなんだから1分ぐらい延々と彼の目を通した東京風景を映すべきところを、「イノさんの目にどう東京は映ったのでしょう」なんて無粋なナレーションが入ってしまう。教室では「幸福って何だろう」いうディスカッションになって、青年が「幸せだと思ってたのなら可哀想だ」と言うのは、「寅」でヒロシが母親の葬儀で言ったセリフのヴァリエーションだな。山田洋次における「可哀想」の原風景。[映画館(邦画)] 6点(2011-04-29 10:02:09)

62.  渇き(2009) 《ネタバレ》 いくつかのモチーフが作者のなかで溶け切れないまま仕上がってしまったようなところがある。だからいろんな面から観られる。潜在的な自殺願望者であった神父が、吸血鬼になることによって成就する話。現代のシンデレラが神父によって救出されるが、変な方向に解放されていく話。不倫の男女が女の亭主を殺すことに成功したが、その亡霊に悩まされるという古典的な怪談話(個人的にはここらへんの線が好きです)。もっともソン・ガンホの神父顔やら吸血鬼顔やらは味わい深いユーモアをたたえていて、そこらへんに徹しはっきり喜劇の線にしてくれてもよかった。ラスト近くのマージャンの場から殺戮に至るあたりは、ホラーコメディとしていい線いってる。でも映画全体としてはなんかどれも中途半端で、その多面体ぶりを楽しむってとこまでは、こちらの心に余裕がなかった。人物ではヒロインの義母が存在感たっぷり。主人公たちはとうとう最後まで彼女は生かしておく(あんまり血がおいしそうではない)。血をすするカトリックも、孝を強いる儒教の伝統の根強さには負けるってことか。[DVD(字幕)] 6点(2011-04-08 09:58:58)

63.  から騒ぎ いちおう「字幕あり」だが、前の席の人物のためにその半分が読めなかった場合も、これでいいんだろうな。冒頭の、男の帰還によって沸き立つ雰囲気が基本。身だしなみを整えること。どうのこうの言ってもパリッとして男と女が会うのは気の沸き立つものだ。そういう晴れ晴れしい気分に映画を満たしていく。噴水のまわりをぐるりと回る歌の場の長い移動。ラストの家の中を通り抜けてから高く高く昇っていくとこ。このブラナー君のいわゆるシェイクスピア役者臭は(とりわけ独白)どうも苦手で、噂話をしてる後ろを駆けつける一瞬のエマ・トンプソンのちゃんとした映画演技を見習ってほしい。悪役キアヌ・リーヴス、警保官マイケル・キートンのキャスティングは正しい。警保官のアナーキーさには、注目すべきものがある。[映画館(字幕)] 6点(2011-03-13 12:25:39)

64.  関東無宿 松原智恵子はどこ行ったんだ。時代がよく分からない。物語で捉えようとすると変なまとまりのない話で、清順監督でなかったら、そのことだけでダメって言っちゃうんだけど、それが魅力になるから困るんだ、この人。親分もきたねえ、子分もきたねえ、と一人で嘆いている男が主人公なの。面白かったのは、ドンツクドンドンツクツクのリズムがだんだん激しくなっていって、中原早苗の危機と重なるところ。伊藤雄之助とのサシでの花札勝負もいい。一番の見せ場は、やはり賭場を荒らされて逆に斬るところね。歌舞伎的な趣向だもんで、ロングの舞台風の画面が生きる。どこか安っぽさがつきまとうんだけど、この監督は「安っぽさ」を突き詰めようとしているところがあって、それがちゃんと滲みてくるときもあれば、ただ軽く見えてしまうときもある。監督のしたり顔がスクリーンの背後でちらついて見えてしまったりするとダメ(伊藤弘子とのシーンで、外だけ照明が落ちたり中だけ落ちたりする心のうつろいも似たようなもの)。もうちょっと見せ場を長くしてクラクラさせるとこまで行ってくれればもっと良かった。[映画館(邦画)] 6点(2011-02-16 12:26:20)

