|
1. せかいのおわり
《ネタバレ》 同性としてよくわかるんだが、女にはどこかこういう狡さがあるんだよな、たぶん。好きな男の腕の中で違う男の夢を見るって言うし。最後、二人がくっついていたら陳腐なラブストーリーなんだけど、献身的な彼の愛を主人公がやっぱりかわしちゃう、それでも何だか幸せそうという、悲劇でも喜劇でもないふわっとした感じが非常に現実的。自分を愛する男という保険をかけて、幸せを求めて男から男へと渡り歩くハルコは地味に嫌な女だと思うけど、そんな彼女に一心不乱に片思いの渋川清彦(役名失念)までもがその関係性を心地良く受け入れているんだから世話ないよっていう感じである。ちなみに一見意味がなさそうなバイの店長の存在は、主人公二人にみられる男的な恋愛観(好きだから付き合いたい、好きな人だけを求める)、女的な恋愛観(好きだから逃げたい、他を求める)の中間的概念(好きだけどどうにもできない、好きだからこそ表面的には他を求める)の持ち主として描かれているのかなと思う。なかなかいい味出してますわ。[DVD(邦画)] 8点(2010-03-06 22:15:38)
2. 世界で一番パパが好き!
《ネタバレ》 もしこれがケヴィン・スミスという人物を知らないで観たんだったら「いい映画だなー(ただし棒読み)」っていう感想で、映画として純粋に(無難ではあるけど)完成度は高いと思うので、あとプラス1点は上乗せできたと思う。しかし残念なことに、私は本作をばっちりケヴィン・スミス作品だと認識して観たので、何だかなあという感じ。三谷幸喜だったか、製作者側としての意見で「観る人を泣かせるより笑わせるほうが難しい」と言っていたのを、まさしくそのとおりだと思っている私としては、人を笑わせるだけの才能がある人が、安直にハートウォーミングに走るのは、ただもう勿体ないの一言しかないのです(ちなみにあまり普遍的でないたとえを出すと、syrup16gのラストアルバムに抱いたのと似た感想。丸くなればいいってもんじゃないぞ!という)。まあ、たぶん色々あったんでしょうけどね。ただ、好きになる相手がビデオ店店員とか、ちゃっかり大物出しちゃうとか、娘がトイレ流さないという癖の活かし方とか、親子に似た状況で同じセリフを言わすユーモアとか、下ネタっぽさとか、細かいところはやっぱりケヴィンさん。枝葉の部分での「らしさ」は評価できるかな。[DVD(字幕)] 6点(2009-06-12 22:24:03)(良:1票)
|