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プロフィール
コメント数 914
性別 女性
ホームページ http://ameblo.jp/cluttered-talk/
自己紹介 After shutting down my former blog, I'm writing some boring stories at new site. Anyone who's interested in, come along if you'd like to.

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1.  ゴッドファーザー 《ネタバレ》 コルレオーネ家は、ケネディ家を模していると言われているが、日本人の私は「田中角栄」を連想してしまうのだった。 「フィクサー」とは、「もめ事の調停が得意な人」と私は解釈している。 では、どうすれば「もめ事調停分野」において他人より秀でることができるのだろうか。 角栄の事を書いた本をいろいろ読んでいくと、その道の常道はまずは「懐柔」そして「脅し」であるらしい。角栄の場合は、「懐柔」のほうに力を入れていて、「相手に法外(相場の2倍以上の)に有利な条件を提示する」ところから始めたらしい。これは当然「自分が持ち出す」ことが必須となる。そうすると、「常に自分が豊富なコネや資産を有する」が絶対条件である。そのために金策が欠かせないから無理に無理を重ねていくことになってしまう。しかしこうしてひとつ「貸し」をつくると、次の別件のときに「そうだあいつに貸しがあったから今回利用しよう」となり、「貸し」が増えるほどフィクサー本人はどんどん「ラク」になっていくという構造になっているらしい。 そしてわがドン・コルレオーネ。彼もまた無一文からのスタートであるから角栄とあまり変わらない。 元手となるものがない彼が「元手」とした最初のものが、街のダニであるドン殺しであったことは「Ⅱ」で判明する。彼が仲間に「貸し」を作り、優位に立つための「元手」、それは「人殺し」だった。そして「フィクサー」としての彼の手法は、「金を取らず」「貸し」を無限に積み重ねていくことで営まれてゆく。上記の「どんどんラクになる」の方程式に従って。このへんが、「Ⅱ」でのコロンボ夫人問題の時に如実に描かれていて、ヴィトの「手法」を鮮やかに見せる。しかし、ヴィトはあくまで「古い時代の町の相談者」に甘んじて、それ以上に「儲け」ようなどと思っていない。 ところが、大学出のマイケルは、単なる「もめ事調停人」から脱することを望み、そして「親父の時代のヤクザな仕事」から徐々に手を引いて、まっとうな「ファミリー」へ脱皮しようとしていくのだが…。 ちなみに、マイケルにヴィト譲りの並々ならぬ「ネゴシエーション」能力が引き継がれていることがはっきりと描かれている場面が「Ⅰ」にあります。皆さん、一瞬考えて見てください。 それは、シシリアでアポロニアに一目ぼれした彼が、拒絶する彼女の親父さんを口説いて面会にこぎつける場面です。[DVD(字幕)] 10点(2006-06-25 22:03:47)(良:2票) 《改行有》

