みんなのシネマレビュー |
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1. 三人の女 尖った針がいっぱい出ていてチクチク刺さり引っかかり、どう扱ったらいいのかよく解からず。その真髄には特別なものが潜んでいそうな気もするけれど、好みが分かれる。タイトルは三人だけど、実質二人の、個性的という言葉を遥かに越えた怪しい女の話。何とも言えない方向に話は進み、予期せぬ終末はドロッとした感触を残す。砂漠やアーティスティックな絵や、70年代の不安定さがよく出ていると言えばそれまでだけど、訳が解からなくて私には消化できない。途中ホームパーティをするために食材を並べていろいろ準備するシーンがあるけれど、食べ物が全く美味しそうに感じられない。そういえば女二人はガリガリだし、そこからして人間の活気を削った話だったと思う。[DVD(字幕)] 6点(2015-05-04 20:47:55) 2. ザ・ファイター 《ネタバレ》 いろいろ振り払って這い上がる、それもタイトルの「ファイター」に引っかけてあるのだろう。でも時には家族だって切らなきゃいけない、家族だって金で目の色は変わる。特にこの映画の面々はそんな感じの典型だったから、兄貴の改心はともかく、急に母親が口を結んでいきなり上手い具合に収束するラストはええ?とちょっと不満。サクセスストーリーだから無理にそうまとめたような感覚が残った。でもブーイングの中ミッキー陣営が入場しながらぼそぼそつぶやくホワイト・スネイクは素晴らしいマッチング。実際にあの曲使ったのかな。 役者は、マーク・ウォールバーグに一票。普通過ぎてなのかノミネートは無かったけれど、普通にこなしたそこが良かった。[DVD(字幕)] 6点(2011-11-08 18:02:31) 3. サロゲート 《ネタバレ》 安心安全なサロゲート使用生活が一気に壊滅してしまうほど恐ろしい銃が出回ったというのに、驚きや焦りがあまり感じられず淡々と話が進んでいく。決められた時間の中でサスペンスやらアクションやらの要素をキチッと詰めましたよ、といった感じの出来具合で、見やすいものの物足りなさもあった。ストーリーよりも目を奪われたのは、お肌ツルンツルンのサロゲートとそのオペレーターの見た目のギャップだった。CGやゲーム、架空の世界から脱出して、現実の空気を大いに味わおうじゃないか人間!というメッセージもあるのかな。妻役ロザムンド・パイクは、サロゲート姿の演技がいかにも血の通っていないような身のこなしで、氷のような美しさだった。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-07-18 21:53:31) 4. 山椒大夫 《ネタバレ》 ここ最近私が見た映画の中では、群を抜いて美しく力のこもった作品だった。黒々とした残酷物語の中を光の矢が走るような展開に胸を高鳴らせ、沼に吸い込まれていく香川京子の、まさに天女のような儚さに目を見開いた。しかし厨子王よ、天晴れ初志貫徹。それは本当になかなかできないことなのだ、今も昔も。[DVD(邦画)] 9点(2008-10-19 02:44:44) 5. 桜の森の満開の下 《ネタバレ》 野山で撮られた大半の画は綺麗だった。惜しげもなく花びらを散らす満開の桜森は圧巻。山賊の目線で見た俯瞰の画が多数出てきて、これも何か怪しげな雰囲気を醸し出していて美しい。若山富三郎の殺陣もさすがに格好いい(台詞回しは目をつぶろう)。でも、岩下志麻が魔性の女でなく、ただガミガミ口うるさい意地悪女房なので、折角の妖艶で恐ろしげなシーンも、なんだか下世話な三面記事みたいに見えてしまった。惜しい。しかし、満開の桜の森は恐ろしい、というこのテーマは賛成。私もあの薄紅色の洪水にはちょっとクラクラしてしまう。[DVD(邦画)] 6点(2007-05-27 03:08:05) 6. 魁!!クロマティ高校 THE MOVIE もっとバカでいいのに。意外と真面目な姿勢が見えちゃってたのがいけません。でも歪んだようなチャイム音と校舎の映像は「ドニー・ダーコ」のリスペクトと見た…んなわけないか。[DVD(邦画)] 6点(2006-09-25 23:32:40) 7. サンセット大通り 《ネタバレ》 ラストがだいたい分かっているのに、面白くてモノクロの画面に引き込まれてしまった。憐れな女優の物語。「サンセット…」というタイトルと、パラマウントの撮影所でのワンシーンに全てが集約されている。旧知の照明技師が当てたスポットライトによって、スタジオ中の人が「ノーマよ!」と元大女優に駆け寄るが、光が逸れると群衆も三々五々彼女の元から散っていく。太陽が沈んでいくのと同じ、時間が絶え間なく流れるのと同じ、自分の価値が変わっていくことを心の底で判っているからこそ無駄に藻掻いて、見苦しい姿になっていくノーマ。