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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 怒り 《ネタバレ》 みんないい演技でした。 真犯人は誰か?と云うより、疑わしき者の周囲の人々の反応や対応が描かれる。そして、人間とはかくも不安定な生き物なのかと思わされます。それがテーマだったと思います。 「怒りとは恨みや怨念とちがって瞬間的なものと定義される」と、以前にどこかで読んだことがあります。地下鉄の優先席でふんぞり返る若者に感じるのは「怒り」で恨みではない。肉親を殺した犯人に覚えるのは「恨み」で怒りではない。この犯人は自分の思い通りに行かない局面に対する生理反応として人を殺したように見えました。瞬間的と云う意味では確かに「怒り」でしたが、本人の特殊な性向に依る行動だったと思います。なので「怒り」を普遍化する内容では無いですね。 私の現住所は沖縄ですが、色々な意味で米兵のレイプをフューチャーしてほしく無かったです。怒りや恨みで語る内容を越えていると思いますので。[CS・衛星(邦画)] 6点(2017-11-22 12:52:36)(良:2票) 《改行有》 2. インターステラー 《ネタバレ》 個人的な尺度でSFに成りきれない作品でした。その類い、多いのですけどね。タッチの重厚さや地球自体が抱えた病理的状況の描写は悪くないだけに、もっとちゃんとSFして欲しかったです。肉親の情が物理現象の絶対性を越えて世界を救う。口当たりは良いのですけど、都合良すぎです。フィクションだから嘘を付くのは構いませんが、その免罪符の使い方に拘わって欲しいです。[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-16 18:32:55)(良:1票) 3. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 後味が微妙でした。それは主人公が不幸だったからではなく、テーマがあやふやになった印象を持ったからです。本作はエニグマを解読した天才的数学者の性癖による不遇を扱った作品ですが、私は解読した暗号の戦略への運用の方に意識が囚われました。個人の物語と長きに亘り秘匿されてきた歴史の闇的な事実。その配置にバランスの悪さを覚えます。おかげで、主人公や周囲の人たちの描写にどっぷりと入って行けませんでした。[映画館(字幕)] 5点(2016-06-28 02:50:45) 4. 一命 《ネタバレ》 オリジナルとほとんど同じストーリーですが、変更点もありました。そのためにテーマまでが変化した作品だったと思います。テーマがぼやけて失われたと言ってもいい。 私の見立てでは、オリジナルからの大きな変更点が2つありました。ひとつはラストの立ち回りに竹光で挑むこと。それによって井伊側の侍が一人も斬られない。目的は「武士の面目」を潰すことで、仕返しでは無かった事が強調されている。ふたつ目は、立ち回りの後の事後処理を家老が命じるシーンがカットされていること。家臣から死者が出なかったので事件を隠ぺいする必要が無かった訳ですが、井伊藩側の姿勢を表現する意味では必要なシーンだったと思います。 本作が「武士の面目」の虚しさをテーマにしているならば、突っ込みどころも少なくない。そもそも、武士の面目を利用するような狂言切腹から事が始まっているのだから、武家社会という土俵に乗ったまま武士論を展開するような矛盾を覚えます。人情を持った奴が一人もいなかったのかと詰られても、瑛太側の事情を知らない限りは食い詰め浪人の浅知恵にしか見えないし、3両を貸して放免する選択肢は無かったはずです。もし瑛太の事情を斟酌できる人がいたら、その人が主人公ですね。竹光で切腹させたことも介錯人の残虐趣味で、藩の方針ではありません。そうなると、あの切腹は事故性が高く、何を訴求したかったのかが見えにくい。正直に事情を放さなかった瑛太側の「武士の面目」に問題があるようにも思えます。 もちろん、先にオリジナルを観たから感じることです。そちらは大藩の「傲りと慢心」がテーマだったと思っています。それは「武士の面目」と似ているようで、全く違います。