2.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 本当に何度見てもすばらしい。 今回見直してみて感じたこと、2点述べたいと思う。 まず「人生の収支」について。 ヴィトはコソ泥仲間に先駆けて、いちはやく人殺しを行った。しかも誰に強制されるでもなく。普通に考えたら、ヴィトは仲間よりもダントツにひどい人間だ。 ところがヴィトのその後といったら、町の住民には尊敬され、商売もうまくいき、仲間にも慕われ、妻にも愛され、多くの子供を授かり、あげくのはてに両親の復讐まで成し遂げる。そして彼に倒された多くの敵と違って穏やかに死ぬことができた。 彼の才能と努力のたまものといってしまえばそれまでのことだが、私はここに(コッポラの考えるところの)「人生の収支」の存在を感じる。 つまり、ヴィトの前半生は、後半の大成功を補ってあまりある悲惨極まりないものだったわけだ。ほとんどこれ以上の悲惨な少年時代はない、といえるほどに。私はヴィトの人生は源頼朝と似ていると思うのだが。(前半生悲惨、後半バカツキ) そして対照的に限りなく重苦しいマイケルの人生とはなんなのか。 私に言わせれば、マイケルに次々に降りかかる災難や、失われてゆくものこそ彼の「人生の収支」の「支」であるのだ。つまり彼は父から多くを与えられすぎているのだから。 2点目はドンの力が文字どおり「GOD」を超えたところで「Ⅱ」が終了していること。 フランクが自殺したこと、これはすごいことなのだ。シシリア生まれのイタリア人=ゴリゴリのカトリックの彼が、神に背いてまでドンの力に屈したのだ。そしてフレドはマリア様を讃える歌を歌っているというのに殺される。そしてエンディング。なんてことだ。マイケルはついに神様より強くなってしまったのだった。 しかしそんな全能のマイケルですら思い通りにすることができないもの。それが「金目当てでない女」である。生きるのがせいいっぱいの時代には、共に苦労したヴィトの妻なら、夫のすることを肯定し愛し続けたわけだが、マイケルの言う「時代が違う」=「女が変わった」。それなら「金で転ぶ」女にすればいいじゃん、といっても、肝心のマイケル本人は「金で転ばない女」が好みなわけで、どうしたってうまくいくわけがないという完璧なパラドックス(コッポラの作った)なのであった。 [DVD(字幕)] 10点(2006-06-23 22:45:18)(良:5票) 《改行有》

3.  恋人はゴースト 《ネタバレ》 久しぶりに納得のいくラブコメを見た! キューティブロンドのエルが帰ってきた気がしてうれしい。 このお話がそうであるように、ラブコメというのは、起承転結だけを取り出した場合にまったくもってつまらん正統派なラブストーリーになっていないといけない。それでもって、楽しく賢く鋭くほろっとしていなければいけない。そう、ラブコメこそ、最も難易度の高いジャンルなのであーる。 それなのでラブコメのファンは容易なことでは頷かない。「楽しく」が欠けても「賢く」が欠けても「鋭く」が欠けても納得しないし、「ほろっ」がなければラブコメを見た気などせぬ。ああなんと険しいラブコメムービーの道。 それでですね…これは、アルモドバルの「トーク トゥ ハー」の「アンチ変態修正バージョン」であるのです。 昏睡状態の女性に恋した男性が、変態だった場合をシリアスに描くと「トーク トゥ ハー」になり、変態ではない心優しい男性だった場合をコメディー仕立てにすると「恋人はゴースト」になるわけですね。私はなんてったって変態を見せられるより「恋人はゴースト」だ!さようならアルモドバル! この作品では、エリザベスがしゃべりっぱなしのシーンと、彼女が登場しないシーンの違いがうまく描き分けられていて、見ている方とてエリザベスが消えると妙に物足りない気持ちになってしまいます。 この気持ちこそがデイビッドの気持ちとぴったり一致しているわけで、最初は追い出そうとしていた彼がいつのまにかエリザベスに恋してしまう流れを自然に表現しています。うまい見せ方です。 マーク・ラファロ、登場したときは、「…こんなやつがリースの相手役か。我慢して最後まで見られるだろうか」と不安にかられましたが、なんのなんの。大化けしてくれました。ボソボソしゃべってるのになかなか大した役者さんです。なんと私はストレッチャーを盗み出す場面で不覚にもぽろぽろと大粒の涙が。 王子さまのキスで目覚めたエリザベスが、その場で結ばれないというのもひとひねりあっていいですね。よく考えてます。 ところでひとつ、この映画が訴えてくるもの。どうでしょう、脳死。どうでしょう、臓器移植。もともと私は反対している人間ですが。 見えないエリザベスが必死に姉に訴えるシーンを、誰でも一度は見てもらいたい。ファンタジーですか?単なる映画ですか?これを見た後で、OKを出せるものなら出してほしい。 [DVD(字幕)] 9点(2006-09-29 21:49:38)(良:4票) 《改行有》

