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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  運命じゃない人 《ネタバレ》 Aはごく普通の青春ドラマの装いで始まる。Bの、泣き出して気味悪いですか、なんてのがいい。おごってもらって悪いからと自転車こぐのもかわいい。でもがぜん映画が動き出すのはCになってからだ。携帯電話ができてメロドラマのすれ違いが出来なくなったと後ろ向きに考えてはいけない。新しい道具もどんどん使いこなしていくように映画は舞台を提供してきていたし、これからもそうだろう。見えないところでとんでもないドラマが進行していた、という楽しみ。映画が始まったときは、ベッドの下に○○○が隠れていたりする種類の映画とは思っていなかった。表情に別の意味が与えられていく。時間ずれてドラマに裏打ちがなされていく。義憤にかられての怒りと思っていたものが、早くトンズラしたい焦りだったり、走って追いかけてくる者も、あとで読み直される。鞄を抱きかかえてた意味も。これが初見だった中村靖日、その後朝ドラの「ゲゲゲの女房」で見、今の朝ドラにも出てる。いいキャラクターなのに、便利な脇役として消費されないで欲しい。[DVD(邦画)] 9点(2013-12-05 09:23:51)

2.  宇宙戦争(2005) 戦場を経験したことのなかった国が、9・11の同時多発テロを受けて、それなりのアンサーをした作品なのではないか。武力で抵抗することの限度を越えた敵に、どう対処すればいいのか、という問題。本来テロってのは、武力が不均衡のとき劣る側が抵抗する最後の手段だが、それをされる側から目に見える形にすれば、こういう宇宙人の姿になってもおかしくない。とにかく今持ってる武器が無力になってしまう敵なのだ。群衆が同一方向を見上げるシーンって、この監督の映画でしばしば見てきたような気がするが、そういった無力感と通じあっているようでもある。火星人の登場シーンが素晴らしい。穴の底での鳴動、走るひび、それが垂直に建物にも上がっていく。陥没してから吹き上げられる車。奥と手前とのつながり。車での脱出。高架からの列車の転覆、そのスピード感。こういうのやらせると、ノリにノッてしまう。一方、森の中で服が落ちてくるのなんかもいい。小屋での探索が次の見どころ。にゅーっと動き回る「目」の不気味さ。見られることの恐怖。アメリカはボストンからやり直そう、という決意のラストでもあろう(これの映画化はいつもその同時代になってしまうが、原作・19世紀末の英国を生かしても面白いと思う。第一次世界大戦もまだ経験していない時代で、自転車で逃げ惑う人々が馬車に踏み潰されたりする。怖いもの見たさの群衆ってのが小説に現われた最初のころではないか)。[DVD(字幕)] 8点(2014-01-29 09:39:31)(良:1票)

3.  ウィスキー ときに人形の表情が雄弁になるように、無表情が多くを語ることがある。髪型を変えても気がついてもらえない・写真を撮らねばと言っても反応がない、そこで主人公はがっかりした表情を作らず、無表情で通す。がっかりした表情をすれば、それは「がっかり」だけだ。無表情だと、がっかりしたけどがっかりしたことを男にさとらせないぞ、という意地や、別にがっかりしてないもん、という自分へのごまかしや、その他いろいろ複雑な感情を、見てるほうが類推し膨らませてしまう。無色を保っている彼女の内面に、多彩な色彩が飛び交って見えてくる。演技力とは、そういう無表情を作れる能力を言うのだろう。[DVD(字幕)] 8点(2007-10-29 12:22:08)(良:1票)

