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プロフィール
コメント数 1636
性別 男性
自己紹介 投稿にあたっては
①製作者の映画愛を信じて基本的に0点は付けていません。
②レビュー作品の「あらすじ」は率先して書いています。
※2024.2.28ニックネーム変更「ぽこた(ぺいぺい)」→「タコ太(ぺいぺい)」

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評価順123
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1.  犬人間 《ネタバレ》 何とも気持ち悪いお話。 何かの拍子で心が入れ替わってしまった人間と犬のお話とか、生まれ変わったら犬だったとかだったら既視感はあるのだけれど、これは正真正銘人間を犬として扱うお話。 お金持ちのイケメンボンボンが強烈な支配欲を満たすために幼馴染をペット化している。そもそもクリスチャンはフランクのことを人間と思っておらず、普通の?神経の持ち主であるシグリッドには到底理解出来ない関係性であっても、クリスチャンはそれを理解出来ないシグリッドが理解出来ないわけで、同じ世界に住んでいても精神は別世界にあるという感じ。それは極めて危うい均衡を保っている関係性であって、ほんの小さな出来事によってでも脆くも崩れ去ってしまう。だからバットで殴られた日には一気に崩壊。折角同じ人間として扱っていたのに犬とツルムなんておかしいじゃないか。あ、そか。シグリッド、お前も犬だったんだ。じゃあちょうどいい。フランクは寂しかったんだ。二人で仲良くしなさい。おうおう仲良しだね、子犬が出来たか。じゃ、三匹で暮らせるようにボクがその子犬も飼ってあげるよ。ボクは優しいだろ?犬好きなんだよ。そんなお話でしょうか。 北欧のホラーとしてはそれほど生々しくはなく。目を覆うような暴力シーンもない。ある意味物足りないようにも思える作品。でも、よーく考えてみると相当コワい。サイコパスがペットとして誰かを拉致監禁しているとか、変態野郎が女の子を捕まえてオモチャ扱いしているとか、そんな作品は多々あれど、本作のコワさ気持ち悪さはある意味それらを上回るかも。 昔、確か永井豪さんの短編だったと思うのだけれど、もっと惨たらしく残酷に人間を犬として扱うシーンが出て来る漫画があって、半世紀以上経った今でも心の奥にトラウマ的に引っかかっています。本作はビジュアル的にはそこまでのものではないけれど、当分は気持ち悪く心に残ってしまいそうな作品でした。 ちなみに、邦題はストレート過ぎていかがなものか?原題の方がひとひねりあって良い感じです。[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-18 13:40:47)
《新規》
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2.  犬ヶ島 《ネタバレ》 素晴らしいです。アンダーソン監督の多くの作品に見られるカメラアングルや人物(今回は犬ですが)のシンメトリーな配置や動き、そして派手派手しくも落ち着きのある色彩、微に入り細に入りの背景描写や小道具等々、全てが実写と変わることなくみっしりと詰め込まれていて至福の時間を過ごせました。 独特の世界観、フラットな台詞、さり気ないユーモアとシンプルなストーリーは、確かに見る者を選んでしまうかも知れません。ハマる人にはハマる、ハマらない人にはハマらない。でも個人的には映画は、否、映画に限らずアート全般はそれで良いと思うのです。(勿論ある程度のレベル以上での話ですが) 今回は監督の日本愛(人物描写、町の風景、太鼓、相撲、歌舞伎、七人の侍などなど)がこれでもかと詰め込まれた作品。日本人は、日本の社会や文化は(良くも悪い悪くも)こんな風に見えているのか、と知らされることも多々。そこに人間愛や社会問題への風刺を盛り込み、ストップモーションで表現することで必要以上に刺々しくならないように演出していますね。(TV画面では手書きアニメに転じるところとか遊び心もいろいろ) ラストはホロリとまでさせられた充実の約100分。強いて言うなら、ちょっと終盤が駆け足気味だったかなというぐらいの佳作でした。(もうちょい長尺でも良かったかも) 兎にも角にも納得満足の1本でした。[インターネット(字幕)] 9点(2025-02-28 00:43:06)《改行有》