4.  御法度 《ネタバレ》 すばらしい。監督が体張っているだけのことはある。とにかく男ばっかり。松田龍平の妖しい美少年。彼は完全に集団の中で女の役割である。神田うのの花魁も、数秒だけ。つまり本物の女はこの作品の中で手の届かない霧のむこうに居て、まるでTVの中だけに存在するようなものなのだ。崔洋一の近藤にたけしの土方、ものすごい配役。二人が差し向かいに座るとまわりに異様な空気が。何かへんなものが生まれそうでとてもこわい。特に崔洋一の怪しさよ。セリフが少ないせいか。ところで、浅野忠信についてですが、一重まぶたに細目の三白眼で鼻筋が通っている、という場合は「おしょうゆ顔の美男」なわけですが、これと同じ顔に及川光博がいます。しかし二人はぜんぜん似ていない。浅野はブラピのように「美男の汚な作り」にはげんでいるわけですが、小奇麗にしたとしてもやっぱり似ていない。同じパーツを所持しながらなぜ?それは「唇の端がキュッと上がっているかどうか」の違いによるのでした。女の人もこれからは男性の顔について堂々とえげつなく批評しようではありませんか。えっそんなの私だけ?大島監督の時代物をもっと見たかったのに残念です。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-15 21:25:01)

5.  コラテラル 《ネタバレ》 いやーこれ何回も見てしまった。マイケルマン。とりあえずリアリティを追求したかったわけではないらしい。トム体がキレててよかったですね。ただし老けづくりには失敗しているので見た目的にヘンだが。丁寧につくってあるなあ。タクシーの中の場面とか。標的の部屋のインテリアとか。これはたぶんラストに「俺はただ食うための仕事してるだけなんだぞー」と言わせたかったためにつくった映画なのでは。ディスコの音楽が不気味。いいような悪いような、耳について離れない不思議な曲ですね。[DVD(字幕)] 9点(2005-11-14 23:27:36)(良:1票)

6.  この胸のときめき 《ネタバレ》 たぶん心臓移植後って、こんな安易な展開じゃないとは思いつつ、はまりました。モルダー捜査官はやっぱりへたくそだけど、もう今回はハンサムというだけでいいことにしよう。 じいさん軍団がよい。「妻に死なれて独身、それはそれは」と露骨に喜んでいたのがよいですね。イタリアンな世界がよい。音楽よし。作品中で、「リターントゥミー」を歌う歌手の人、しびれます。もちろん、歌唱力が。サントラCD取り寄せてしまいました。 この映画を見て、欧米の「男性ソロポピュラーシンガー」の良さに、ちょっとめざめてしまいました。未知との遭遇。劇中の歌曲すべてよし。とくにシナトラ。(サントラ版には入っていない)とにかく「食欲がわいてきて、明日も生きててもいいかなあ」と思えますから、自殺したくなっちゃってる女の人は見てくださいね。ボニーハントはこれを見るまで知りませんでしたが、もっとラブコメを作っていただきたいものです。このごろエフロンもロブライナーも不調なので。[DVD(字幕)] 9点(2005-11-13 19:05:53)《改行有》

