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1. スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 紆余曲折の末、J.J・エイブラムスにメガホンを戻して遂にスクリーンに登場した完結編。 謎には適切な回答が示され、愛すべきキャラクタ達のドラマもあるべき場所に落ち着いた。そして、とんでもなく面白い。 賛否を呼んだ「最後のジェダイ」。個人的にはその革新性と娯楽性の高さは大いにアリなのだが、今回はオーディエンスのフィードバックを適宜に反映したことが見て取れる。 かといって媚びすぎることもなく、いやむしろ予想の上を行く展開には、やはりエイブラムスの細やかな配慮と制作陣の気概を感じられる。 最初に3作全ての脚本を完成させずに、1作ごとにアイデアを出し合って作られてきた今回のトリロジーの制作スタイルの影響もよく出ている。 新たな脅威としてのパルパティーンの復活、そして何者でもなかったはずのレイの血筋の再考がそれに当たるだろう。 それ故に序盤こそ世界観の説明に時間をとってしまったが、しかしウェイファインダーを探す旅に入れば、途端に冒険活劇の色が濃くなる。 そこには呼吸を忘れる程に壮絶なアクションシークエンスがあり、感情を揺さぶるドラマもある。 複雑化したベンの心情も、しっかりとした救済の道を与えた上で退場させてくれたのも良かった。「フォースの覚醒」からも言及されていたが、彼が最後にハンと向き合う勇気を手に出来たという落としドコロは、確実にカイロという悪役とベンという青年の魅力を押し上げた。 散々伏線を張っておいたフォースの繋がりからの、兄弟ライトセーバーの受け渡しは最高にアツい見せ場になっていたと思う。 そしてやっぱりずーっと「スター・ウォーズ」が大好きだったこともあり、エモいシーンがバシバシキマる最終決戦はもう涙である。隣で観てたおっさんも号泣である。 新三部作を支えたポー、フィン、レイの抱擁にもまた涙。伝説の幕引きに相応しい一作だ。 また、個人的に気になっている事なのだが、「映画」はいま確実に変化の中にあると思う。 スコセッシの大作も、ベイのドンパチも(一部除き)映画館を介さずにネット配信される時代になった。自分もこういったサービスを映画館に通いつつも重宝してるので、映画、そして映画館のあり方の変化に戸惑っている。 それでも今日は最速の上映会ということもあり、映画館は満員で、ファンの間で交流があったりもして、映画館が映画を超える体験を提供してくれたと思う。 このレベルの盛り上がりを見せる場面は今後そう簡単に出会えるものではないかもしれないな。ネット配信が全盛を迎えていくだろうが、「スター・ウォーズ」と映画館の思い出はいつまでも大事にしたい。と言いつつ、新作「マンダロリアン」を見るためにディズニーの配信サービスに加入するのであった。[映画館(字幕)] 9点(2019-12-19 23:46:10)(笑:1票) (良:3票) 《改行有》 2. スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》 アニメのことはよく知らないのだが、凄まじい映像に圧倒され「とにかく面白いスパイダーマンを観たぞ!!」という満足感で劇場を後にした。 実は鑑賞したのは去年なのだが、数週間くらいしてから不意に「冒頭でマイルス君がいい感じの曲(Sunflower)を聴いていたな」と思いだし、何となくYoutubeでMVを検索してみた。 …やはりとても良いじゃないか! メロディも良いけど、(個人的な解釈ではあるが)ピーター・BとMJの関係を想起させるような詩もグッとくる。そんなこんなで本作「スパイダーバース」に思いを馳せながらヘビロテしていると、「あの映画…めっちゃ面白かったなぁ」と改めて実感。なんか余韻があるのです。 (他の曲もめっちゃかっこいいのでオススメ) 「スパイダーバース」と言えば、今まで途方もないアダプテーションを経たスパイダーマンというヒーローが一堂に会すぶっ飛んだシリーズだ。コミックスでは東映版のスパイダーマッ!やボンボンで連載されていたヤツまでもが出てきて日本でも話題になった。 さてそんな超絶変化球を原作とした本作だが、奇をてらう場所はしっかりかき回し、しかし描くところはド直球。 そんな計算されつくした作りがとても良い。 色んなスパイダーマンが出てくる独特の世界観はもちろんこの映画の特徴、そして面白さに直結する。 そしてピーター以外がスパイダーマンになるというプロットを用い、スパイダーマン誕生譚というマンネリを上手く打破出来ている。 そればかりではない。