みんなのシネマレビュー |
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1. 戦艦ポチョムキン 《ネタバレ》 作られたというよりも、刻まれたというべきか。カメラにぶち込まれたのは、群衆がうごめく様を捉えた、数々の、そして圧巻のロング・ショット。そして嘆きや悲しみを、深い皺に刻み込んだかような人間の顔、顔、顔。何かが確実にほとばしっている。熱々だ。その上、この心理を揺さぶる技巧は充実し、更に女性や幼い子供や赤ん坊が犠牲になる様を強調しまくる。マグマのような、魂のサイレント。[DVD(字幕)] 8点(2009-01-24 08:51:16) 2. 切腹 《ネタバレ》 並々ならぬ緊張感、その映像に目は釘づけでした。このただ唾を飲むような静けさ、それでいて圧倒的な迫力。ただし後味としては複雑。本作の柱となる竹光にまつわるエピソードには、確かにハッとさせられた。しかし、このような勘違いによる落とし方は、喜劇や人情劇にこそ向いており、悲劇にするとあまりにも後味が悪いように思える。凄い映画だと思うだけに、余計に複雑。[DVD(邦画)] 8点(2009-01-17 11:37:49) 3. 制服の処女(1931) 《ネタバレ》 自分の古い映画、名作志向に関しては少なからず視野の狭さを自覚しているが、どうしても1930年代を中心とした映画が肌に合ってしまうことは、自分自身如何ともし難いと思ってもいる。そして本作のように時代も国や文化も、まったく異なる作品に酔いしれると、そういう思いは殊更に強くなってしまう。ましてやこの映画は、女しか出てこない、女の世界の物語なのだ。僕は日常から切り離され、この独特のトーン、世界観に好奇な目で引き付けられていく。そして絶対的な権力者が、一夜にしガラガラ・・・と失墜していく様を、鮮やかな演出とスリルを持って描かれるクライマックスの盛り上がりの中で堪能し、このような自分とかけ離れた“世界”の物語に、“人間”としての共感を覚えてしまう。更に少しでもこの“世紀の悪役”と言える校長先生の立場が頭を過るだけでも、鑑賞後の余韻をより格別なものへと変えていくように感じる。[DVD(字幕)] 8点(2008-09-20 21:18:20) 4. 西部の男 ゲイリー・クーパーとウォルター・ブレナンっつーだけで鑑賞意欲をそそりますが、このほのぼのとした展開をせめて味わいとも感じられなかったのが残念。と言うのも色んなもの詰め込みすぎ、登場人物もくっきり描かれてないように感じた。どうしたんだい、へヘイ、ワイラー♪と替え歌でも歌わずにおれなかった。 [DVD(字幕)] 4点(2007-02-04 07:37:16)《改行有》 5. 生活の設計 《ネタバレ》 毒々しい故に生々しい恋愛シーソーゲーム、ルビッチ監督のこれも色ッポくて楽しい快作。ミリアム・ホプキンス演じるB型の典型(ホントかな?)ジルダの魅力、これはもう身につまされてしまいます!それにしても紳士協定結んだ後のキスで、おでこを差し出すフレドリック・マーチ、それを上から覗き込むゲーリー・クーパー、このシーンを始め融通利かない2枚目半キャラとしては、今まで観たゲーリー・クーパーの中でも過剰すぎない出色の演技で見事にハマってます。 [DVD(字幕)] 7点(2006-07-29 21:46:46)《改行有》 6. 潜行者 《ネタバレ》 妻殺しの濡れ衣で逮捕されて脱獄した男と、それを支える女の逃走劇で、カメラ視点と終盤まで主役(ボギー)が顔を見せない演出など、ある意味実験的とも言える作品。しかしながらボギーとローレン・バコールへの思い入れを差し引いても、内容的には至って平凡です。 [DVD(字幕)] 5点(2006-07-23 10:04:45)《改行有》 7. 青春一座 落ち目のボードビル一家と、その子供たちによる泣き笑いのミュージカル仕立て。まさにアメリカ臭バシバシで案外楽しめます。冒頭からミッキー・ルーニーには苦笑してしまいますが、ゲイブル&バリモアの物真似あたりから水を得た魚のようにググッと良くなります。それにしても『オズの魔法使』と同年製作の本作ですが、ジュディ・ガーランドが放つオーラには、ちょっと凄いモンがありますね。[ビデオ(字幕)] 5点(2006-07-01 20:37:21)
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