7.  ゴーン・ベイビー・ゴーン 《ネタバレ》 ドイル引退および郊外の一軒屋で妻と抱き合うのシーンを見たらば、ああ、アマンダはここにいるんだなあ、ということはわかってしまう。 なので、謎解きとしては食い足りないのだが、全体としてはなかなかの秀作に仕上がっているかと。 「2」という数字は何かとトラブルの種になるので困りもの。 「1」があったために、「2」を回避しようという動機が大きく働いてしまう場合は、特に困りもの。 私は「失敗」のことを言っているのだが、「1」がなければ、「2」は成立しなかったので、逆に言えば「1」が無かったと仮定したならば、パトリックは「同じ決断」をしただろうか、というと、それは不確定、むしろ逆だったかもしれない、と言えると思う。 「1」については完全に「失敗」だったので、あんなことをしておきながら刑務所を免れているという設定にも大きく無理があるのだなあ。 あの小児性愛者は放っておいてもアメリカの法律では一生刑務所から出てこられないのだから、殺すことはなかったのだし、彼には殺す権利もなかったのだし、あの処刑は衝動殺人以外のなにものでもない。たまたま銃を手に持っていて、たまたま「カッ」としてしまったから。それだけ。 他人がどう誉めてくれようと、「1」は完全なる間違い。 「パトリックの思う神様」は、それを許さないだろう。 …で彼はカトリックだと思われるので、そして「神様が許すかどうか」だけを気にしているので、こういう場合は教会に行って懺悔をするのが通常の展開のはずだがなぜだかそうはならないところもちょっとヘンである。 「1」の決断が間違いであったからこそ、「2回間違えたくない」という思いばかりが強くなって、「2」が発生したということである。2は1とセットだ。1回目は、明らかに神様が許さないことをしでかし、2回目は、自分の神様が良いと言ってくれると思うことを彼はした。 …個人的には、パトリックがドイルとの会話を終えたあとの段階でフェイドアウトして終わったほうがよかったのではないかと思う。原作はどうあれ、その後の展開を謎のままにして観客に任せてしまったほうが、完成度は高くなったように思われる。そうなってくれていれば、努力賞をあげてもよかった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-06-15 01:32:15)(良:1票) 《改行有》

8.  ゴッホ 《ネタバレ》 登場人物がおのおの勝手にしゃべってセリフがかぶったりするあたり、アルトマンらしさを感じます。 ゴッホとその時代の空気を描いものとして、画的なリアリティという点では今後これを超えるものは出ないと思われます(音的にセリフが英語ってとこがね)。ティム・ロスだってこの時はほぼ無名だから、スターを1人も起用していないという点でも非常にリアリティにこだわっている。 兄弟の結束に不可欠なものはまず「貧乏」ですが、もうひとついえば「もともとはリッパな家柄だった」というものがあるみたいです。ゴッホ兄弟もそうでしょう。 ゴッホ家のリベンジ、というものが相当あったと私は思う。 さて、「妻子より兄弟が大事」という場合に妻は微妙な立場ですが、よく知られているように、ゴッホの絵を売りまくって、有名になるために貢献したのはテオの妻です。 あるドキュメンタリーでは、テオの妻は生前からヴィンセントに親切で同情的で、そのため彼の死後本来なら紙クズ同然の絵を処分せず、なんとか認めさせたいと奔走したのだといいます(ヴィンセント・ヨハンナ間の手紙などが残っているらしい)。 確かに、そうでないと、いくら金に困っていたとしても、なぜ誰も欲しがらない絵を売り込んだのかという説明がつきません。 この作品では、兄弟愛を際立たせるため、ヨハンナは現実的な女として描かれており、特にヴィンセントに同情しているようには見えませんが、そのへんかなりズル(というか失礼)なんじゃないでしょうか。 現実には、テオが死んでこの映画が終わったあと、第2幕が上がり、彼女の活躍が始まるのです。テオの妻がいなければ、現在知られる画家ゴッホは存在しなかったのであり、面倒を見たテオも、死後の活動を引き継いだヨハンナも、ゴッホ家複合体「画家ゴッホ」の一部です。 旺盛な食欲と同様に、絵を売りまくるヨハンナの姿を予測しながら見終わるのもオツなものです。 売れない芸術家は他人の稼いだ金を当てにして、「せびる」を当然のこととして活動していたのだなあ、ということがよくわかる作品(でも他人の金で女まで買うなよな…)。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-10-03 21:06:54)《改行有》

