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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  いつか読書する日 リアリズムのようでいて、どこかそうでない方向へ逸れていく。玄関先で待っていて、毎朝牛乳一本を目の前で飲み干すじいさん。カレー小僧の伝説。日常からはみ出していくボケ老人と、養育放棄された子ども。などなどが世界を変な方向に広げている。岸部一徳は劇的な死を遂げた父のせいで「絶対に平凡に生きてやる、必死になってそうしてきた」と言う。必死に平凡たろうとしてきたキャラクター。ついに田中裕子が「カイタ!」と名前で呼びかける瞬間のスリル。あるいは妻の死後訪れて、学生時代のような口ぶりで「ちょっとつきあってくんない」と言うあたり。「死ねと言うなら死にます」も。中年の抑えられていたセリフのいちいちが味わい。メロドラマこそ平凡のなかの必死なんだな。タイガースのメンバー仲間岸部は、撮影の合間にジュリーの妻・田中に「沢田君、元気?」とか挨拶したわけ?[DVD(邦画)] 7点(2013-10-07 09:51:12)

2.  イノセント・ボイス 12歳の戦場 エルサルバドルの内戦なんて、ほんと海の遠くの戦争で、実感として身近に想像するのが難しいんだけど、学校にどやどや踏み込んできて「徴兵」していく場の生々しさは怖かった。想像上の象徴のシーンと思いたいが、そうではなく国家の本質が記録されたシーンだと納得される、映画全体の手触りとして。徴兵逃れしようと屋根に横たわる子どもたち、青年にふさわしい「徴兵」という言葉と子どもたちのギャップが、つまり屋根で遊ぶにふさわしい子どもたちが屋根に逃げて隠れるそのギャップがこの映画のカナメ。口紅のつけっこをして遊んで銃弾の嵐をしのぐ。偽の戦死者で銭をつかもうとするおじさんもいる。そういう日常なんだということを言いたいのは分かるが、不意のドンパチで驚かすシーンが多すぎる気もした。ガールフレンドがかわいい。[DVD(字幕)] 6点(2013-10-02 09:01:25)

3.  イーオン・フラックス(2005) SF=サイエンス・フィクションの、フィクションの部分が弱っている。Sのほうはとりあえずクローン技術を絡めればそれでクリアだが、Fは適当には行かないはずだ。具体的な映像で未来社会を構築しなければならない。未来の市民社会ってのが実感として現われてこず、ファッションショーやってるような公園(?)の描写で「普段」の感じがない。そして主人公はじめ人々の表情がみな一様。戦士はりりしく組織の側は無表情で、これほとんど同じポートレイト的な「いいお顔」。表情が過剰なドラマもウンザリさせられるが、「いいお顔」してるばかりってのもつらい。また登場する舞台がどこもセキュリティが甘く出来てて、活劇の興味を削ぐ。口笛で小型球形爆弾がコロコロ集められてくるのなんかは、納得できる設定ならば悪くないんだけど、あそこ政府の中枢なんだろ?[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-08-20 09:11:18)

4.  息もできない 《ネタバレ》 てっきり娘の復讐が話の本筋になるのかと思ってた。母の仇。ヤクザモンに突っかかっていった態度は、その復讐心を秘めているからだと思ってたら、憎しみの感情は曖昧なまま、彼女は男に「癒しの膝」を提供してたりする。男は、娘の母と自分との関係を知らないまま最期を迎える。その最期を導く男と娘の関係さえ知らない。もちろん現実世界ではこういう知られない偶然は多々あるだろうし、作者は物語の綾を最後にはほぐさなければならない、という義務があるわけでもない。現実社会は物語ではない。でもそれなら甥を絡めるのは物語の定番過ぎないか。遊び相手になってやり、時にはマスクまで付けてジャレあってる。最後は幼稚園の学芸会だ。主人公の柔らかい内面への示唆だとしたら安易過ぎないか。そこらへんの作者の態度が不確かなので、観てて主人公やヒロインを「すっきり掴んだ」って気になれなかった。一番気に入った人物は、下につくチンピラ。お笑い芸人にでも似合いそうなヒョロッとした顔してて、主人公にはビクビクしてて、でも荒れると本気で、なんか一番現実にこういう環境にいそうな若者の空虚をリアルに感じた。[DVD(字幕)] 6点(2011-06-12 10:44:27)

