みんなのシネマレビュー |
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1. ぜんぶ、ボクのせい 《ネタバレ》 松本まりかママは、優太クンに虐待はしていなかった。いやむしろ、愛情は少なからずあるが、自分に子育ての裁量がないことを理解していて、あえて子育てを保護施設に任せている、私にはそう映った。そういうことであれば、一緒に住んでいて育児放棄するよりは、よっぽど健全かもしれない。 ちょっと脱線したが、、本作は育児放棄を描いた社会派ドラマの体を成しつつ、優太少年の心の成長記、といった内容になっていた。 特に重要なことは、この境遇でありながら、少年が道を踏み外さなかったこと。私なら、、きっとグレてたと思う (笑) ・・・そう、この映画は、少年を非行へと走らせない。名古屋に行こうとしたら、「車」が燃やされた。次は「電車」で行こうとしたら、警察につかまった。まるで、名古屋へは行くな、と、何か見えない力が少年を引き留めているようだ。オダギリも、詩織少女も、気のいい人たちだったが、素行の良くない面もあり、少年が正しい人生に向かいたいなら、行かなくて確かに正解だったのだ。少女と少年が二人で見知らぬ地へ逃避行では、映画的にはロマンチックだけど、現実的にはそれは「非行」だから。 詩織が歌った「夢で逢えたら」は、刹那的に美しく、まさに夢のようであった。二人はあの瞬間を大切にして生きていけば、それでいいと思う。 全体的に、出来事に対して答えをハッキリと見せず、意図して視聴者に考えさせるような展開が多かった。 ママが育児放棄する理由。(さっき考察してみましたが) ウサギが死んだこと。(自然に死んだ?殺された?誰に?) 車を燃やした犯人。(本当にあの不良たち?) 象徴的に登場する「一路橋」。(ネットで検索してね) そして「ぜんぶ、ボクのせい」の意味。 最後は人生のドン底に落ちきった感じで、そういう意味では実は前向きな終わり方ですかね、、なかなか複雑な気分。[インターネット(邦画)] 7点(2024-07-22 23:36:16)(良:1票) 2. 前科者 《ネタバレ》 ※ネタバレございます※ まず映画が始まると、登場人物たちの名前や職業がいちいち字幕入りで紹介されることに戸惑います。(親切だけど、ちょっとわずらわしい) 続いて、登場人物たちを説明するための回想シーンが頻繁に登場し、早々に嫌気がさす。(できるだけ時系列で語るのが映画やろ) しかし、この親切丁寧な作りって、誰が観てもわかりやすく、例えば、受刑者の更生を目的として刑務所で上映することも想定しているかも、、そう考えることにして、自分を納得させることにしました。 ちなみに私ですが、保護観察官の存在は知っていました。しかし恥ずかしながら、「保護司」という職業を本作で初めて知りました。無報酬 (!) なので、職業という言い方は相応しくないかもしれないけど、本作を観たかぎりでは、その苦労や献身には本当に頭が下がる思いです。 映画としては、保護観察官との違い、保護司という民間ボランティアが抱えている問題、、そのあたりにはあまり触れることなく、犯罪関係者たちが織りなす (ありがちな) 感動系ドラマに終始してしまった気がします。まあ、そもそも題名が前科者、ですからね、、私が保護司 (というテーマ) にこだわり過ぎたのかもしれません。 あと、保護司 (阿川佳代) が任務中に元殺人犯 (工藤誠) と一つ屋根の下で牛丼食べたりする場面があったけど、ここはかなりハラハラして見てました。実際にここまでするものでしょうか。かりにも相手は人殺したことのある人だし、もし相手が元性犯罪者のケースなら、これはかなり危険なシチュエーションですよね・・。相手の信頼を得るためとは言え、自分の身を守るためにある程度の距離感は必要だろうな、と、個人的には感じた次第です。 出演者については、有村架純が見事な新境地で魅せたし、石橋静河の役も面白い。(最後まで誰かわからんかった笑) そして、、特筆すべきは、森田剛のキャスティングだろう。吉田恵輔監督の「ヒメアノ~ル」をまだ未見の方は、必ず先にそちらを観ることを強くオススメいたします。なぜなら、全く関連性のない2作ですが、(ヒメアノ~ルの) 彼には本作のように正しい人生をやり直して欲しかった、、と強く思えるような設定になっているからです。 