9.  こわれゆく女 《ネタバレ》 ものすごい緊張感です。こちらの神経に悪いです。 主婦のメンタル病は重篤化するまで発見されにくいと聞いたことがありますが、その理由をずばりニックの口から言わせていて、「ウチのニョーボは家事だってちゃんとやってる(から病気じゃない)」なので、亭主の多くは「女房が皿を洗わなくなって初めて病院に連れて行く」ということになるらしい。 ニックにとって、家事をやって育児をして姑の機嫌をとって仕事仲間をもてなして性的にも応じてくれる女性が「ニョーボ」として必要なわけで、ニックという人は優しいけれどガサツな男なのでそれをはっきり態度に出します。「悩みがあるなら勝手に悩め。でもするべきことはちゃんとしろ。」というのがニックのスタンスで、するべきことをし続けている限りは、メイベルの話は永遠に聞いてもらえなかったということでしょう。 入院する前にメイベルが5つの優先順位を言いますが、「愛」「友情」「夫婦の時間」「マザーシップ」「妻であること」の順でした。…この一つだけでも維持するのは大変なのに、彼女には、しなければいけないことがなんてたくさんあるのでしょう。もしかしたらメイベルのようなタイプは、一つのことだけやっていたならこうならなかったのかもしれない。 メイベルの病の原因も、ここらへんと関係があるのだと作り手は言っているのだと思います。 それならもっと「進んだ男」と結婚すればよかったじゃないかということになるのですが、人生はそうそううまくはいかず、メイベルが好きになったのはガサツな男だったのだし、できちゃった結婚でもあったのです。そして、何年か後にはこういうことになっていました。 メイベルの父親がどういう「役割」を果たしたのか、明らかにはされませんが、まあいわゆるよくあるそういうことなんでしょう。メイベルの病気の原因について虐待をほのめかせるなどはしなくてよかったのにと私は思います。そういうことが無かったとしても、充分だと私は思う。 さて狂気と正気がまだらの状態を生きるメイベルの夫ニックは生きた心地もしないでしょう。地獄のようです。しかし、ラストがこの夫婦の今後を示唆していて、たぶん二人は共犯者のように生きていくのです。狂気が出たら仕方がないから殴ったりして、正気の時には普通の夫婦のようにして、世間から狂気の部分を隠しながら、そうして共犯者のように。[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-12-22 14:21:16)(良:2票) 《改行有》

10.  ゴスフォード・パーク 殺人ミステリーにひねりを加えたやつが撮りたかった、という監督。 殺人ミステリーには全然なっていないけれど、なんとも重厚なできあがりとなった。 殺人ミステリーでなければなんなのかいえば、もちろん重厚さをかもし出すモトとなったザ・階級社会なのだった。 ご丁寧にエンドロールのキャストまで、主人と使用人が別になっているというこの凝りよう。 このところ「オーメン」は見るわ「エニグマ」は見るわ井形慶子は読むわでどうにもイギリスづいているのですが。 実は第1次大戦が終わって第2次世界大戦が始まるまでの間のイギリスの不労階級と使用人の織り成す生活というのは、私にとってはどうにも懐かしいものなのであった。もちろん自分がそうだったからではなく、ミス・マープルとかエルキュール・ポワロの読みすぎのためである。 アルトマンという人はほんとにパーティが好きなのね。ごちゃごちゃ人を集めて撮るのがいいわけですね。「ウェディング」ではそれほど使用人に重きが置かれている感じはしなかったですが。 ここでは「上」と「下」に水と油のように分かれている階級生活が余すところなく描かれる。 手練のアルトマンは、もちろん階級社会の「是非」を問うような無粋な目線で撮ってはいないが、なくても話が成立するのに意識して「不安定要素」を入れている。小金持ちの「平民」の娘と結婚した貴族のカップル、役者修行であることを隠して使用人のふりをしたアメリカ人、ディナーをサーブしているときに思わず旦那様をかばって対等の口をきいてしまったエルシー。わざと「水と油」の境界が揺らいでいるところを見せる。階級生活を営む人々にとってはさぞかし「地震」のようなものであろう。 全然ミステリーでないまま「階級生活はかくあるのかすげーなー」「井形慶子の言うとおり、塗りすぎてドアにヒビ割れがしているな」「貴族は女と金のことしか考えてないのかやっぱり」などと思っているうちになんとなく終わってしまう。そしてそして。 ああジェレミー・ノーザムの弾き語りのすばらしいこと!どうやらクリストファー・ノーザムという人の手が入っているらしいのだが、なんというタレントフルな家族なのかしら。またエンディングの歌のすばらしいことといったら。これがイギリスの田園風景にかぶるわけですからもう、ダメ押しされたようなもの。KO負けです。こんな芸まであったとはノーザム、顔だけじゃない。[DVD(字幕)] 8点(2006-09-09 23:17:56)《改行有》