4.  ウォーリー 《ネタバレ》 擬人化を最小限に抑えてあるのが楽しめる。いかにも機械機械したウォーリーが、しだいに個性を見せてくるあたり。目の双眼鏡のところの傾きだけで、けっこう細かい表情が出来るんだ。アニメの楽しみはこういうところにある。終わりのほうで“ただの機械になってしまう”なんてことを表現できるまでに、命を吹き込めていたわけ。大したものである(さかのぼれば『トイストーリー』、さらには『E.T.』でもぬいぐるみに化けるってのがあった)。ドラマとしては前半の廃墟の地球での出会いの部分が優れていた。映画史上でもかなり奇抜なボーイミーツガール。無駄な言葉のないサイレント映画の楽しみ。もっと廃墟そのものも味わいたかったけど。小さい助っ人ってのは、ディズニー映画では出さなければいけないという契約でもあるのだろうか。それほどドラマの進行に役立ってなくて、ただチョロチョロしてるだけだったという印象。宇宙船に話が移ってからは、『モンスターズ・インク』など既視感ある追っかけものになって、ボルテージが下がる。さらに『2001年』のパロディというか、コンピューターの反乱になって、デブとなった人類が再び歩行を始めるとこでツァラトゥストラが流れるのは、“パロディ”というより現在時点での“読み替え”と取ってやりたい。生き方を変える転換点としてのファンファーレ。寝たままのデブの対極に、ミュージカルのダンスがあるあたり、アメリカ人の誇りなんでしょうなあ。[DVD(吹替)] 7点(2009-10-04 12:15:37)(良:2票)

5.  うた魂♪ 《ネタバレ》 歌ってるコーラスを見ると、たしかに感情表現がオーバーな人が必ずいて、そこから自信過剰・自己陶酔のヒロイン像を生み出したってのは、うまいところを突いた。陶酔のあまりいつもポカーンと口をあけているヒロイン。これに男性合唱団が絡んでくるとなると、恋愛ドラマも絡んできそうなところだが、この男性合唱団がとんでもないキャラクターで、そこでこの映画は膨らんで成功した。恋愛はどうってことない生徒会長との脇筋に押しやり、この副主人公格の男性合唱団長とは、子弟の関係になるところがいい。なんとこれは、求道の映画なのだ。港で訓戒を垂れるところはさながら秘伝伝授の場で、大事なところで後ろの連中がハミングを入れだすのには笑った、このセンスは貴重だ。真剣になっているとき、顔なんか気にしちゃいけない、って訓戒。そういえば浅田真央だって三回転半跳んでるときは凄い顔してる。合唱大会、ヒロインのとこのコーラスより、前の男子校(ケチャがはいるやつ)のほうがうまく聞こえたが、ここはヒロインのとこのほうがうまいんだ、と思って聞くのが映画の観客としての礼儀だ。 [DVD(邦画)] 7点(2008-12-27 12:20:00)(良:1票) 《改行有》

6.  Wiz/Out 《ネタバレ》 すごく面白いところと、すごくつまんないところがある困った映画。比率で言えばつまんないとこの方が多いけど、そこは見なかったことにしてやろうという、新人監督(園田新)を応援したい気持ちになる映画でもある。冒頭が引き込まれる。これから見るかもしれない人のために細かくは言わないけど、テレビとケータイの時代の恐怖で押していく。他人の事件をドラマとして安全地帯から眺めていたはずが、しだいに当事者になっていく。テレビ画面と現実との切り返しが効いていて、このモチーフだけを膨らませてくれたら傑作になっていた。たとえば遠くの戦争のニュースを見ているときの漠然とした不安(遠くのものが本当に遠いいとは限らないまでに込み入っている現代社会)とも関係があるような。これが話の本筋になるとチマチマした通俗青春ドラマになって、ある天変地異が拡がっているのに、渚で女の子が裸足になって波と戯れてたりする。ま、この天変地異が冒頭の事件の波及した結果らしいんだけど。けっこう撮影大変だったとこもあるんじゃないかなあ。[DVD(邦画)] 7点(2008-11-05 12:16:07)