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-01-27 02:30:25)《改行有》 5. インモータルズ/神々の戦い 《ネタバレ》 内容はどぎつくても言葉としては無機質に感じられるのが「神話」ですが、本作のあらすじを文章にしたら、まさに「神話」になるという印象です。特定の登場人物の心情に共感するような作り方では無いので、ストーリーから感動を貰いたい人には不向きな映画だと思います。私は最初からそこには期待していなかったので、というより、映像美を期待して観に行ったので、充分に満足させて貰いました。見どころは神が戦うシーン。人対人の戦いと神対神の戦いにきっちりと違いを付けています。スピードとパワーで。ゼウス、アテナ、ポセイドン、アポロンなど、聞き慣れた名前の神々が天上から降臨して闇の軍団と肉弾戦を繰り広げますが、まさに「肉弾戦」で、肉体の弾け飛び方が半端じゃなく凄まじい。そのグロさを美しく見せるのがターセム・シンらしい。広告では『300』のスタッフが作った映画と言ってましたが、個人的にはターセム・シンが作った映画と言って欲しい作品です。 『300』のザック・スナイダーも映像に強い拘りを持つ監督ですが、ターセム・シンは少し違うところを標榜しているように感じます。ストーリーそっちのけは二人とも似ていますが、ザック・スナイダーが映像の迫力に拘る人だとしたら、ターセム・シンは映像の美に深く沈潜して行くような耽美的な映像を作る人、というのが私の見立てです。本作は戦闘シーンが多く、ターセム・シンの絵作りが活きる素材とは言いにくい。前作『落下の王国』のような作品の方が彼の表現が活かせるのではないかと個人的には思う次第です。[映画館(字幕)] 8点(2011-11-21 22:53:28)(良:1票) 6. インシテミル 7日間のデス・ゲーム 《ネタバレ》 原作を読んだ時は、これは映画化に向いている作品だと思いました。殺人ゲームと心理ゲームのバランスの良さがその理由です。ルール説明の手際や参加者を減らしたことなどは良い方向で機能していました。後半、ストーリーは原作を離れて行きます。(疑心)暗鬼館での猜疑心表現に自信が無かったのか、やや安直なアクションとヒューマニズムでまとめた印象ですが大きくは破綻していないので、これはこれでひとつの作品としてアリだと思います。後半はスピード感が有り過ぎるぐらい。2時間くらいに尺を延ばしても、人が死ぬごとに残った者の嫌疑の密度が増して行くような重みをストーリーに残して欲しかった。心理ゲームより殺人ゲームの比重が大きくなってしまったようです。ビビリの藤原竜也がちょっといい子過ぎて、最後に獲得した1億円を超えるバイト料を投げ捨てるのは有り得ない。私にはそれが唯一の難点でした。ちなみに、原作は映画版が省略した部分にも読み応えがあって、私はこの映画より良い点数を付けます。結末も映画版とは違うので、映画を観た方にもお勧めです。[映画館(邦画)] 5点(2010-10-21 10:08:49)(良:1票) 7. インセプション 《ネタバレ》 夢をいじくって現実を変える。改めてストーリーを概観するとかなりシンプルなお話なのに、随分と小難しく創ったものです。夢を3階層も降りて行くような複雑さで、自ら首を絞めたような印象。序盤に表現されていた、夢の中らしい映像的面白さは、話の展開に従って少なくなり、特に雪の山荘での銃撃戦はまるで出来の悪い007映画。また、夢の中の心理の投影って、気になる女の子に優しくされるとか意地悪されると云った、願望や不安が言動としてカタチになることが面白いと思うのだが、本作ではディカプリオの奥さんの闇雲な妨害行為でしか表現されないのが勿体ないです。例えばラブコメじゃないけど、設計担当の女学生がディカプリオに惚れて、それが無意識に露見するような世界があっても面白くなったように思うのでした。仮想世界の構築は「マトリックス」などと同じだけど「なんでもアリ」が上手く活かされていないようで、エンターティメントとしてはこの監督の生真面目さが裏目に出てしまった作品だと思います。[映画館(字幕)] 5点(2010-08-19 13:36:16)(良:2票)
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