11.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 角川映画で一番記憶に残る作品。日本人でなければわからないであろう。大陸からの引き上げとかさ。外人が見ても「だから?」だよね。何が怖いかって、「ここまで悲惨でなくてもこれと似たような話はいっぱいあったであろう」と多くの年配の日本人が知っていること。そういう無茶苦茶や混沌が「あった」ということを「知って」いること、それを極端に膨らませて悲惨きわまりない話に仕立てているけれど、けっして別世界の話ではないこと。だから怖いんです。松本清張的な感じもしますね。[地上波(吹替)] 8点(2005-12-23 18:53:10)(良:2票)

12.  氷の微笑 《ネタバレ》 うん、シャロンがきれいでよいです。あんまり胸ないけど、その自信満々ぶりが「日本人の女には逆立ちしても真似できねー」と思わせる。こういうキャラって、ちょっとでも「でもあたしって胸いまいち無いし」とかって思ってるところがバレたら台無しだから、演じるの難しいと思うよ。でもシャロンはやってくれた。拍手。アクターズスタジオのインタビューで、「あのヒロインは、誰よりも深く傷ついて、ああなってしまった女性なの」と言っていた。うんうん、そうだと思うよ、とうなずく。ともあれ、女優さんはこうでなくっちゃ、の映画です。[地上波(字幕)] 8点(2005-11-17 21:08:13)

13.  ゴールデンボーイ(1998) 《ネタバレ》 欧米の人がナチスを恐れる心情は、反キリストに対すると同じく、日本人にはわかりにくいものなのであろう。この作品は「オデッサファイル」とセットで見るとよいですね。老ナチが行進中に変身するところ、恐ろしいですね。でもこの恐ろしさも、本場の人の半分以下であろう。だもんだから、「キングの原作だからホラーなんでしょ」と思って最後まで見たりする。異文化の映画を見るときには、しつこく同じ題材が描かれていることの意味に留意しなければならない。日本人が怖いものと、他の国の人が怖いものとはイコールではない。[ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-16 23:47:32)

14.  恋する遺伝子 《ネタバレ》 最後ぐだぐだになるが、結構好きです、こういうの。 「ニューヨークの恋人」でちょっとときめいてしまったヒューが出ていた。 アシュレイジャッドは、あんまり好みの女優さんでないけど、今回は、「がんばってるなあ」と感心した。チアリーダーのとことかね。ヒューの住んでる部屋が素敵でした。こういうところなら、何かがおこるかも、ですよね。「カウ理論」については、個人的経験からいいますと、「まちがい」と思います。「オノヨーコがあんなに愛された理由は?」といっておきたい。オノヨーコだったら、「新しいカウ」なんて、ものの数でなし、関係ない、ってとこでしょうか。グレッグキニアがまたラブコメに登場。なんだろう、この人。べつにハンサムじゃないのに?[DVD(字幕)] 8点(2005-11-13 17:28:53)《改行有》

15.  五条霊戦記//GOJOE 《ネタバレ》 この分野では、ひさびさに良かった。4,5回見た。あのお坊さん、勅使河原って、監督やったりする人だよね。途中まで、「板尾創治」と思いこんでいた。「えっ、板尾が映画に出てる。」「出世したもんだ」と驚いていたら違った。似すぎている。大介は黒沢映画で信長をやったときから「よい」と思っていた。信長はすごかったなあ。本人見たこと無いのに「本人みたい」と思ってしまった。だれがどう見ても浅野は15歳の義経には老けすぎている。しかし出産女以外は全般よし。ラストのオチがアイディアよし。かなりな驚き。もう一回見てもよい。[DVD(吹替)] 8点(2005-11-09 22:00:45)