三流の脚本家にまで捨てられ、プライドゆえ狂っていく。人間、プライドなんぞより流れる時間を楽しむくらいの余裕が必要なのだ。もしかしたら彼女はそれにも気付いていたかもしれないけれど…。あの執事も時の囚われ人で、彼をもっと掘り下げて描いたら、いっそう不気味さが益したろう。人間の内面の愚かさを巧みに映像化した秀作。明日は我が身と震えた業界人も多いのでは…。[DVD(字幕)] 8点(2005-07-04 21:46:00)(良:2票) 8. ザ・セル 最近ちょっと怖い夢を見まして、突如この映画の存在を思い出しました。この、現実世界とはかけ離れた空間の感じは良かったと思います。ストーリーは、やはりジェニロペバンザイって感じですね。危険な男の脳内でもピチピチビスチェにヒップラインばっちりのパンツ、自分の脳内じゃ咲き乱れる花園の聖母…。女神様ったらヴィンス・ボーンとあらすじ無関係のキスまでして…。ちょっと気を惹く映像が挟まれているだけではダメ。映画の全てに焦燥感にも似たようなヒリヒリがないと。これは中途半端な出来具合でした。6点(2004-11-13 11:22:49) 9. サンダーバード(2004) 良いじゃないですか、思ってたよりずっと。はっきり言ってターゲットは子どもです。活躍するのは末っ子おみそのアラン君。サンダーバードの活躍というよりはアラン少年の成長物語。でも、楽しく観ることができましたよ。1号から5号までのマシンと南海の孤島の色鮮やかさが活きていてとってもカラフルだったし、パーカーや悪役フッドなどもピシッと役にはまっていました。いくら子ども向けでもここで俳優さんが真面目に楽しんでいないと、なんだかぼそぼそと端から崩れた印象が残るのです。レディ・ペネロープもチャーミングでした。難を言えば、もっとマシンを活躍させて欲しかったです。キューティーハニー、キャシャーン、デビルマンと自分が子どもの頃慣れ親しんでいたテレビ番組が最近次々実写化されましたが、リアルタイムを知る年代が観て楽しむ作りのようです。まだ幼い子どもと肩を並べて「ゴー!!」と言いながら観ることが出来たサンダーバードに合格点!8点(2004-11-11 22:59:36) 10. ザ・フライ2/二世誕生 あれま。あの独特の気持ち悪さがからっきし無くなっている。クローネンバーグって実はスゴイのね、ということが確認できる。どうしても続きが見たい人、ハエの羽音で血が騒ぐ人など向き。面白い映画が観たい人は止めとくのが無難。3点(2004-07-21 23:08:01) 11. ザ・フライ クローネンバーグの、気持ち悪いモノへの賛歌が聞こえる。自ら医者役をやったシーンは、自分の出番ををこの上なく豪華に飾り立てた結果じゃないだろか。映画監督という道を見つけられて良かったね。これは彼の作品の中ではわかりやすいストーリーだと思う。クローネンバーグにちょっと興味がある人、ハエに興味がある人には打ってつけ。妊婦さんは観ちゃダメ。5点(2004-07-21 22:57:14) 12. 最後の誘惑 《ネタバレ》 喜怒哀楽の感情を呼び起こされるような映画ではないのに、胸にガリッとひっかき傷を付けられたような感じがする。今後時を置いて繰り返し観るような予感がする。聖書など普段触れる機会のない私にも、この映画の中の苦悶するイエス・キリストや懇願され密告するユダ、「最後の誘惑」のシーンは非常に興味深く斬新に思えた。主演デフォーの眼の光と演技力の凄さに終始釘付けになり、砂漠の色、流れる血の色とともに彼の瞳の色が脳裏に焼き付いている。なかなかうまく伝えられない自分が悔しい。それほど圧倒された。9点(2004-06-25 02:06:46) 13. サウスパーク/無修正映画版 「ボウリング・フォー・コロンバイン」に出てきたので興味を持ちました。テレビシリーズは未見。子どもに悪影響を与える作品として名高いそうで…。ポムポムと丸くて可愛いキャラクター。だけどセリフは毒づくし。R指定という規定にケンカふっかけてるような作品ですね。個人的には、これってアメリカ人の腹の中むき出し、という印象です。子どもに「見ちゃダメ!!」とキリキリしながら言うほどのものだろうか。そもそもR指定ってなんなのさ、と思いがけず真面目に考えちゃったりしました。作品としてはちょっと長くて後半だれたので6点。テレビシリーズの方が簡潔で面白いかもしれないですね。6点(2004-04-27 13:54:04) 14. 座頭市(2003) 北野作品初見、座頭市という物語も初見。血や日本刀がびらびらと舞うのは非常に苦手な私で、R-15になるほど他のものも飛び散りギョッとしましたが、この作品は面白くて最後までしっかり観ました。