65.  火宅の人 一番良かったところは、警察署でいしだあゆみが原田美枝子のおでこを叩くとこ。頬を引っぱたかないで、「めっ」って感じなの。フトコロが深いという表現でありながら、変に悟った感じを伴わず、滑稽さで対象化しちゃってるっていうか。ラストの「あなたのすることはみんな分かってんのよ」なんてとこは、そのセンスに欠けて、もひとつ鮮度が落ちてしまう。もちっと時代がプンプン匂う映画を期待したが、流行歌も出ず、そういう趣向の作品ではなかった(音楽は最悪だった)。あたりにどれだけ迷惑をかけても、そのことを自覚していればそれだけで許してもらえるんじゃないか、という甘えた男の話なんだけど、でもこれ、日本文化の一つの型なんだろうな。上方歌舞伎に出てくる放蕩息子の末裔って感じで。放浪って言っても厳しいものじゃなく、遊山の変形みたいなもので、金がなくなりゃ帰ってこられる家がある。それをただ甘えと否定してしまわず、そういう弱さを認め合ってしまうような土壌(本当はそれをこそ否定しなくちゃいけないのかも知れないが)、そういう文化の風土が描かれている。それはただの男尊女卑になってしまうこととは、微妙な差があるようなんだけど。夫婦の間での丁寧な言葉づかい、冷え切った感じを出すのではなく、ちょっとゲームみたいな感じを出していて、いい。[映画館(邦画)] 6点(2011-01-28 10:19:28)

66.  カッスル夫妻 伝記ものという枠があるせいか、ミュージカルとしての楽しみはこのコンビの他作品に比べて、ちと落ちる。前半はいいところもあるんだよ。駅でのタップシーンは、こじんまりしているけどやっぱ楽しいし、ドライブに誘うときの二人の心のゆらめきを、犬を小道具に使ってうまく見せる。あるいはプロポーズするときの、明るい部屋と暗い部屋の対照の妙。つまり結婚するまでは、普通のミュージカルものの型通りで手馴れているわけ。ジンジャーの下手な悪魔の踊りがあったりというサービスも含めて。ミュージカルってのは、非日常的な恋愛状態で一番ふさわしく、本来結婚で終わらせるものなんだなあ。生活のある二人の暮らしになると、肝心のダンスシーンがも一つ酔わせてくれない。監督のせいなのか振り付けのせいなのかは知らないけど、ダンスがダンスだけの表現で閉じちゃってるってことなのか。軍隊帰りの旦那と踊るとこが、まあミュージカルっぽいけど、あんまり高揚させてくれなかった。アメリカを転々としているシーン、地図の上で踊ってて、蟻のような群衆がうじゃうじゃと湧いてきて踊るってのは悪趣味でしたな。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2011-01-26 10:15:38)

67.  カリートの道 「昔気質の男」と「バカ」は紙一重。チンピラに突っかかってみたり、裏切りかけてることが分かってる男に女を駅に送らせたり、それが「昔気質の男」ということで昇華されるかというと、どうもそこまではいかず、「ちょっとバカじゃないか」という感じと微妙なところになる。弁護士への友情も「昔気質の男」というだけではイマイチ説得力不足なんだ。おそらくパチーノだから「バカ」に一気に傾かないでいられたんだろう。最初の少年が殺されるシーンのだんだんヤバい感じが濃くなってくるあたりとか、ラストの駅のあたりが見せ場だが、長い2時間25分の代償としては、ちと物足りなく思えた。最後に「努力はしたんだ」って言われてもなあ。ペネロープ・アン・ミラーいうのは面白味のない顔だ。南米のリズムがあふれるのはパラダイスのイメージか。[映画館(字幕)] 6点(2010-11-30 10:15:10)(良:1票)

68.  カルネ 人の顔を見せずにてきぱきと設定を展開していく冒頭のあたり、小気味よい。「注意! 感受性を傷つける危険な部分があります」と出て注意を引きつける(期待させる?)悪趣味なユーモア感覚。字幕の効果的用法は、ゴダールゆずりですか。分解写真的カメラの回りこみ、ズームアップ、フェイドアウトして肉切り包丁のような低音がズン、などなど、いかにもフランスのエスプリって感じが横溢。話は、鬱陶しさへの耽溺とでも言うか、父と娘の危うい関係への耽溺ね。思い切って溺れ込むことでのみ得られる手触り。卑しめられるもの、馬肉・デブの女・テレビ活劇らの、なんらかへの復讐といった気配もある。少なくともこの馬肉は、現代社会が見たくないものの側に埋まっている。全編を覆うドローンとした色調。[映画館(字幕)] 6点(2010-10-25 10:04:37)