16.  ゴースト・オブ・マーズ 《ネタバレ》 茶色とゴールドの画面の映画。実際にはもっと色があったんだろうが、そんな感じ。 期待を上回るカーペンター作品でした。これって、すごく革命的な映画なんじゃないの? 「女が男をあたりまえに買う」し、「男が女の部下であたりまえ」だし、「そんな環境だから、男が女に媚び売ってくるし」って、他にこんな状況の映画あったっけ。なんだかとても爽快な気分。ヒロインは「私がボス」であたりまえと思ってる女だし、タイマンはったら、すげーし。ナターシャが本気出して「言うこときけよコラ」と腕をひねって見せる場面は、ものすごい革命的。だってこれ、「あたしは女だけど負けないくらい強いわよ」っていってるんじゃなくて、「女だから強いにきまってるだろうがアホ」と言ってるんだよ。強烈。これをつくったのが男だってことがまた、「何で?」状態。逆転の映画。[DVD(字幕)] 8点(2005-11-02 22:39:03)(良:3票) 《改行有》

17.  ゴッド・アンド・モンスター 《ネタバレ》 「〝フランケンシュタイン〟は死を扱ったコメディだ」とホエールは言います。 だから、映画を見たら笑ってほしかったのだそうだ。 〝ヒトの死〟は尊厳あるものとされているので、ホエールのバックグラウンドを知らなければ単に掟破りなやりすぎマンということになる。 が、〝ヒトの死〟を戯画化しなければやっていけないような経験が彼にはあって、それはもう、そんな経験をしてしまったら冗談でも言わなければ発狂してしまうよ、というような凄惨なものだった。ヒトは精神的に追い詰められると、冗談で回避しようとする生き物なのかな。 金網に引っかかったまま腐っていく戦友から、〝フランケンシュタイン〟が生まれた。 凄まじいなあ。 全体的に「収束の美学」みたいなものを感じました。「拡大」の時期がとうに過ぎ、人生の終わりのほうで、風呂敷を畳んで、大事な荷物を捨てて、去る時期が来たことを知ったとき。どのように去っていくか。どのように去りたいか。 ホエールは脳卒中による幻覚に悩まされるようにならなければ、もっと別の去り方をしたかもしれない。 コントロールできない幻覚の内容は、彼にとって耐えられないものばかりだったので、どんなに辛かったかと思う。思い出したくない過去のシーンを、いつなんどき見せられるかわからない状態は、拷問であろう。 庭師とホエールの関係がいったいなんであったのか、ラストの映画中映画シーンで示される。感動的…といえるかもしれない。 しつこくエンドロールを見ていたら、ホエール作の絵画(の本物)をジョエル・コーエンに借りたと書いてありました。…なんでそんなもの持っているんだ。アトリエにあった絵画の何点かはホエールが書いた本物ということです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-18 13:52:57)《改行有》