3.  ELI イーライ 《ネタバレ》 正直なところ見事に騙されました。まさかまさかの展開がラストに待ち受けていました。(以下大いにネタバレです) 殆ど予備知識なしに鑑賞したので、難病の少年が不気味な医療施設に入院してワケの分からない治療を受ける。しかし、その医療施設はひとりのマッドサイエンティストが営んでおり、少年は生体実験の材料にされてしまう。難病の少年だからこそ体内に持っている成分。その成分を取り出すことでサイエンティストは恐ろしい薬物を作り出していて…みたいな物語を予想していました。 実際、始めのうちはその線で観ていたのですが、ところがところが幽霊さん登場。あれ?これって幽霊話?イカレタ医師が実験的治療を繰り返し、犠牲者の霊が彷徨う館?外から語りかけて来るヘイリーも実は幽霊?中に入ると血まみれになる? でも、話が進むうちに幽霊さんたちってイーライの味方?何かを伝えてくれようとしている?そもそも医者やスタッフだけじゃなくて父親も怪しい?何も知らない母親は協力させられている? 更に進むと、あれ?医者もスタッフもシスター?え?ここは教会関係?もしかしたら悪魔崇拝?黒魔術?イーライたち被験者は生贄?そもそもイーライには病気なんて無い? そしてクライマックス。あれ?シスターたちは悪魔と対峙している?え?イーライって憑依されてる?えええええっ!?イーライは悪魔の子だったの?悪魔パワー全開??ということは、父親は悪魔の子であるイーライを不憫に思いつつもシスターたちに協力して悪魔の子退治を目していたの?父親の方が善玉的存在? あぁ、完全に騙されました。途中、自室から逃げ出したイーライが母親とスキンシップするシーンがいくつかありましたが、その度に「外気を遮断したって、たとえ親だからってベタベタしてたら何かしら感染しちゃうじゃん!」などと呆れて見ていましたが、そもそも免疫不全がないなら関係ないし、両親ともそのこと知ってるし。ただ、冒頭のシーンとか旅の途中で絡まれるシーンで実際に発作起こしてるのは何でかな?という疑問も残ったりはしますけれど。 結局、「オーメン」的なストーリーだった訳ですね。「666」の痣はないまでも生みの親が認めてる訳ですし、何よりも怒り心頭でイーライが目覚めちゃう訳で。父親はある意味可哀想。頭潰されお亡くなり。母親は元々悪魔に魂を売ってるからとりあえずはドライバーとして使われるけれど、二人が悪魔のもとに着いたら御用済みってところでしょうね。 悪魔が絡むと何でもありだから悪魔モノはあまり好まないのですが、本作は先が読めない展開を大いに楽しめました。傑作とまでは言いませんが観て損のない佳作ですね。勿論、事前情報なしでという条件付きで。[インターネット(字幕)] 8点(2025-02-16 11:19:32)(良:1票) 《改行有》

4.  インフィニット・ストーム 《ネタバレ》 実話ベースと聞いてビックリするばかり。まさに決死の下山。てか生きてるのが不思議なほどのダメージに次ぐダメージ。個人的に登山の趣味がないので解りませんが、人間はこんなにも強いのですね。 そして明かされるヒロインを襲った過去の悲劇。なんとなく悲劇の内容は予想出来ました。冒頭、愛娘たちの愛くるしい姿に何故かうなされる彼女。寒風吹きすさぶにも関わらず窓を少し開けて寝ている。あぁもしかして火事かガス漏れか。予想させられるカットはありました。 一方、ジョン(仮)の胸に抱いた悲しみも予想出来るものでした。最愛の人を失った。自分も彼女のところに行きたい。迎えに来て欲しい。吹雪の山頂に軽装で佇み下山を拒む姿から見て取れました。 きっと二人は命からがら下山し、お互いの哀しみを語り合うことで前向きに人生を歩んでいくのだろうな。そんなことを思いながらの鑑賞でした。 つまりは、基本的には想定内に展開していく物語。そういう意味では「面白さ」には欠けるのかも知れません。ただし、これは実話だと言う。決して手に汗握る山岳アクションアドベンチャーフィクションではない訳です。だからこその感動でした。 ヒロインのナオミさんの演技は今更言うまでもなく、今回も素晴らしいものでした。少々年齢を感じさせるようになった風貌は年輪を重ねて魅力的ですし、命からがら帰宅して冷たいピザをビールで流し込み全裸になってバスタブに浸かるシーンは命そのものを感じさせてくれるものでした。そしてジョン(仮)役のビリー・ハウルさんもいいですね。死にたいけれど生きていたい、生きたいけれど死んでも構わない、そんな矛盾する心の動きが息も絶え絶えの表情の中に表現されてました。 少々地味な作品ではありますが、見応え十分の感動作でした。[インターネット(字幕)] 8点(2025-02-06 13:59:06)《改行有》