「クモの下り何回やるねん」というメタ的なユーモアとしても面白いし、予測不能のスパイダーマンが多数出るからこそ「ヒーローとは?」というテーマを明確に炙り出していく。 伝え方も上手い。 実は「スパイダーバース」には奇抜なスパイダーマンが多く出るものの、スパイダー・ハム、ペニ・パーカー、ノワール(ニコラス・ケイジの声がいい)は「同じ次元に来た」こと以外には、まったくと言っていいほど、話の動きには絡んでこない。彼らを強烈な世界観を醸成するサポートに徹しさせているのである。 「ヒーロー誕生」を描くに当たりコレは絶妙の采配である。メンターにピーター・B、サポートにグウェン。彼らが未熟なモラレスを導いていく。あれだけのスパイディに色々と口出しさせたり、トラブルを起こさせていたら、これほど締まった脚本にはならなかっただろう。ぶっ飛んだ世界観ながら、マジメで実直な構成を貫けている。 では「スパイダーマン」とは何か。答えはクライマックスに最高の形で気付かされるように用意されていた。 マイルズの父と共に、観客が拳を握りしめて「立て!がんばれ!」と心からの声援を送る人物。それこそが親愛なる隣人の姿である。 凄い映像に熱いストーリー、本当に面白い映画を観たなぁ。[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2019-03-04 02:20:59)《改行有》 3. スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 先ごろ、来年に公開されるスピンオフ「ハン・ソロ」が発表されたように、ディズニーが主導権を握って以降、コンスタントに劇場に登場するようになったスター・ウォーズ。 今回の「最後のジェダイ」は正史の続編となるため、話題性も抜群である。また、本作にまつわるディズニーの鬼のビジネス術が世界中で話題となったのも記憶に新しい。 僕はプレミアムナイト(とかいう限定上映会、2500円)に参加したが、ポスターがついているものの映画代自体を釣りあげてくるとはなかなかエグいことをしてくれるじゃないか。その後のチケット転売のおかげでもっと高い出費になった人もいるだろう。 激戦区である東京の日劇ではチケットの争奪戦で怪我人が出るなど、もはや異常と言える現象を巻き起こしている。 さらにアメリカ本土では映画館に対して前代未聞の「どぎつい交渉」を行ったようで(映画館に不利な取り分、最大スクリーンの独占など)、田舎の小さな映画館を圧迫して世界をドン引きさせた。本シリーズの他に「アベンジャーズ」「CGアニメ」という、最も稼ぐ映像コンテンツを手中に収めるディズニーだが、マーケティング面ではがっつりダークサイドに魅せられている。悲しいかな、僕は完全にその術中である。 いきなり余談から入ってしまったが、映画製作に対しての安定感もまた絶大なのがディズニーの頼れるところ。 「フォースの覚醒」「ローグワン」に続き、本作も言葉で表せない程に素晴らしい「スター・ウォーズ」だ。 前作が「4」の構成に近かったこともあってか、今回は修行、冒険、出生の秘密など、「5」の要素が多く観られるのが特徴か。 ポー・ダメロンの成長、レイとカイロの絆、フィンとローズのアドベンチャーが群像劇のように展開していき、冒頭から継続するスペース・バトルに集約されるという豪快な構成が面白い。レイの秘密、カイロの狙いという求心力の高いミステリ要素も見どころだ。 またシリーズ最大の長尺も手伝い、どのキャラもとても魅力的に描けているのが良い。 ホルド提督との対立を経て真のヒーローに近づいていくポー。過去の因縁との対決に奮い立つ一方、また大切な人のための戦いを学ぶフィン。新キャラであるローズとホルド提督を絡めて、前作のヒーローに更に深みが増した。 主役格のレイにしても衝撃的なドラマが待ち受けている。「お前の父だ」という告白に比べればインパクトは薄いかもしれないが、レイのこれまでの孤独を考えると「お前は関係ない」という事実は、言葉以上の重みがある。レイは戦いに参加することで、ソロやスカイウォーカーに父親を重ね、家族の影を追うことが出来た、何者かではないヒーローになれたのである。 作品をまたいでしまうが「嘘だ!!」と驚愕したルークに対し、薄々感づいていたと静かに認めるレイの対比も趣が合っていい。 他にも、お前らそんなに強かったのか!?とツッコんでしまうレイアとルークの共演も熱いし、ハックス将軍のヘタレ芸も心に残る。新キャラ、脇役、もうすべてのキャラが魅力的だ。 やはりキャラクターの魅力というのはスター・ウォーズには必須なのである。 そういうとことでしっかり感情移入できるので、全編を彩る見せ場の大洪水が大いに盛り上がる。 正直な話、メチャクチャ興奮した。身を乗り出してのけ反るほどの面白さだった。