7.  ウォーターボーイズ 微妙にこの監督向きの題材ではなかったような。ガールフレンドが自販機にケリを入れて登場するようなあの感じこそ、この監督の味だ。「これコツがあんの」って。5人がボーゼンとこっちを向いて並んでいる場の反復とか。頑張って成功するという段取りのとこより、新任女性教師の登場でワッと集まり、産休でワッと減り、テレビで紹介されてまたワッと集まり、ってようなとこがいい。ゲーム機などを見ると同時代の話らしいが、出てくる曲はすべてナツメロ、これ監督の強引な趣味であろう。指導者がいいかげんなイルカ調教師ってのは面白いんだけど、竹中直人がはしゃぎすぎてしまう。[映画館(邦画)] 7点(2008-07-13 11:13:36)

8.  ヴェルクマイスター・ハーモニー いちいちに隠されているらしい寓意は、ほとんど読み取れていない。しかし全体を覆う圧倒的な不穏の気配を体験することで、モトはとれたと思う。個人の不安でも国家の不安でもない、町の不安ってとこがいかにも東欧。焦点は暴動の場。ひたすら歩く暴徒たちの、その静かな表情が怖い。ワンカットで描かれる病院襲撃(2時間25分で37カットっていうと単純に計算して1カット3分55秒か。広場に点々と立つ人々の場なんか、長回しの先輩アンゲロプロス好みのシーン)。隣人がたちまち無表情の群衆に変わり得ることの不安て、やっぱり20世紀の多くの町が体験した不安だったんだ。[映画館(字幕)] 7点(2008-06-14 12:07:02)

9.  ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ! グルミットの表情が不思議だ。もっぱら動くのは単純きわまりない白丸に黒丸の目だけなのに、主人に対する心配や、ヤレヤレ感、一途さ、などかなり微細な心理を無言で表現し分けている。大河ドラマの侍が顔中の表情筋を総動員して単純な怒りしか表現できないのと大きな違いだ。よく「あの役者は目の演技がいい」などと言うのを聞いて、ただの眼球に演技が出来るわけはなく、まぶたの開閉の技術だろう、と思っていたのだが、このグルミットの名演を見ると怪しくなってきた。それにこのアニメ、人間はやたら歯が強調されているのに、歯が特徴の犬の方には口がない。まったく表情ってやつはどこで生まれてくるのか。[DVD(吹替)] 7点(2007-10-17 12:14:48)

10.  埋もれ木 ユートピア的な町を描くって『眠る男』もそうだった。きっとこの人の原イメージなんだろうが、この人は原作が別にあってオリジナルシナリオでないほうがいいみたい。別の物語とぶつけたほうが、彼の中で展開があって、本人の原イメージもそれとぶつかり塩気を含んで膨らむようで。それがないとノッペリしたユートピア讃歌まがいのものになってしまう危険性がある。一つ一つのカットの確かさ、安定感はさすが。みな静かにしゃべる。雲がいちいち美しかったが、あれはニセモノね。移動する家。その影。音楽はアルヴォ・ペルト。この人は中世音楽のような響きの曲を作るエストニアの作曲家で、現代のクラシック作曲家ではかなり耳にするほう(ゴダールのなんかでも耳にした)。[映画館(邦画)] 6点(2013-12-22 09:48:15)

11.  牛の鈴音 ドキュメンタリー風ドラマ、もしくはドラマ風ドキュメンタリー。純粋なドラマだったら「ほのぼの老夫婦のスケッチ」で決まっちゃう。ばあさんはいつも愚痴を言ってるが、ムッツリじいさんとのコンビが夫婦漫才のようで、「いやあ、でも本当は仲がいいんだよ」って気分に落ち着いていくだろう。でもドキュメンタリーの血も混ざっているので、なにやらチクチクと残るものがあるんだ。そこを買う。このばあさんの愚痴、けっこう本気な不快が籠もっていて、これは東アジアの農家の嫁がずっと忍従してきた愚痴なのではないか。労働力としてまず第一に考えられてきて、牛にやる草をこの年になっても刈る仕事をさせられる。ばあさんの牛に対する不満は、同じ農耕労働力として扱われてきたもの同士の憤懣が籠もっているようでもあり、奇妙な三角関係すら時に感じられるのだ。この感情のほつれは、ずっと東アジアの農民の間にあり続けてきたんだろう、という長い歴史がほの見える時がしばしばあった。でも仔牛を売るときなんか、けっきょくばあさんの意見が通っているし、対外的な実権はばあさんのほうが握っているらしい。それなりに釣り合いは取れているのだろうか。消えゆく家畜農耕の、人と牛との交わりの記録だが、消えゆく一昔前の「農村夫婦」のあり方を記録してもいる。[DVD(字幕)] 6点(2011-04-10 09:59:47)