5.  イラックス 《ネタバレ》 ニーナの家庭環境やオパル叔母さんとの関係性については殆ど説明なしで物語は始まりますが、本の中から飛び出して来たモンスターと二人で力を合わせて戦っていく姿を見るうち、語られることのない物語の背景が浮かび上がって来ますね。言葉としては決して多くを語らない作品ながら、脚本と演出には大いに惹かれるものがありました。 モンスターの出来映えは正直言って如何にも低予算的ではありますが、そんなことは気にせずに楽しめる作品。ネットフリックスのショートフィルムは充実しているなぁと思わせてくれる1本でした。[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-01 22:33:29)《改行有》

6.  Inheritance(原題)(2023) 《ネタバレ》 荒々しい活火山の有様を背景に訥々と語られる移民の苦しみ。時代も移り変わり世界の情勢も変わり、そんな中で暮らす私には、引き継がれてきたその心情について心から理解する術を持ち合わせていませんが、ひしひしと伝わってくるものは感じました。 正直なところ、何故?敢えて今?と思えてしまいましたが、短い尺の中にみっしりと込められた心情或いは心象風景は、シンプルに悲劇的なもののみとしてと受け止めるべきではないですね。幼い息子の純粋な心に触れ、彼は憂いを抱えながらも夢もまた追い続けることでしょう。心温まる作品でした。[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-06 10:02:16)《改行有》

7.  イノセンツ 《ネタバレ》 先にご指摘のあるとおり、確かにこれは「童夢」ですね。公式には「童夢」からインスピレーションを得た作品とされていますが、シチュエーションといい展開といい、まさに「童夢実写版」的な作品という印象です。 ただ、こちらはあくまでも北欧ホラー。容赦なくやって来る悲劇をジトっとさせることなく弱々しいながらも明るい陽光の下で展開させていくという北欧ホラーあるある的雰囲気は好みです。出演者、特に子どもたちの素直な演技も功を奏し、飽きることなく鑑賞することは出来ました。 よくよく考えれば、イーダとアナの家族は、少なからず子どもたちがトラウマに苦しむにしても事件前以上に充実した生活を送れるのかも知れません。がしかし、アイシャとベンとその家族にとっては紛れもない突然の、それも立ち直れないほどの悲報。事件の背景の根本的な解決には程遠いエンディングでもあり、鑑賞後の後味は何とも気持ち悪いの一言に尽きます。 アナは何をボードに描こうとしていたのでしょう?果たしてこれからイーダとアナにはどんな未来が待っているのでしょうか?団地の窓から覗き込み最終決戦に助力した子どもたちの将来は?超能力決戦には昂ぶりましたが、総じて見ればただただダークな物語でした。[インターネット(字幕)] 6点(2024-12-11 00:01:55)《改行有》