69.  限りなき舗道 原作が通俗小説ってこともあるんだろうけど、ここに展開する「地道」観ってずいぶん堅苦しい。いいとこに嫁いだって女優になったって、地道な暮らしはできると思うんだけど、弟の面倒見ながらカフェで働かないと「地道」とは言えないらしいの(なんか寅さんの説教みたい)。傾向映画の影響かね。映画会社に入ることがやくざな生き方だ、と映画で言っているこの屈折。一番嬉しかったのは銀座の町並みだな。オバアサンが立ってるカットが良かった。スポークンタイトルのバックにも夜景が使われたりする。嫁いだ家での視線の交錯はかなりドラマチック、あおって天井を映したりもする。自動車事故で話が展開するとこ・男が二人とも実にだらしないとこが成瀬らしいとは言えるが(そもそもこの時代、交通事故という都合のいい手段が小説家たちによって発見されつつあったというだけのことか? かつての「肺病」のように)、あんまり気合いの感じられない作品。それもそうで、どの監督も引き受けないのでたらい回しされてきた企画だったそう。でやんなって、これを最後に松竹からPCLに移る。そういう意味では成瀬にとって記念すべき作品ではある。[映画館(邦画)] 6点(2010-10-15 09:54:55)

70.  カティンの森 《ネタバレ》 ワイダの映画は「長いものに巻かれるな」という強い意志に満ちている。本作では、おもに政治から一歩引いたところに立てる女性に、その意志は託された。夫をナチスに・息子をソビエトに奪われるような、両側からの暴力にさらされてきたポーランドのうめきが聞こえる。しかし長いものに巻かれて生きる生き方を選んだものを見下してはいない。それを選んだことの苦悩も、やはりポーランドの苦悩として、自死する兵によって同等に描かれる。偽証して生き残った彼と、手帳に記録を残しなすすべもなくカティンの森に消えていった男と、その悲劇を比べてはいない。ただ「記録」することによってやがて歴史が裁くだろう、という願いのようなものの分だけ、後者が重い。絶望はたしかに限りなく絶望的なのだが、それを踏まえた上で「やがて誰かが手帳を必ず開くだろう歴史」に対する希望がワイダの映画にはある。ソビエト影響下のポーランドで作られた彼の映画は、この手帳・もしくは手帳の存在を指さすものだった。本作にもワルシャワ蜂起の生き残りという娘が出てきて『地下水道』を思い返させたし(彼女は地下へ消えていく)、『灰とダイヤモンド』のマチェクになっていったかも知れない青年も登場する。私たちがワイダの映画で会ってきた人たちが、破壊され得ない墓碑銘として本作には埋め込まれている。[DVD(字幕)] 6点(2010-09-25 10:14:54)(良:3票)

71.  カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 前半のトーンと、チャールズ・マンツが出てきてからのトーンとの落差に、どうもつまづく。前半は、絵本の「ちいさいおうち」というか『赤い風船』というか、しみじみ。夫婦の履歴をセリフなしでサラッと描くところなど映画の教科書で、そのトーンの延長としてのファンタジーにちゃんとなっている。ところが後半はガラッとトーンを変え『ラピュタ』系冒険ファンタジーで、せっかく老人を主人公にするという試みなのに、似合わぬアクションをさせている。そこだけ取り上げれば良くできているし、老体にもかかわらず愛するもののために戦う、ってところに意味を感じなくもないが、どうもトーンとしてのつながりが悪い(これ観たすぐ後にハンガリー映画でじいさんが銀行強盗やるのを観たんだけど、こちらはその唐突さが流れの中でちゃんと味わいになっていて納得いった)。もしや最初2Dで製作準備していたところ、どこかから「きょうび3Dでなきゃ客は来んわ、前後に動きのある派手なアクションシーン、後半だけでもええけん入れてんか」という圧力がピクサーに掛かったのでは、などと妄想してしまった。マンツも、けっこう屈折したキャラクターに設定してあるのに、単純な悪役扱いでかわいそう。犬・少年・鳥という三人の従者が犬・猿・キジの桃太郎を連想させた。『オズの魔法使』もそうだったけど、なぜか従者は三人だと安定する。[DVD(吹替)] 6点(2010-09-10 10:22:11)

72.  帰って来たヨッパライ 《ネタバレ》 大島における“少年”ってのは重要。デビューが原題「鳩を売る少年」だったし、『飼育』がそうだし、大川橋蔵は少年に見えなかったけど天草四郎ってのも抵抗する少年ですな。『少年』はそのものズバリ、『儀式』の少年も重要だった。『戦場のメリークリスマス』でデビッド・ボウイの弟に異様にこだわったのも、この流れでいくと納得がいく。つまり本作で一番印象に残ったのが密航韓国人少年の顔だったってこと。希望と挫折と反抗とが少年の顔の中に同居しているところが好きなんじゃないか、大島さん。少年が出てくるとリリシズムが出てくる。ベトコン射殺の写真がモチーフになっており、いかにもチャラチャラした日本人がアレヨアレヨとベトナムへ送り込まれていくあたり、当時はもっとブラックなユーモアが醸し出されていたか。密航者はいないかとピリピリしてる日本の沿岸の空気を描いた作品てのは珍しく、その方向で具体的な日本批判を試みたほうが、抽象的な日本人・韓国人論を展開するよりも、実があっただろう。「あなたは日本人ですか」式のインタビューはあまり成功してなかったと思う。殿山泰司がタバコ屋のオバサンになってた。[映画館(邦画)] 6点(2010-06-19 11:54:26)