(←迷惑) ここまで色々な要素を詰め込んでおいて、奇跡的なバランスで最後まで一気に魅せてくれる本作は、至高の娯楽大作と言っていい。楽しかった! 最後になるが、プリンセスとの思いでに感謝。[映画館(字幕)] 9点(2017-12-15 02:12:34)(良:2票) 《改行有》 4. スプリット 《ネタバレ》 なんだかんだで目が離せないシャマラン監督。しばらく雇われ監督的なポジションをこなしていたが、自ら企画した「ヴィジット」に続き、本作もシャマ節全開の作品になっている。 まず普通に面白い。 クラシックな監禁スリラーに、興味深い多重人格者の設定や、24人目にまつわるミステリなど、様々な要素を加味しているのが良い。 女子高生のキャラ付をさっさと済ませた後は、するりと日常が地獄に変わっていくテンポの良さもなかなか。これらをまとめあげるシャマランのストーリーテリングに狂いは無い。マカヴォイのパフォーマンスも素晴らしい。 題材となっている多重人格。これはスポット制度、3人の女性被害者、24人目の人格などから察するに、同じく23(+1)の人格を持つビリー・ミリガンに着想を得ているのだろう。彼の場合は最後の人格が「教師」だそうだが、本作では24人目に「ビースト」を創り出すことで、「人格次第で身体能力も変わる」という設定が、映画的な面白さに昇華している。 (ちなみに本家ミリガンに関しては、ディカプリオ主演で映画化が予定されている。ディカプリオはJ・ベルフォート、J・エドガー、H・グラスなど実在の人物を多く演じているが、さらに24人プラスとはとんだスプリット野郎である) 個人的に一番面白かった点は、ユーモアと悪意が織りなすなんとも言えないあの空気感か。 怖い・不気味・絶望的だが、どこか滑稽。最悪の状況で踊り狂うヘドウィグの狂気じみたユーモアなど、このさじ加減はシャマランの上手い所である。 また時折あらわれるシャマランの悪意も面白い。 なんせ主役以外の2人は何の武器もない普通の高校生。 「リア充?ビーストに喰われちまえ!!」と言わんばかりの設定だが、この部分こそ本作のキモでもある。 SNSでの評判ばかり気にかけて、車を待つ主人公には「彼女はUber(配車アプリ)で帰るんじゃん?」と言うような今時のリアル(を拡張した)高校生。(※Uberの下りは字幕では省略されている) 誘拐事件は架空の場所ではなくKOP(※キングオブプルシア、アメリカ最大級の実在するショッピングモール。誘拐後、ニュースで名指しで登場するがこちらも字幕では省略されている)で発生する。 青島刑事ではないが、事件はSNSのタイムラインではなく彼女たちのリアルで起きているのだ しかしながらネット上で生きている彼女たちにとっては、拉致監禁など半年習ったケンポーカラテで打開すればいいだけ。3人力を合わせればどうにかなるでしょという戦略だ。 当然そんな精神ではこの世界を生き抜けまい。 傷つくことなく眠ったまま生きてきたからこその価値観・世界観。そういうものはシャマランおじさんが全部まとめてぶっ壊す。 自分はフーターズ大好き野郎で出演しておきながら、なかなか毒のある鋭い展開で魅せてくれるではないか。 最後に唐突な続編発表をしたときは「何勝手にシャマラン・ユニバース始めてるんすか」とも思ったが、やはりそういう部分も含めて個人的に気になるシャマラン監督なのである。金髪は胸、黒髪はケツというチョイスも個人的には支持している。[映画館(字幕)] 7点(2017-05-18 15:21:53)《改行有》 5. スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 実に10年ぶりとなる待望の新章。劇場には長くからのファンが沢山詰めかけた一方で、初めてスター・ウォーズに触れる人も多いようだった。 これは新たに製作の主導権を握ったディズニーの広告戦術の賜物か。可愛らしくデフォルメされたSWグッズに、SNS上で盛り上がるようなイベント感を醸す同時刻上映ときた。10年間のブランクも手伝ってか、多くの新規ファンを動員出来たようである。 かくして公開前の映画館には、SWの思い出を語る人やコスプレのコアなファン、パーティに乗っかった若者まで様々な層が集まり、モスアイズリーの酒場のような賑やかさだ。 そんな人々をどのように楽しませるか、その点もディズニーは抜かりない。 監督は「スター・トレック」を甦らせたJJエイブラムスである。彼はテレビシリーズのプロデュースで活躍しており、「M:I-3」の監督抜擢を皮切りに数多くの大作を成功に導いてきた。 特撮を得意とする一方、ドラマの展開もスマート。オリジナル作品も上手いし、続編・リブートもお手の物だ。