8.  インキーパーズ 《ネタバレ》 冒頭から中盤まではホラーと言ってもコメディ・ホラー?というライトなテイスト。今や霊媒師の往年の有名女優が登場したあたりから少々方向性が変わり始め、どう見ても死亡フラグの立ってる老人の登場でリアル・ホラーに進路決定、そして終盤のまさかの展開へ。 ユニークな作りと言えるでしょうね。サラ・パクストンさんのキュートさと突然の悲報が作品全体の流れを作ってるという感じ。このままコメディ・ホラー?とある意味安心してサラのキュートさを楽しんでいたら思いっきり蹴っ飛ばされて終わる感じです。作り手の狙いはそこなんでしょうね。決して遊び半分に幽霊探しや心霊スポットに行ってはいけません!というユーチューバーとかに向けた警鐘ではないようです。 評価は難しいですね。純粋にホラーとして観れば、ありふれたストーリー&事の真偽は放りっぱなしという決して褒められない作品。コメディ・ホラーとして観れば、まさにヒロイン然としたクレアをあっさり殺し過ぎ。その後のルークの沈痛な表情も興覚め感しか呼び起こさない。冒頭から中盤までのダラダラ感もよろしくないです。 サラ・パクストンさんの魅力に+1点としても限りなく5点の6点献上かな?という感じでした。[インターネット(字幕)] 6点(2024-11-26 23:54:55)《改行有》

9.  糸(2010) 《ネタバレ》 あの赤い糸は一体何?通常は主に恋愛関係における「良い意味」での運命的な関係性を表わす際に登場する赤い糸。しかし、本作ではそれを辿ったヒロインに不幸がもたらされるかの如きエンディングが用意されています。 思えば、途中に登場する赤い糸で結ばれたカップルたちは、全員が必ずしも幸福な関係性にあるとは言えないでしょう。赤い糸は幸福の象徴と言う訳ではない、ということなのでしょうか?少なくともここで登場する無垢な少女には、赤い糸によって悲劇がもたらされるかのように思えます。幸福は運命によって担保されるものではないということ? デビュー間もないアイドルの主演作であれば、通常はイメージビデオ的(主演アイドルのイメージアップを図るような)作品になりがちと思えますし、本作でも終盤までそんな感じで物語は進みます。ところが最後の最後にサプライズ?エンディングを見る限りでは軽いタッチで絶望を描いた作品のように思え、ちょっと違和感と言うか狙いすました力技という印象を覚えての4点献上です。[インターネット(邦画)] 4点(2024-11-24 17:13:08)《改行有》

10.  意のままに 《ネタバレ》 催眠療法というと、イコール催眠術と言うか、催眠状態の中で失われた記憶を取り戻す、というイメージ。本作でも警察側の手法として登場はしますが、犯人側の応用はちょっとばかり違うのですね。この場合はどちらかと言うとマインドコントロールなんでしょうか?てか、それさえ超えて別人格に入れ替えようとしている。これは恐いですね。 眠っている間に一体何をされているのか…。まぁミード博士は登場シーンから相当怪しい人物。普通なら近付かないでしょう、恐いから。実際ヒロインは当初拒否的。でも、お節介なお友たちの策略でお近付きになっちゃう。まぁ心が疲弊しきっていたジェンにしてみれば心のどこかで望んでいたのかも知れませんが。それでも、まさか博士が亡き妻との差し替えを図っているとは思いもしなかった訳です。実際に催眠術でどこまで出来るのかは知りませんけど。 そこに出て来る白馬の騎士の如き刑事。始めっから疑うことなく積極的に関与。お約束的にジェンが単独行動に走った時には、いつの間にやら彼も単独行動。で、お約束どおりに絶体絶命。短めの尺だけあってこのあたりの展開はすっ飛ばし気味です。 そして最終決戦。警察側の催眠療法士の仕込みが功を奏し?二転三転しつつもジェンと刑事が勝利する訳ですが、ここまで来ると相当現実離れしている感は否めない展開。う~ん、シリアスなサイコサスペンス的物語という出来映えではありますが、細かく見ていくと無理があり過ぎかもです。 ラストシーンの纏め具合は劇場用映画と言うよりTVドラマ的ですね。真面目に考えると、犠牲者も結構いるし重めのサイコサスペンス。ところが、ラストシーンに限らず全体的にかなり軽い雰囲気で作られています。 面白くないとは言いません。催眠術ネタってことで既視感も伴いますが、オリジナリティはキチンと保たれています。現実的に受け取らないであくまでもエンタメ系作品と言う風に受け入れれば、ハラハラドキドキと楽しめる作品ではありました。 ちなみに、原題ではストレート過ぎますが邦題はほぼネタバレ的?ちょっと考えもののような気がします。[インターネット(字幕)] 6点(2024-11-17 19:17:44)《改行有》

