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1. 伊豆の踊子(1963)
《ネタバレ》 いやあ、現代パートは要らんだろ。原作は学生の一人称で、お互いのほのかな恋心を描いた小品だが、色々俗世的な周辺を描きこんで、焦点がぼやけた感じだ。
そりゃあ大正末期当時には今とは比較にならないほどの不幸はあったろう。それに(これは原作通りだが)、「女が手を入れると汚い」などと男尊女卑な部分も描かれてもいる。でも、そんなことを訴えるための「伊豆の踊子」じゃないと思うのだ。
それと、下田の街の有力者のボン的なヤツ(小百合ちゃんを狙っている的な)も、エラく日活映画的で、その後の展開を不安にさせる。
小百合ちゃんがカワイイので1点おまけだが、人が言うほど名作な気はしない。[DVD(邦画)] 6点(2020-08-12 18:11:23)《改行有》
2. いつでも夢を(1963)
《ネタバレ》 前から見たかった映画。と言っても劇映画として興味があった訳ではなく、「いつでも夢を」のカラオケ映像に、赤いセーターの小百合ちゃんが上を見上げるカットがあって、それはもう神々しくキレイだったのだ。
問題のシーンは戦災で親を失った不幸な少女の一エピソードだったが、自分の生まれた翌年の映画であるこの時代は、まだまだ戦後を引きずっていたのだろう。丸の内らしい一流会社の佇まいは立派だが、お化け煙突で有名な千住・西新井界隈の貧しさは、大変なものだ。その時代の青春映画は、舞台としては恵まれた学生の話ではなく、定時制高校(夜学ってのは当時「いけない言葉」だったのかね?)だというのが、時代を写しているのだろう。物語は勤労学生や貧しさといった、当時の社会の問題を背景に、それでも雪の下の芽のように強く生きてゆこうとする、若者たちを描いている。ちょっと綺麗事すぎる感じもするし、夜学出身の自分から見ても牧歌的すぎる気もするが、これが時代というものかもしれない。とにかく国自体の将来に希望の持てる、「いつでも夢を」持っていることの出来る時代の若者の青春映画。この時代と比べると、豊かにはなっているが、これほど「夢を持」っていられるだろうか、今の若者は?
こういう時代の映画は評価しづらいので、可もなく不可もない点だけど、小百合ちゃんの可愛さ、美しさに+1点。[DVD(邦画)] 6点(2011-09-25 23:15:21)《改行有》
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