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1. スリーパーズ
《ネタバレ》 話のモチーフは比較的おもしろいし、ものすごい有名どころを何人もキャスティングしているのに、中途半端な出来に終わってしまっている、きわめてもったいない一本だと思う。デ・ニーロとホフマンの初競演作品だというのに、両者の持ち味が半分も生かされていない(本人たち、ラッシュ見て怒らなかったのかな、と心配になるほど)。ブラッド・ピット、ジェイソン・パトリックの起用はどう考えてもミスキャスト。というか、彼らが演じなければならないという必然性がちっとも伝わってこない。このような、有名どころを使いこなせていないという事実は、脚本の人物描写の薄さやずさんな演出と大いに関係していると思う。キャラクター設定(各人の個性)も肝心なところがはっきりと輪郭付けられていないし、さらに問題だと思うのは、各主要人物の苦悩や葛藤がぜんぜん伝わってこないということ。虐待を受けた少年たちの苦悩しかり、デ・ニーロ扮する神父の、聖職者としての葛藤しかり。例外は、看守役のケビン・ベーコンのみ。キャスティングもぴったりだし、人物描写にもある程度の説得力があった。サディスティックな役柄は丁寧に描けているのに、苦悩する人物を描けないなんて、この映画の脚本家自身が本物のサディストなんじゃないかと疑いたくなってしまう。さておき、たぶん一番の問題は、こうした荒い人物描写や心理描写に加え、物語の核となるべき、少年院での虐待のエピソードを、丁寧に演出していないからだと思う。地下室へ向かう廊下を歩くシーンで、隔離された空間で行われる虐待の残虐さや少年たちの恐怖心理を象徴的に描いてみました、ということなんだろうけど、象徴的な描写というよりも、及び腰で取り組んだやっつけ仕事、みたいな仕上がりになっていたと私には思えた。というわけで、役者はいいし、物語のコアの部分も潜在的には十分面白かったにもかかわらず、それらが生かされない仕上がりになってしまった。本当に残念。[DVD(字幕なし「原語」)] 4点(2012-12-31 07:50:56)
2. スウィングガールズ
《ネタバレ》 「作り物」としての映画のよさを再認識できた。小さな「ありえねー」を積み重ねていくことで、大きな一つの「ありえねー」(=数ヶ月でビッグバンドジャズをマスターする素人女子高生たち)を紡ぎ出す、という手法。おそらく作り手は、この映画を「青春映画」や「音楽映画」などと言った既存の枠にはめたかったのではなく、「ビッグバンドジャズにはまる田舎の女子高生」という具体的なモチーフを使った(もっとシンプルで一般的な意味での)「娯楽作品」を作りたかったんだと思う。何度でも見たくなる爽快感。楽しめました。[DVD(邦画)] 8点(2006-03-21 06:38:27)
3. ズーランダー
《ネタバレ》 ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンがスーパーモデルという設定からして無茶苦茶だぁと思わされたけど、中身も最後までホントに無茶苦茶だった。(中でも特に、期待を裏切らなかったウィル・フェレル)。でも、これは「良い無茶苦茶」。笑わせ方のスタイルが確立しているので、好みの分かれるところだと思うけど、あたしは笑わせてもらった。理屈でどうこうではなく、力技的に笑いのスイッチをオンにさせられ、その後入りっぱなしになったという感じ。これみたいに、バカバカしさで勝負のコメディって、しかし、成功させるには相当のセンスと知性がいると思う。失敗するとダサくなる。そして、失敗してダサくなってしまった駄作(シャレになっちゃったよ)の方が世の中にはずっと多いはず。ダサくなる一歩手前のところでうまく全体をまとめることのできるコントローラーとしての知性は、誰しも持ち合わせているもんじゃない。ベン・スティラーの凄いところだ。8点(2004-07-27 07:11:37)(良:2票)
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