11.  イット・カムズ・アット・ナイト 《ネタバレ》 矢鱈と種まきはするものの回収しないことしきりな作品。と言ってもそれは批判的な意味ではなく、本作はウィルスやゾンビやエイリアンや悪魔といった具体的な原因による恐怖を描いているのではなく、他者(場合によっては自分自身)への猜疑心と生への執着が、いとも簡単に理性を破壊し「家族のために」殺しでも何でもしてしまうという一種の性悪説的本質論を述べているのでしょう。 そう思えば、森の中に居て夜になると室内に入ろうとする者の具体など必要なく、夜中にドアを開けたり愛犬を投げ込んだりしたのが誰であろうと関係ない訳で、何らかの重大な恐怖の対象を心底感じ取ってしまうことが狂気の要因ということなのでしょう。つまり、敵は自らの中にこそ居るということでは? 家族のためにその手を血に染めてまで守り抜いたもの。しかしながら、結局はそこには何も残らず希望は全て潰えてしまったという、どうにも救いようのない物語でした。ラストのテーブル越しの夫婦の姿があまりに痛い。もう生きていけないのかも。家族のみならず自分さえも失ってしまった姿がやり切れない。観終わって鬱の作品でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-10-24 23:34:49)(良:1票) 《改行有》

12.  一分間タイムマシン(2014) あまりに短い尺なのでネタバレなしにします。アイディア一発(誉め言葉です)のウィットに富んだ小粋な小品。たった5分余りの短な尺とは思えない濃さを味わえました。作り手のセンスの良さが光る佳作。ピンポイントで好みの作品に9点献上します。[インターネット(字幕)] 9点(2024-04-17 14:06:11)

13.  1922 《ネタバレ》 全編通じての重苦しさ、不快さ、決して感情移入致しかねる登場人物の心理と行動。如何にもキング作品の実写版といった風情です。 1922年当時のアメリカ、ネブラスカ州の家族観や社会的背景等々について、ほぼ無知と言ってもいいであろう自分としては、妻に突き放された男の苦悩や悲哀、怒りといった感情は理解出来ず、恐らくは日頃から「かかあ天下」的な家庭であったと思われるジェームズ家における夫婦関係や親子関係も推察し難いものがあります。 端的に言えば感情移入不能。え?それで離婚?それで殺す?息子巻き込むの?刃物で殺すの?井戸の埋め戻しってバレバレじゃない?全てにおいて感情移入出来ませんでした。(個人的には牛を巻き込んだことが地獄行き確定の最悪の罪) ところが、観続けていくと何やら心境に変化が。キング作品の常と言いましょうか、滅茶苦茶胸糞悪いのですが何故か思いを馳せてしまう。いつの間にか主人公に対して悲哀の念を感じてしまいました。ある種の同情なのか、感情移入とは異なる疑似体験的な心理なのか。理由はどうあれ罪は罪。単に犯罪者である主人公なのにどこか哀れに思えてしまう。 人生の選択は誰にでも常に付き纏うものだと思いますが、たった一度の選択のミス(極めて重大なミスではありますが)が彼の人生のみならず息子や息子の恋人、そしてその家族へとその影響が連鎖し、不幸の構図が出来上がって行く。恐ろしいことです。 ラストシーン。彼は自死したのか?それとも既にほぼ崩壊していた精神が感滅的に崩れ去ってしまったのか?いずれにしても、その先に待っているのは地獄ということですね。 重たかったなぁ。[インターネット(字幕)] 7点(2024-01-14 14:33:49)《改行有》