5.  インビクタス/負けざる者たち ここんとこ異人種間の摩擦をしばしばテーマにしてきた監督だから、南アを描くのは不思議でないし、孤軍奮闘する男の話という点でも間違いなくイーストウッド映画のはずなのだが、この質感のあまりの違いは何なんだろう。底にあるのは「スポ根もの」で、終盤、白人黒人のボディーガードが手を取って喜び合う「反撥→和解もの」定番カットがあったりすると、これじゃあまるでハリウッド映画じゃないか、とつい思ってしまい、そうだハリウッド映画だったんだ、と愕然とした。ゴミ拾いの少年と警官が勝利を喜びあうとこ。この少年の、パトカーからのラジオを聞かんがためにうろうろゆっくりゴミ拾いをしているあたりのおかしみ。おもしろいんだけど、でもイーストウッド映画だぜ、これ、とつい補注を付けながら見てしまう。なにしろ死人が出ない。いつもの悲痛さに収斂していくドラマじゃなく、こちらがオロオロしてしまうくらい素直で明るい。しかしその単純明朗を皮肉に冷笑する気分はちっとも生まれず、こちらも素直に観られたのは、題材が一番冷笑と無縁なスポーツだからか。根っからのイーストウッドファンには物足りなかったかもしれないが、私はこの楽しんでハリウッド定番をやってるような彼を、驚きながらもけっこう嬉しく見た。いいじゃない。政治の介入から独立したスポーツの輝き、でなく、政治の道具を自覚したスポーツの・それゆえの輝き、ってテーマも面白い。ヒゲのテレビキャスターがいい味。[DVD(字幕)] 7点(2011-03-05 12:21:01)

6.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 ナチと連合軍の争いを描いたハリウッド映画で、「正義」のイデオロギーがまったく感じられないのは珍しい。狂気と復讐の殺戮のみが展開していく。レジスタンスはあっさり密告し、仲間を裏切らないナチはバットであっさり撲殺される。今までのドラマだと助かる立場の人、子どもが生まれた兵や心の呵責を覚える狙撃兵も、仲間を裏切らなかったナチと同じく猶予されない。この「あっさり」感が、この人の持ち味(かつてのタランティーノだと、ブラピも中盤であっさり死ぬ筈なんだけど)。善悪を判断する余地がない狂騒の場に観客は拉致される。多言語が行き交うのも、その善悪が渾然としている状況にふさわしい。言葉のなまりや、映画が通じないことなどが、次に続く殺戮のステップになっている。とりわけいいのは、地下酒場のシーン、ここにこの監督のエッセンスが詰まっていた。作られた笑顔の中でじわじわと高まっていく緊張、殺意と殺意とが寄りかかって固まっている状況。このキングコングを当てるナチ役の俳優もよかった、この映画でおそらくユダヤ・ハンターの次に記憶に残る、笑顔の不気味な二人だろう。ここのところタランティーノ監督、映画中毒者のための映画遊びにのめり込んでいた印象で不満だったんだけど、私でも楽しめる世界へ戻ってきてくれたようだ。[DVD(字幕)] 7点(2010-08-29 09:45:50)(良:2票)

7.  インスタント沼 《ネタバレ》 流行を追う雑誌の世界がまずあり、それから一時は最先端だったものが古物になりかけているツタンカーメンの占いマシンがあり、さらに後ろに骨董・折れ釘が控えていて、その背後には蔵・何者かを潜ませている沼、そして河童の世界につながっている。そんな世界観。雑誌の世界を追われたヒロインの、最後の世界までのオデュッセイ、ってなところか。「本当の父親探し」なんてのもほとんど骨董の世界の物語だ。そういった古いものとインスタントなものの対比、というか混交。ラストは、「インスタントの中からでも空駈けるものは出てくる」と肯定的に見るのか、「現代では空駈けるものもインスタント」とショボンと見るのか、どっちにも取れる。冒頭のシークエンスなんかすごく凝っていて、手間暇かかってる。“どうだ、ささいなクスクス笑いのために、これだけ手間かけてるんだぞ”といった自慢げな意気込みが感じられる。ほかにもけっこう手間かけてるなあ、と思うシーンがあったんだけど、ほら、もう思い出せない。瞬発的には感心するんだけど、けっきょくクスクス笑いの元なので、さして記憶に残らない。そこらへん、なにか映画としてもインスタント感が漂ってしまった、意図したものなのかどうかは知らないけど。[DVD(邦画)] 6点(2010-03-08 11:58:28)