73.  カストラート 兄弟の物語であった。二人で一つ。音楽というものが、作曲と演奏の二つで完成されること、その二者の間の愛と葛藤が重なる。馬のイメージが繰り返される。弟を去勢させた兄の疚しさの象徴か。赤いガウンが兄弟の求心力のあらわれ、白い馬が離反のあらわれ、とも取れる。病気の子どもが主人公の去勢とだぶらせられているらしい。もうちょっと展開を整理できたら良かった。ブーイングしていた観客が手をたたくまでの陳腐な演出は情けないが、それをも許せるほどヘンデルは美しい。[映画館(字幕)] 6点(2010-05-04 10:43:42)

74.  彼女について私が知っている二、三の事柄 都市問題というナマなところから切り込んでくるのは、60年代のゴダール。女たちの内面の声が、次々カメラに向かって語られてくる趣向。日常をやってて、不意にこちらと目が合うと語り出すの。中心になるのは主婦売春の女だけど、そう特別「都市の孤独」を売り物にしているわけでもなく、日常がそのままつながってる感じ。託児所と部屋貸しを同時にやっているおじいさんのエピソードとか。社会派ならもっと都市論的に突っ込むところだろうけど、そういうことは不得手な人で(『UGETSU』のポスターがあったのはここだったっけ)、それよりもベトナム戦争のほうに気が行っちゃう。ベトナムから遠く離れていることのもどかしさみたいなものも感じられ、またそれを自覚しているから諧謔的な調子になる。パンナムのバッグを頭からかぶって歩かされる。屈辱かも知れないが、ベトナムの屈辱とは遠く離れていて、しかもそれを自覚しているってところにフランス人の(やや鼻につく)屈折がある。故意に撒き散らされる原色、真赤な車、セーターの彩り。[映画館(字幕)] 6点(2010-04-15 12:08:04)

75.  カルメンという名の女 光線の美しさ、女の顔に横から当たるときのギリシャ的端正さ、病室の明かりが消されてゴダールがシルエットになるとこ、ラスト近くの薄黄色い光の中でのラヴシーン、など。『パッション』が古典絵画をベースに作られた作品だとすれば、こちらは古典音楽、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中期以降を順に追っている。9番の2楽章で始まり、10番、とんで14番の終楽章に入るあたり。さかんに波打ちぎわをやってたところ。15番の3楽章、4楽章はホセが逮捕されて車に入れられたとこだったか。こう番号順に律儀に進んでいく。16番でラストの襲撃。ゴダールとベートーヴェンの四重奏の組み合わせって、後にロメールの『獅子座』でも目撃することになる(日本で公開されたのはロメールの方が後なので)。映画の中に登場したゴダールは、レコードの針を戻しながら15番の2楽章の中間部を繰り返し聴いていた。監督ロメールの指示というより、そうしているゴダールをスケッチしたって感じ。ベートーヴェンになにかの意味を考えるより、ただ単純に好きってことなんだろう。古典と言っても「古典派」と言えるのは、『カルメン…』に使用されなかった初期の1~6番で、音楽史的には革命期、後期の作品には20世紀音楽を予告するような響きさえある。そこらへんの古典を打ち破る姿勢が、ゴダール好きなんじゃないか。というわけで、どうも音楽と光にばかり気を取られて、この『カルメン…』鑑賞、映画体験と言えるのかどうか。夕もやにかすむ海、船。あれなんかフランス絵画ですなあ。古典を解体しているようで、ああいう古典そのままの美しさも肯定しているようなあたり、なんかゴ氏の加齢による「しみじみ」気分を感じた作品でした。[映画館(字幕)] 6点(2010-04-10 12:07:09)