「八日目の蝉」から「朝が来る」の永作博美さんも然り。 時に映画は、他作で罪を犯した "前科者" に対して、その報われなかった魂を救済することもあって、少しだけ幸せな気分にさせてくれます。[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-24 00:16:49) 3. 世界で一番しあわせな食堂 《ネタバレ》 良かったところ。 舞台であるフィンランドの森と湖の美しい風景。シルカが切り盛りする食堂とそこに集う気の良い飲んだくれたち。ご当地、あるいは中華風の多国籍な料理。道路を横切るトナカイの群れ。 こちらは、フィンランド観光気分が味わえました。 悪かったところ。 脚本。一人暮らしの女性が、さっき出会ったばかりの得体の知れない外国人 (親子) を泊めるとか、私の感覚ではちょっと理解し難い。フィンランドの片田舎にある食堂に、タイミングよく「中国人」の団体さんがわさわさと大挙して押し寄せたり、よくよく考えたら現実感のない展開が多いです。 そして、残念な邦題。 「世界で一番しあわせな食堂」って、はああ? って感じ。全くフィンランドらしくない、個性がない、だから客も入らない。 ってことで、私なりに考えてみた。 ①フィンランドを感じさせる。 ②インパクトがある。 ③「かもめ食堂」のファンを集客できそう。(←これ重要) 以上の理由から、題名「トナカイ食堂」あたりでよかったと思うが。[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-19 21:14:37) 4. 世界は今日から君のもの 《ネタバレ》 真実 (門脇麦) は思った通りの不思議ちゃんでしたが、お父さん (マキタさん) も天然ぎみで少しピントが外れてるのが笑えます。出だしの二人のやり取りからして、かみ合っているようでかみ合っていない感じで、ニヤニヤしてしまう。 本作は、彼女の引きこもりやコミュ障をテーマとはしているけど、この映画ではそれを障害ではなく「個性」と言っています。全体的に脱力系な空気が漂っていますが、それは彼女の目線で見た世界がそうだから。彼女はその世界にいるだけで充分に幸せなのに、家族や社会がそれを許しません。彼女は戸惑う。でも「ゲーム」(のバグ探し) や「サバゲー」は想像世界の疑似体験 (のようなもの) であり、つまり彼女からすれば、これから一般社会で生きていくための予行練習。そして、彼女はそこで生き抜くための「イラスト」という強力な武器を既に持っていた、、というお話し。 障害や個と社会のコミュニケーション不全、というテーマではありますが、彼女が「殻」を破り、一般社会というバグだらけの世界に踏み出すまでの疑似RPGとして描いているのが、本作が斬新で面白いところ。 もちろん、これを観ている (彼女とよく似た) あなたにとっても、これは真実 (しんじつ) のストーリーになりえるかもしれません。[インターネット(邦画)] 6点(2022-01-16 16:27:47) 5. 先生と迷い猫 「猫」の映画、とは考えないほうがいい。この映画は舞台である「街」が主役であり、家と、そこに暮らす人々の物語。 猫と、それを追う老人の目線はそのまま、街の案内人であり「語り部」と思ったらいいだろう。パン屋、美容院、駄菓子屋、学校、開業医による診療所、、そしてそこに集う人々。あえて観光名所案内的なショットを極力避けて、彼らの日常生活にフォーカスした情景撮影が好ましい。まるでこの映画自体が、この街の「あの頃」を記録した文献のようであり、郷土写真集のようだった。 出演者について、前々から、イッセー尾形さんの演技はエキセントリックすぎる印象がありましたが、こういう風変わりな人物を演じるには適任だったように思えます。そして、もたいまさこさんは、やっぱり猫がすき、ですね。[インターネット(邦画)] 6点(2021-10-06 22:39:27) 6. セイジ -陸の魚- 《ネタバレ》 20年前の僕がどうしてそこまでセイジに入れ込んだのか、まずそこが見えてこない。そして20年前の僕は、この夏のセンセーショナルな出会いと出来事に何を感じて、その後の人生にどう生かしたのか、20年後の僕からは全く伝わってこない。 伊勢谷友介氏の人脈自慢だろうか、山奥のドライブインには不釣り合いな都会風の面々も違和感ありあり。 