解り易い痛快な物語と、全編通して失われない軽快なリズム。この作品をひっさげてベネチアに参加した監督は終始ニコニコでしたが、浅草お笑い出身の監督が持つ、独特の「芸人エッセンス」の香りが高いところが自信の理由だったのかなと思いました。ひょうきん族で育った私です、気に入るわけですね。殺陣もダンスも、生きるもの全てが持つ鼓動のリズムに合わせて非常にテンポが良かったです。エンターテイメントとしてこれは必須項目。ああ、芸名はビートたけしでしたね。やられた。8点(2004-04-19 07:13:01)(笑:1票) (良:1票) 15. さらば、わが愛/覇王別姫 さすがに3時間は長かったですが、正座して観たくなるような美しくて立派な大河ドラマでした。ただ、登場人物に感情移入できたかどうかというと、ちょっと…。戦争と文革を背景に描かれる愛。レスリー・チャンとコン・リーの愛の矢印が、恋しい人に向かう様の激しさ。観ていてやるせなかったですが、その相手石頭がそれほどの器だったかなあ、とも思ってしまった。やはり時代背景や京劇のことを少しはかじってから観とけばよかったと舌打ちしました。レスリー・チャンは随分悲しい亡くなりかたをしてしまいました。この主人公とダブります。7点(2004-02-25 19:14:02) 16. 鮫肌男と桃尻女 斬新炸裂ムービー。むー、結構期待が大きかっただけに、私がこの空気に乗り切れないのが分かった時の落胆は、かなりのものでした。我修院みたいな、役者とは言い切れないキャラクターに頼っての物語作りが私は好きではない。島田洋八のように「演技なんだろうか、本当に気持ち悪いタイプなんだろか?」と顔しかめながらもつい見ちゃう曲者が好きです。4点(2004-02-16 10:29:39)(良:1票) 17. サイダーハウス・ルール 《ネタバレ》 堕胎に近親相姦、負傷兵まで登場し、テーマは「生きていくうえでのルール」。こんなに重たいものが揃っているのに、ちぎれ雲がぽかっと浮かぶ空みたいな、穏やかな流れがとぎれない映画だ。大きく貢献しているのは孤児院の子どもたち。ハルストレム監督の映画の特徴「魅力ある子ども」がわんさか出てくるのだ。老夫婦にもらわれていく女の子、病気で他界する男の子、主人公に片思いするお嬢さん、でき過ぎなくらい可愛いのだ。ホーマーを演ずるトビーがいつも抑え気味の表情なのに対し、寂しげな顔まで本当にこっちの心をギュウッと握るのだ。私は園児たちでキングコングを見るシーンが好きで、いつも同じシーンでフィルムが止まっちゃうときどうしても微笑んでしまう。だれでも経験したことのありそうな楽しい暖かな時間を感じる。みんなの優しい父代わり、ラーチ先生のオスカー受賞はこの子どもたちのおかげだと思っている。「井の中の蛙」ホーマーがリンゴ園での日々で何かを感じ取り、心を決めたときの顔も素敵だった。そして孤児院に戻り、亡きラーチ先生と同じように、ベッドの中のチビ達に「イングランドの王子・・・・」と語りかけるラストで、心からの笑みが漏れてしまう。優しい気持ちになってしまう。8点(2004-02-02 16:07:22)(良:1票) 18. 誘う女(1995・米) いろんな意味で、イヤらしーいキッドマンをご覧になりたい方どうぞ、というところでしょうか・・・・。善人であれ悪役であれ脇であれ、私には魅力あるキャラクターがついぞ一人も見つけられませんでした。キッドマンを「ヤな女!」と思うように作ったのだから成功してるんでしょうが。Mディロンものん気過ぎますよ~。騙される高校生たちも・・・もしかしたら監督の狙い通りの感想でしょうか? 4点(2004-01-29 21:28:42)《改行有》 19. 最後の晩餐(1973) 前々から噂だけは聞いていて、ある日深夜のBSで放送があるのを知り、見ました。途中娼婦の一人が「馬鹿げてるわ」というシーンがありまして、わかってるのなら止めなさいよ、という感じ。こんな映像を作ることに何の意味があるのかさっぱり理解できなかったです。そんな事言いながら全部見た私も相当なもんだ。2点(2004-01-29 21:11:42) 20. サボテン・ブラザース 友人のアパートで、テレビ放映を録画したものを見た。初秋神無月、少し寒いのでコタツの電気を入れた。しかし布団が無い。部屋の壁がオレンジに染まった。真上の部屋のあんちゃんがMAXボリュームでロックを流し踊り狂っているため、掃除機のホースでたびたびゴーンと天井を突いた。こんなシチュエーションにぴったりで、見ながら「アーミイゴッ」を連発する私らおバカチャン達を歓迎してくれる良い映画だった。[映画館(字幕)] 8点(2004-01-23 19:01:45)
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