12.  ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ 《ネタバレ》 男たちはみな自信喪失、活気がない。女は働いて金を得る喜びを知ってしまい、元気。その沈む男と浮く女の対比。椿屋に堤君が訪れたシーン、見合いしてきて松たか子への未練がつのり、料理屋にまで来てしまうってのも情けないが、メンメンと語りかけようとするといちいち客の呼び出しが邪魔に入る。しかし松さんのほうはもう社会で働く喜びでいっぱい。しょんぼり・いらいらする大のオトナの堤君、シャッキリせんかいと言いたくなる。またその状況を背中で聞いている妻夫木君のうじうじぶり。戦後の男女の対比を一筆で描いていて面白かった。男は女を大事に扱うってことでメンツ・誇りを感じていたのだが、それは女にとってはさほど嬉しいことではなかったってこと。夫がしくじった心中の薬をもてあそんではみたものの捨て去り、ヒロインはパンパンの口紅を塗っても生きようとする。戦後を描くと今まではだいたい闇市の沸騰する喧騒のエネルギーがベースになったものだが、これでは脱力している男に沿ったような静けさがベース。描かれた男女の対比はさして目新しくはなかったものの、それがこの静けさの中で展開し、浮き上がる女によりスポットが当たるようにしてあるのが新鮮だった。[DVD(邦画)] 6点(2010-10-05 09:50:11)(良:2票)

13.  ウルトラミラクルラブストーリー 《ネタバレ》 DVDだったんで、津軽弁の洪水につい字幕付きで観てしまったが、あれはそのまま分かるとこだけを聞く態度で、ドキュメント的に受け取るべきだったかも知れない。発声練習の無意味な言葉とつながって響き合うように。全体ドキュメントタッチとミラクルストーリーが渾然としていて、ミラクルであるものがミラクルらしからぬ態度でひょいと現われてくるとこが面白い。そこが方言の力。唯一方言をしゃべらぬ町子さんて考えてみれば魔性の女で、周囲にいる男の頭を次々カラにしていくわけだ。人類は脳を発達させてしまったので、知力によって新たな危難を避けるようになり、これ以上身体の進化は起こらないだろう、という説があるが、脳をカラにしてしまえば、新たな奇跡が未来に開けてくる可能性もある、ってことか。進化は必然なのかミラクルなのか、ってテーマ? 長回しが多用され、自転車で二人帰る夕方のシーンなんかは楽しかった。サドルでメモしていると自転車が回ってしまうような動きが入り、アクセントになる。逆方向にいく夜のシーンでは、あれもっと花火が映える予定だったんじゃないかな、今ひとつであった。農薬倉庫での長回しは、さして趣向がなく面白くなかった。長回しをもたせるってのは難しいのだ。ラストの脳での子どもの遊びシーンはドキュメント調なので、自然に眺めていて熊につなげられた(前作でもそうだったが子どもをドキュメント的に捉えるのが好きみたい)。それにしても変な話を考えるなあ。[DVD(字幕)] 6点(2010-06-13 12:11:09)

