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プロフィール |
コメント数 |
29 |
性別 |
男性 |
年齢 |
55歳 |
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1. シン・仮面ライダー
《ネタバレ》 惜しい。もったいない。
観終わって真っ先に感じた感想がそれでした。
「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」は巨大怪獣や巨大外星人が人間を脅かす”状況”を描けばよかったのに対し、「シン・仮面ライダー」は人ならざるものになってしまったコミュ障男が、人知れぬ闘いを通じて愛や友情をつかみ取っていく「人間ドラマ」も大きなテーマのひとつになるだろうと思っていました。
確かにその材料となるドラマ要素はいくつもありました。本郷とルリ子の絆、ルリ子とハチオーグ(ヒロミ)の友情、強大な敵から最高の相棒へとなっていく一文字との友情…。
しかしいかんせん、それらを十全に生かすだけの尺が足りない。
たとえば、ルリ子はよくキャラクター的に庵野作品の先達綾波レイになぞらえられますが、綾波がヤシマ作戦というまさに「ともに命を賭けた闘い」を経てシンジとの絆を深め合ったのに対して、(そのポジションに位置するコウモリオーグ戦が本郷とルリ子の「共闘」と言えるほどの濃厚なバトルでもなくあまりにあっけなく片付いたせいで)その後のルリ子の信頼構築や態度軟化はなんだか唐突で、ルリ子が死ぬシーンでもいまいち涙腺が緩むほどのことも無く…といった次第でした。
もっとテレビシリーズとかでじっくりエピソードを描く余裕があれば―――
コウモリオーグVS本郷&ルリ子の激戦がちゃんと描かれれば、深まる本郷とルリ子の絆に感情移入できて、ルリ子との別れにも素直に涙できたんじゃないだろうか。
ヒロミとルリ子との物語がちゃんと描かれていれば、ハチオーグ戦でのルリ子の苦悩にも、その悲しみを目の当たりにした本郷が彼女の心に寄り添おうとする心情にももっと共感できたんじゃないだろうか。
そして、一文字との敵対関係がもっと時間をかけて描かれていれば、その後の彼の転向、本郷と最高のバディになってからの物語がより一層熱く盛り上がったんじゃないだろうか。
上映後はそんな事ばかり考えていました
以前宇宙戦艦ヤマトがキムタク主演で実写化された時、庵野監督にもオファーがあったそうで、その時監督が考えた案が
「あの長大な物語を一本の映画に詰め込むと無理が生じるので、ヤマトが改造され宇宙に飛び立つまでをじっくり描く」というものだったそうです。
描くべき要素を取捨選択し、じっくり掘り下げる―――昔自身が考えていたその方法論を今回採ってくれなかったのが残念でなりません。
(しかしそもそも、このビッグネームの監督作品で三部作、せめて二部作にする程度の構想はなかったのでしょうか…そうなっていたらこの作品の出来もかなり変わっていたのではないかと思います)
材料は上級ですが、調理時間が足りずにやや生煮えのままの料理を小さなお皿に無理やり山盛りにして出された感じ。
材料の評価(9点)と出来上がった料理の評価(6点)を足しで二で割って、今いちショボいVFX(あれは単に予算不足なのか、それとも昔風のチープな特撮風味を大事にする庵野美学なんでしょうか…)を減点して、7点献上します。
決してマズくはないんです。やや物足りないだけで。[映画館(邦画)] 7点(2023-04-19 10:02:04)(良:2票) 《改行有》
2. シン・ウルトラマン
《ネタバレ》 正直、一般向けの「映画」として観るか、ファン向けの「ウルトラマン映画」として観るかで評価の分かれる作品だと思う。
マニアというほどではないが、かつては確かにウルトラマン好き少年だった自分としては、現代向け、大人向けにアップデート(アップグレード)されたウルトラマン映画として、”ほぼ”文句なしに楽しめた。
かつてのテレビ用特撮ドラマ感を残しつつ、映像的に洗練された怪獣バトル。シン・ゴジラにも通じるリアル指向のストーリー。
ことに、メフィラス星人を軸にして、個々の怪獣(禍威獣)や異星人(外星人)にまつわる事件を、外星人にとっての人類の”存在意義”と絡めて一本のストーリーラインにまとめあげた脚本には、「やっぱり庵野さんってすごいな」と唸ってしまった。
特に最後の敵ゼットンの扱い方に関しては、ある程度ウルトラマンに通じている観客は「そう来たか!」と意表をつかれた(し、それ以上の特撮マニアは苦笑しつつ膝を打った)事だろう。
ただ脚本に関しては、ファンならばなんとなく脳内で補完してしまうような、そしてあまりウルトラマンを知らない観客にしてみれば
理解できないまでも物足り無さを感じるんじゃないか、と思ってしまうような不備がちょくちょくある事も否めない。
(たとえばメフィラス星人との決着などは、ウルトラマンファンがその狡猾さと紳士的振る舞いが両立する行動を「メフィラスらしいなw」と思う一方で、あまりよく知らない観客は「え、ここまでやったのにそんなあっさり退散しちゃうの?」と戸惑うんじゃないだろうか)
そして映画として最も物足りなかったのは、やはりクライマックスである。
絶対敵わない相手に立ち向かうヒーロー、ヒロインとの涙の別れ、敗北からの一縷の希望、人間の叡智の結集、そして勝利。上がる要素てんこ盛りのはずである。
なのに、あがらない…!
