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1. 三十九夜
《ネタバレ》 巻き込まれ型のサスペンス。もうこの頃にヒッチらしさは完成しているようだ。列車のシーンや、相方の女性と言いあいながらも逃走していく様など楽しく観られる。この映画で印象深かったのが、逃げ込んだ農夫での一件。食事前の祈るシーンの間に、三者三様の思惑が走り、緊張感を生むシーンやこの農夫のコンプレックスが裏切りへとつながるのではと、ヒヤヒヤする場面の連続である。刺激的ではないが、知的な映画体験のできる昔の映画はとても勉強になる。[DVD(字幕)] 7点(2017-08-05 12:27:28)
2. 残菊物語(1939)
《ネタバレ》 芸の完成そして広く認められること、それが愛する人との別れともなる。それを淡々と描くこの溝口映画。芸が認められることは、家柄を重視する、歌舞伎の世界では、お徳との別れともなる。それが分かっていても、お徳は亭主を世に出す。その最初の口火の公演のとき、舞台とそれを見守るお徳の両方をカメラは捉える。こんなに切ない場面ってあるだろうか?献身的に尽くしたあの人が見事に仕事をやってのけている。しかしそれが別れともなるのだから・・。そして世に出た亭主を東京に送り出して、お徳は実家に帰り、あんなつまんない男とは別れたとさらりと言ってのける。こんな見事な女性描写の映画があるだろうか?まだ数本しか観てない溝口映画だが、観るたびに色んな感慨を受ける。実に日本映画は色々観れば観るほど、鉱脈が豊かに流れてることに気づかされる。[DVD(邦画)] 9点(2013-04-10 09:04:26)
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