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1. 恋人のいる時間
《ネタバレ》 マーシャ・メリルの手や足、背中や黒髪といったパーツのショットが生々しい肌理を伝え、タクシーを乗り継いでパリの街中を駆けまわる彼女の
ショットが開放感を醸す。
台本の台詞なのか、アドリブなのか、ロジェ・レ―ナルトの言述になんとなく聞き惚れ、女性の素っ頓狂な笑い声の流れるレコードを劇伴に
二部屋を跨いで追いかけまわる夫婦のシュールなドタバタ運動をなんとなく面白がる。
「自らが映画に他ならないことが嬉しくて自由にはしゃぎまわっているような映画」とゴダール自身の言葉がなるほどピタリと来る。
映画館の座席を指定して浮気相手と待ち合わせ、などというシーンもヌーヴェルヴァーグ世代の風俗を匂わせて粋なシーンである。[DVD(字幕)] 7点(2016-11-22 22:49:11)《改行有》
2. 荒野のダッチワイフ
悪夢、人形、衣装、モノクロの脱色感と、まさしく押井守『紅い眼鏡』の元ネタだ。
オープニングの岩肌と地面の白く乾いた感触が無国籍的でいい。
ぶっきらぼうで早口の、聞き取りづらい台詞の応酬もまた癖になる。
繁華街でのゲリラ撮影にも、屋内シーンの陰影濃いノワールムードにも
ジャズ音楽がよく馴染み、
射撃の腕試しシーンの対話やら、疑似ストップモーションやら、
ギャグすれすれのシリアス(あるいはその逆)の数々が実に娯楽的で堪らない。
DVD版がシネスコ収録でないのが残念なところ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-07-25 15:44:02)《改行有》
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