上映時間の制約や物語の構造上、個々の人間ドラマの掘り下げが難しく登場人物に感情移入しづらい(特に主人公は半分人間じゃないし…)など、原因は色々あるだろうが、やはり個人的には「人類絶滅の危機!」という絶望感が決定的に足りなかったんじゃないか、という気がしてならない。
「もう絶対勝ち目はないから人々にはあえて知らせず、平和な日々の中で皆で死のう」という対応策はある意味”リアル”ではあるだろう。だがそのせいで、最高のクライマックスが、ウルトラマンとごく一部の狭い人たち(その姿さえ画面では描かれない!)による「人知れぬ闘い」になってしまった。
やはりウルトラマンが全人類の希望を背負って戦い、たとえ一度は敗れたとしてもその意志を継いだ者たちと共に再び立ち上がり、そして最後には勝利を収めて全人類に讃えられ報われる姿を見たかった、というのは僕の的外れな望みだろうか…
ただ、もちろんクライマックスはクライマックスとしてちゃんと機能していたし、幾分かの不満はあるものの、トータルすればこの作品にはそれをはるかに凌駕するワクワク感と興奮があった。
今はそれだけでいい。本当に時間が経つのを忘れて楽しんだ二時間だった。
ありがとう庵野さん、ありがとうすべてのスタッフ。
そして、そんなに人間が好きになってくれてありがとう、ウルトラマン!![映画館(邦画)] 8点(2022-05-19 16:57:31)(良:1票) 《改行有》
3. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 キャッチコピー通り、「日本VSゴジラ」の死闘を描き切った快作だと思う。
ハリウッド映画的な飛びぬけたヒーローはおらず、あくまで官僚”たち”、自衛隊員”たち”、科学者”たち”、政治家”たち”、といった
集団の力の集合が未知の脅威ゴジラを打ち負かすところが何より日本的だ。
やたらめったら集めた「328+1」人の豪華出演者は最初「大丈夫か?」と思ったが、そういう有名人が”端役”となって出てくると
個々にパワーを持った彼らでさえ「石垣の中のほんの一つの石」にしてしまう「”集団”というものの力強さ」が浮き上がってくる。
高度経済成長を象徴する新幹線や在来鉄道車両が自走ミサイルとなってゴジラの足元を崩し、
ゴジラより高くそびえる超高層ビル群が崩れかかってその巨体を押しつぶさんとする。
(62年前、日本の建物はゴジラに踏みつぶされる障害物でしかなかった。今の高層ビル群はまさに
半世紀強の間にゴジラを追い抜いた日本の暗喩ともとれないだろうか?)
そして勝負を決めるのは日本が世界に発信する<OTAKU>たちの作戦であり、それを裏から支えるのは日本をしょって立つ
弱腰でありながら老獪な政治家たちだ。
まあ、米軍の力や海外のスパコンを借りたりする場面もあるが(^^;)おおむね”日本という国、日本人の力”が
ゴジラという外敵に打ち克ったストーリーは、右翼左翼といった偏狭な考え方とは別の次元で純粋に血をたぎらせてくれる。
この作品に出てくる日本人たちはある部分はリアルであり、ある部分はマンガチックな理想像(フィクション)である。
その両極端な像が絶妙のバランスで融合され、僕にはそれが非常に楽しかった。
日本人として、オタクとして、庵野秀明という才能と同時代に生きられたことを至福に思える120分間だった。[映画館(邦画)] 9点(2016-08-04 13:32:37)(良:4票) 《改行有》
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