14.  ウォンテッド(2008) 《ネタバレ》 イスラム過激派のリクルートを思った。そこらへんを意識してたんじゃないかな。惨めな日常にうんざりしている若者に、君は選ばれた者だという暗示を与え、厳しい訓練を課し、絶対者が悪と認定したのだからと迷わず見ず知らずの人物を暗殺できるまでに、組織に信頼を寄せさせる。この先にあるのは自爆テロリストへの道だろう。でもアメリカ映画のいいところは、組織に歯向かう個人のドラマになるとこで、途中の訓練の描写などの陰惨さ・ドギツさには不健全だなあと閉口させられたが、話の大枠はいたって健全であった。そしてなにより馬鹿馬鹿しさが救っている。最初のビルを飛び越える男が、廊下の奥のエレベーターから助走をつけるあたりで、すでに作品のトーンが決まり、以下馬鹿馬鹿しさが輝いているシーンのベスト3を順に挙げれば、まずアンジェリーナ・ジョリーが車で仰向けになって撃ちまくるとこ。次に、彼女の車が特急に追いつくとこ。特急の車掌も、あそこでは急停車させず、わざわざ崖の上の陸橋に来てブレーキをかけるという、事態を悪化させるのに協力的な態度をとるところが嬉しい。そして最後の二丁拳銃での殴り込み、ほとんど新体操の運動を見ているよう。そもそも気合いを入れれば曲がる弾道ってのが、根性ものの野球マンガに出てくる魔球みたいで、馬鹿馬鹿しくも懐かしかった。みなさんは絶対まねをしないでください、とテロップでも入れたいところ。[DVD(吹替)] 6点(2009-06-23 12:06:14)

15.  うつせみ 《ネタバレ》 留守の家に男が忍び込んではいるのだが、どうも主体は男より家のほうに感じられ、その家の空気に男が溶け込んでいってるような感じ。むりやりの闖入者というより、空き家の空間が男を招き寄せたような。だからボクサーの部屋に入り込めば、男はグラブをつけてボクサーになってしまう。男の方に主体がないから、かえって男はその部屋の住人として違和感なく自在にふるまえる。特定の個人の部屋でない牢屋で、気配を消してしまえるのも当然のことかもしれない。現代人にとって夢のような、あるいは悪夢のような話。家に溶けてしまうこういう愛人を妻に持たれたら、もう亭主には手の打ちようがないのだ。[DVD(字幕)] 6点(2007-11-03 12:20:13)

16.  美しい夏キリシマ 死に遅れた少年の目にうつる幻想の二週間。この監督、戦時下の日常にこだわってきた人だけど、リアリズムのようでいて、そこからちょっとはみ出すところがいい。ジャングルの湿気た雨の世界から生還してきた傷病兵が、こっちはずっと雨降っちょらんですねえ、とつぶやく。単に事実を述べただけなのだろうが、それだけで広がる青空がなにやら魔法にかかったもののように見えてくる。ラストの竹林の雷雨とそこにかかる虹が、単に虹としての美しさ以上のものに見えてくるのは、その魔法の効果だろう。[DVD(邦画)] 6点(2007-10-03 12:22:25)(良:1票)

17.  ヴィーナス(2006) 《ネタバレ》 じいさんが悪女に振り回され溺れていくっていう『嘆きの天使』型の話ではないの。じいさんはかなり意識的に戯れていて、人間の「愚かという徳」を味わい尽くそうとしているよう。娘をモデルに斡旋してそのデッサンの場を盗み見ようとし、見つかってしまうと美術館に連れていって「ね、女性の裸体というものは美の極致ということに昔からなっているんだよ」なんてスマして言ってる。前立腺の手術して「不可能」と決定されると、さらに積極的になるってのも人間の「愚か」の味わいで、「老いの生への執着の凄み」よりも、どこか「ちゃっかりしている」という余裕が感じられた。そこらへんがいいけど、でもまあそれだけ。とうとう娘に介護もさせちゃって、天晴れな老後を全うする。有名老優を柱にした映画って時々あるが、どうも役柄を越えた「あの人は今こうなった」的なドキュメントとしての面白味が先だってしまい、作品としてはあんまり…、ということが多いですな。[DVD(字幕)] 5点(2008-10-17 12:12:32)

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