18.  ゴーストワールド 《ネタバレ》 それまでずっとリアリティだと思って見ていたので、ラストのバスシーンおよびシーモアのママ同伴セラピー通い及び、エンドロール後のシーモア大暴れシーンを見たのち、しばし考え込んでしまった。 もしかすると、バスシーン以外にも「現実に起こっていない出来事」が挿入されているという禁じ手が使われていたのか?まさかそんな、「ピアニスト」みたいなヘンな映画なのかコレは。 けども辻褄が合わなくなるのでいちおう、妄想シーンは含まれていないというふうに見るしかない。 しかし、完全にリアリティの映画というふうにもいえない。 バスに乗る前のイーニドの状態はというと、親元には住めず、おそらくレベッカとの同居もあきらめ、今さらシーモアとの同居も見込みは乏しく、高卒資格は帳消しで、美術学校の夢も消え職を探す気も失せた、ということになります。八方ふさがりとはまさにこのことです。全部自分が招いた結果であるが。 さて、このあとイーニドだったらどうするのか。レベッカに聞かれて「I'm not sure」つまりまだよくわかんない、というふうに答えています。 ここに及んで作り手は、彼女をビルの屋上とか線路脇に連れていかないで、ファンタジーに逃げたのです。このやり方については、賛否両論ありそうだ。ミステリアス感が増したとはいえるが、私は、ビルの屋上に佇むイーニドのショットで終わるべきだったと思っている。飛び降りたかどうかは観客にまかせればいい。 さて、イーニドの苦しみはハイティーン特有のものには違いないが、「母の不在」を抜きにしては語れない。女子にとって「母」=「縁を切れない反面教師」であり、しかも相手は自分を愛しているというやっかいなことなので、これすなわち「折り合うしかない」存在なのだ。大人になるために最も必要な「折り合う」を学ぶための最適教材=母、なのだが、それができない環境にあるイーニドは「バカとは折り合う必要なし」を貫いているつもりになっている。と私は思うのだ。 ボロボロになったシーモアがママに助けられていることも実は意味深で、作品中であえて全く触れられていないイーニドの「母の不在」こそが、大きなマターであるように思える。 「ゴーストワールド」の意味とは「私たちは地球に優しい石油会社です」という作中CMが象徴するように、周囲の人間がすべて「偽善者」に見えているイーニドの精神状態を指していると思う。[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-04-11 23:40:58)(良:3票) 《改行有》

19.  コンドル(1975) 《ネタバレ》 特に期待もせず衛星に合わせたが、30年前の作品としては大変洗練されているのでつい見入ってしまった。 インタープリターでは全く感心しなかったポラック監督だが、若い時の作品のほうが優れているんじゃないだろうか。 このストーリーだったら説明を省かないと茶番になってしまうので、主人公がCIAで働いていることや、内部に敵がいることなどを、小出し小出しにセリフ以外のもので見せていく。玄関に監視カメラとか、受付の女性の引き出しに銃とか。クールな演出だ。 レッドフォードだけでも充分画面がもつのにマックス・フォン・シドーにフェイ・ダナウェイと豪華キャストだ。なんといっても見どころは、レッドフォード演じるコンドルの得体の知れなさを、舐めるようなカメラで撮りまくっているところ。ほとんどストーカーみたいに。 「コンドル」を見ると、「ボーンアイデンティティ」と似ているなーと思う。いや、逆だけれども。 ヒロインに色気のない女優を使うところまで同じだなあ。が、やはりスパイならば、レッドフォードのコンドルが正解だと思った。コンドルを見ていると、ジェイソン・ボーンの人物造型は〝いい人すぎる〟ように感じられる。コンドルというキャラを生み出した脚本も、善玉・悪玉の枠を超えた演出を加えたポラックも、なかなかいけている。[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-09-30 15:43:14)《改行有》

20.  交渉人 真下正義 《ネタバレ》 テレビで見てエラソーなこというのもなんですけど、いちおうビデオ撮って2回見た。ということは私的には×じゃない。 あらなかなかいいじゃないの。というのが率直な感想だった。「踊るの2」よりだんぜんこっちのがいい。 ユースケ・サンタマリアは左右の鼻の穴の形が激しく違うので、正面からの撮影はかなりイタいものがあったけれど。横オンリーにしろ、横に。 犯人の顔を最後まで見せなかったところ、うーん、うまくシメたね。こういう場合は見せたところで「ふーん」でしかないですから。あの黒いシボレーそのものが「彼」で終わって正解。 「クモ」のデザインも、ありえないがなかなかハデな感じでよい。 水野美紀をあんまり出さなかったところもよかった。 寺島にしろ、総合司令室長にしろ、濃いキャラも素直に楽しめた。その濃い人たちと、反対に起伏の少ないユースケのセリフまわしの対比も、下手とはいえまあまあイケていた。 フジの踊るシリーズに、あんまりいろいろな面で求めすぎてもね。あっでも小泉孝太郎だけはどう考えても要らなかった! [地上波(邦画)] 7点(2006-10-16 22:33:25)《改行有》

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