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1. ガタカ
《ネタバレ》 偽装の手法などについては、他のレビュアーさんも指摘の通り、ツッコミどころ満載と思うが、これはそういった“SF”主眼の映画ではないだろう。
人の「生」についてのすぐれて倫理的な問いをふくんだ映画だと思う。
印象的なのが、遺伝子設計されて生まれてきた弟と、自然出産の兄(主人公)との、遠泳競争シーン。遠くまで、はるか遠くまで、泳いでいけたほうが勝ち。
この受精の際の精子の競争の象徴シーンで、初めて勝ちを収めた時に主人公は転身を遂げる。そして後での兄弟対決のときにも同じシーンが繰り返される。
ひとは「優れていたから」ではなく、「どうしても生きたい(行きたい)」と思ったがゆえに、卵子へまでたどりつき、この世に生をうけたのではないだろうか?
そんなことを暗示するシーンだと思う。
そして、「母なる」宇宙への道もまた、「優れているゆえに」ではなく、「どうしても行きたい(生きたい)」と心から思う者に開かれていて、いいはずだろう。
「宇宙飛行士になりたい」という主人公の切なる思いはラストで報われ、宇宙という海へと泳ぎ出していく(ロケット打ち上げも、遠い卵子を目指してゆく精子の旅の暗喩か)。
人は生きる。切なる願いを果たすために。
けれどその同じ時、主人公とコインの裏表の関係のような「適格者」ジェロームは、主人公と同じく「遠い旅」に出る。自死する。主人公の切なる願いを守るために。
でもそれは、誰に設計されたわけでもない、彼自身の心から生まれた願いだった。
人が生まれてくること、生きることについて、たくさん考えさせられた。素晴らしい作品だったとおもう。
[DVD(吹替)] 8点(2011-01-10 03:13:39)(良:4票) 《改行有》
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