8.  イントゥ・ザ・ワイルド 《ネタバレ》 これってつまり「出家遁世」願望なんじゃないか。自然に帰る、って、昔から一番近場の逃げ道だった。たぶん、仕事も家族も捨ててタヒチに逃げたゴーギャンも、同じ出家遁世者だったんだと思う。だからそう特殊な物語ってわけじゃなく、彼をもう少し突き放して、そういう現代の出家願望の根を探ってもらったほうが、私としては興味が持てた。でも映画は、彼の自己陶酔に寄り添い、自然絵巻を繰り広げていく。かつて日本の西行は、すがる子どもを縁側から突き落として出ていったが、あちらは親の嘆きを振り捨てて出ていく。ただ親の嘆きをどれほど痛みとして理解できていたかは疑わしい。不定形な未来へ彼はそれでもなおかつ進んだのだ、という勇ましさより、未来から目をそらす軽はずみな感じのほうが強く、革細工のじいさんが「何から逃げてるんだ?」と問うとこで、やっと突っ込むのかと思ったら、逆に彼がじいさんに説教を始めてしまい、自己陶酔から醒めない。彼は未来を恐れ、ソローの時代へ、さらに開拓の時代へと過去へ向かって逃げ続け、そして周囲の人の気持ちを傷つけて回ったあげく、自己陶酔の極みで死んでいく。彼のこの幸福な一生を、アメリカの「未来恐怖」の一症状として見ればいいのだろうか。ヘラジカの肉の保存に失敗したところで(ここはいいシーン)、彼は=アメリカは、もう過去に帰れないことを認めるべきだったんだ。演出について一言。主役の激ヤセは大変だっただろうが、あそこで主人公の青年より俳優のダイエットのほうが意識され、私はドラマから醒めてしまった。映画におけるリアルさの演出とは難しいものだ。[DVD(字幕)] 5点(2009-08-22 11:59:31)

9.  インビジブル・ターゲット 《ネタバレ》 アクションシーンが多ければアクション映画は充実するのか、っていうとそうでもなく、なにか空回り感が生まれてしまう。緩急のリズムが大事。といってもこれが見る人それぞれで、難しいのだろう。私には詰めすぎに思えた。そのアクションもやたら爆発で、あれ派手で景気づけにはなるけど、そのわりには索漠感もあるのよね。かえって町中での高低差のある追っかけに香港映画ならではの力が入っていた。あるいは酒場でのチンピラとのケンカ。アクション自体はチンピラが青竜刀振り回したりして、やっぱりちょっと索漠系なんだけど、3人のチームが出来上がる段取りという意味が裏打ちになっていて、あとの2人が加わっていくあたりがワクワクさせてくれる。なにも映画でハッとさせるにはアクションばかりが必要なのではなく、たとえば「バスが爆発しない」というとこも、反アクションとしてハッとさせることが出来た、ここも悪漢の心が見えてくるという裏打ちがあってのこと。そこらに比べるトラストは長いわりに大味、火の粉が振りまかれるとこはきれいだった。[DVD(字幕)] 6点(2009-07-06 11:59:44)

10.  いのちの食べかた 《ネタバレ》 おそらくワンシーンだけ取り出せば、企業PR映画にも使えそうな映像。「我が社はこのように完全オートメーションで、清潔に食品を提供しています」って感じで。でもそれがこれだけ連なると、ちょっとグロテスクな様相を帯びてくる。ドキュメンタリーの面白さだ。大量消費社会と頭では理解していたつもりでも、その大量ぶりのハンパじゃなさ、それに驚いておくことも無意味ではないだろう。コッココッコやっていた鶏たちが機械に吸い取られ、どんどん処理されて、吊るされたまま“製品”になっていく。ベルトコンベアーのヒヨコなんか、コントのワンシーンみたい。木を揺すって実を落とす機械も、なんか笑えた。そう、専門化した珍しい機械の数々も見どころで、ここらへんはSF映画の世界だった。牛の乳搾り用メリーゴーランド、牛のエサ噴射機、惑星探査機のように両腕を広げていく畑の農機、無駄のない豚や魚の内臓摘出装置、エレベーターでの長い長い降下後、地下深くに広がる岩塩採掘場のシーなんか、あそこだけ見せられたら絶対にSFだ。食卓の向こうにSFが広がっていたとは知らなかった。屠殺機で静かに殺される牛、抵抗する牛、個性のあったどれもが、処理されれば同じ肉塊になっていく。考えてみればこの映画、よくテレビの自然もの番組なんかで目にするチータの狩りのシーン、あれの人間版なんだな。あの必死の迫力、食うか食われるかの緊張から、なんと我々は遠くまで来ているんだろう、という感慨が湧く。シンメトリーで捉えた透視画法の無機的な構図が静かに続き、その中で有機物が食製品へと変えられていく。でもそれはチータの狩りと本質的には全然違っていないはずなのだ。まったく言葉に寄りかからず、目で追跡する92分間は、映画の基本の驚きを改めて体験する新鮮な時間に満ちていた。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-06-09 12:14:09)(良:2票)