14.  インデペンデンス・デイ: リサージェンス 《ネタバレ》 類似作は多々あるものの、これぞ本家エメリッヒさんによる続編。期待通りの前作のテイスト踏襲、SF大作と言うと語弊があるでしょう。空想偽科学人情大活劇とでも言いましょうか。 決して否定的な意見ではありません。実際純粋なサイエンスフィクションとして観ない限り実に面白いです。荒唐無稽の極み、命の重さは脇に置いておいて、兎に角派手にやらかして観客が大盛り上がりすることを大前提に置いた作品。あくまでも作り物なんだから、あのビル破壊して何千人とか、あの橋破壊して何百人とか、大真面目に人の死に様を想像したりしたらダメなのです。確かに街は破壊され、戦闘機は撃墜され…ているように見えますけれど作り物なのです。誰も死んじゃいない。 こういうものはフィクション中のフィクション。フィクションの極み。人間ドラマだって中心人物たちを美化していればいいのです。ヒーローとヒロインさえ生き残っていればハッピーエンドなのです。そういったことを軸にしてどこまで面白く肉付けしているのか。本作のような作品は、そこが評価ポイントだと思っています。流石にやり過ぎ感は否めませんが、本作は一本筋が通ったSFスペクタクルとして大いに楽しませてくれました。 とか言いながら、こちらのサイトではレビューを書いていませんが、前作はアメリカ万歳があまりに鼻についてあまり評価出来ませんでした。20年経つと我ながら寛容になったと言うか丸くなったと言うか。今だからこそ楽しめたのかも知れませんね。レビューは書いた時点での正直な感想を書けば良いとは思いつつ、やや自粛して7点献上です。[インターネット(字幕)] 7点(2023-11-16 15:54:08)《改行有》

15.  Infiesto インフィエスト 《ネタバレ》 新型コロナウィルス感染症の蔓延を世界の終わりと受け止めた狂信的な人物が、生贄を捧げることで神の怒りを鎮め事態を収束させようとすべく誘拐と殺人を繰り返すという物語を軸に、刑事たちの人間模様を絡めて描くサスペンス・スリラー。 ただし、事件現場はかなり狭い範囲ですし、預言者を名乗る主犯格の男と共犯者たちはもっと狭い範囲での旧知の間柄。オカルト基軸に大上段からワールドワイドに描くのかなと思いきや、思いの外スケール感が乏しい作品世界です。そう考えると、我が国の2時間ドラマ的なテイストかな?と言った感じがします。 物語の展開していくテンポは良く、ありがちな2人の刑事の単独行動による活躍ということではなく、捜査にあたってはきちんと部下を引き連れて出直すなど、意外と現実的な演出。そのせいもあってか、特にハラハラドキドキといった展開はラスト近くまでありません。 しかし、クライマックスになって何故か単独行動。捜査上の暴走を理由に無給停職させられた主役のひとりは予想に反して殉職。否、停職中の単独行動なので殉職とも言えない無残な死。相棒の若き女性警部補もラストになって相当無謀な単独行動。最後の最後に緊迫のサスペンスシーンを纏めたと言った感がします。 ラストシーン。まだまだ運ばれてくるコロナの感染者を病室の窓から眺める彼女が、「この世の終わりの始まり」みたいなことを言いますが、全体的な物語のスケール感からすると違和感がないこともない結びの言葉でした。 ちなみに、特に邦題のない本作、地名だけではどんな内容かまるで分からず、こういう作品こそ邦題とか副題とか付ければ良いのにと思った次第です。[インターネット(字幕)] 5点(2023-11-03 11:22:03)《改行有》

