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1. 君たちはどう生きるか(2023)
《ネタバレ》 タイトルからして人はその人生を主体的に生きることが前提になっているのが分かります。主人公は母親のいる病院の火事(1940年なので空襲ではない)で周囲の止めるのを振り切り現場に駆け付けますが、救うことが出来ませんでした。即ち子供的万能な主体性は傷つきますが、二年後、疎開した際、美しく若い新しい母親(夏子)に出会い、魅かれながらも彼女を性的対象にすることを許されず、決定的に無気力になってゆきます。しかし、彼の行き場を失った自我は喧嘩の傷を自傷の形で追加します。これは多分復讐と呼んでも良いでしょう。或いは主体的に生きることが出来なかった負の紋章とも考えられます。もしかしたら、この辺り革命を叫びながらも社会を変えられず鬱屈していった団塊の世代の思いの表現かも知れません。
ですが、その後新しい母親が異世界に誘い込まれるのを目の当たりにして性的な部分でないところでの関係性が構築できると考えた主人公は彼女を救う冒険に旅立ちます。様々な困難を乗り越えて夏子に会うことが出来ますが、これを可能にし成功を保証するのがアオサギ男です。異世界のガイドですね。冒険の途中、火を使う少女と出会いますが、彼女こそが実の母親、久子の若き日の姿でした。ですが、この辺りちょっとボーイズミーツガール的な雰囲気で微妙な感じです。作品の最後に別の時間帯に続く扉を開けて異世界を後にする二人ですが、久子は主人公を明確に自分の子供と認識しています。
さて、ここからがよく分からない所ですが、その久子はどうして入院していたのでしょうか。作中の若い久子に見ているとその後何があっても健康を害するようには見えません。それに火を使う能力を持った彼女が火事で死んでしまうようなことがありうるでしょうか。実は、主人公が継承することを放棄した世界の制御を彼女が行うことになったのではないかと思いました。でも、そのために病院を燃やすほどのイベントが必要なのかなとも思います。神隠しで充分だろうと。
あと面白いと思ったのが、食べられてしまうという危険です。ユーチューブで、獲物を狙い待ち伏せするチーターが後ろから来たライオンに捕食されるシーンを見ました。生きることは死を前提にして初めて意識されます。病気でも事故でもない、捕食される事が最も唐突な死です。食べられる可能性を示すことで生きることの意味を更に強く表現しようとしたと思われます。実際、主人公が吊るされていた調理場には人間のものと思われるしゃれこうべなんかも落ちていたような。
後、鳥についてもコメント。アオサギってペリカンの一種らしいですが、彼らはすごく脳みそが軽いらしい。食うしか考えてないのね。その点、インコは賢いらしい。鳥類ではカラスと双璧をなすくらい。鳥って恐竜の直属の子孫ですから本来強力だし、かっこも良いんです。最後の最後にインコの王様とか結構いいキャラ出してきて宮崎さんの底知れぬ創造力を感じました。
なんか、色々訳の分からんことを描きましたが、あの宮崎監督の新作を観られた事がうれしい。そして、人々のその時々に見せる表情や歩く時の膝の角度とか土のへこみ方とかそんな細部の拘りがこの年でようやく分かるようになり見入ってしまいました。彼の作品のすごいところは登場人物の多さ、そして、その沢山の命にいちいち来歴が感じられること。昨今はアニメ映画全盛の感ですが、やはり少しばかり格の違いを感じました。[映画館(邦画)] 9点(2023-07-23 23:33:09)(良:1票) 《改行有》
2. キングコング対ゴジラ
《ネタバレ》 面白いです。その割にテレビで放映されなかったのはやっぱり「土人」てのがまずかったせいでしょうか。この土人はみんなあの伝説の大部屋の役者さんたちだと思いますが、踊りも演技も器量も粒ぞろいです。素晴らしいですね。出てくる女優が皆、綺麗でびっくりです。あとね、有島さんですね。すごく面白い芝居しますよね。今あんな人いませんね。
怪獣物が致命的に抱える問題点は格闘が出来ないことにあるとどこかで聞きました。だから、岩投げてごまかしてるんだと。それでも、この作品では頑張って格闘らしいことをしていました。重い着ぐるみ着て涙が出るほど頑張ってます。それでも、それを承知で冗長だと思ってしまう自分がいます。
モスラの時は怪獣興行が馬鹿な山師の仕業でもなんか納得できましたが、コングのスポンサーを気取る製薬会社の宣伝部長には違和感ありすぎでした。コングなんてあんな危険な生物、勝手に持ち込みして迷惑かけて大きな顔しているのは、まあ、納得は出来ないですよね。でも、民間企業の無謀な企画が巨大な災厄を齎すという話はジュラッシク・パークとかバイオ・ハザードなんかでもあるように定番化しますよね。[地上波(邦画)] 8点(2023-05-06 14:54:17)《改行有》
3. CUTIE HONEY キューティーハニー
《ネタバレ》 いい作品だと思います。「愛の戦士」キューティーハニーを映画化するのはそれなりに難しいと思いますがちゃんと出来ている。怒りに燃えてパンサークローの四天王の一人を倒しますが、愛の戦士はそれを反省して、残る二人は返し技で倒し、最後の一人はシスタージルに抹殺されました。コミカルなアクション映画とはあまり見ない難しいジャンルをよくまとめたと思います。
ただ、あまり面白いとは思えない。何が悪かったかなあ、ピンク映画みたいな音楽かな、安っぽくなったかな、あれで。あと、京本政樹がなんかつまらなかったかな。海ほたるから吹っ飛ばされる戦闘員とかはよかったな。片桐はいりはさすがだった。でも彼女がまた戦う所をシスタージルが抹殺したのはほっとした。いい演出だと思う。頑張って6点かな。映画の評価って何だろうと考えこむこの頃です。[インターネット(邦画)] 6点(2023-04-26 23:23:00)《改行有》
4. 鬼滅の刃 上弦集結、そして刀鍛冶の里へ
これを映画化したのはどんな意図があったのか。いかにも中途半端な感じがする。映画館で観るとはお金を払うのだからそれがいらない環境よりプレミアムな何かが欲しいところだが、なんか、テレビの予告編的な編成だと思う。
10話11話に刀鍛冶の里編1話と書いてある通りなんだ。10話と11話の終わりにはそれぞれのスタッフのクレジットが流れる。こんなの私は初めてでした。1話の終わりのクレジットと映画としてのクレジットは別に流れただったかなあ。
まあ、大きなスクリーンで観れることは良いことですが、音はしょぼかった印象。無限列車みたいなメガヒット狙いというよりあれを何度も劇場で見るようなファン向けと考えた方が納得がいきます。[映画館(邦画)] 5点(2023-02-13 18:04:31)《改行有》
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