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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. キッチン(1989) 公開当時いろいろと賛否両論あった映画ですが、ぼくにとっては今もなお忘れ難い1本。お互いに一定の“距離”をとりながら、それでも(というか、だからこそ)どこかで“ぬくもり”を求めている「現代人」の肖像が、ここまで見事に、美しく描かれた作品も稀有でしょう。唯一の身内である祖母を亡くしたヒロインと、彼女を同居させる青年、そして青年の「母親(演じるのは、橋爪功…)」の関係は、あくまでも優しく、思いやりとおだやかさに満ちている。けれど、そこには常に“距離”があって、それがこの映画の独特な「空気感」を形づくっています。そう、ベタベタとも、カラカラとも違う、さらりとした「空気」を。それを醸し出すのが、函館の風土であり、青年たちの住むマンションのとんでもなくゴージャス(かつ無機質)なインテリアだったのでしょう(この映画を批判する向きは、そういったディテールを「現実離れ」として攻撃していたっけ。…そんな「非日常性」が、逆に登場人物たちの“関係性”をリアルなものにしているハズなのに)。…映画は、彼らの“間”にある「空気」が、少しずつお互いのぬくもりを伝えていく様子を、淡々と描いていく。「優しさ」が「愛」へと移ろいゆく様を、静かに、少しのユーモア(喜劇とはロングショットで見られた人生、とは誰の言葉でしたっけ)をたたえながら見つめていく。そう、もはや「愛」とは、人と人とがひとつになろうとするナマナマしさや暑苦しさじゃなく、ふたりの“間”にある「空気」をあたためるということなんだ…。原作者の吉本ばななよりも、むしろ村上春樹に通じる真に「現代的」なコミュニケーションを語った寓話として、ぼくは高く高く評価するものであります。10点(2004-04-16 15:15:14) 2. 君がいた夏 この映画の頃のジョデイ・フォスターって、確か『告発の行方』で起死回生のアカデミー賞を取る直前で、ちょっとスランプだったんだよね? でなきゃ、出番のあんまりない、センチなだけのこんな小品になんぞ、彼女が出演するワケないよなあ。でも、この映画のジョデイは、本当に素敵です。まだ少し太めだけど、そのぽっちゃり感すらもが愛しい。こんな、ちょっと不良で可愛い従姉妹のお姉さんがいたなら、男なら誰だってイチコロだよな…と思わせる魅力にあふれている。あと、主人公(プロ野球選手です)のチームメイトだか幼なじみだかで、ハロルド・ライミスが特別出演していたけど、彼もいい味です。…て、何だかんだ言って、小生もこの映画が実はひそかに好きなんスね。でも、何かこれを「好きだ」って認めるの、テレくさいんだよなあ。7点(2003-11-19 16:45:59)(良:1票) 3. キックボクサー 試合中に兄を残忍なタイ人選手に殺されたヴァン・ダムが、師匠のもとで猛特訓して復讐を果たし、ついでに師匠の娘(だか孫。美人!)ともデキるという、まことどうでもいい展開。でも、まだ若々しくて初々しいヴァン・ダムは、実に見事なキックと、ナイーブな演技で好感度大です。その美しいアクションは、フォトジェニック(!)ですらある。何でもっとブレイクしないんすかねえ。やっぱり、女癖が悪いってのが…6点(2003-11-13 15:28:34) 4. キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2 いいっすよね! ジョン・ミリアスの1作目が、力みすぎの重々しさがいささか鬱陶しさを感じさせたのに対し、こちらは、R・E・ハワードの原作にも通じる良い意味での冒険ファンタジー色が満載。この”軽さ”をこそ、小生は評価したいです。主人公コナンとユニークな彼の見方の面々が旅を続けるあたりの、ワクワクする楽しさ! 女優の趣味でも本作はピカイチです。8点(2003-11-04 12:53:37) 5. 霧の中の風景 テオ・アンゲロプロス監督が、これほどまでに万人(?)に愛される映画を撮ったことに、公開当時ガクゼンとしたことを覚えています。ああ、ぼくだけのものでいてほしかったのにぃ~! って…。主人公の姉弟のうち、幼い弟の手紙がときどきナレーションとして挿入されるんだけど、そのナイーヴで詩的な野にも、心震えっぱなし。翻訳した池澤夏樹にも感謝の花束を。とにかく、本当に美しい、まさに詩のような逸品だとぼくも思います。10点(2003-05-21 19:06:08)
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