16.  イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路 《ネタバレ》 評価の分かれる作品と思います。必要以上に謎めいた雰囲気を詰め込み過ぎて、結果「不条理系」としか言いようのない作品になってしまっているようにも思えますし、逆に複雑に絡み合った超感覚的な世界観を映像化すると必然的にこうしかなり得ない、とも思えます。 いずれにしても、草原の中に不気味に佇む黒い岩の存在が一番のポイントであることは間違いないでしょう。触れることによって具体的に何がどうなるのか、触れた人間にどんな変化が訪れるのか、そこは今ひとつ明確には映像化されていないし説明も漠然としています。ロスとナタリー、トービンの言動・行動から推測は出来ますが。 ただ、個人的には脳裏に浮かぶのは「2001年」のモノリス。モノリスとは異なり、人類の知恵と創造の元になるというような壮大で絶対的な存在とは思えませんが、草むらという特殊な環境を支配する神的な存在なのでしょう。不気味な顔面草人間たちは、黒い岩の創造した草むらの中でのみ存在する人類、といったところでしょうか。 草むらの世界を司る黒い岩は、そこに迷い込んだ者の行動や思考を意のままにするとともに、命や時間さえ制御します。一体、どこから来ていつからそこにあるのか、刻まれた文字は誰の意志を示すものか、作品中に明確な答えはありません。 しかしながら、少なくともベッキーとカル、そしてトラビスにはそれぞれのあるべき姿を示してくれたように思えます。そういう意味では、多分に宗教的とも受け取れる作品とも言えるでしょう。特にトービンの在り方を見る限り。 原作は未読。登場人物の設定は違うようですね。映像化された本作に関する限りでは、自分なりに多様に考察できるタイプの作品は好物なので7点献上します。[インターネット(字幕)] 7点(2023-10-22 12:43:35)《改行有》

17.  イコライザー THE FINAL 《ネタバレ》 第一弾は衝撃的に面白かった。第二弾は前作を踏まえたがために少々トーンダウンした。では、邦題では副題に「THE FINAL」と冠する本作は如何に?期待感十分に公開初日の1回目にて鑑賞しました。 舞台はイタリア。冒頭から容赦ないイコライザーぶりを発揮するも、その優しさがアダとなって重傷を負ってしまうマッコール。絶対的無敵ぶりを発揮し、戦闘不能になることなどなかった過去作とは大いに異なる展開。そして、傷が癒えるまでの戦えない時間が彼の生き方を変えて行く。今までも安らかな時間に充たされることはあったものの、それは決して長く続くものではなかったが、イタリアのその小さな町は、彼に永遠とも思えるような平穏な時間と場所、そして何よりそこに住む人々との心の交流を与えてくれる。そして、やがて始まるその町とそこに暮らす善良な人々を守るための最後の戦い。その勝利が彼に本当の平穏な日々を与えてくれる。 目の前の悪は滅ぼせても、摘んでも摘んでも悪の芽が絶えることはなく(実際「4」に繋がるような布石はないことはないです)、再び彼が戦いの場に戻らなければならない時が来るかも知れませんが、3部作完結編として見応えのある1本でした。 それにしてもダコタさん、あなたあの人たちの娘さんだったのですね。うん、だったら中途半端な登場のような?4作目を期待してやみません。 究極のお節介にして究極のお人好し。賛否両論は当然ですし、必ずしも賛同出来ない点も多々ありますが、個人的にはこのぐらいの勧善懲悪が大好きなので7点献上します。[映画館(字幕)] 7点(2023-10-14 22:36:17)《改行有》

18.  イコライザー2 《ネタバレ》 前作は「一体何者?」という状況で物語が進みながら、やがて正体を現すというスタイルに上手く纏まっていましたが、本作は明確に続編なので素性が明らかになった上での物語。どうやって主人公を見せるかはかなり難しい選択だったと思います。結果は…残念ながら微妙なところですね。聞けば、デンゼルさんは「続編」モノに初出演だったとか。確かにそんな気がします。なので、少々残念な初続編出演になってしまったように思えます。 冒頭のアクションシーンが必要だったかどうか微妙。女を薬漬けにする一見エリート若者風の男たちへの制裁と、画家志望の青年に救いの手を差し伸べギャングのアジトに踏み込んだ際の行動のバランス感が微妙。敵役は腕利きの元CIAエージェントたちのはずなのにアッサリ殺られる手応えのなさ。前作のロシアンマフィアに比べて小粒過ぎな感は否めない。そもそも雇い主のラスボスは出て来ないし。などなど、全編通じて微妙な展開の連続です。 相変わらずの無敵ぶりや有事に備えた自宅の危機管理ぶりとか、「一度しか殺せないのが残念」の言葉通り仮令元同僚であろうと容赦なく痛めつけ苦しめながら始末していくところはなかなか爽快でしたが、前述のとおりの微妙さのオンパレードが面白さを半減させてしまっているのが残念でなりません。 近く「3」がファイナルとして封切られますが、是非観に行きたいと思います。どうか失望させないでいただきたいものです。[インターネット(字幕)] 6点(2023-10-01 12:22:18)《改行有》