76.  ガキ帝国 《ネタバレ》 ワルの階層というのがよく出ている。また、こういうふうにワルくなっていくんだなあ、というところも納得いく。ヒョイと死んでしまうとこなんかリアリティ。朝鮮人の友だちの改造拳銃や、リフトで車に突っ込んだところなど。「俺、歌手になりたかった」なんてのは、いらぬ技巧でしたな。つくりには粗いとこもあるけど、この三人組の仲間仲間してる感じがいい。とくに三人目のが「しっかりしてる」んだな。いろいろ寄り道しているようでいて、自分をしっかり捉えている。だからといってクールなのではなく、友の死ではホットになれる。実に好青年であった。言葉の凄味にも期待したんだけど、それほどでもなかった。[映画館(邦画)] 6点(2010-02-04 12:02:37)

77.  カットスロート・アイランド 海賊映画というジャンルにそもそも懐かしさがあり、そういうナツメロ的に味わえば楽しく見られる。ロープがよく出てくる映画になるのだ。見せ場はちゃんと次々にあるんだけど、なんかキレがもひとつ感じられないのは、不必要なスローモーションがブレーキになってるんじゃないか。ペキンパーのスローモーションは「思わず息を詰めて」ってところで使われた。でもその後、アクションのごまかし、つまり本当のスピードで映したらゆっくりしてるのを隠すためにスローにしてる、って使い方になってきて、とくにこの作品でそれをしばしば感じた。馬車のシーンなどよくやってるんだが、ロングでスピード感が減じ、一番の見せどころの、下を馬車、上を駆け抜けるいうとこ、上のバタバタが若干多すぎて、きびきび感が失われていた。こういうリズムは本当に難しいものだなあと思う。島もあんまり生きなかったし、かといって船のアクションてのも新味を出しづらい。ジーナ・デイヴィスの色気のない明るさってのは貴重だった。[映画館(字幕)] 6点(2009-09-20 12:07:24)(良:1票)

78.  街燈 旗照夫のシャンソンが流れて始まる。落とした定期券から、銀座のブティックをめぐる人間模様の話へ広がり、合い間に学生小沢昭一が笑いをとっていく。銀座の記録としては、火の見やぐらから火事を発見するシーンがあった(火事のシーンは、特殊技術がなかったせいか消防法がうるさくなかったのか、結構迫力)。まだ靴みがきの子どもがいた(みがくシャッシャッという音がドラムの、あれ何て言うの、さきっぽが金属の小さなほうきみたいになってるヤツ、あの音になっていく)。中原早苗のことを子どもたちがパン助みたいな格好だと言った。昭和30年代前半はまだまだ濃く“戦後”であったのだ。そして銀座という街が、単なる背景でなく、こういう人間模様を織りなすのに適した場所であったのだなあ。[映画館(邦画)] 6点(2009-09-02 11:57:38)

79.  カジノ モノローグ映画というか、やたら字幕を追うのが大変でした。ナレーションが多いと、過去の出来事という感じは強くなる。それにしてもこの監督ノーブルな顔して、どうしてこう真っ当でない・唾棄すべき嫌な人間たちの話が好きなんだろう。ギャンブルの天才でありながら、妻や友の裏切りにあっていく男。ラスト1時間ぐらいになってやっとノッてこれた。世の中なんにも信用できねえのさ、という一匹狼的な恍惚感があるわけでもない。虚飾の街と、その裏の地味な金勘定の部屋、その裏から表を見て、荒涼としてるんだけど充実がある。つまり現代における“充実”とは、愛やら友情やらを捨てていった荒涼の中にしかないということか。ラスベガスを取り囲む広大な砂漠。日本人はタオルを持って帰る。ラストに「スターダスト」が流れ、おそらくある年代の人は「シャボン玉ホリデー」を思い浮かべ、しみじみしたことと思う。[映画館(字幕)] 6点(2009-08-05 11:59:37)

80.  かごや判官 チャンバラより推理ドラマ仕立ての体裁。けっこう戦前って推理ものの時代劇が盛んだったんだ。戦中の名作、マキノ正博の『待って居た男』なんて現在の推理ドラマよりはるかに出来がいい。もっともこれはあんまり期待しないでね。推理より演出。死体からカメラが動いて、塀を乗り越え、外で騒いでいる町人にまで移動していく、なんて同時代の溝口健二というより、半世紀後の相米慎二を思わせる。取り調べでしゃべる女の声に合わせて、回想画面の人物の口が合う、なんてのもかなりシャレている。演出として成功しているかどうかは別にして、楽しい。長屋での権三の夫婦げんかと、助十の兄弟げんかがパラレルに描かれたり。このころは時代劇もモダンの風に吹かれていたのだ。もちろん歌も歌う。馬鹿が愛嬌の江戸町人。でもこの作品の製作は江戸でなく、松竹京都創立15周年記念映画。[映画館(邦画)] 6点(2009-04-23 12:00:14)

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