正直ムカつくほどに有能な監督であるが、だからこそ今回のSWにも信頼がおけるというものだ。 実際、エイブラムスは今回も素晴らしい仕事をこなしている。前3部作はEP4に繋げるために、やや説明的で内面を描く作風だったのに対し、今回は誰もが楽しめる冒険活劇といった趣だ。情報に乏しいフィンとレイの視点を通した物語は、一見さんでも楽しめるような配慮が伺える。 しかしながらSWのエッセンスも失われていない。こういうバランス感覚は流石である。実際にはEP4とかなり似たような点が散見されるのだが、SWは繰り返される家族の物語でもある。それに大事なのは巡ってきた境遇でどのような決断をするかである。ハン・ソロはベン(カイロ・レン)と対峙するが、彼らの血筋では初めてのことではない。第二デス・スターでのルークとベイダーを知っていれば、あの場面でカイロが下す決断には驚愕必至である(同時にとても悲しい場面だ)。 今作だけで一つの物語を上手くまとめているが、ルークの登場やカイロの動向など、次作への期待を繋げているのも良い。 やっぱりSWは面白くて魅力がある。 物語が新たな世代に受け継がれたのと同様に、ルーカスはかつてSWを観ていたというエイブラムスにバトンを渡した。 作り手が変われば確かに作風の変化は感じる。映像の進化もあるし、ドラマの展開も合理的になった。 でも今日観てきたのは本当に紛れもなくSWだった。 EP4から何十年と経ってるのに、相変わらず新しいスピーダーだかドロイドだかの世間話をするトルーパーも面白いではないか。[映画館(字幕)] 9点(2015-12-19 01:35:29)(良:3票) 《改行有》 6. スピード・レーサー 《ネタバレ》 あの「マトリックス」の監督の最新作は日本のアニメの映画化!極彩色の奇抜な視覚効果に主演は若手青春スターのエミール・ハーシュ!!それに加えてぶっ飛んだトレーラー映像からいろいろ期待して鑑賞。そしてその期待をはるかに超える体験になった。話はベタベタシンプルだけどメッセージがストレートに伝わってくるし、むしろ狙いすましたベタベタ感が心地よい程。疾走するマシンやサーキットには目を見張る個性と演出に興奮させられ視覚的な面白さも十分!気が付けば観客やレーサー一家と一緒にスピード君を応援している自分が!ほんと映画ってオモシロイ!素晴らしい!![映画館(字幕)] 9点(2008-07-09 04:06:58) 7. スニーカーズ 《ネタバレ》 娯楽作としてはそこそこの出来。しかしスニーカーズの面々に個性が足りなかったのではないか。みんな「この分野は俺に任せろ!」という感じがなかったと思う。ロバート・レッドフォードとデヴィッド・ストラザーンがいたら後は普通の人でも大丈夫そうだった。[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-03-21 12:23:20) 8. SPIRIT スピリット(2006) 《ネタバレ》 原田眞人は最低最悪、FAGでサノバビッチな糞野郎を演じたら巧いね。ほんとに。ラストサムライでもそんな感じだったし今回は獅童から直々に「お前は日本人の恥だ!!」とか言われてて恐れ入りました。[映画館(字幕)] 6点(2008-03-11 09:08:17) 9. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師 《ネタバレ》 ミュージカル映画というよりティム・バートン映画の方が先行してる感じがした。そこが残念な点でもあるが、ティムの作り上げた独特なヴィジュアル世界は十分楽しめる。色調を抑えた暗い世界にスウィーニーの感情の爆発を代弁し、鮮やかな血が飛び散る飛び散る。舞台である暗いフリート街が、まだスウィーニーがベンだった頃とラベットの思い描いた幻想を際立たせている。この幻想のシーンは鮮やかで美しいしジョニーの演技もコミカルで楽しかった。若い恋人たちの歌声がとてもきれい。彼らには劣ると感じたがジョニーは元々歌手志望だったので歌はなかなか良かった。その中でも特に気に入ったのが「そこのあなた!ヒゲそりはいかが?」とカミソリを振りかざして街をさまよい歌うところだ。彼のにじみ出る狂気を垣間見ることができたし演出も巧い。また理髪店にさりげなくおいてある割れた鏡からベンが死にスウィーニーが来たことを、そして彼の心を表しているように感じた。家族の顔は忘れていたのに復讐すべき敵の顔をはっきり覚えているというのもうまくラストにつながったと思う。魅力的な曲も多く歌い手も豪華で十分にデップ、バートンの世界を堪能できた。[映画館(字幕)] 6点(2008-01-19 23:53:05)
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