11.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 見ながらしばしば日本の仁侠映画の世界と比較していた。似たような設定がよくあった。愚かな二代目をため息まじりに見守る親分がいて、「おめえが俺の実のせがれならなあ」と渡世人のモーテンセン(たとえば健さん)に愚痴ると、「いえ、あっしはただの運転手で」と無表情のまま答えている、そんな場面。しかし任侠ものの艶っぽさはこちらにはなく、ただただ陰惨な光景が広がっている。親分は少女をレイプする人間だし、主人公のほうも渡世人のふりをしているもっと大きな組織の人間だったりする。もちろん単独で潜入してるってとこに一匹狼の味はあるんだけど、かなりガックリした。親分アーミン・ミューラー・スタールの演技の問題じゃないのよ。あの人はいいの。久しぶりに会ったけど、ああいう顔していて、複雑な内面の人やらせると凄味が出る。コスタ・ガブラスの『ミュージック・ボックス』なんか良かった。この人、若いときはヴァイオリン弾いてたそうで、今回その技能が生かせたわけだ。[DVD(字幕)] 6点(2009-03-19 12:12:53)

12.  インランド・エンパイア あ~あ、とうとう行っちゃったなあ、って感じ。この人の映画は、意味が無意味に引きずりこまれかけ、意識が無意識に飲みこまれかけ、それでもかろうじて踏んばってる、っていうスリリングな面白さがあったんだけど、ついに無意味・無意識が勝利をおさめたみたい。最初のうちはなんとか意味を取れないことはないの。久しぶりに大役が回ってきた女優の話ということで、女優の卵で描いた『マルホランド・ドライブ』の逆サイドから,ハリウッドの魔を描く、って意図か、とか。でもそうねえ、女たちが出てくるあたりからか、もう無意識が暴走しちゃって、わけ分かんなくなる。ま、あの女たちだって無理すれば、ヒロインを嘲笑する“若さ”って意味を取れないこともないんだけど、あの東欧(ポーランド?)の部分になるとお手上げ。これはどういう意味だろう、って考えること自体が、もう後半は無意味に思えてくる。ただ名所旧跡を観光で回ってる感じに近い。極端な顔のアップが表情の意味をなくし、グロテスクな物質に還元してしまい、かえって無人の部屋のたたずまいに何やら意味が隠され詰まって感じられた。今ここまで好き勝手させてもらえる監督はそうはなく、思えば3時間、私はこのわけの分からなさ、無意味の国の観光ツアーをけっこう楽しませてもらった。[DVD(字幕)] 7点(2008-05-09 12:18:48)

13.  市川崑物語 もしかして映像による作家論ではないかという期待を抱いて見た。作家論の本で、いろいろシーンについて触れてあっても、スチール写真が参考に掲載されているだけだと、もひとつよく分からないことが多い。動く映像には動く映像で説明してほしい、と常々思ってた。まして市川崑となれば、あのカットのリズムの秘密を、同業者に分析してもらえるかと期待する。でもそういうことやってくれないの。金田一シリーズのとこで、そのリズムだけ見せて、やっぱりすごいな、と唸らせてそれだけ。さらに「照明について多く語りあった」と証言しながら、その内容を教えてくれないのは、これはもうイジワルと言うしかない。けっきょく、うっすらと危惧していたとおりの、新犬神家公開へ向けたPR映画でしかなかった。[DVD(邦画)] 5点(2008-01-19 12:27:40)

14.  イカとクジラ 《ネタバレ》 俗物を軽蔑することでなんとか誇りを保っている売れない純文学作家の父。その父親の評価をただただ盲信して読んでいない文学書のランクを決めている長男。子どものためにハンバーグを作ったことがあるぞ、という父親の言い分に、ことさら軽蔑をこめて笑い転げる母。みーんな俗物。でも映画はこの俗物ぶりを、父親のように軽蔑してはいない。愛すべき俗物、とまでは言わないが、我々すべてがどこかで共有している俗物ぶりだなあ、という視線がある。くすっと笑っている。それでそれが何だと言うのだ、と言われればそれまでですが。[DVD(字幕)] 6点(2007-11-29 12:17:49)

15.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 アメリカ人の手による日本軍の映画ということで、兵士というものの国籍を越えた普遍像が描かれるのではないか、という期待があったが、けっきょく類型像に終始してしまった。理性的タイプと狂信的タイプの役割分担。地下壕の閉鎖された暗がりの中では狂おしかった中村獅童が、敵戦車もろとも爆死せんと、抜けるような青空の下で横たわっているうちに生き残ってしまう、なんてタイプからハズレていく人物のエピソードをもっと突っ込んでみれば、兵士が立たされている状況の普遍に到達できたかもしれない。戦場とはそもそも理性的であることが意味を持たなくなってしまう場なのではないかなあ。栗林中将の含蓄ありげな言葉より、一兵士が皮肉をこめて戦友の死を語った「あいつは名誉の赤痢で死んだんだよ」の方が心に響く。[DVD(字幕)] 5点(2007-08-11 11:15:07)

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