確かに、BGMや映像センスは光るものを感じたが、冒頭の時系列をいじる演出などはあまり必要性を感じられない。でも、そのBGMもオシャレにこだわりすぎるあまり、せっかく1990年の夏というのに、浪漫飛行も夏祭りもおどるポンポコリンもラジオから聴こえてこないとは、ちょっと気が利かない。[DVD(邦画)] 4点(2020-09-12 21:27:03) 7. 蝉しぐれ 今田耕司とふかわりょうがスクリーンに登場する度、まるでコントのようで緊張感が台無しになる。演技の良し悪しの話ではない。キャスティングにあまり文句を言っても仕方がないが、藤沢周平氏の名作の映画化に、それも端役ではなく大役にタレントやコメディアンとはいくらなんでも稚拙なキャスティング。原作は日本人の心を描いた名作です。だからこそ、この映画は本物の役者たちで臨んでほしかったです。[DVD(邦画)] 5点(2015-11-23 22:55:24) 8. 青天の霹靂 《ネタバレ》 劇団ひとり監督。改めて呼んでみると語呂が何だかヘンテコですが、映画の内容は大丈夫。期待以上の堂々たるデビュー作です。ストーリーはベタで王道の感動路線でしたが、いきなり難解で小難しい作風でこられるよりはむしろ好感が持てました。お笑い芸人出身の監督によく見られる、芸人仲間大集合といった安直なキャスティングに走らなかったことも好印象。肝心の内容ですが、全編を通して、監督ご自身のルーツである漫才や古き良き大衆劇場に対する敬愛を感じました。ちなみに、浅草と風間杜夫ときたら"異人たちとの夏"がすぐに頭に浮かぶが、これは監督が意識して狙ったか。最大の見どころはやはり最後のマジック。母悦子の思いと晴夫の決意が時空を越えて交差する、感動の名場面でした。ちょっと褒めすぎましたが、もちろんマイナス点もあります。人物のクローズアップ(特に泣き顔)を多用し過ぎるのが気になりました。それともう一つ、拳で殴る場面と平手で頬を叩く場面。全く痛みが伝わってきません。視聴者に痛みを伝える技術、これは北野作品というお手本から今一度勉強してほしい。辛辣な意見になりますが、それは今後の作品に期待をしているから。監督の次回作は必ず映画館に足を運ぶことを約束します。[ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-12-22 04:35:11) 9. セント・オブ・ウーマン/夢の香り 長い映画史でも、絶対に吹替えで観てはいけない映画がいくつかある。その一つが本作だ。なぜなら、あのアルパチーノの大演説は、その言葉の意味以上に、声そのものの響きが心を打たずにおかないからである。もし吹替えで観たなら、その感動は半減する、と断言しておく。 以下は余談ながら。 盲目という設定、チャーリー、名曲「ラ・ヴィオレテラ」。そう、本作は名作「街の灯」に対する恋文でもある。 もう一つ、チャーリーを演じたC・オドネルについてコメントしておく。彼の抑えた名演技がアルパチーノの良さを余すところなく引き出した、と言っても過言ではない。アルパチーノのアカデミー主演男優賞に対して、C・オドネルは私の心の中ではアカデミー助演男優賞。いつまでも、記憶にとどめておきたい。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-06 11:46:42)(良:1票) 10. 世界にひとつのプレイブック 《ネタバレ》 5点という、ダンスコンテストの点数に全てが尽きると思います。コンテストの採点以外にもあきらかに多くの意味が含まれているこの点数、私は彼らの恋や人生に対する期待込みの採点、とお見受けしました。ダンスも恋も人生も、最初から10点じゃあ面白くないですから。むしろ一度は人生を挫折しかけた彼らにとっては5点は上々の出来、これ以上ない最高のスタートです。そして、この先人生まだまだ長いが、10点という目標があればこの先もきっと前向きに生きていけるはずです。それにしてもデニーロ御大、存在感がありすぎて、普通のパパを演じても普通のパパにはあまり見えない(笑)。やっぱりいつもの普通でない役がいいかなぁ。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-03-30 20:40:25)
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