19.  インターステラー 《ネタバレ》 この極めて有名なSF超大作を、とあるきっかけで恥ずかしながら今回初めて鑑賞しました。皆さんのレビューの全てを読破することなく書かせていただくことをお許しください。 総じて言えば、作品としての長さを全く意識させられない優れたSFエンターテインメント作品、或いはスペクタクル作品だと思います。3時間近い長尺ながら、殆どテンションが途絶える間もなく一気に進められていく展開、ストーリーテリングには脱帽です。 監督御自身も「2001年」へのオマージュといった意味合いのことをおっしゃっているようですが、「静」の「2001年」、「動」の本作、或いは、哲学的な解釈の元に製作された壮大なスペースオデッセイである「2001年」、物理・科学の原理原則を盛り込みつつ「愛」をモチーフとしたヒューマンドラマである本作、というような対比も出来るのではないかと思いました。共通しているのは「大いなる存在に導かれて進化していく人類の未来」を描いた作品と言うことでしょうか。 最も印象的だったのはラスト近くに登場する四次元空間。時間が並立する(パラレルワールドが集中している?)空間の存在は、この物語が決してタイムパラドックスのような矛盾が生じることのない理論に基づくものであり、個人的には大いに賛同できる部分でした。 基本的にはエンターテインメント作品と思いますので、超が付く程のピンチを次々と奇跡的にクリアしていく展開はスリリングで大いに楽しませていただいたのですが、強いて疑問を言わせていただくならば「地球環境が壊滅的な状況となり人々が食糧確保のために農業に勤しんでいる」というそもそもの設定に寧ろ非現実的な印象がありました。ありがちかも知れませんが、やはり壊滅的な結果をもたらす争いは避けられないような。 加えて、相対性理論や量子力学など本来であれば相当高度な理論に繋がるキーワードが多々登場するものの、平易な解説は(ある意味当然かもしれませんが)省略されている為、その部分で置いてけぼりになる人も多いのかなと。 とは言え、高評価も素直に頷ける良作であることは間違いないですね。9点献上します。[インターネット(字幕)] 9点(2023-02-13 15:37:16)(良:1票) 《改行有》

20.  イグジスツ 遭遇 《ネタバレ》 POVによって描かれる作品は数多かれど、元祖的なヒット作である「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の共同監督の1人であるエドゥアルド・サンチェス監督の作品ということで期待度高めで鑑賞しました。 全体を通してそれ程激しくない適度な緊張感。早々に登場するビッグフット(?)は、暴力的ではあるものの目を覆う様な惨劇には至らない。実に無難に纏められていて、決して退屈することはないと思います。 がしかし、例によって全く感情移入出来ない登場人物たち。危機管理能力もしくは生存本能の欠如。根拠もなく繰り返す「大丈夫だ!」の一言。決して勇敢とは言えない無謀な行動。イラつくばかりです。 そしてラストシーン。「挑発しなけらば襲って来ない」らしい相手に対して挑発しっぱなしで冒頭から死亡フラグ掲げっぱなしのお兄さんが、漸く挑発をやめて死を覚悟した途端に去って行く実に物分かりの良い怪物。あれ?子どもの仇はとらないの?あっけな過ぎるエンディング。 場面ごとの演出等は流石元祖POV!と言いたくなるものもありましたが、観終わってみると何も残らないような残念な作品でした。[インターネット(字幕)] 5点(2023-01-14 00:03:22)《改行有》

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