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1. 化石
《ネタバレ》 たまたま劇場の環境でみる機会に恵まれたが、もともとはテレビドラマの再編集らしく、長い、長い、とにかく長い。主人公の佐分利信のペースがそう感じさせるのかもしれない。内容は渡航先の欧州(といっても昭和の重役旅行ですが)で死生観を見つめ直すのが主軸。死神役の岸恵子などベルイマン風で楽しめたが、これはいい意味で全編、佐分利信の加齢臭にどっぷりつかる映画です。しわがれ声や、おそらく熱をもってるであろう妙に厚ぼったい手のひら、そして髭剃り跡から匂ってきそうなきついオーデコロン。いえ、私は爺フェチの女性ではなく、単なる中年の男ですが、本郷のお屋敷風の主人公の家からも硯のような匂いが漂ってきそうだった。ただ、残念なのは、結末が夢オチ風で終わったこと。苦悶の最期と、主人公がみたであろう幻影を描写してほしかった。[映画館(邦画)] 6点(2018-08-01 22:00:16)
2. 影武者
《ネタバレ》 制作の過程をめぐっていろいろと議論はあるが、やはり名作のひとつに挙げられるだろう。
われわれ日本人は、特に長谷川等伯筆のダルマのような信玄の肖像画が教科書段階から脳に刷り込まれているため、仲代の信玄像はどうもしっくりこないのは確か。
だが、そういった先入観を抜きに、自分を欧米人と思って観ると(笑)、物語、映像美、ダイナミズム、どれをとってもやはり重厚な逸品だ。ただ、、、やはり仲代には信玄公は演じられても、泥棒の影武者は違和感があった。彼が演じると、豪放な泥棒というより、知能犯、詐欺犯に思えてしまうんだよな。ここは、勝新、あるいは本来は三船だろう。
それと、この映画で一番好きだった場面。影武者が隊列を前に激を入れて、調子に乗って落馬してしまうシーンが、実は仲代ではなく本当にエキストラが演じていたことを土屋嘉男さんのエッセイであとから知ってショックだった。仲代がこんな演技ができるのかと関心していたからだ。とはいえ、そこまで監督のトータルな演出だったとすると9点。[映画館(邦画)] 9点(2018-06-02 21:18:14)《改行有》
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